女5人が飲んで駄弁ってるだけです。
「だ~~……」
「う~~……」
「「「…………」」」
……なんだかなぁ……
米艦娘艦隊が沖縄を出発してからだいたい半月、私たちが空母棲姫、南方棲戦姫を撃破してからだとおよそ8日ほど。
ハワイ攻略作戦は終了した。
……そして今、私たちの目の前で、提督二人はクダを巻いている。
「あー! もう!」
荒々しくグラスをテーブルに叩きつけるのは、米艦娘艦隊提督のナンブ提督。
「なんであんなタイミングで中枢棲姫があんなところから出てくるわけ?!」
「……なんか、そーとーヤバイ場所から出てきたそうですね」
大和さんが相づちをうつ。
「……帰還中の基地航空隊の滑走路のど真ん中からね。単体じゃなくてワ級の揚陸部隊込みってナニソレ! 想定外にも程があるわ!」
グラスの中身を飲み干し、叩きつけるように置くと、かたわらの瓶の中身を手酌で注ぐ。
「タイミングも悪すぎ!
怒りが収まらないらしい。
苦労の末にやっと奪回したハワイを、内側から突き崩されて再奪取されればそうもなるわな。
話をまとめよう。
今回のハワイ作戦、戦術的にはほぼ成功したのだが、戦略的には最後にひっくり返されたのである。
一度は中枢棲姫を下し、ハワイ諸島ほぼ全域を掌握したのだが、周辺一帯の掃討で発見された太平洋深海棲姫の撃破直後のタイミングで中枢棲姫が
シーソーゲームは最終的に深海棲艦側がハワイ海域を取り返して終わったということになってしまった。
つまり、戦術的にはほぼ勝利したのだか、最後の最後に
「……先輩のほうはまだいいですよ。ドロップすごいのきたんでしょ?」
と言ったのはもう一人の提督、沖縄基地艦娘艦隊提督、秋川由里子特例准将。
提督適性を持った民間徴用組で提督となってからはまだ1年と半年ほど。
沖縄はどうしても米軍の影響力が強く、日本艦娘艦隊は固定した駐留艦隊は置けていない。このため、秋川提督も麾下の固定した艦娘はおらず、遠征で訪れた艦娘をローテーションでまわしている。
「エート、FletcherとColoradoでしたっけ?」
とお姉さまが、今回の作戦で確認された艦娘の名前を上げる。
「あと、Giuseppe Garibaldi、ね。
3隻とも艤装だけで、適合者はこれから探すけど」
ナンブ提督が補足する。
「こっちはまだ見つかっていない
こないだの川内さんのキューブも、やっとウチにも艦娘が! と思ったら米艦娘ですし!」
突っ伏す秋川提督。
南方棲戦姫からドロップしたキューブは、2つとも
……海防艦は、いくつかドロップで確認されてはいるが、適合者はまだ発見されていない。
……まぁ、
陽抜方式なこの世界だと……ねぇ?
ちなみに、南方棲戦姫を撃破したあとは、沖縄南西諸島海域は散発的な戦闘に終始した。 イベント海域化が終息したと考えていいだろう。
ああ、そうそう。
私たちが飲んでいるのは秋川提督の執務室である。時刻は
30分前ごろにハワイから戻ってきたナンブ提督が突入してきた。
「そういえば、米艦娘艦隊の皆さんはどうなりました?」
と私はナンブ提督に聞く。
米艦娘艦隊が戻って来ないと私たちは内地へ帰れない。
「
「北方棲姫は?
