やはりオレが家庭教師の補佐なのは間違っている   作:チャキ

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どうもチャキです!第17話どうぞ!


第17話

八幡side

 

折本達と遊びに行った日から数日後の家庭教師の日。オレと風太郎はいつものようにあいつらの家に来ている。だが、今日はいつも違うところがある。あの二乃が参加しているのだ。オレと風太郎は目をうたがった。まさか二乃が参加してくれるとは思わなかったからだ。参加してくれるのはありがたいが、分からないところは全部オレに聞いてくる。別にいいのだが、風太郎もいるのになんでオレだけ?まぁ、いい。家庭教師に集中したいけど、やはり生徒会選挙の事も考えてしまう。一体どうしたら良いのやら。

 

一花「ねぇ、ハチマン君」

 

そんな事を考えていると一花に声をかけられる。

 

八幡「あ?なんだ?」

 

一花「なんかあった?」

 

八幡「なんでだ?」

 

一花「いや、なんか悩んでそうな顔しているからさ。もし何かあるんだったらお姉さんに話してよ」

 

お姉さんってお前それ好きだな。だがこれは話してもいい事なんだろうか。同じ学校に通っているとはいえ、この件に関してはこいつらは関係ない。

 

八幡「ありがたいがこれは部活のことなんだ。だから部外者には話せないんだ」

 

一花「そうなの?でもさハチマン君がそんな調子だと私達集中できないんだ。だから話してくれないかな?」

 

八幡「そう……言われてもな」

 

風太郎「八幡、お前が何に悩んでいるか分からないが、俺も気になってしょうがない」

 

四葉「そうですよ比企谷さん。相談だったらいつでものりますよ」

 

二乃「ねぇ、ハー君教えてくれない?」

 

四葉と二乃それに風太郎まで……。なんでそこまでして。

 

五月「比企谷君。私達に話してもらえないでしょうか。私達は比企谷君の力になりたいんです。それとも比企谷君は私達の事信用できませんか?」

 

五月のやつこんな事言う奴だったか?初めの頃だったら絶対言わなかったのにな。それに五月が言った後、全員同じ顔になっていた。どこか悲しげな表情だった。信用していない事はないのだが、話していいものか。

 

五月「安心してください。私達は他の人に話したりしませんから」

 

八幡「…………わかった。言うけど絶対他言無用で頼むぞ」

 

五月「ええ」

 

五つ子と風太郎はオレの言葉に頷き返す。それを見たオレは今回の件について話した。全員黙って聞いてくれた。時々愚痴を入れたりしたが、全部話した。

 

八幡「とまぁ、こんな感じだ」

 

風太郎「また面倒くさそうな依頼だな」

 

八幡「まったくだぜ」

 

五月「中々難しい依頼ですね」

 

四葉「ですね」

 

失礼かもしれないがホントに四葉はわかっているのか?少し心配だな。

 

一花「ハチマン君も大変だね」

 

三玖「うん、そうだね」

 

二乃「どうしたらいいのかしら。力になりたいのに全然案が浮かばない」

 

風太郎「でも、一色ってやつも、勝手に立候補させられて、それで八幡達に助けを求めたくせに『信任投票で落ちるのはやだー』とか、『すごい人に負けたいー』とか、わがまま過ぎるだろ」

 

ご尤もだ。あんなに注文されて、全て当てはまるやつなんているのだろうか。もし、そんなやつがいるとすればオレの知っている限り、雪ノ下と葉山ぐらいだろう。だがそうなるとどっちも部活をやめてもらわないとダメになってしまう。

 

一花「確かにわがままだね。でもそういう子に限って説得しやすいと思うんだ」

 

八幡「説得ね……」

 

一花「うん。そういうタイプの子を前に演じた事あるんだ。だからちょっとだけどわかるんだよね。だからその一色ちゃんっていう子がやりやすいように説得してみたらどうかな?」

 

八幡「なるほどね……」

 

一花「まぁ、これは私個人の意見だからそれで上手くいくとは言えないけど、どうかな?」

 

八幡「いや、助かったわ。参考にさせてもらうわ。ありがとな一花」

 

そう言ってオレは無意識に一花の頭に手を置いていた。

 

一花「あっ…」

 

八幡「わ、悪い!」

 

オレはすぐさま一花の頭から手をどける。

 

一花「あ、う、ううん。大丈夫だよ」

 

八幡「そ、そうか」

 

