灰の旅路   作:ぎんしゃけ

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なんか気がついたらめちゃくちゃ伸びてるーーーー!
うわー嬉しい!いつもありがとうございます!

さて今回の話なんですけど作者は命蓮寺についてあまり知識が無いので皆さんの想像とは違った形になっていたり原作と全く違う事を言っている可能性があります。それでもいいよって方は見ていってください
それなら嫌だよって方も温かい目で見てやって下さい


第六話 初めて食べる美味いもん

ふざけた妖怪がいる

それはここ数十年でよく耳にする妖怪だった、恐怖ではなく怒りで

 

なんでも中級妖怪程度の力しかないのに毎度毎度神や陰陽師、神霊まで相手にして逃げ延びているという妖怪

 

曰く、その妖怪は全身灰色、目も髪も服すらも灰色である。そして無口で無表情。何に対しても動じず、何に対しても無頓着である

 

曰く、そいつは必ず喧嘩を売るように取るに足らないものを奪っては目の前で逃げていく

 

曰く、そいつは恐怖ではなく怒りを買っている……

他にも聞けば幾つも上がってくる異常なまでの食への執着心があるとか誰にも話したことの無い秘蔵酒が奪われたとか…

 

とても信憑性に欠けるものばかりだか噂だけをまとめれば自ずとその人物像が見えてくる

 

恐らくはある程度の力を持った状態で産まれてくる典型的な妖怪

自分の力を過信し格上相手に喧嘩を売っては馬鹿にするだけ馬鹿にして逃げていく…

取るに足らない物ばかり奪っている事から目的は物を奪うことではなく相手を怒らせてから逃走することによって得られる快楽

若い妖怪が下手に力をつけるとよくこうなる

 

昔山の若い鴉天狗がその速さに物を言わせてイタズラばかりしていたことがあった、当時は結局鬼にバレて半殺しにされて済んでいたが噂を聞く限り例の妖怪は未だ捕まったことが無いらしい

 

別にそれだけなら取るに足らない若いのがヤンチャしてるだけと失笑しているのだが問題はいつまで経ってもその噂が消えることなく逆に大きくなっている事だ。

 

中級妖怪程度の妖力量で1度もミスすることなく逃げ延びていて、それ相応の計画性と情報網を持っている…

 

欲 し い

 

私が今欲しいのは力ではない

率直に言うと人手が欲しい。ある計画…人と妖怪の楽園を作るのに当たって私だけではどう足掻いても時間が足りない、ある程度信用出来て、独自の情報網を持っている妖怪、指図め諜報員と言った所だろうか

 

そういった仕事をやらせれば私は他の事に集中出来て時間短縮が出来る

欲しい、本当に欲しい

 

思えば私はその妖怪の居場所を探すのに必死になっていた…

そして何年も探して…探して…見つけた

 

信用に関しては式にしてしまえばいい

あとは天狗になっているだろうその長っ鼻をビビらせへし折ってしまえば簡単に使える

 

私は直ぐに行動に移した

 

 

 

 

 

 

「なによ、これ…」

 

手のひらから零れ落ちていく灰を見る

まさかここまで逃げることが出来るとは思わなかった、完全に油断していた、ちょっと力をつけて良い気になっている程度の認識だったが甘かった

 

少し本気でビビらせようと思い軽く敵意をぶつけてみたが動揺するどころが顔色一つ変えずに冷静にこちらの注意を割かれて逃走された

 

調子に乗った青二才なんてレベルじゃない

本当に逃走スキルだけを見れば彼を捕まえるのは至難の業となりそうだ

でもその分式にした時の期待値は十分以上に上がった。やはり欲しい…彼を式神にすればかなり計画を早く進められるはず…そう思い噂の信憑性にやや驚いた

 

風が吹き、手に残っていた灰が宙に舞っていく

ああ確かにこれは少しイラつくな、と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこだろあの山を登ったところにあるお寺さん」

 

「ああ、有り難い六波羅蜜をお教え下さる」

 

「なんでも毘沙門天様がいらっしゃるとか」

 

 

宗教ってのは恐ろしいな

特にこういった時代の宗教はほんとに皆好きだ

 

俺は街のはずれから灰を飛ばして例のお寺について情報を探る。探ると言ってもみんながそれについて話しているので灰を飛ばしているだけだが

日常会話で宗教のお話なんて現代だったら考えられないな。これも今だけしか見れないものだ

 

まあそんなことはどうでもいい、重要なのは寺だ寺

宗教なんて所詮は金稼ぎの道具さぞいいものがあるに違いない…塩とか砂糖とか

 

この前取ってきた秘酒とやらはホントにマズかったので今回のお寺には期待しておこう

え?お寺なんだから欲を規制するために贅沢なものは無いって?バッキャロイ!あんなん適当に言ってるだけでお偉いさん達は皆美味いもん食っとるわ!