と自分で納得する。
あの3人がいれば大抵はなんとかなる。
逆に言えばあの3人も動かせないわけだが。
「Coloradoの適合者が見つかったら
とナンブ提督はひとりごちる。
米海軍としては念願の
「となると、Coloradoの中の人が来るまではワタシたちは
とお姉さまが言うが、
「できればArizonaの修復が終われば、
ナンブ提督としては、印-沖縄のシーレーンが気になるらしい。
「……ALにいつまでも陸奥さんたち置けませんよ? アイオワさんたちだけでは無理では。東海岸側もありますし」
と私が指摘する。
……実際、両大洋に接する米国は、どうしても2正面戦を強いられる。
今回のハワイ作戦のために、東海岸側からも戦力を結集したはずだ。
「そうなのよね~……」
そう言って突っ伏すナンブ提督。
「……せめて南にアレがいなければなんとでもなるんでしょうけどね……」
……正確には、米国は3方塞がりなのだ。両大洋が接する米大陸中央、もうひとつの深海棲艦の中枢。運河棲姫だ。
PSVita版艦これ改での真のラスボス。2つの大洋をつなぐ運河が深海棲艦化した運河棲姫。
「……まぁ、それを見越してウチの提督もこんなことにしたんでしょうね」
と、大和さんが秋川提督に手元の書類を見せる。
「んぁ?」
突っ伏していた秋川提督はその書類を見て、
「え?!」
驚いて立ち上がる。
「こ、これホント?!」
大和さんに詰め寄るが、
「はい。大本営からの正式な辞令です。
私、戦艦『大和』と空母『鳳翔』は、ハワイ作戦終了後から、沖縄嘉手納基地艦娘艦隊へ異動となります」
え?!
「「「ええ?!」」」
お姉さまとナンブ提督も驚いている。
大和さんと鳳翔さんが沖縄常駐?!
……いや、運用コストからして大和さんは軽々には動かせないだろうけども。今回だって相当イッたと思うし。
とはいえ、いざとなったら動かせる超戦力がいるといないとでは大きくちがう。
アジア圏との通商ルートである沖縄ルートは、日本としては押さえておきたいルートだが、今までは米国が先に押さえていたままだったため、ある意味、手が出せなかった。
だがハワイ作戦で米国は戦力を集中せざるを得なくなり、その穴埋めは日本がすることになる。
そこでこれ幸いに大和さんを派遣した。
大和さんはそもそも坊ノ岬で沖縄に因縁もある。派遣はそこまで不自然ではないし、さらには坊ノ岬沖組をほぼ全員派遣している。
書類上は常駐するのは大和さんと鳳翔さんだけ。巡洋艦、駆逐艦はいままでどおり、遠征艦隊からの抽出になるが、超戦艦の存在、さらに空母もいるとなると影響は大きい。
大和さんは簡単には動かせないがその分は鳳翔さんが艦隊指揮をとれば充分だ。
たとえ米艦娘艦隊がフルメンバーで戻ってきたとしても、戦略主導権をある程度は保持できる。
「やってくれたわねー……」
ナンブ提督も一本取られたという顔だ。
米国としてはあまり面白くない話ではあるだろう。政治的に。米国にとって沖縄とは『自国が占領した土地』であり、特に米軍人にとってはれっきとした『自国内』という意識が、多かれ少なかれ、ある。
いわば、『自宅(借家)に大家の家族が一人、住み込んで来た』という感覚になるのだろう。一度留守番を頼んだのも自分だし理由もあるし大家だから反対もしずらい。
「17駆と21駆、あと矢矧さんも米艦娘艦隊が戻るまでは残します。次の遠征艦隊と入れ代わりで金剛さんと霧島さんは北上さんと潮、涼月とともに帰還してください」
と大和さん。
3艦隊20隻弱が残るなら米艦娘艦隊が戻るまでは大丈夫か。
「了解ネ」
「わかりました」
頷く私とお姉さま。
「いやー、めでたい! やっと私にも部下が!」
とグラスに手酌で注ぐ秋川提督。
「まぁ、私は提督の秘書艦も兼ねてますから。びしばしいきますよ」
と大和さん。
「うぐぅ」
ちょっとひきつる秋川提督。キャリアとしては大和さんのほうが長いからね、シカタナイネ。
「あー、もう。今回
と立ち上がるナンブ提督。
「もどるわー。一人で飲み直そう……」
「……一人だとつまんないからこっち来たんじゃないんですか?」
と秋川提督がツッコむ。
「あんなもん聞いちゃあアナタとなんか飲めるもんですか。とはいえ、
グラスと酒瓶をもって、ひらひらとてを振って部屋を出ていくナンブ提督。
「……今日はもう寝ましょうか」
と締める大和さん。
それがいいでしょう……
これで完全にネタ切れしたので次回はとうぶん先です。
ハワイ作戦の次って、欧州作戦でしたっけ?
きりしまさんの出番あるかな~…