あっぶねぇ。ダメだな小町にやっているクセが出てしまった。直さないとダメだな。でないといつか通報されてもおかしくないからな。

 

二乃「むぅ…」

 

すると二乃が頬を少し膨らませていた。一体どうしたんだ?すると一花が二乃の耳元まで近づいて行った。

 

一花「二乃、もしかしてやきもち妬いているの?」

 

二乃「う、うっさいわね一花!」

 

一花「ふふっ、わかりやすい」

 

何を話しているのか分からないが、二乃は一花にからかわられている。それよりも

 

八幡「お前らありがとな。相談にのってくれて」

 

一花「どういたしまして」

 

五月「でも案を出したのは一花ですけどね」

 

八幡「それでも聞いてくれただけでも助かった。ありがとな」

 

さてと、色々考えてみるかね。

 

風太郎「よーし、勉強の続きをするぞ」

 

二乃「えっー……もういいじゃない」

 

風太郎「いいや!まだまだだ!まだ時間はあるんだ!ビシビシ行くぞ!」

 

二乃「うへぇ…参加するじゃなかった」

 

四葉「まぁまぁ二乃。一緒に頑張ろうよ」

 

二乃「えぇ…」

 

一花「ほらほら、嫌がらない嫌がらない」

 

二乃「はぁ…」

 

四葉は一緒に頑張ろうと言葉をかけ、一花は嫌がる二乃を説得していく。そしてその後も勉強は続いた。

 

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そして後日、部室にて一色もまじいて依頼の事で話しあっていた。

 

結衣「うー、どうしたらいいのかな」

 

雪乃「そうね…」

 

いろは「やっぱり難しいですか〜」

 

八幡「伸ばすな」

 

いろは「えっ〜、これが私の素ですよ〜」

 

八幡「だから伸ばすな」

 

結衣「まぁまぁ、落ち着いてヒッキー」

 

八幡「はぁ…」

 

さて、本当にどうするべきか。一色の言うすごい人に負けたいと言うのは無理がある。信任投票で落ちるのも嫌だとも言ってきやがるしな。あー、思い出しただけで胃が痛くなる。その後もまたロクな案がでず終わってしまいそれぞれ帰っていく。

 

 

さてと、オレは行動に移してしまうかね。せっかく一花達に相談にのってもらって案を出してくれたんだ、それを役立てようか。そう思いオレは一色を呼び止めた。

 

八幡「なぁ、一色」

 

いろは「なんですか〜」

 

八幡「この後時間あるか?」

 

いろは「え〜、時間ですか〜。ありますけど…はっ!まさかデート「違うから」じゃあなんですか〜」

 

オレはすぐさま一色の言葉に否定をする。

 

八幡「依頼のことで話がある」

 

いろは「え?じゃあなんでさっきの時間に話さなかったんですか?」

 

八幡「雪ノ下や由比ヶ浜がいてもいいんだが、お前個人に話しとこうと思ってな」

 

あいつらがいてもいいのだが、いると少し厄介だからこうやって一色だけに話しているんだよ。

 

いろは「はぁ…はっ!やっぱりデー「違うって言ってるだろうが」じゃあなんなんですか?」

 

八幡「ここじゃなんだから場所を変えさせてもらう。安心しろそんなに時間は取らねぇよ」

 

いろは「やっぱりデー「違う」ならそこで口説「いい加減にしろよ」あ、はい」

 

なんでそういう発想になるのかね。まぁ、確かにそう思われてもしたかないかもしれないが…やっぱりこいつといるとなんか疲れるわ。

 

そして場所を変えて学校の敷地内にあるベンチへと移動した。一色にお茶を奢り座らせる。

 

いろは「それで話しってなんでか〜?」

 

八幡「その前にその語尾を伸ばす喋り方やめてくれない?」

 

いろは「さっきも言ったじゃないですか〜。これが私の素だって」

 

八幡「あっそ……まぁ、今はそんな事どうでもいい。確かお前は会長選挙に立候補させられた理由は勝手におふざけで、だったな」

 

いろは「そうなんですよ〜。まったく困っちゃいますよね〜。でも〜私も悪目立ちするタイプだから〜」

 

八幡「さいですか。はぁ…」

 

まったく、胃がますます痛くなっているような気がする。あれかイライラしすぎってやつか?それは仕方ないだろうあれだけ注文されたらさ。まぁ、いい。

 

八幡「お前さ、それでいいのか?」

 

いろは「え?」

 

