もし感想について少しでも感じたことがあったらバンバン送って下さい〜
なんか感想送らない方が良いのかとか考える人がいるらしいのですが全然そんなことなくどんな感想でも飛ぶように喜んでいるのでいっぱい下さいー
トラウマ、それは恐怖の根源
理解が出来ないもの底のしれない得体のしれない不気味なものを人は本能的にまたは意識的に恐怖し、嫌悪し、突き放そうとする
要するに、理解の出来ないものを理解しようとして刺激する
だが大抵理解のできないものと言うのは人の手には負えない脅威である事が大半だ
だから元来人々は本能的に備わった危機管理能力を元に理解のできないそれを遠巻きに見るだけに留めるものだ、時たま力の持った阿呆がそれを刺激して惨事を起こすのは言うまでもないが
そう人間のほとんどは本能的に訳の分からないものから離れようと、厄介事に絡まれるのを嫌うように離れていく
かく言う俺もそのような人間の1人だ
生前というより前世、転校してきたばかりの素性のしれないソイツが虐められているのを俺は助ける訳でもなく、そそくさとその場を離れて遠目に見ているだけだった
そう!俺もただの一般人だったのだ!転校生を虐める場面を遠目に見ながら「ああ、バカなやつらだなぁ」と適当に考えるだけの一般人側の人間だったのだ!!!
話を少し戻そう
何故か昔の日本に妖怪として生を受けた俺のトラウマとはなんだろうか?
そもそも妖怪になってから恐怖なんて感じることがあっただろうか?
そりゃ自分よりも強いやつは何人もいると知っているそこまで能天気じゃあない
でも俺が逃げる事が不可能な敵は?
例えそれが悪名高い妖怪の山の四天王と言われている鬼どもからだって逃げ切れる自信がある
そう、俺は妖怪となって適当に旅を続ける上でどんな奴からも逃げ切れるという自信と逃げ切れないことなどあるはずないという謎の自尊心がそれを消し去ってしまったのだ
本来人として生きていた時に持っていた筈の理解の出来ないものを刺激しないようにとする防衛本能を
俺のトラウマ
それは間違いなく八雲紫だろう、安全だと思っていたその場所にある日突然現れて俺の力を一つ一つ嬲るようにへし折っていった。遊びのようにかるーく、まるで本気を出せばもっと早く捕まえることなんて出来た言わんばかりのたっぷりの余裕顔で
いや実際八雲が本気で俺を殺そうとしていたら最初の瞬間に一撃で殺されていただろう
それこそ逃げるなどといった行動すら起こす間もなく首チョンパだ
そこで俺は奥の手を使った、そのまま逃げれば良かった
そのまま逃げていればきっと今受けているこの尋常じゃない殺気も少しは和らいでいるはずだ
え?何をしたかって?
俺のちっぽけな自尊心が、恐怖でへし折られたプライドが、勝ちを確信してその汚れてしまったプライドを取り戻そうとしてあと何となくあの八雲の余裕顔にムカついて
あろうことか中指を立ててしまったのだ弁明の余地もないぐらいの綺麗な1本指を差し向けてしまった
分かるだろうか?やってしまったのだ俺は
バカにしていたはずの刺激する側になっていたのだ。後悔はしている反省はしていない
いや反省したら許してくれると言うのならいくらでも反省しよう
けどもう遅いのだやってしまったのだ、俺は八雲紫という超人的な意味不明の化け物に喧嘩を売ってしまったのだ
怖い
今なお暗黒微笑を浮かべながらゆっくりと歩いてくる八雲がとてつもなく怖い
無表情な俺の仮面に隠れた魂は失禁しながら涙を撒き散らし恐怖に怯え泣いている
なら、ならなぜそんな緊急事態なのにこんな事をつらつらと冒頭から話し続けているのだろうと、早く前と同じ方法で逃げてしまえと思うだろう
いやむしろここまで見た人なら分かるだろう
逃げれないのだ
八雲を見た瞬間に体を灰に崩して逃げようとした、しかしまるで初めからそんな力がなかったかのように何一つ反応しない
つまりだ死を悟っているが故の謎の冷静さ、あれだ賢者タイムってやつだ
そうだこれはきっと疲れが俺に見せる幻覚なんだ瞬きをして、目を開けたらそこは命蓮寺で俺は聖の作ったとにかく美味しいご飯を食べている
覚悟をして目を開ける
…………………………………。
うぉぉぉぉぉぉおおおおおい!
