護衛艦きりしま、参ります!   作:OPRETER

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10.防備拡充! 南西諸島防衛作戦・Lマス

「────!」

 へ級が沈んでゆく。

「……よし。これで沖縄本島までのルートが確保できました!」

「大和より輸送艦隊へ。沖縄本島までのルートを確保した! 

 第二艦隊へ! 最後まで気は抜かないで!」

『第二艦隊了解ネ!』

 やがて輸送船団と第二艦隊がやって来て、私たちを追い抜き、一路沖縄本島へ向かって航行して行く。

 私たちもそれを追いつつ、沖縄本島へ向かう。

「……これでひと安心……でしょうか」

 ぽつりとこぼす潮の言葉に、

「輸送船団が錨を下ろすまで気ィ抜いちゃだめだよぅ」

 北上さんがきっちり釘をさす。

 さて、周辺敵艦隊の状況は……

「!」

 ……来たか……! 

 これがボス艦隊(ユニット)だな……! 

「……大和さん、もうひとつ敵艦隊来ます」

「……規模は?」

「軽巡駆逐級が3、輸送艦(ワ級)が1……問題は、艦種不明(アンノウン)が2です。おそらくは、鬼姫級……」

「「「!!」」」

 さすがに全員がざわつく。

「距離は約250km。ルート的に、本島へまっすぐ向かっています」

「他の迎撃部隊は?」

「……困ったことに、30分くらい前に別の敵艦隊が現れてて、いまだ交戦中です」

 SPY-1担当妖精さんの報告ログが残っていたりする。

「出撃した艦数から考えると、沖縄本島はわずかな護衛艦隊が残ってるだけで、これを動かすと丸裸です。

 第二艦隊は物資の揚陸が終わるまで動けません」

「……あたしたちがやるしかないわけだ……」

 北上さんが正しく結論をだす。

「……」

 大和さんは少し考えて、

「潮!」

「はい!」

「第二艦隊へ行って。金剛さんと交代!」

「はいっ!」

 そう答えて、潮は本島の港へ。

「金剛さん! すみませんが、こちらへ!」

『了解ネ! すぐ行くネ!』

 金剛お姉さまを呼び寄せ、

「発、増援第二戦隊旗艦大和。

 宛、沖縄嘉手納基地司令部。

 我、敵艦隊捕捉せり! 

 此れの迎撃に向かう!」

 基地へ一報をいれる。

「移動開始します。金剛さんなら追いつけるでしょう。

 きりしまさん! 敵艦隊の進路は変わってないのね?」

「敵艦隊の進路は変わりありません。

 いまだ交戦中の他の艦隊への増援の可能性もあるかとも思いましたけど、目もくれずに本島を目指すルートです。

 カラに近い本島の攻略するつもりかと。

 ワ級がいるから資材を掠めとるのも目的かな?」

 敵艦隊の目的を予測してみる。

「偵察機、出します。きりしまさん」

「はい。座標送れ」

 大和さんへCIC妖精さんから座標が送られ、大和さんは艤装から偵察機を発艦させる。

「上空警戒、出します」

 鳳翔さんも弓を引き、上空警戒機を上げる。

 

 

「お待たせネ!」

 金剛お姉さまが合流。

 敵艦隊までの距離は200kmを切っているが、まだまだ交戦距離ではない。

「……敵艦隊捕捉」

 大和さんが言う。偵察機が敵艦隊をとらえたようだ。

「ロ級が2、ツ級eliteとワ級eliteが1……」

 一度言葉を切って、

「……戦艦棲姫と、南方棲鬼を確認」

 ……南方棲鬼?! しかも戦艦棲姫(ダイソン)付き?! 

 ……いやまぁ、この世界ではダイソンとは呼ばれてはいないけど。

 手札は戦艦2、軽空母1、雷巡1、対空駆逐2か。(きりしまはこの場合駆逐扱いでカウント)

 大和さんとお姉さまの戦艦最強格がいるから火力は足りるかな。

「きりしまさん、ミサイルは何発残ってますか?」

「4発あります」

 大和さんの問いにそう答える。

「沖縄に戻ればミサイルの補給はきくんですよね?」

「そのはずです」

 輸送船団の補給物資の中にミサイルを収めた発射筒(キャニスタ)ごと、SSMを20発ほど積んできた。

 数発残しておけば、沖縄の工廠妖精さんに頼めば、再生産もなんとかなるはずだ! 