八幡「それでいいのかって聞いてるんだ。よくわからんやつに遊ばれてるんだぞ。オレだったら悔しいわ。一泡吹かせてやろうって思うな」

 

いろは「……」

 

八幡「まぁ、解決方法がいくつかある。聞くか?」

 

いろは「一応お願いします」

 

八幡「はいよ」

 

オレは咳払いをした後、続ける。

 

八幡「1つ目はお前の要望通り、すごい奴に生徒会長をしてもらう事だ」

 

いろは「はぁ…」

 

八幡「そうすれば普通の選挙みたいに投票とかあるけど、最初に推薦人の奴らは一色には投票しないし、そいつらは大爆笑だろうな。で、負けた一色の姿を見てさらに爆笑。そういうの腹立つよな」

 

いろは「……」

 

今度の一色は返事が無かったが、持っていたお茶に力を入れていた。

 

八幡「やられたらやり返さないとな。そこで2つ目は取り下げだ」

 

いろは「でも、できません」

 

八幡「みたいだな。お前の担任に言っても無理ならもっと上の存在に頼むことだ」

 

いろは「もっと上の存在…?」

 

一色はわかっていないようだ。まぁ、急にそんな事言われてもなって感じだよな。

 

八幡「それはこの学校の校長や教頭に説明して取り下げを頼むことだ」

 

いろは「あ…」

 

八幡「そうすれば取り下げてもらえるし、そんなバカな事した奴らは多少だが罰を受けるだろう。まぁ、多分停学とかだろう。それだけで済んだらいい。その後だ。もしそれで停学を食らった奴らが戻ってきたら、一色を問い詰めるだろう。チクリやがってな。それでいじめに発展してしまうかもしれない恐れがある」

 

いろは「……」

 

八幡「そうなれば1つ目の案とあまりからわなくなってしまう。そこで3つ目だ。それはお前が生徒会長を立派にこなすことだ」

 

いろは「はぁ…できたらいいですけど」

 

八幡「やる前からしくじる事を考えてたらその先に行けないぞ」

 

いろは「えっ…」

 

八幡「確かにお前はまだ1年だ。ちょっとミスを犯しすかもしれん。だがな、どんな人でも必ずミスは犯している。歴史上の人物も、今の生徒会長である城廻先輩もそうだし、先生だって必ずミスはしている。最初っからミス無くやっている人なんてそういない」

 

まぁ、例外は除くけどな。

 

いろは「ですが……なっても結局できないと思うですよね。自信がないっていうか。それに部活もあるし…」

 

確かに誰だって不安になる時があるだろう。オレだってそういう時がある。ここで軽々に判断し生徒会長になっても、無様に失敗すればブランドイメージが悪くなる。

 

八幡「まぁ、確かに両立は大変だな。でもな、1年生なら失敗しても許されることもある。能力的には1年も2年も対して変わらんのにだ」

 

言うと、一色ははっとオレの顔を見た。視線が合った事を確認して、オレはもう一押しする。

 

八幡「その上、両立させるさせるってことは、生徒会がたるいときは部活を言い訳にできる。その逆もまたしかりだ。わかるか?これはお前だけが持っているアドバンテージなんだよ」

 

いろは「で、でも、やっぱり大変は大変ですよね〜…みたいな」

 

八幡「そういう時は葉山に頼ればいい」

 

そう言うと一色は反応した。やはりこいつには葉山が有効らしい。あの折本達と出かけた時の態度から大体察した。

 

八幡「相談だけじゃなくても手伝ってもらえ。部活の後なら家まで送ってもらえるアフターケアまでついてくる」

 

いろは「……先輩ってもしかして頭いいんですか?」

 

八幡「まぁな。これでも学年3位だからな」

 

いろは「…うそ」

 

八幡「本当だ」

 

いろは「まさか葉山先輩より上?」

 

八幡「まぁなっと言ってもほぼ誤差みたいなもんだ。オレがイージーミスをすればすぐにあいつはオレより上に上るだろう。まぁ、今はそんなことは置いといて」

 

少し間を空けてから口を開く。

 

八幡「それでどうだ?やってみねぇか」

 

すると一色が、ふっと、苦笑のような微笑みのような吐息を漏らした。

 

いろは「そうですね。その提案はそれなりに魅力的ですし……。それに、クラスの子達に陰で笑われるのも嫌ですし…」

 

そこで言葉を区切ると、一色はとびきり底意地の悪そうな笑みを見せる。

 