民衆を騙し、騙し取った金で自分たちは美味いもん食べるなんてけしからん!俺が直々に貰ってやろう!

 

それにしても面倒なところにあるな

長い坂を登って1つの木造建築が目に入る

 

っていうかくっさ!妖怪臭い!ここほんとにお寺か?お坊さん達がいる所だよな?なんて言うかペットショップに入った時の獣臭さの妖怪版がする

 

実はお坊さんが妖怪に食われてましたーみたくなってない?

い、一応警戒しながら倉庫?みたいなところに入ってみるか…

 

「君、そこでなにしているんだい?」

 

…ッッ!ビクゥってなった!

こ、こいつ俺の完璧な隠密を見破っただと!

ちっこい少女のくせしてやりおる…ん?

 

よく見るとその少女は灰色(というよりネズミ色)で大きなネズミのような耳を生やしていた

 

なんだネズミか同じ陰に属する者、屋根裏の守護神とさえ呼ばれているコイツらにならバレても仕方ないな

うん普通の妖怪ごときに俺の完璧な隠密がバレるわけない、こいつは例外だ

 

「いや私は何をしているのかと聞いているのだが…私の子ねずみ達が反応しないってことは人じゃないみたいだが?」

 

バレテーラ完璧にバレてらー

さあなんて言おう

 

A:強盗です

ぶち殺されそう、却下

 

B:修行僧です

うん我ながら最高の言い訳だ天才かもしれん

 

「修行僧」

 

この場所において完璧な発言だな

 

「嘘つけ君のような不誠実な修行僧がいてたまるか、早く本当の理由を言った方がいいと思うけど」

 

ば、バレテーラ

なんだコイツ覚りか!?

や、やっべぇなんて言おう…バレたら甘味強奪とかいう話じゃ無くなる

ここに来る時なんか有益な情報を聞いたっけ…あっ!

 

「毘沙門天」

 

「ん?なるほど毘沙門天様に…参拝客か、それならこっちだよ」

 

お、おお

なんか知らんがとりあえずオッケー

 

「それより君、様を付けなよ私じゃなかったら殺されているよ」

 

あっはいすいません…

というかなんで妖怪が仕切ってるんだ???

 

 

「この先にいらっしゃる人達はいずれもお偉いさんだから失礼のないようにね」

 

一応感謝の意味を込めてネズミーにお辞儀をしておく

え?言葉でやれって?やだよめんどくさい

 

「ようこそ旅の者よ今日はなにゆえこの命蓮寺に?」

 

わぉ毘沙門天様…かの武神様は女性だった

とりあえず手合わせておこありがやありがたや

 

「えっ?いや、あの私は別にそんな大層な者ではなくただの修行僧でございます」

 

違った?

 

「コンニチワ」

 

初対面の人と会話するのはやっぱし疲れる。これやんなきゃダメかな?

 

「はいこんにちわ、私は聖白蓮この命蓮寺の僧侶です。貴方は?…いえ言わなくても解ります、その佇まい…さぞ高名な僧で在られるのでしょう?既に悟りの境地にいらっしゃる」

 

何言ってるんだこいつ?

悟りの境地って何?俺が僧って…別にハゲじゃないんだが

あれなんかこの人の目怖い

 

「あらゆる煩悩を捨て去ったその貫禄…私もまだまだだと思い知らされました」

 

とりあえず適当に頷いておく

なんかもう誤解を解くのにどれほど喋らなければいけないかを考えたら誤解されてままでいいやって思ってきたし適当に頷いておこう

 

頷くってのは最強だ、なんかとりあえず頷いておけば向こうが勝手に合わせてくれる。

 

「ああやっぱり!こんなところではなんですからこちらへ!」

 

ほらな

 

とそんな茶番をしていると誰か上から降ってきた…セーラー服?

 

「何してるの聖?」

 

「村紗!良いところに来ました、今お客さんが来ているとこです」

 

「お客さん…その妖怪は参拝客?」

 

毎度思うけどなんでここの奴らには妖怪ってバレてんの?

