ウマ娘の世界な筈だが、うちのチームがカオス過ぎる。   作:湯川彼方

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 ちょっと本業が多忙なのと、家族が体調を崩しているのもあって、しばらく更新速度が下がると思います。
 楽しみにして頂いている方には申し訳ないですが、ご了承ください。


皐月賞(中等部2年)~影を踏ませず

さぁ、今年もクラシック三冠が始まります。

第一関門は最も速いウマ娘が勝つ、皐月賞。

まもなくスタート、全バゲートイン完了。

 

スタートしました。

飛び出していったのはアルフィー。

その後ろにはユキノテイオーがつけます。

 

ブルーエンブレムは中盤よりやや後ろか。

最後方にはガンファイターがついて、各バ第一コーナーに入ります。

 

 

 

 

「ユキノテイオーさんは控えましたね」

 

 原作ではアルさんに真っ向逃げ勝負を挑んで、結果スタミナを使い切って最下位に沈んだユキノテイオーさん。

 しかし、このレースでは2番手に控えています。

 

「まぁ、そりゃあ同じクラスならある程度手の内を解ってるからな。アルさんに付き合ってたらスタミナがいくら有っても足りないのを解ってるんだろ」

 

 ストさんの話しに納得します。

 原作では地方から皐月賞に参加したアルさんですが、この世界では最初から中央のトレセン学園に居ます。

 これはある意味では他の陣営にアルさんの情報が原作よりも多くあると言う事でしょう。

 

 

 と言う事は、当然あの人にも…

 

 

 

 

 アルやんは予想通りの大逃げやな。

 ユキのんの奴も、もう少し突っかかるかと思ったんやけど…

 

 

 この展開はしんどいなぁ。

 

 

 このまま好きに逃げさせたら、アルやんは逃げ切るやろうし、

 仕掛け所を間違えたら絶対に届かへん。

 

 ウチは、少し後ろを走るガンちゃんに声を掛けてみる。

 

「なぁなぁガンちゃん。ちょっとアルやんに競りかかってんか?」

「馬鹿を言うな。鈴を付けに行くのは一番人気の仕事だ」

 

 はぁ…まぁそう言うやろな。

 

 

 しゃあない。覚悟決めたろか。

 

 

 

 

 モニターが向こう正面の様子を映してますが、ブルーエンブレムさんがジリジリとポジションを上げている様です。

 もう、ユキノテイオーさんをかわしてアルさんに近づいていく様子です。

 

「さすがに楽に逃げさせては貰えませんね」

 

 私がふと呟いた言葉に対して、シルさんが首を横に振ります。

 

「いや、それは少し違うよイッちゃん」

 

 シルさんから出た否定の言葉に、考え込んでいる私ですが、

 ひかりさんもシルさんと同じ考えの様で説明してくれます。 

 

「ブルーエンブレムはアルフィーよりもスタミナに優れている。楽をさせたくないのなら、極論を言えばスタート直後から競り合って行くべきだった」

 

 なるほど、マッチレース状態にする事でアルさんの体力を削りに行くと言う事ですね。

 

 ただしそれは大きなリスクを生じるでしょう。

 

 100の速度で競り合っていたとして、スタミナで負けているが100が基本速度のウマ娘と、スタミナで勝っているが90が基本速度で100の速度を出すと疲労が増すウマ娘なら、どちらが先にスタミナが尽きるかと言う話です。

 

 勝つか最下位か、あるいはアルさんと共倒れになる可能性もあったかも知れません。

 現に、原作でアルさんと競り合ったユキノテイオーさんは最下位に沈んでいます。

 

 

 きっとブルーエンブレムさん(アルタイル)の考えでは、それだけ大きなリスクを背負うよりは、自分のレースをした方が勝率が高いと考えたのでしょう。

 

 私がその様に考えていると、シルさんも説明を加えてくれます。

 

「レース中盤を過ぎるまで、アルちゃんは気分よく逃げた。それに対してエンブレムさんは、仕掛け所を気にして常に気を張ってレースをしていた。この差は実際にレースを走らないと中々実感しないかもね」

 

 レース特有の疲労感ですか。

 それは僅かな差かも知れませんが、実力が近ければ近いほどその僅かな差が勝敗に影響するのかも知れません。

 

 マキシマム先輩やヒヌマボークさんと渡り合ってきたシルさんの言葉だけに、重みがあります。

 

 自分のレースをしていたアルさん。

 アルさんに追いつくために仕掛けを早くしたエンブレムさん。

 

 そこから導き出されるひかりさんとシルさんの見解は同じ。

 

「「この勝負はアルフィー(アルちゃん)の勝ちだ(だよ)」」

 

 

 

 

 エンブレムさんの足音が聞こえる。

 振り返らなくても、少しずつ差を詰められているのは解ります。

 

 だけど、残りは直線だけ。

 中山の直線は急な坂があるけど、距離自体は短い。

 

 多分、このまま私は逃げ切れるでしょう。

 

 

 …ここで無理に体力を使わなくても良いかも知れません。

 速度を上げればその分アクシデントのリスクも上がります。

 

 

 でも相手を不当に下に見れば、勝てるレースもひっくり返されるかも知れません。

 ましてや相手はエンブレムさん。その強さは良く知っています。

 

 

 だから…

 

「さぁ、油断せずに行きましょう」

 

 

 

 

さぁ、最後の直線!

先頭はアルフィー

2番手はブルーエンブレム、3バ身から4バ身!

残り200m、さぁ坂に差し掛かり一気に差を詰めるか?

 

いや、差が詰まらない!

アルフィー逃げ切るか?

逃げ切れるのか?

 

アルフィー更に速度を上げる!

もう誰も着いて来れない!

 

 

今、1着でゴールイン!!

2着にはブルーエンブレム、3着は…

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