ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。 作:湯川彼方
週が明け、今週末にはアルさんの皐月賞が行われます。
ドバイや模擬レースなど色々とありましたが、やはりウマ娘の華はトゥインクルシリーズ。その中でもクラシック三冠は盛り上がり方が違います。
一生に1度しか走れないクラシックシリーズのレースは、全ウマ娘の憧れと言っても良いでしょう。
ひかりさんも自然とアルさんにかかり切りになる時間が長くなってる様子ですし、私達他のチームメンバーもフォローに入ってます。
「アルさん、お疲れ様です!」
「イッキちゃん、付き合ってくれてありがとう」
追い込みが得意な私は、仮想ガンファイターさんとしてアルさんの練習に付き合いました。
ですが皐月賞に向けてアルさんの調整は万全で、直線で迫れたと思った瞬間に二の足で振り切られました。
正直言って、この調子なら負ける可能性は低いかなと思います。
唯一の懸念は同じ逃げウマ娘のユキノテイオーさんと競り合ってスタミナを消費する事ですが、原作でもそうなった上で勝ってますからね。
…
中等部2年にあがった私達の学年でも、今年のクラシックシリーズの話題が出ています。
私とフェアちゃんは当事者に近いので、この話題になるとどうしても巻き込まれます。
ちなみに今、私達のクラスは女子校的なノリで、アルさん派とブルーエンブレムさん派に二分されています。(ちなみに少数ですが、ユキノテイオーさん派やガンファイターさん派も居ます)
「やっぱりアルフィー先輩ってクールでカッコいいよね!」
「えぇ、それにセカンド先輩に聞いたら凄く優しいって!」
「えぇ〜、イッキちゃん同じチームで羨ましいなぁ〜」
と、アルさん派の人達に羨ましがられたりします。
「ブルーエンブレム先輩は、気さくで楽しい人よね!」
「それなのにホープフルSとか超強かったし、マジヤバよね〜」
「フェアちゃんは一緒に出掛けたりするの?良いなぁ〜」
ブルーエンブレムさん派の人達もいますが、別にだからと言ってアルさんを貶す人は居ません。
とは言え、贔屓にしている先輩の代理戦争的な感じで私とフェアちゃんが担ぎ出される事が多いです。
まぁそれで険悪になる様な友情でない事は、去年のシルさんとマキシマム先輩で証明しているのですが。
「イッキもフェアも大変。私は巻き込まれなくて楽」
今年のクラシックシリーズに出る先輩がいない、ベガのランちゃん(クラス替えで同じクラスになった)は気楽な物です。
ですが、来年はあなたの所は2人もクラシックに出るんですからね!
それに次の天皇賞の話題になれば、今度は話題の中心はヒヌマボークさんになるし、NHKマイルカップになればヘルメスさんが話題になるでしょう。
せいぜい、今だけの春を楽しむと良いのです。
…
皐月賞当日、レース場に入場してくるアルさんに、皆で声を掛けます。
「「「「アルさーん(ちゃーん)、頑張って!」」」」
私たちの声援に気が付いたアルさんは、周りのファンに手を振りつつ近くに寄って来ます。
そこでひかりさんがアルさんに声を掛けます。
「ユキノテイオーやガンファイターの仕上がりも良いな。だが、一番の強敵はやはりブルーエンブレムだろう」
ブルーエンブレムさんの名前が出た所で、アルさんの耳がピクリとしいます。
合宿やドバイでの日々を通してアルタイルのメンバーとは仲良くやらせて貰っています。
ですが、レースで一緒に走るとなれば話は別です。
「1番人気もブルーエンブレムだな。まぁアルフィーは弥生賞しか芝で走っていないから、そこが人気の差だろうな」
このレース、アルさんは2番人気で、1番人気はブルーエンブレムさんです。
まぁG1で同距離・同レース場のホープフルSを勝ってますし、共同通信杯から少し間隔は開いてますがしっかり仕上がっている感じですからね。
アルさんが2番人気なのは、エンブレム先輩同様にここまで無敗なためですね。他の有力ウマ娘はホープフルSや他のレースで負けてる事があって、エンブレムさんに勝てるとしたらアルさんだろうって評価な様です。
ひかりさんの言葉を聞いたアルさんは、小さく首を横に振ります。
「1番人気はいりません。でも一着を貰ってきます」
アルさんは、チラリとエンブレムさんの方を見た後、言葉を続けます。
「エンブレムさんは正直言って強いです。でもこの距離は私の得意な距離です」
「そうだな。菊花賞ならともかく、この皐月賞はアルフィーの方が有利だと私も思っている」
2000mの皐月賞は最も速いウマ娘が勝つとも言われています。
ブルーエンブレムさんはどちらか問えばスタミナ・パワータイプのウマ娘であり、純スピードタイプのアルさんの方が有利と言って良いでしょう。
チームとしては、去年のシルさんとマキシマム先輩の関係が逆になった、と言っても良いかも知れません。
「でも去年、シルさんが失格になった事を私はおぼえています」
アルさんの言葉に、私の頭にもその時の光景が思い出されます。
失格の発表を聞いて、控室で嘆くシルさんの姿をおぼえています。
レースに絶対は無いです。
もしも実力に差があるウマ娘であっても、他のウマ娘全員が転倒してる間にゴールすればその娘が皐月賞ウマ娘です。
ましてや、ウマ娘には一生に一度の大駆けをする人も居ます。
有馬記念でマックイーンさんを破ったダイサンゲン(ダイユウサク)さんや、ゴールドシチーさんの走ったダービーに勝ったメリービューティー(メリーナイス)さん等、そのレースがピークになったウマ娘は多く居ます。
今日のこのレースで、それを起こすウマ娘が居ないと誰が保証してくれるでしょうか?
「だから、油断せずに走らせてもらいます」
一切の油断をせずにレースに挑むアルさん。
その身体から闘志が溢れている様に見えました。
ウマ娘名鑑その12
ブルーエンブレム(優駿の門)
皐月賞でアルフィーに国内唯一の敗戦をした後、GIレース7勝を含む11連勝をした馬。通称“白い皇帝”。
だが、そこまでの強さを手に入れたのは、絶対に勝つ事が出来ないライバルをひたすら追い続けた結果で、その行く先はライバルと同様の悲劇であった。
血統的にはビワハヤヒデの全弟、ナリタブライアンの半弟になる。(同世代のアルフィーが、ナリタブライアンの1つ下の世代で産駒デビューするサンデーサイレンスのため、年下にあたる。ビワハヤヒデの活躍を受けて、その父のシャルードが日本に輸入されてますし、おかしな話ではない。まぁ現実と漫画の世界は別ですけど)
容姿(ウマ娘)
ビワハヤヒデに似た癖っ毛の銀髪をポニーテイルにしている。顔立ちはどちらかと言えば(眼鏡をしていないせいもあるが)ナリタブライアンに似た感じである。右耳に王冠の形をした耳飾りがついている。
普段着は変な柄やTシャツの上に派手な柄のシャツを羽織っている。下はほとんどジーンズ。
勝負服は赤地に黄色と緑でラインが入ったドレス。