護衛艦きりしま、参ります!   作:OPRETER

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ちょっと短いですが、戦闘1回分で切ることにしました。



09.防備拡充! 南西諸島防衛作戦・Cマス

「…………」

 そんなこんなで出たものの。

 なんだよコレ。

 九州を出発し、いよいよ南西諸島へ足を踏み入れると、早速SPY-1レーダーに反応が。

 しかも複数艦隊ときたもんだ。

 まだ探知範囲ギリギリの280km以上あるが、ルート的に、どれかには必ず引っかかる範囲に散らばっている。

 ……間違いない。イベント海域化してやがる。

 米軍のハワイ奪還作戦がトリガーか……

 情報を大和さんと提督へ伝え、現在協議中。

 とはいえ、艦隊の足を止めるわけにはいかず、約1/4速で進めている。

 そろそろ羅針盤妖精さんが騒ぎ出す頃合いなんですが。

 艦これ最大の敵、羅針盤妖精さんはこの世界でも絶大な威力を持っている。

 何しろ羅針盤妖精さんがいないと艤装はまともに航行して(はしって)くれないのだ。

 艤装の舵を持っているのは艦娘本人ではなく、羅針盤妖精さんと理解するのが正しい。

 羅針盤妖精さんは艦娘の意思を無視して、艤装を航行させることさえある。

 戦闘機動はまだしも、巡航航行は羅針盤妖精さんに縛られるのだ。

 閑話休題。

 

「……切り札(カード)を切りましょう」

「!」

 大和さんがぽつりと言う。

 独り言か、それとも提督に言ったのか。

「きりしまさん!」

「はい」

C(チャーリー)群は空母艦隊で間違いないのね?」

「はい。レーダー反射量(RCS)からの推測ですが、正規空母()級が2、軽空母()級が1、あとは軽巡か駆逐級と思われます」

 反応の大きさからの推測だが、SPY-1担当妖精さんはなかなか優秀っぽくて、いまのところ推測と大きく外れたことはない。

 しかし、推測できるのは規模までで、elite(エリ)なのかflagship(フラ)なのかは不明だ。

 ましてやイベント海域化している以上、改フラもあるし。

C(チャーリー)群は完全に航路上に居座っています。距離はおよそ200km」

「対艦ミサイルの射程距離は?」

「!」

 ……そゆことか。

「およそ140kmです。マージンは欲しいところですね」

「……もう一枚切るか」

 ぽつりと大和さんが呟いたが、

「第一艦隊速度上げ! 先行して空母艦隊を叩きます! 

 輸送船団は警戒しつつ半速で追走のこと!」

『護衛艦すずつき了解!』

『第二艦隊、了解デース!』

「きりしまさん!」

「ハープーン、発射準備かかれ! 射程到達次第、発射する!」

 大和さんの指示を読んで準備を始めさせる。

「発射は1発でいいわ。マージンとって130で撃ってください。

 あと、こっちへ測距データまわして」

「大和さん!」

 撃つ気ですか。

「100を切ったら遠隔レーダー射撃します」

 それが二枚目か。

 

 

「敵艦隊まで140kmを切りました!」

「全艦、戦闘態勢。

 潮! 潜水艦はいないわね?」

 大和さんが戦闘指示を始める。

「ち、聴音機にはありません。

 探信音、打ちます」

「鳳翔さん、発艦開始してください」

「早すぎませんか?」

 とはいいつつも弓を引く鳳翔さん。

「まずきりしまさんがミサイルを当てます。そのあとに私の超長距離砲撃、そのあとに航空機隊の攻撃、というタイミングにしたいんです」

「なるほど。そのタイミングなら、第一次攻撃の制空権取れるかもですね」

 そう言いながら、鳳翔さんは弓を放って第一陣の戦闘機隊を発艦させる。

 続いて艦攻隊、艦爆隊も発艦。

「探信音の反応、ありません!」

 潮から潜水艦はまずいないと報告。

「SSM1番、諸元入力。発射準備」

『ハープーン攻撃始め。発射弾数1(ヒト)発! 目標入力完了!』

 私の艤装にあるハープーン発射器(キャニスタ)が外側を向く。

「ハープーン攻撃用意! よーい」

 一度、大和さんの方を向く。

 アイコンタクトで頷かれた。

()ーッ!」

 発射器(キャニスタ)からミサイルが放たれて、空へ消えて行く。

「……超長距離砲撃用意」

 大和さんの46cm砲が天をつく。

「大和へ射撃諸元データ、送れ」

 現在の敵艦隊位置、予測未来位置、46cm砲の装薬量から想定される弾道計算、そこから導き出された方位角と仰角が(きりしま)のCIC妖精さんから大和さんの砲塔妖精さんへ指示される。

 仰角はかなり低くなった。超長距離を届かせるために放物線はかなり低くなるようだ。

『カウントダウン、入ります。

 4、3、2、1』

()ェ!」

 轟音とともに46cm砲が放たれる。

 その音が収まった頃、大和さんは4つ目の手を打つ。

「北上さん、甲標的の発艦、お願いします」

「りょうかーい」

 北上さんは甲標的を取り出して海面へ。

「きりしまさん、目標データ、ちょうだい」

「はい」

 CIC妖精さんから北上さんへ座標が送られ、その座標を受け取った北上さんは甲標的妖精さんへ伝えると、甲標的を放出する。

「対空、対艦戦闘用意! 対空監視は厳に!」

 その号令に、潮は主砲を構え直し、涼月は水平線を睨み付け、長10cm砲ちゃんも水平線上を指向する。

 北上さんも主砲を構え直す。

「複縦陣!」

 隊列を組み直す。

 前列が潮と涼月、中段が(きりしま)と鳳翔さん、後列が北上さんと大和さんという順だ。

 あらかじめ打ち合わせたもので、装甲が脆弱な私と鳳翔さんを守るフォーメーションだ。

『ハープーン、自己誘導(スタンドアローン)に移行、目標まで3、2、1、目標命中(マークインターセプト)

 続いて砲撃……弾着!』 

「航空機隊が敵艦隊を確認。

 ヲ級改flagshipが2、

 ヌ級改flagship、ツ級が各1、

 イ級が2です。

 ヲ級の2隻、およびツ級に損傷がみられます! 

