転スラの二次創作いろいろ   作:青色のラピス

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第三話

大鬼の狂王(オーガロード)が吠えた。

その叫びに応じてオーガ達の筋肉が膨れ上がる。

どうやら能力(スキル)を使って手下達を強化したらしい。

 

「グオオオッ!!」

 

叫び声をあげてオーガが襲いかかってくる。

動きは単純だがパワーが桁違いだ。受け止めることはおろか、受け流すことすらできずに吹き飛ばされる。

 

分かっていたが強い。手下のオーガでこれだ。ボスである大鬼の狂王(オーガロード)はいったいどれだけ強いのだろう。もしかしたらA-ランクすら超えている可能性がある。

 

大火炎弾(ファイヤーバレット)ッ!!」

 

追撃しようとするオーガ達から距離を取り、立て直すために魔法で牽制する。

複数のこぶし大の炎弾がオーガ達に襲いかかる。高速で襲いかかる炎弾を避けることはできずにオーガ達に直撃する。いくつかの炎弾は地面に当たり、土煙を上げる。

一応、ある程度は魔法が使えるがある程度でしかない。一撃で倒れろとは言わないがせめて重傷は負っていて欲しい。

 

俺の期待通りオーガ達はボロボロになっていた。流石に魔法の直撃には耐えられなかったようだ。――しかし、そんな俺の考えを嘲笑うかのようにオーガ達が光に包まれ、みるみると傷が癒やされていく。光が収まった後には傷一つないオーガ達がいた。

ハハハと俺の乾いた笑いが漏れたのは仕方がないことだろう。

さて、現実逃避をしている場合じゃない。

 

絶望的な状況だ。

仕方がない。俺も使うとしよう。

能力(スキル)を。

 

 △▼△

 

俺が持っているスキルは5つ。

『剛力』『状態異常耐性』『天眼』『賢者』『危険察知』だ。

……はい、そこ。もったいぶったくせにしょぼいとか言わない。

確かに俺はユニークスキルを持っていないがあんなの持っているやつはごく少数だ。普通はこれくらいなのだ。

 

話は戻り、俺が今までスキルを使わなかった理由は魔法が使えなくなるからの一つだけだ。

どの能力(スキル)魔素(エネルギー)の消費量は少ないがそれでも使い続けていたらその量は馬鹿にならない。

 

俺は肉弾戦だけでなく魔法も使う魔法戦士だ。魔素の消費には神経質にならないとやってられないのだ。

けど、仕方がない。それにここは迷宮だ。死ぬことはないし、コイツらを倒せば地上に帰ることができる。

 

『賢者』を使い、思考を三百倍に引き延ばし、魔法制御のための思考を増やす。同時に俺が使える最高火力の魔法を組み上げる。

最後に『剛力』で筋力を上げて『天眼』で視覚を広げる。

さぁ、準備は終わった。

ラストスパ-トだ。気を抜くなよ、俺。

 

 ▼△▼

 

狙いを大鬼の狂王(オーガロード)に集中させる。

コイツさえ倒せば後は正直どうにかできる。

 

なぜならオーガ達の能力が上がったのは大鬼の狂王(オーガロード)の影響だ。ならば大鬼の狂王(オーガロード)を倒せば影響はなくなる。

たかだかオーガの五匹くらいならどうとでもできる。これでもA-ランクだからな。

大鬼の狂王(オーガロード)戦棍(ウォーメイス)と俺の戦斧がぶつかる。

その瞬間凄まじい不協和音と衝撃が生まれる。

 

「?!!」

 

どうやら筋力勝負は互角みたいだ。

大鬼の狂王(オーガロード)は今まで真っ向からの力勝負には負けたことがないのだろう。

素っ頓狂な顔をして呆然としている。

 

そんな好機を見逃すはずもなく迷うことなく戦斧を振るう。刃は敵の脇腹を裂き、血と臓物、肉の破片が飛び散る。

しかし、そのままトドメをさすことはかなわない。

 

「ガアアッ!」

 

「グオオオオオッ!!」

 

オーガ達が連携をとり襲いかかってきたからだ。

距離が離れたのを確認して大鬼の狂王(オーガロード)がぶつくさと何かを唱えると再び淡い光が現れ、やつを包む。どうやら回復魔法のようだ。せっかくつけた傷が瞬く間に癒やされる。

……仕方がない。魔法が組みあがるまで時間を稼ぐしかないか。

 

