「…………」
そんなこんなで出たものの。
なんだよコレ。
九州を出発し、いよいよ南西諸島へ足を踏み入れると、早速SPY-1レーダーに反応が。
しかも複数艦隊ときたもんだ。
まだ探知範囲ギリギリの280km以上あるが、ルート的に、どれかには必ず引っかかる範囲に散らばっている。
……間違いない。イベント海域化してやがる。
米軍のハワイ奪還作戦がトリガーか……
情報を大和さんと提督へ伝え、現在協議中。
とはいえ、艦隊の足を止めるわけにはいかず、約1/4速で進めている。
そろそろ羅針盤妖精さんが騒ぎ出す頃合いなんですが。
艦これ最大の敵、羅針盤妖精さんはこの世界でも絶大な威力を持っている。
何しろ羅針盤妖精さんがいないと艤装はまともに
艤装の舵を持っているのは艦娘本人ではなく、羅針盤妖精さんと理解するのが正しい。
羅針盤妖精さんは艦娘の意思を無視して、艤装を航行させることさえある。
戦闘機動はまだしも、巡航航行は羅針盤妖精さんに縛られるのだ。
閑話休題。
「……
「!」
大和さんがぽつりと言う。
独り言か、それとも提督に言ったのか。
「きりしまさん!」
「はい」
「
「はい。
反応の大きさからの推測だが、SPY-1担当妖精さんはなかなか優秀っぽくて、いまのところ推測と大きく外れたことはない。
しかし、推測できるのは規模までで、
ましてやイベント海域化している以上、改フラもあるし。
「
「対艦ミサイルの射程距離は?」
「!」
……そゆことか。
「およそ140kmです。マージンは欲しいところですね」
「……もう一枚切るか」
ぽつりと大和さんが呟いたが、
「第一艦隊速度上げ! 先行して空母艦隊を叩きます!
輸送船団は警戒しつつ半速で追走のこと!」
『護衛艦すずつき了解!』
『第二艦隊、了解デース!』
「きりしまさん!」
「ハープーン、発射準備かかれ! 射程到達次第、発射する!」
大和さんの指示を読んで準備を始めさせる。
「発射は1発でいいわ。マージンとって130で撃ってください。
あと、こっちへ測距データまわして」
「大和さん!」
撃つ気ですか。
「100を切ったら遠隔レーダー射撃します」
それが二枚目か。
「敵艦隊まで140kmを切りました!」
「全艦、戦闘態勢。
潮! 潜水艦はいないわね?」
大和さんが戦闘指示を始める。
「ち、聴音機にはありません。
探信音、打ちます」
「鳳翔さん、発艦開始してください」
「早すぎませんか?」
とはいいつつも弓を引く鳳翔さん。
「まずきりしまさんがミサイルを当てます。そのあとに私の超長距離砲撃、そのあとに航空機隊の攻撃、というタイミングにしたいんです」
「なるほど。そのタイミングなら、第一次攻撃の制空権取れるかもですね」
そう言いながら、鳳翔さんは弓を放って第一陣の戦闘機隊を発艦させる。
続いて艦攻隊、艦爆隊も発艦。
「探信音の反応、ありません!」
潮から潜水艦はまずいないと報告。
「SSM1番、諸元入力。発射準備」
『ハープーン攻撃始め。発射弾数
私の艤装にあるハープーン
「ハープーン攻撃用意! よーい」
一度、大和さんの方を向く。
アイコンタクトで頷かれた。
「
「……超長距離砲撃用意」
大和さんの46cm砲が天をつく。
「大和へ射撃諸元データ、送れ」
現在の敵艦隊位置、予測未来位置、46cm砲の装薬量から想定される弾道計算、そこから導き出された方位角と仰角が
仰角はかなり低くなった。超長距離を届かせるために放物線はかなり低くなるようだ。
『カウントダウン、入ります。
4、3、2、1』
「
轟音とともに46cm砲が放たれる。
その音が収まった頃、大和さんは4つ目の手を打つ。
「北上さん、甲標的の発艦、お願いします」
「りょうかーい」
北上さんは甲標的を取り出して海面へ。
「きりしまさん、目標データ、ちょうだい」
「はい」
CIC妖精さんから北上さんへ座標が送られ、その座標を受け取った北上さんは甲標的妖精さんへ伝えると、甲標的を放出する。
「対空、対艦戦闘用意! 対空監視は厳に!」
その号令に、潮は主砲を構え直し、涼月は水平線を睨み付け、長10cm砲ちゃんも水平線上を指向する。
北上さんも主砲を構え直す。
「複縦陣!」
隊列を組み直す。
前列が潮と涼月、中段が
あらかじめ打ち合わせたもので、装甲が脆弱な私と鳳翔さんを守るフォーメーションだ。
『ハープーン、
続いて砲撃……弾着!』
「航空機隊が敵艦隊を確認。
ヲ級改flagshipが2、
ヌ級改flagship、ツ級が各1、
イ級が2です。
ヲ級の2隻、およびツ級に損傷がみられます!