「大盤振る舞いで行きましょう。130でお願いします」

「了解。

 SSM、3、4、7、8番、発射用意! 諸元入力!」

『ハープーン攻撃用意!』

「3、7番はシースキミング、4、8番はポップアップに設定。攻撃目標はすべて南方棲鬼だ!」

 どーせ戦艦棲姫(ダイソン)が勝手に受けるやろ……

 

 

 水偵が着水する。

「お帰りなさい」

 そう言って仕事を終えた水偵を回収する大和さん。

「敵艦隊まで140km、SSM発射用意」

 私のSSM発射器(キャニスタ)が発射態勢に入る。

「艦戦隊、艦攻隊、発艦!」

 鳳翔さんが弓を引き、航空隊を上げる。

「よーし、行って」

 北上さんも甲標的を放出する。

「ハープーン、()ェ!」

 ミサイルが4発、立て続けに撃ち上がる。

 4発のミサイルは、ロケットブースターで撃ち上がった後、ブースターを切り離し、内蔵のジェットエンジンでの飛行に切り替わり、水面スレスレ(シースキミング)で敵艦隊へ向かう。

「敵の航空隊が来る前に砲戦距離まで近づきます! 複縦陣! 全艦最大戦速!」

 フォーメーションを組み直す。

 潮が下がりお姉さまが加わったため、涼月と北上さんが前列、中段が大和さんとお姉さま、後列が私と鳳翔さんの突入陣形。

 私と鳳翔さんは、あえてついて行かずに後方に残る形になる。私は鳳翔さんの護衛だ。

『ハープーン、自己誘導(スタンドアローン)に移行、3番、戦艦棲姫に命中! 

 7番、4、8番は南方棲鬼に命中!』

 1発は戦艦棲姫(ダイソン)に喰われたがもう1発とポップアップの2発は南方棲鬼に当たったか。さすがの戦艦棲姫(ダイソン)も多方向からの飽和攻撃は捌ききれないとみえる。

「敵艦隊捕捉! 迎撃機と交戦開始!」

 鳳翔さんの航空隊も交戦に入ったようだ。

「ッ! 制空権喪失!」

 南方棲鬼相手じゃ鳳翔さん一人じゃ無理か……

「しかしロ級2隻は撃破!」

 さすが鳳翔さん! きっちり仕事はした! 

「各艦増速! きりしまさん! あとお願いします!」

「了解!」

 大和さんを始めとした打撃艦隊はさらに増速、敵艦隊との砲戦距離へ。

「イラッシャイ……カンゲイスルワネ……!」

 南方棲鬼の『声』が響きわたる。

「あなたにやられるわけには、いかないんですよ! 

 さぁ、やるわ。砲雷撃戦、用意!」

 大和さんの主砲が敵艦隊を指向する。

「第一、第二主砲。斉射、始め!」

「Bur────ning! L────ove! 」

 大和さんの主砲とお姉さまの主砲斉射! 

 燃え盛る砲弾が南方棲鬼に向かって伸びる……が、その前に戦艦棲姫(ダイソン)が立ち塞がる! 

 轟音とともに砲弾が起爆するが、戦艦棲姫はそれを耐え抜く。

「Shit!」

 さすがは戦艦棲姫と言うべきか。

 とはいえ、いまの一発で戦艦棲姫も南方棲鬼も小破寄りの中破といったところ。

 ミサイル3+1発、当てた甲斐はあったかな。

「鳳翔さん」

「まだ補給中です。もう少し」

 鳳翔さんの航空隊はまだ出せないか。

「ココハ……トオシマセン……!」

 南方棲鬼が両腕をぐっと引く! いけない! CI砲撃! 

「────!」

 咆哮とともに両腕の主砲から無数の砲弾が放たれる! 

 砲弾は大和さんを直撃! 

「そ、それで直撃のつもりなの!?」

 さすがは大和さん、戦艦の装甲は伊達じゃない! 

「40門の酸素魚雷は伊達じゃないからねっと!」

 北上さんと涼月が魚雷を放つが、

「オロカナ……!」

 南方棲鬼も両腰の艤装から魚雷を放つ! 

「あぁあっ!」

 お姉さまが被雷した! 

 しかしこっちも戦艦棲姫とツ級に魚雷をあてている。ツ級はこれで沈んだ! 