 △▼△

 

どれくらいたっただろうか。もしかしたら数分という短い時間かもしれない。だけど俺にとっては数時間かもしれない長い時間がたった気がした。

魔法はまだ完成しない。

あと少し。だけどこの少しが果てしなく長い。

 

「ガアアッ!」

 

「グルァッ!」

 

オーガ達の連携を紙一重でよけ、受け流していく。

受け流した腕がしびれる。向こうも最初のころの舐めた態度など消え去り全力で殺しに来ている。

証拠に回復魔法だけでなく元素魔法や妖術、幻覚魔法も使ってきている。

おかげさまで結構魔素(エネルギー)を使ってしまった。

……魔法が完成してもキチンと打てるのだろうか?

そんなことを考えていると前から火球や風刃が飛んでくる。

『状態異常耐性』のおかげで妖術や幻覚魔法による俺自身への悪影響がないのがせめてもの救いだ。

 

このままじゃ殺られてしまう。

仕方がない。一気に勝負をかける!

魔法はギリギリ発動するかしないかのラインだ。なんなら暴発でも構わない。

足に力をこめ、駆ける。目指すは大鬼の狂王(オーガロード)ただ一匹!!

懐まで潜り込み、魔法を発動させる。

 

熱収束砲(ニュークリアカノン)!!」

 

核撃魔法:熱収束砲(ニュークリアカノン)は対人魔法の中では最強クラスの魔法だ。

直撃すればA-ランクの魔物はおろか圧倒的格上のA+ランクの魔物も一撃で倒すことができる。

もちろんながら難易度は他の魔法と比べ凄まじいまでに跳ね上がる。

核撃魔法は一流の魔導師(ウィザード)が扱うような魔法だ。その中でも低級クラスとはいえ高々一介の魔法戦士が使うことは困難を極める。今までの成功例は片手で足りるうえ、ロクに術式の構築もできていないというのだから笑うしかない。

しかし、あのままでは絶対に勝つことができない。ならば、1%でも勝つ確率があるならそれを実行する。

 

 

魔法は奇跡的に発動した。やはり魔素(エネルギー)が足りず、小さくなっていた。

しかし、流石核撃魔法というべきか多少小さくなっていても圧倒的な威力を誇っている。

懐まで潜り込んでいたため避けることも、防ぐこともできずに大鬼の狂王(オーガロード)は一瞬で火だるまになる。

 

―――そして断末魔の声一つ上げることなく塵と化した。

 

 ▼△▼

 

その後はスムーズに終わった。

完全回復薬(フルポーション)で体力と魔素(エネルギー)を回復して広範囲魔法でまとめて殲滅してお終いだ。

 

……あの時、完全回復薬(フルポーション)いらねぇって言ったけどなかったら確実にオーガ達に殺られていたわ。

目の前にはオーガ達がドロップした3つの宝箱がある。3つのうち2つは金箱で残り一つは銀箱だ。

 

宝箱は鉄、銅、銀、金の4種類だ。罠があるのは鉄と銅の2つだけだ。銀と金は罠という面倒くさいものなんて考えずに済む。盗賊系の技術(アーツ)を有していないから結構大変なんだよなぁ…。

 

恐れることなく箱を開ける。

銀箱からは戦斧だった。

今の使っているやつはかなりボロボロなのでちょうどよかった。魔国(テンペスト)印の武具を買う、借りるという選択肢もあるが、希少級(レア)ともなればかなりの値段になる。借り物の場合は壊した場合弁償しなければならず、結構高いらしいのだ。

次に金箱へ手を伸ばし、開ける。

 

一つ目に入っていたのは全身鎧だった。磨かれた銀のような輝きを持つ鎧だ。金箱からドロップしたということは最低でも希少級(レア)は確定だろう。

しかし、俺の望むものではない。

最後の金箱を開ける。

そこには俺が求め、焦がれたモノ――鬼王の兜(オーガヘルム)が入っていた。

 

 △▼△

 

いつしか魔国(テンペスト)にある噂が流れ始めた。

全身を鬼を模した武具をまとった冒険者についての噂だ。

曰く、いくつもの鬼を屠り、その血肉を喰らい、力を得たと。

故にその冒険者は"鬼喰い"と呼ばれた。




これで冒険者のお話はお終いです。
何かリクエストがあれば可能な限りやりますのでお願いします。
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