逃げろ逃げろ逃げろ早く灰になれ!絶対死ぬ!世間的に大妖怪と呼ばれる存在に中指を立てたんだぞ!捕まればヒッドイ拷問の末グズ肉にされて食べられる!イヤだァ!食べる側はいいけど食べられる側にはなりとうない!ああ、食べ物の事を考えてるいるせいでご飯が恋しくなってきた…ああ!こんなことならもっといっぱいご飯食べて来ればよかった!今になっておばちゃんのくれたおにぎりの有り難さが身に染みる
「ふふふやっぱりね、なかったでしょう?自分の奥の手を封じられるなんて」
ハッ!危ない現実逃避の末意識が空中分解する所だった
八雲がいかにも悪そうな顔でクスクスと嘲笑っている
「あなたのその力は本当に厄介だったわ。足跡どころが妖力を使った痕跡すらないのだから。いくら私でもその転移を使われてしまえば捕まえるのはほぼ不可能、ここで貴方に会えたことも久方ぶりの奇跡と言えるでしょうね」
ああ本当に大変だったわと付け加え、それから心底嬉しそうに俺の顔を見た
そんな奇跡俺は欲しくなかった…
続けて八雲の話は加速していく
「私は貴方の後を追うのは諦めその転移を使わせない方法を模索したわ、仮説になるけど貴方のそれは一種の幽体離脱のようなもの肉体から魂を取り出し、そのままどこか別の場所に新しい肉体と共に再生する…大体こんな感じかしら?タネが分かれば簡単よ、精神を、魂を閉じ込める特殊な結界で覆ってしまえば使えない、でも油断は禁物よね。万が一貴方が走って逃げてしまうことも考えて硬度の物理結界も同時に張ったのが見えるかしら?頭上に広がる青い結界の膜を。貴方はもうここから逃げることは出来ないわ」
イヤァァァァ!!!!
バレてる!バレてるよ俺の奥の手!
たった1回で!?あの一瞬の1回で弱点見破ったってのか!?正真正銘の化け物じゃないか!や、やばい!まさかこんな簡単に見破られると思わなかった
ここまで脳のスペックに差があるのは反則だろ!
「もう一度、選ばせてあげるわ今ここで私の式神になるか、それとも力ずくで式神にされるか…さぁどっちを選ぶ?前も言ったけど式神になるならそれなりの要望は通してあげるしそこまで悪い提案じゃあないと思うけど」
ヒ、ヒィッ!やっぱり選択肢もクソもねぇじゃねえかよクソ野郎!
せめてもっとマシな選択肢用意しろ!ゲームだったら誰も買ってくれないぞこんなクソゲー!
「そう…また無視ね、正解だわぁ…下手に慣れない会話をして弱みを探られるより一貫して無視を決め込む方が得策ね、貴方の心情を知りたい私に比べて貴方は私のことを知る必要なんて特にないのだから、そしてそれを実行出来るだけのポーカーフェイスも完璧、対する私は未だに貴方から情報の1つも引き出すことが出来ていない…期待以上ねぇ」
どす黒い笑み、あれだヘビが獲物を丸呑みする時多分あんな顔をする
半分以上何言ってるかわからないし、めちゃくちゃ怖いし、保ってきたプライドズタズタだしもうやだおうち帰りたい
しょぼしょぼしながら後ろを見る
素人目に見てもなんかすごいんだろうなとわかる青い結界が俺の逃げ道を塞ぐようにある
コンコンと”叩いてみる”
うん無理だ、どれぐらい無理かと言うと現代人に素手で鉄に穴を開けろと言うくらい無理だ、万が一にも俺じゃこの結界を壊せない
いやこれほんとに硬すぎないか?聖でも多分壊せないぞ
試しに本気で押し固めて作った結界を思いっきり投げてみる
うんダメだやっぱり俺の全力なんかじゃあビクともしない、チートだこんなん
コンコンの次はぺたぺたと触る…ん?
「んふふふ無駄よ、その結界は私と同じかそれ以上の妖力でも持っていない限り傷ひとつけれないわ」
「八雲」
「あら?これまで無言を貫き通してきたのに珍しいわね、やっと観念したのかしら?」
「バイバイ」
勝ちを確信し、心の中でニヤリと笑う
「ッ!」
瞬間自分の周りに煙をたき、力いっぱいに結界を殴った
ガラスの割れたような音が辺りに響き渡る
「ッ!この!待ちなさい!」
地が空が異様な眼の空間に包まれ、世界が飲み込まれかける
慎重な奴だあれだけ強力な結界を張っておきながら破られた用に作動する罠まで作っている、けど遅いあとコンマ1秒遅い
既に俺の体は半分灰に散っていく ここまで来たら俺の勝ち ここから負けはありえない
「な…んで?一体どうやって…」
八雲は有り得ない事柄を目の前に目を大きく見開いて言葉を絞り出した
無理もない、あの結界は相当な自信作だったのだろう。それこそ俺みたいななんちゃって妖怪じゃあ絶対に割れないような
勝ちだ大勝利だあの大妖怪に2度目の勝利…
«それは愚かゆえの行動、危機管理というものが大々的に欠如してしまったがゆえの過ち»
その男は未だに鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした八雲に向かって……”馬鹿にしたように下を指した”
人の根本とはそう簡単には変わらない、そう人という生き物は過ちを繰り返すのだ
ゆかりんの裏話
実はゆかりんの使っていた結界はマジモンのヤバいやつでして対山の四天王用の結界です
なんと山の四天王相手でも4秒程拘束できます
そんなものを上級妖怪に毛が生えた程度の灰くんに使うのは異常ですね
その上破られた時のことを考慮して第二策まで用意しているのを見るとゆかりんの異常性がわかります流石に本当に結界が破られるとは思っていなかったみたいですが…
それともうひとつ、灰の旅路でも何でも答えられる範囲ですが感想欄に質問とかくれると答えていくのでどしどしお待ちしています〜
それではここまで読んでくださりありがとうございました次回もよろしくお願いします〜