「鳳翔さん!」

「やるときは、やるのです!」

 鳳翔さんが航空隊を上げる! 

「オチナサイ!」

 南方棲鬼も迎撃の航空機をその手のひらから飛び立たせる。

「全砲門! Fire!」

 お姉さまが撃つが、その射線にまたしても戦艦棲姫(ダイソン)が割り込み、南方棲鬼への攻撃を防ぐ。

 やっぱり戦艦棲姫(ダイソン)を先に片付けないと南方棲鬼へ通らないか?! 

 上空では戦闘機隊が交戦中、艦攻隊、艦爆隊はそこから外れて南方棲鬼へ攻撃をしかけるが、艦攻隊の雷撃はまたしても戦艦棲姫(ダイソン)に防がれる。

「チッ……!」

 とはいえ、艦爆隊の爆撃は通った! 

 って、ヤバい! 上空の敵機も何機かこっちへ来た! 

「VLS! 迎撃!」

 VLSのハッチが開き、スタンダードミサイルを発射! 同時に主砲でも攻撃する! 

 神の盾(イージス)をナメるな! (ミサイル)があるなら10機未満は瞬殺じゃぃ! 

 不意に爆音が響いた! 

 見るとワ級と戦艦棲姫に水柱が上がっている! 

「ィよし!」

 北上さんの甲標的だ! ワ級をスナイプしたのか! 

 ワ級はその一発で沈んでゆく。

「まぁ、ここは本気で殺っときましょうかね……うりゃあっ!」

 さらに北上さんと涼月の砲撃! 

「────!」

 これでついに戦艦棲姫が沈んだ! 

「オ……ノ……レ……!」

「敵艦捕捉、全主砲薙ぎ払え!」

「さぁ、決めますヨー! 全主砲、Target!」

 大和さんとお姉さまの主砲斉射! 

 ついに砲撃が南方棲鬼に突き刺さる! 

「ワタシハ……モウ……ヤラレハシナイ!」

 まだ耐えるか! 

 両腕をぐっと引く! あのモーションはCI砲撃! 

「────!」

 両腕の主砲が放たれる! 

 大和さんとお姉さまが被弾! 

「く……こ、こんな所で大和は沈みません……!」

「Shit! 提督に貰った大切な装備が!」

 あれじゃ二人とも大破状態だ……! 

 でも南方棲鬼も大破状態、あと一撃食らわせられれば! 

 せめてお姉さまたちの装填が終わるまで! 

「主砲! 照準!」

『無理です! 射程外! どうやっても届きません!』

 (きりしま)の主砲妖精さんが、後方にいるいまの位置からでは砲撃できないと否定する。

「牽制でいい! スタンダードを無理やりブチ当てろ!」

『なんとかします!』

 VLSのハッチが開き、

『スタンダード! 射撃開始(コメンスファイア)!』

 スタンダード2発発射! 

「オワリ……ダ!」

 南方棲鬼が両腕を伸ばして構える! 

 間に……合え! 

「!」

 南方棲鬼の両腕が爆発! 

 スタンダードが両腕の艤装に当たった! 

「──────!」

 南方棲鬼が吠える! 

「……助かりましたよ、きりしまさん!」

 大和さんの3番砲塔が南方棲鬼を指向している! 

「3番! ()ェェェェ!」

 大和さんの砲撃が南方棲鬼のどてっ腹を貫く! 

「ソンナ……マサカ……ソンナ、コト、ガ……!」

 南方棲鬼の艤装が次々と爆発し、その炎に呑まれていく。

「────!」

 南方棲鬼がひときわ大きく吠え、その全身が爆炎に包まれる! 

「「………………」」

 警戒しつつも炎が収まるのを待つ。

 炎が収まると、そこには静かな水面だけがあった。

「「「「……はぁ────……」」」」

 全員が息をつく。

「とりあえず、終わったかな?」

 その北上さんの言葉に、

「とりあえずは、ね」

 大和さんがそう答えて空を見上げる。

 私も同じように空を見上げる。

 そう、一瞬だが見えていた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ……次はまず間違いなく、棲戦鬼となって来るだろう……

 




スタンダードが南方棲鬼の砲塔に当たったのは、終末誘導がIR(赤外線)だったので、最も温度が高い発射寸前の砲塔だった、ということにしといてください。

さて次はゲージ破砕のUマスなんですが…それまでのルートをどうするかなー…

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