いろは「先輩に乗せられてあげます」

 

何故だろう…不思議なことに。そっちの笑顔の方が可愛らしい、なんて思ってしまった。

 

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翌日

 

八幡「と、言う訳だ」

 

雪乃「そう」

 

八幡「ああ、だからもうあの依頼は取り消しとなった」

 

雪乃「そう、わかったわ」

 

結衣「そっかいろはちゃん生徒会長をする気になったんだ」

 

八幡「まぁな。あ、それと」

 

雪乃「何かしら?」

 

八幡「あの後も色々と案を考えてくれたんだろう。その案を無駄にしてしまって悪かったな」

 

雪乃「いいえ、それほど気にしてないわ」

 

結衣「そうだよ」

 

八幡「けどな、下手したら雪ノ下、お前、生徒会長に立候補する気だっただろ」

 

雪乃「そ、そんな訳…」

 

八幡「動揺しながら言われてもな……」

 

雪乃「黙りなさい」

 

八幡「へいへい」

 

結衣「まぁでもさ、解決できて良かったね」

 

雪乃「そうね」

 

八幡「だな」

 

これは解決なのか解消なのかわからんが、まぁ一色が本当にやる気になって良かった。もし、雪ノ下が生徒会長に立候補すれば間違いなく当選するだろう。そうなれば奉仕部はなくなってしまうだろう。そうなればいい気はしないだろう。オレは知らずのうちにここを特別な場所になっていたらしい。

 

 

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そして試験1週間前まで迫り、今日は家庭教師の日である。でも今日は少し遅れてしまい急いでマンションに向かった。そしていつも通りオートロックを通り、アイツらの部屋まで行こうとした時だった。廊下で1人の男性がうつ伏せで倒れていたのだ。それを見た瞬間オレはそれが誰なのかわかった。

 

八幡「ふ、風太郎!」

 

オレの親友の1人である風太郎が倒れていたのだ。オレはすぐさま風太郎に駆け寄り、仰向けにしながら風太郎に呼びかける。仰向けになると風太郎は目を開けていた。まさに死んだように…

 

八幡「お、おい!風太郎!風太郎大丈夫か!?」

 

そう呼びかけているとアイツらの部屋のドアが開き出てきたのは五月だった。

 

五月「どうしたんですか比企谷君、って上杉君!?一体どうしたんですか」

 

八幡「わからん、ここに来たら倒れていた」

 

五月「そんなどうして……」

 

一体何があったと言うんだ。それよりももっと呼びかけないと。

 

八幡「お、おい。風太郎!何があったんだ!?おい、しっかりしろ!風太r」

 

風太郎「すぴー」

 

そう音を鳴らしながら鼻風船ができていた。こいつ…オレがこんなに心配していたのに、死んだように寝てやがる。はぁ…なんだろう。腹がたってきたな。そう思いオレは抱き起こしている状態から手を離した。すると少し浮いていた風太郎の身体が床に落下してゴツンという音共に頭を打った。

 

風太郎「痛っ!」

 

八幡「起きたか」

 

風太郎「八幡、それに五月…。また、やってしまった。勉強に集中しすぎて気づいたら朝になっていた。しかし、朝勉は効果的と聞くし、一概に悪いとも言えないのかも…」

 

八幡「いや、もうそれ徹夜って言うと思うんだが」

 

五月「あなた達があまりにも遅いので、みんな先に始めてますよ」

 

風太郎「お、おう。今度こそお前ら全員赤点回避してもらうぞ。というわけでこれを用意した」

 

そう言って手書きで書かれた問題集の束が風太郎の手にあった。

 

うっわ……なにこれって一瞬思っちまった。

 

風太郎「今回の範囲を全てカバーした想定問題集だ。これを一通りこなせば勝機はあるはずだ」

 

五月「や、やっぱ今日の約束はなしで、お引き取りください」

 

風太郎「逃げんな!お前がこれをお引きとるんだよ」

 

いや、意味わかんねぇよ風太郎。

 

そして五月は渋々問題集を受け取る事になった。

 

五月「こんなに……!…呆れました。まさかこれが原因で徹夜したんですか?」

 

風太郎「そ、そんな事どうでもいいだろう。お前たちだけやらせてもフェアじゃない。俺がお手本になんなきゃな」

 

お手本ね……。

 

風太郎「つーか誰か逃げ出さないうちに行こうぜ」

 

