皆さん、こんにちは、もしくはこんばんは。
ヴィセント・ヴァレンタインです。
修学旅行で死んだと思ったら
おまけに転生先は最近流行りのファンタジー世界です…。
いや、……どうしてこうなった?
△▼△
俺が生まれ変わったと気づいたのは結構最近だったりする。
最初の頃は普通の子供と同じようなものだった。ただどこか何か違和感を感じるくらいだった。
その違和感は日を追うごとに大きくなっていた。
親や近くにいた大人に相談したが、小さな子供にはよくあることとして処理されてロクに解決できなかった。
しかしつい2,3年前のことだ。家の柱に頭をぶつけたことにより、俺の悩みは解消された。
あまりにもベタな展開だが、俺はそこで全てを思い出した。
かつての自分の思い出や自分の最後、そして聞こえてきた声とのやり取りもだ。
ちなみにあの声は"世界の言葉"と呼ばれるものらしい。
何らかの成長を世界が認めたときに響くものだ。
主に
最初は何かわからなかったが特に何もなかったので気にしていなかった。
しかし、この世界で初めて
あの時と同じように声が聞こえたのだ。
かなりビビっていたようで周りにいた人たちからはかなり心配された。
訳を話すと笑いながら"世界の言葉"だと説明してくれた。
話を聞いたときはかなり脱力した。
なんでかって?
そりゃあ色々と何かあるのではと勘ぐっていたのに特にも何もなかったというオチでは脱力もするだろう。
▼△▼
「おや、ヴィンセント様。どちらへ行かれるのですか?」
外へ出かけようとしていると後ろから声をかけられる。
声をかけてきたのはグリース。
この家に長く仕えてきてくれている執事で、俺はグリ爺の愛称で呼んでいる。
……正直、本当に執事か?と思うことが多々ある。
俺は今『魔力感知』という
この
そして俺達
魔物は魔素へ高い適性を持ち、魔力を宿す生物だ。その中でも上位に位置する
どれだけグリ爺がヤバいかわかっていただけただろうか?
「
「左様ですか…。…お供いたしましょうか?」
「心配するなよ。もう十五歳だぜ。そんなに心配しなくていいって。」
グリ爺は俺の返答に不服そうな顔をするが、最終的には俺の意思を尊重してくれたのだろう。「承知しました。」と言って送り出してくれた。
△▼△
吸血鬼といえば何を思い浮かべるだろうか?
血を吸い、夜闇を駆け、常人よりも強靭な肉体、生命力を持つ魔物。
そして同時に多くの弱点を持つ。
例えば銀に砕かれ、十字架に焼かれ、流れる水に拒まれ、にんにくを嫌う。
そして太陽に殺される。
しかし、これらの弱点の多くは全く関係がない無意味なものだ。
銀や十字架なんか普通に装飾品で用いられるし、激流に突っ込んでいくアホもいる。
にんにくなんて両親共々大好物だ。
――ただし太陽を除いて。
一度でも太陽の下に出たのなら出鱈目な再生能力が噓のように死んでしまう。
だから俺達は地上に繁栄を刻むことができず、地下に住んでいる。
どれだけ他種族よりも長命で、魔力、魔法適性が高く、多くの
地上へ向かう階段を上り、美しい装飾を施された大きな扉を開ける。
月と星の光はかつての記憶の中にある太陽の光よりも柔らかく俺を包み込む。
出てきたのは森の中だった。
うっかり者の
森の木々により多くの日光が防ぐことができるからだ。これにより重度の大火傷程度に抑えられる。
「綺麗だな……。」
排気ガスなんて存在しない異世界では大気汚染なんて存在しない。
故に星も月もひとつ残らず輝いている。
前世で田舎で見た夜空よりも綺麗だ。
「ガアアルルルル……!」
夜空に見とれていると後ろから獣の唸り声が聞こえた。
唸り声の元へ目を向けると黒い狼がいた。
傷だらけで一匹しかいないので群れからはぐれた個体だろう。
目の前に子供が一人。向こうからしたらさぞかし美味そうな獲物が現れてきたことだろう。
それが人間族ならば、だが。
「ガアアアアッ!!」
火事場のクソ力とでもいうのか凄まじい速度で襲い掛かってくる。
しかし、
そしてすれ違いざまに――
「
俺が今使える高火力の魔法を放つ。
深紅の粒子砲があっさりと
鉄血魔法:
シンプルなもの故に使用者の力量が大きく絡んでくる魔法で、かつてはこれ一発で城壁を吹き飛ばしてしまう者もいたらしい。残念ながら今の俺では直径30センチメートルあればいい方だ。
「まぁ、
死んだ
前世では倒すことはおろか逃げることもできない怪物を倒した。
この世界に転生してからは結構経験していることなのだが、あまり実感がわかない。
……さて、物思いに沈むのはこれくらいでいいだろう。
時間は限られているのだ。
▼△▼
夜明けまではかなり時間があるので、森の外まで出ることにしよう。
浮かれている。
証拠に鼻歌を歌いながら軽くスキップしている。
仕方がない。表に出たことは何度かあるのだが自由に動き回れるのは初めてだからな。
血はどの生物からでもいいが特に人間族の血を好んで吸う。
しかし、この世界は人間族からしたらかなり過酷だ。
この世界は
この魔素によりこの世界のファンタジー要素は支えられている。
魔物は魔素がなければ生きていけないし、魔法も使えない。
人間族はこの魔素に対し、親和性は低い。
つまり、体内に魔素を持つものは少ない。
人間族の敵である魔物は多種多様だ。
巨大なもの、実態を持たないもの、短命だが高い生殖力を持つものだったり様々だ。
そして彼らには共通する特徴を持つ。
魔素に対し高い親和性を持ち、生まれながらに魔素を持つということだ。
それにより
人間族はめったに
そんなのでは魔物に対抗することは難しい。
しかしそれで困るのは俺達
別に人間族でなくても構わないのだが、人間族の血が一番美味く相性が良いらしい。
だから
彼らは
住民はかなりの数があり、集落は他にも存在する。
当たり前だろう。
それに人間族の数が増えれば増えるほど一人一人の負担は減っていく。
現在の規模ならば僅かな量の血で安全が手に入る。
だからかなりの数が今でも移民としてやって来る。
今のところ移民制限はしていないがこれ以上増えるなら考えなければならないくらいだ。
人間族の村は森から少し離れた場所にある。
村の周りには柵で囲われており、周囲を
少ないと思うがこれで十分なのだ。
それこそ
本当に日光さえなければという種族である。
ふと空を見上げる。
先ほどと変わらず月と星は輝いている。
生まれ変わり15年たった。
記憶が戻ったのは2,3年前。
正直、生まれ変わったことについては呑み込めても受け入れていないところはあるのだ。
前世に思いをはせていることなんてしょっちゅうある。
でも、今俺が生きているのはここなのだ。
真っ暗な夜の世界。かつてとは真逆の暗闇の中、俺は其処で生きていく。
―――この後、俺はまた似たような体験をする。
と言っても2、3年後とかではなくもっと先の話なのだが……。
主人公の現在のステータスです。
名称:ヴィンセント・ヴァレンタイン
種族:
称号:なし
加護:なし
魔法:『鉄血魔法』『元素魔法』『妖術』
固有
ユニークスキル:『
『
『
エクストラスキル:『魔力感知』
コモンスキル:なし
耐性:なし
『
『
『