 

「いえ、この方は恐らく私よりも高名な僧ですよ!妖の身でありながらよくここまで…さぞ厳しい修行をしてきたに違いありません」

 

「ふーん、私にはただの感情薄い奴にしか見えないけどなぁ…」

 

「こらっ失礼ですよ村紗お茶の準備をしてきて下さい」

 

「はーい」

 

なんかよく分からないけど平和的に進んでるからヨシ

うん平和は大切だよね俺も最近平和のへの字も知らないような妖怪に追いかけ回されたから身に染みて平和の有り難さを知れたよ

兎狩り?あれはノーカン

 

「失礼、旅の御方名前をお聞きしてもよろしいですか?」

 

「白墨」

 

「ありがとうございます、白墨さんで宜しいでしょうか?」

 

首を縦に振る

そう言えば妹紅にも名前を教えていたのにあいつ1度しか名前で呼ばなかったな…なんてやつだアイツ常識ないのか?

 

その後は色々質問攻めされた、何をしていたとかどうして妖怪で僧侶になろうとしたのかとか

正しく地獄であったと言えよう。これなら八雲に追い回されている時間の方がマシだった…いややっぱ嘘あれは本当に怖い表情出てたら泣き叫んでた

 

とにかくこの時間は地獄だった、もう甘味とかどうでもいいから帰らせてくれと思った…そもそも俺僧侶じゃないし…

筆談ならまだしも口を開けて喋るとか本当に苦痛

 

なんとか天才的なジェスチャーとうんという言葉を使って切り抜けたぜ…実際は何故かあっちがいい感じに勘違いしてくれただけだけど…知らない内に勘違いがどんどん大きくなっていって取り返しがつかなくなってる気がする

まあそんな地獄もやっと終わった長かった…

 

「今日は本当にありがとうございましたとても為になりました」

 

「ほんとかなぁ…っていうかこの男喋った?」

 

あー疲れた泣きそう早く帰して

俺がやっと帰れると思った矢先、聖が良いことを思いついた!といった風にこちらを見た。帰して……

 

「すいません白墨さん長い間喋っちゃって疲れましたよね?夕食食べて行きませんか?」

 

「いやだからこいつ喋って無くない?」

 

ぶっちゃけもう帰りたいけどご飯があるならもうちょっとだけ居ようかな

だってここまで大変な思いして収穫ゼロは嫌じゃん

 

「出来ましたよー」

 

しばらくして気の抜けた声が聞こえてくる

そう言えば誰かが作った物を食べるのは初めてだな。妹紅が作った物って魚に枝刺して焼いただけだし、俺もそれしかやらないし

そう考えるとちゃんと調理された料理を食べるのは前世以来か

 

「いただきます」

 

「え!?喋った?こいつ今喋った!?」

 

「村紗、食事中にうるさいですよ見なさい白墨さんを静かに丁寧に食べて…な、泣いてる!?」

 

「は?はぁ?な、なんで泣いてんの?本当に分からないやつ」

 

 

美味い美味すぎる

え?料理されたご飯ってこんなに美味しいの?やばい感動で前が見えない…

おいこの料理を作ったシェフを呼んでくれ。あっひじりんか

誰だよ修行僧とか言ったやつもう最高だよ完璧だよもう極まっちゃってるよこの人、え?俺が高名な僧?安心しろお前がナンバーワンだ

 

感動した、これが文明の力か…本当に体が震える

 

「な、なにかマズかったでしょうか…」

 

「う〜ん、聖の作ったご飯はいつもと変わらず美味しいけどなぁ…」

 

いつも!?

いつもこんな美味しいものを食べているのか!?

 

「住む」

 

「え?」

 

「え?それってここに居候するって事?」

 

俺はいつもより強くはっきりと頷く

 

「な、なんと、ここまでいってまだこの命蓮寺で修行僧として高みを目指そうと…感極まりました、是非とも命蓮寺でお努め下さい」

 

「絶対になにか解釈違いを起こしている気がする…」

 

なんか知らんが許可も貰った

これはつまり毎日聖のご飯食べていいよということだろうか、いやきっとそうに違いない

 

あんだけ美味い物が毎日…

 

たとえどんな理由でも人は食欲に逆らえない生き物だ

つまり俺はここに居候する、ご飯のために

 

 

 

 

 




ここまで読んでくださりありがとうございます!
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作品一言
実は主人公の考えと他キャラの認識の違いについて結構意識して書いている
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