その叫びに応じてオーガ達の筋肉が膨れ上がる。
どうやら
「グオオオッ!!」
叫び声をあげてオーガが襲いかかってくる。
動きは単純だがパワーが桁違いだ。受け止めることはおろか、受け流すことすらできずに吹き飛ばされる。
分かっていたが強い。手下のオーガでこれだ。ボスである
「
追撃しようとするオーガ達から距離を取り、立て直すために魔法で牽制する。
複数のこぶし大の炎弾がオーガ達に襲いかかる。高速で襲いかかる炎弾を避けることはできずにオーガ達に直撃する。いくつかの炎弾は地面に当たり、土煙を上げる。
一応、ある程度は魔法が使えるがある程度でしかない。一撃で倒れろとは言わないがせめて重傷は負っていて欲しい。
俺の期待通りオーガ達はボロボロになっていた。流石に魔法の直撃には耐えられなかったようだ。――しかし、そんな俺の考えを嘲笑うかのようにオーガ達が光に包まれ、みるみると傷が癒やされていく。光が収まった後には傷一つないオーガ達がいた。
ハハハと俺の乾いた笑いが漏れたのは仕方がないことだろう。
さて、現実逃避をしている場合じゃない。
絶望的な状況だ。
仕方がない。俺も使うとしよう。
△▼△
俺が持っているスキルは5つ。
『剛力』『状態異常耐性』『天眼』『賢者』『危険察知』だ。
……はい、そこ。もったいぶったくせにしょぼいとか言わない。
確かに俺はユニークスキルを持っていないがあんなの持っているやつはごく少数だ。普通はこれくらいなのだ。
話は戻り、俺が今までスキルを使わなかった理由は魔法が使えなくなるからの一つだけだ。
どの
俺は肉弾戦だけでなく魔法も使う魔法戦士だ。魔素の消費には神経質にならないとやってられないのだ。
けど、仕方がない。それにここは迷宮だ。死ぬことはないし、コイツらを倒せば地上に帰ることができる。
『賢者』を使い、思考を三百倍に引き延ばし、魔法制御のための思考を増やす。同時に俺が使える最高火力の魔法を組み上げる。
最後に『剛力』で筋力を上げて『天眼』で視覚を広げる。
さぁ、準備は終わった。
ラストスパ-トだ。気を抜くなよ、俺。
▼△▼
狙いを
コイツさえ倒せば後は正直どうにかできる。
なぜならオーガ達の能力が上がったのは
たかだかオーガの五匹くらいならどうとでもできる。これでもA-ランクだからな。
その瞬間凄まじい不協和音と衝撃が生まれる。
「?!!」
どうやら筋力勝負は互角みたいだ。
素っ頓狂な顔をして呆然としている。
そんな好機を見逃すはずもなく迷うことなく戦斧を振るう。刃は敵の脇腹を裂き、血と臓物、肉の破片が飛び散る。
しかし、そのままトドメをさすことはかなわない。
「ガアアッ!」
「グオオオオオッ!!」
オーガ達が連携をとり襲いかかってきたからだ。
距離が離れたのを確認して
……仕方がない。魔法が組みあがるまで時間を稼ぐしかないか。
△▼△
どれくらいたっただろうか。もしかしたら数分という短い時間かもしれない。だけど俺にとっては数時間かもしれない長い時間がたった気がした。
魔法はまだ完成しない。
あと少し。だけどこの少しが果てしなく長い。
「ガアアッ!」
「グルァッ!」
オーガ達の連携を紙一重でよけ、受け流していく。
受け流した腕がしびれる。向こうも最初のころの舐めた態度など消え去り全力で殺しに来ている。
証拠に回復魔法だけでなく元素魔法や妖術、幻覚魔法も使ってきている。
おかげさまで結構
……魔法が完成してもキチンと打てるのだろうか?
そんなことを考えていると前から火球や風刃が飛んでくる。
『状態異常耐性』のおかげで妖術や幻覚魔法による俺自身への悪影響がないのがせめてもの救いだ。
このままじゃ殺られてしまう。
仕方がない。一気に勝負をかける!
魔法はギリギリ発動するかしないかのラインだ。なんなら暴発でも構わない。
足に力をこめ、駆ける。目指すは
懐まで潜り込み、魔法を発動させる。
「
核撃魔法:
直撃すればA-ランクの魔物はおろか圧倒的格上のA+ランクの魔物も一撃で倒すことができる。
もちろんながら難易度は他の魔法と比べ凄まじいまでに跳ね上がる。
核撃魔法は一流の
しかし、あのままでは絶対に勝つことができない。ならば、1%でも勝つ確率があるならそれを実行する。
魔法は奇跡的に発動した。やはり
しかし、流石核撃魔法というべきか多少小さくなっていても圧倒的な威力を誇っている。
懐まで潜り込んでいたため避けることも、防ぐこともできずに
―――そして断末魔の声一つ上げることなく塵と化した。
▼△▼
その後はスムーズに終わった。
……あの時、
目の前にはオーガ達がドロップした3つの宝箱がある。3つのうち2つは金箱で残り一つは銀箱だ。
宝箱は鉄、銅、銀、金の4種類だ。罠があるのは鉄と銅の2つだけだ。銀と金は罠という面倒くさいものなんて考えずに済む。盗賊系の
恐れることなく箱を開ける。
銀箱からは戦斧だった。
今の使っているやつはかなりボロボロなのでちょうどよかった。
次に金箱へ手を伸ばし、開ける。
一つ目に入っていたのは全身鎧だった。磨かれた銀のような輝きを持つ鎧だ。金箱からドロップしたということは最低でも
しかし、俺の望むものではない。
最後の金箱を開ける。
そこには俺が求め、焦がれたモノ――
△▼△
いつしか
全身を鬼を模した武具をまとった冒険者についての噂だ。
曰く、いくつもの鬼を屠り、その血肉を喰らい、力を得たと。
故にその冒険者は"鬼喰い"と呼ばれた。
これで冒険者のお話はお終いです。
何かリクエストがあれば可能な限りやりますのでお願いします。