 迎撃機、ありません。制空権取れました! 

 爆撃、雷撃開始します!」

 鳳翔さんが航空機(バードアイ)視点から報告する。

「敵艦隊まで7万メートル!」

「航空機隊、攻撃終了。

 イ級2隻撃沈! 

 ヌ級に軽微!」

 レーダー画面に映る鳳翔さんの航空機隊ーもう視界内にいるーを追って、敵艦隊から輝点(フリップ)があらわれる。

「敵艦隊の航空機を確認!」

「数は?!」

「約100!」

 艦戦、艦爆、艦攻の合計とはいえキツいわー! 

「対空戦闘用意!」

「「対空戦闘用意!」」

 大和さんの号令下、涼月と私は対空戦闘の準備に入る。

 その合間にも、鳳翔さんの航空機隊か着艦してくる。

「補給、再爆装、急いで!」

 着艦した航空機はすぐに矢の形に戻るが、すぐには発艦でき(うて)ない。

 矢筒に収めて霊的エネルギーを再充填しないと航空機に変化しないのだ。

 それはそれとして対空迎撃だ。

 今後を考えると撃ち尽くすわけにもいかない、しかし数が多すぎるから撃たないわけにも、ええい! 

「8発イッたれ!」

 VLSのハッチが開く。

「VLS、1番から4番、9から12番、スタンダード、対空目標ロックオン!」

『VLS、スタンダード、CIC指示の目標、諸元入力!』

 8機をロックオン! 

『スタンダード攻撃始め!』

 VLSからミサイルが立て続けに発射。

「全艦、対空回避運動用意!」

 その大和さんの号令で、複縦陣の間隔が広がり、回避運動用のスペースを確保する。

「主砲対空戦闘! 撃ちィかた始め!」

『主砲対空戦闘! 撃ちーかた始め! 射撃開始(コメンスファイヤ)!』

 主砲の攻撃が始まる。

「敵、発見。皆さん、ご用意を。合戦、準備!」

 涼月も長10cm砲ちゃんでの射撃を始めた。

 全自動射撃(オートショット)で確実に撃墜している(きりしま)と、ある程度ばらまくことで撃墜する涼月。順次、撃ち落としているがやはり数は多い! 

 VLSもう一斉射……いや、スタンダードじゃたいしてかわんね。

 さすがのSPY-1レーダーでも、同時目標は12目標までだ。

 それならシーケンシャルに処理できる主砲のほうがいい! 

「空襲警報!」

 全艦に怒鳴り付ける。さすがに数が多すぎる、撃墜は無理! 

 あっという間に視界内に敵機が迫り、雷撃が放たれ爆弾が投下される! 

 うわわわわわ! 

 どうにかこうにか爆弾を避け魚雷をかわし、その合間にも射撃は続け、敵機は通りすぎてゆく。

「損害報告!」

 その大和さんの言葉に、

「潮、損害ありません」

「涼月、同じく損壊なし!」

「北上、損害ないよ。あと甲標的が敵艦隊に接触」

「鳳翔、損害ありません。補給はまもなく完了します」

「きりしま、損害ありません」

「大和、損害なし。まもなく艦隊砲戦距離! 鳳翔さんは発艦待ってください」

 大和さんの砲塔が動き、

「斉射、始め!」

 発砲! 

「じゃあ、潮、涼月、行くよ」

「「了解!」」

 その北上さんとともに、潮と涼月は敵艦隊へ。

 (きりしま)と鳳翔さん、大和さんは敵艦隊との距離を保つ。

 これも私や鳳翔さんを守る戦術だ。アケ(アーケード)なら6艦1ユニット扱いになるので一緒に突っ込むところだが、あえて自艦隊を二分して前衛後衛に分けた。

 大和さんが撃った砲弾がヲ級に命中! さすがのヲ級もなす術なく沈んでゆく。

 見たところ、敵艦隊の残ったヲ級は中破以上とみた。

 あとはヌ級さえ黙らせれば、というところでヌ級に水柱! 

 ……あ、甲標的か。

 ヌ級が轟沈して、これで残りは発艦できない空母と対空専門軽巡。

 ……さほどの時間もかからず、北上さんたちの魚雷と大和さんの砲弾の餌食となった。

 

 

「……よし。近距離には敵艦隊はいません。ルートは確保できたかと」

「大和より第二艦隊へ。ルートを確保しました」

『第二艦隊、了解ネ! 

 第一艦隊と合流する! 速度上げ!』

第一艦隊(わたしたち)もしばらく待機、第二艦隊と一度合流します」

「「了解」」

「きりしまさん」

「はい。この先のルート、索敵します」

 さて、この先は……やはりこのF(フォックストロット)群、かな。

 




というわけで、初戦は終了。
次は飛んで輸送ボスマス戦です。
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