五月「は、はいそうですね」

 

そんな会話をしながらリビングへと向かっていく風太郎と五月を後を追うようにオレも向かう。するとそこには……

 

二乃「三玖この手をどけなさい」

 

三玖「二乃こそ諦めて」

 

何やら二乃と三玖がテレビのリモコンで争っていた。え?なんでだ?前まではあまり喧嘩なんてしなかったのに、いつそうなってしまったんだろう。

 

二乃「はぁ?あんたが諦めなさい!」

 

三玖「諦めない」

 

二乃「今、やっているバラエティにお気にの俳優が出てるんだか」

 

三玖「ダメ、この時間はドキュメンタリー。今日の特集は見逃せない」

 

そう言って2人はテレビのチャンネル争いをしていた。すると突然テレビの電源を切った風太郎が口を開いた。

 

風太郎「勉強中は消しまーす」

 

二乃・三玖「「あっー!」」

 

すると2人は顔を一瞬見合われたと思ったら、同時にそっぽを向いた。

 

風太郎「なぁ、あの2人って仲悪かったのか?」

 

一花「うーん、どうなんだろう。二乃は前よりも変わったけれど、でも1番繊細で、まだ衝突が多いんだよね。この前もちょっとしたいざこざもあったし」

 

そうなのか。最初の頃確か料理を教える約束してような気がしたんだけど。それにしてもさすが長女だな。ちゃんと周りを見ている。

 

一花「はーい、みんな再開するよ。それじゃフータロー君、ハチマン君。これから1週間、私達の事をお願いします」

 

風太郎「ああ、リベンジマッチだ」

 

二学期期末テストまであと1週間を切った。ノルマはやはり全員赤点回避を目標だ。前みたいに騙すような事はできない。

 

 

さてと、前みたいに全員揃ったのは良いが、さっきのチャンネル争いもそうだけど、このあとも些細な事でトラブルが発生しないとは限らない。何事も無く終わればいいんだが。

 

二乃「それ、私の消しゴム」

 

三玖「借りただけ」

 

二乃「あっそ」

 

三玖「それ、私のジュース」

 

二乃「借りるだけよ。ってマズっ!」

 

うん、フラグ回収かな?

 

風太郎「アイデア募集中」

 

四葉「はい!こんな作戦はどうでしょうか?」

 

四葉が提案したのは、「みんな仲良し作戦」。慣れない勉強にイライラしている2人をいい気分にして乗せてあげたら喧嘩も収まるはず…らしい。それだけで収まるか?

 

風太郎「はっはっはっ、いやーいいねぇ!素晴らしい!2人ともいい感じだね!!なんというか、凄くいい!しっかりしてて、健康的で…、良いね。うーん…偉いッ!!!!」

 

何言ってんだこいつ?それ褒めてるつもりなのか?

 

三玖「どうしたのフータロー?」

 

二乃「気持ち悪いわね」

 

三玖「……気持ち悪いは言い過ぎ」

 

二乃「本当のことを言っただけよ」

 

三玖「だから言い過ぎだって。取り消して」

 

二乃「あれー?ってことは、あんたも少しは思ったんじゃない?」

 

余計悪化してるじゃねぇか。まったく何してんだよ。

 

風太郎「失敗…次」

 

一花「こんなのどーかな」

 

一花さんの提案は「第3の勢力作戦」。あえて厳しく当たることで、風太郎が2人の共通の敵になれば自ずと結束力が高まるはず…らしい。

 

風太郎「うーん…」

 

だが、風太郎は唸っていた。

 

一花「……どうしたの?」

 

風太郎「いや、一応それなりに頑張ってるあいつらに強く言うのは心が痛む……」

 

五月「あなたにも人の心があったのですね」

 

八幡「何気に酷いぞ」

 

でもとりあえずやってみることにした風太郎。

 

風太郎「おいおい!まだそれだけしか課題が終わってないじゃねえか!!と言っても、半人前のお前らは課題を終わらせるだけじゃ足りないけどなッ!!!……あ!違った!!半人前どころか五分の一人前だったなッ!!!」

 

うっわ、なんか生き生きしてんなあいつ。

 

二乃「言われずとももう終わるところよ。ほら!」

 

風太郎「ん?そこテスト範囲じゃないぞ」

 

二乃「あれぇ!?」

 

三玖「二乃…やるなら真面目にやって」

 

二乃「っ!」

 