迎撃機、ありません。制空権取れました!
爆撃、雷撃開始します!」
鳳翔さんが
「敵艦隊まで7万メートル!」
「航空機隊、攻撃終了。
イ級2隻撃沈!
ヌ級に軽微!」
レーダー画面に映る鳳翔さんの航空機隊ーもう視界内にいるーを追って、敵艦隊から
「敵艦隊の航空機を確認!」
「数は?!」
「約100!」
艦戦、艦爆、艦攻の合計とはいえキツいわー!
「対空戦闘用意!」
「「対空戦闘用意!」」
大和さんの号令下、涼月と私は対空戦闘の準備に入る。
その合間にも、鳳翔さんの航空機隊か着艦してくる。
「補給、再爆装、急いで!」
着艦した航空機はすぐに矢の形に戻るが、すぐには
矢筒に収めて霊的エネルギーを再充填しないと航空機に変化しないのだ。
それはそれとして対空迎撃だ。
今後を考えると撃ち尽くすわけにもいかない、しかし数が多すぎるから撃たないわけにも、ええい!
「8発イッたれ!」
VLSのハッチが開く。
「VLS、1番から4番、9から12番、スタンダード、対空目標ロックオン!」
『VLS、スタンダード、CIC指示の目標、諸元入力!』
8機をロックオン!
『スタンダード攻撃始め!』
VLSからミサイルが立て続けに発射。
「全艦、対空回避運動用意!」
その大和さんの号令で、複縦陣の間隔が広がり、回避運動用のスペースを確保する。
「主砲対空戦闘! 撃ちィかた始め!」
『主砲対空戦闘! 撃ちーかた始め!
主砲の攻撃が始まる。
「敵、発見。皆さん、ご用意を。合戦、準備!」
涼月も長10cm砲ちゃんでの射撃を始めた。
VLSもう一斉射……いや、スタンダードじゃたいしてかわんね。
さすがのSPY-1レーダーでも、同時目標は12目標までだ。
それならシーケンシャルに処理できる主砲のほうがいい!
「空襲警報!」
全艦に怒鳴り付ける。さすがに数が多すぎる、撃墜は無理!
あっという間に視界内に敵機が迫り、雷撃が放たれ爆弾が投下される!
うわわわわわ!
どうにかこうにか爆弾を避け魚雷をかわし、その合間にも射撃は続け、敵機は通りすぎてゆく。
「損害報告!」
その大和さんの言葉に、
「潮、損害ありません」
「涼月、同じく損壊なし!」
「北上、損害ないよ。あと甲標的が敵艦隊に接触」
「鳳翔、損害ありません。補給はまもなく完了します」
「きりしま、損害ありません」
「大和、損害なし。まもなく艦隊砲戦距離! 鳳翔さんは発艦待ってください」
大和さんの砲塔が動き、
「斉射、始め!」
発砲!
「じゃあ、潮、涼月、行くよ」
「「了解!」」
その北上さんとともに、潮と涼月は敵艦隊へ。
これも私や鳳翔さんを守る戦術だ。
大和さんが撃った砲弾がヲ級に命中! さすがのヲ級もなす術なく沈んでゆく。
見たところ、敵艦隊の残ったヲ級は中破以上とみた。
あとはヌ級さえ黙らせれば、というところでヌ級に水柱!
……あ、甲標的か。
ヌ級が轟沈して、これで残りは発艦できない空母と対空専門軽巡。
……さほどの時間もかからず、北上さんたちの魚雷と大和さんの砲弾の餌食となった。
「……よし。近距離には敵艦隊はいません。ルートは確保できたかと」
「大和より第二艦隊へ。ルートを確保しました」
『第二艦隊、了解ネ!
第一艦隊と合流する! 速度上げ!』
「
「「了解」」
「きりしまさん」
「はい。この先のルート、索敵します」
さて、この先は……やはりこの
というわけで、初戦は終了。
次は飛んで輸送ボスマス戦です。