あ、やばい。そろそろ二乃も限界に達するのではないだろうか。

 

二乃「ふん!こんな退屈なところで真面目にやってられないわ!部屋でやってるからほっといて!」

 

そう言って自分の部屋へも移動していく。

 

風太郎「くそ…。ワンセット無駄になっちまった……」

 

五月「弱気にならないで下さい。お手本になるんでしょう?頼りにしてますから」

 

確かに始まる前に言ってたな。まぁ、オレもこいつの補佐だからな。手伝わないとな。

 

八幡「待て、二乃。まだ始まったばかりだ。もう少し残ったらどうだ?あいつらと喧嘩するのは本意じゃないだろ」

 

風太郎「そうだ二乃。ただでさえ、お前は出遅れているんだ。4人にしっかり追いつこうぜ」

 

二乃「……うるさいわね。何も知らないくせにとやかく言われる筋合いはないわ。あんたなんかただの雇われの家庭教師。部外者よ」

 

そう言って風太郎に指を指した。……部外者か。確かにそうだな。オレも風太郎もこいつらの家庭にしたら部外者だ。オレも風太郎も偉そうな事は言えない。だがそう捉えられても仕方ないかもしれない。

 

三玖「これ、フータローが私たちのために作ってくれた。受け取って」

 

二乃「問題集作ったくらいでなんだっていうのよ。そんなの…いないわ」

 

二乃は三玖を追っ払おうとしたら、誤ってプリントに当たってしまい、その場にプリントが散らばる。二乃も少し驚いていた。多分だが、わざとでは無い事は確かだ。

 

一花「ね、ねぇ、2人とも落ち着こう」

 

風太郎「そうだお前ら…」

 

三玖「二乃、拾って」

 

そろそろ些細な喧嘩で済まなくなりそうになってきたな。何とかして落ち着かせないと、そう思っていたら二乃が散らばったプリントの内1枚を手に取ると

 

二乃「こんな紙切れに騙されてんじゃないわよ。今日だって遅刻したじゃない!こんなもの渡して………」

 

 

ビリッ!!

 

 

二乃「いい加減なのよ!!それで教えてるつもりなら大間違いだわッ!!」

 

二乃は勢いよくプリントを破いたのだ。それにより空気がさらに重たくなり、些細な喧嘩じゃ済まなくなってきた。一体どうすればいい。どうすればこいつら全員落ち着けることができる。…………あるじゃないか。取っておきの方法が。さっき、一花の案を行動した風太郎みたいに共通の敵を作ればいい。そうすればこいつらの事を落ち着けることができるかどうか分からないが、仲違いはすることは無くなる。そうと決まれば早く実行するか。

 

パシンッッ!

 

五月「二乃…謝ってください」

 

オレが発声しようとした時、何かを叩くような音が響いた。五月が二乃の頬を叩いたではないか……。まさか五月がそんなことをするとは誰も思わなかったのか、みんな固まっている。だが…

 

パシンッッ!

 

二乃「五月…!急に何を…?」

 

今度は五月にやられたように、二乃がやり返した。これは今まで見てきた生半可な喧嘩では済まされなくなった。オレが早く行動していれば……。

 

五月「この問題集は上杉君が私たちのために作ってくれたものです。決して粗末に扱っていいものではありませんでした…。彼に謝罪を…!」

 

二乃「五月…あんたいつからそんな事言うようになったわけ?まさか上杉の味方にでもなったわけ。そんな紙切れに熱くなっちゃって」

 

八幡「紙切れね……」

 

今のはさすがに聞き捨てならない。

 

二乃「な、何よ……ハー君…」

 

オレの言葉に二乃は少なからず驚いている。

 

八幡「これを見てもそんな事言えるか?」

 

でもオレはそんなの構わず下に落ちていたプリント1枚を手に取り二乃に見せる。すると二乃も気づいたようだ。

 

五月「彼はプリンターもコピー機も持っていません。本当に呆れました……全部手書きなんですよ」

 

二乃「…だ、だから何よ…」

 

五月「私たちも真剣に取り組むべきです。上杉君達に負けないように」

 

二乃「…私だって…」

 

二乃は何か言いたそうに顔になりながら一花達の方へ視線を向けている。

 

一花「二乃……」

 

三玖「いい加減受け入れて」

 

二乃「………な、何よ…みんなして…」

 

味方がいないとわかったのか、二乃が両手を握りしめて震え出した。あ、やばい…やりすぎたのではないだろうか。早く止めないと二乃がとんでもない事を言うかもしれない。

 

二乃「もういいわ!こんな家!出てってやる!」

 

……ああ…遅かった。まただ…またオレの行動が遅いからこんな事になるんだ。なんでもっと早く行動に移せないのだろうか。いや、それよりもオレだけでも中立の立場にいなければならないのに、何が補佐だ。全然できてねぇじゃねぇか。

 

風太郎「!?待て二乃!冷静になれ!」

 

五月「そうです!そんなの誰も納得しません!!」

 

二乃「もう決めたことよ!撤回する気なんてないわ!」

 

五月「に、二乃。こんなのお母さんが悲しみます。やめましょう!」

 

二乃「未練がましく母親の代わりを演じるのはやめなさいよ」

 

五月「!」

 

四葉「二乃早まらないで」

 

一花「そうそう話し合おうよ」

 

二乃「先に手を出してきたのはあっちよ。あんなドメスティックバイオレンス肉まんおばけとは一緒にいられないわ!」

 

うわぁ……すごい言葉が聞こえた。

 

五月「ド…ドメ…肉…そんなにお邪魔なようなら私が出ていきます!」

 

二乃「あっそ!勝手にすれば?」

 

そしてオレと風太郎は家に帰った。あの状況じゃあ勉強どころじゃない。それにオレと風太郎がいてもいなくても同じだからな。

 

 

そして翌日。あの後1度収まったらしいが、また喧嘩が勃発したらしい。そして二乃と五月は本当に家出してしまったという連絡をもらった。そして今は風太郎と三玖と一緒に二乃と五月を探している最中だ。そんな中風太郎が口を開く。

 

風太郎「こういうことはよくあるのか?」

 

三玖「姉妹だもん珍しくない。二乃が少し変わって少し減ったけど、やっぱり喧嘩はしてしまう」

 

風太郎「二乃が変わった?あれがか?」

 

なんか酷い言い方になっているぞ。

 

三玖「うん。ある男子と出会って変わった」

 

風太郎「ある男子?誰だそいつ」

 

多分お前の隣にいる(オレ)だ。

 

三玖「うん。その男子と出会って二乃はもっと明るくなった。家ではその子の事をばかり話してた」

 

風太郎「へぇ〜、それから?」

 

三玖「家の都合で引越しすることになって、二乃はその子と離れ離れなってしまった。その事で二乃は駄々をこねた」

 

風太郎「…そうか。それは仕方ないな」

 

三玖「でも、別れる前日にその子に告白したらしいよ」

 

まさかそこまで言うとは思わなかったぞ三玖さんや。

 

風太郎「なんだと!?」

 

八幡「うるさいぞ風太郎」

 

風太郎「わ、悪い。けどあの二乃がな……」

 

三玖「それでも…今回の喧嘩は今までと少し違う気がする。一花と四葉が説得してくれたんだけど、お互いに意地張って先に帰ったら負けみたいになってる」

 

八幡「なるほどねぇ…」

 

中々すごい喧嘩だな。でも一花と四葉は外せない用事があるらしく来れないそうだ。

 

風太郎「俺達だけで五月と二乃を探すしかないか」

 

三玖「頑張ろうフータロー、ハチマン」

 

風太郎「おう」

 

八幡「…ああ」

 

探すのはいいけど、見つけても上手く説得できるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

そして数分後……

 

 

八幡「…………お前ら体力無さすぎだろう」

 

風太郎と三玖が息切れを起こしていた。

 

風太郎「……う、うるせぇ」

 

息を整えながら言われても説得力ないな。その後、三玖が自身の顔を使って捜索することになった。五つ子ってなんて便利なんだろう。そしてすぐに二乃を見つけることができた。二乃がいた場所はホテルらしい。金持ちというのを上手く利用したな。

 

そして二乃がいる部屋へとやってきたオレ達。

 

二乃「え?な…なんであんたたち…そ、そ、そそそそそれにハー君まで……ってか鍵は…」

 

三玖「部屋に鍵を忘れたって私が言ったら開けてくれた」

 

二乃「ガバガバセキュリティ!」

 

ああ、オレもそう思う。

 

三玖「二乃昨日のことは…」

 

二乃「出てって!私たちはもう赤の他人よ!」

 

そう言って風太郎と三玖を外へと追い出しトビラを閉めようとするのを風太郎が腕を入れて阻止する。痛そうだな。

 

風太郎「二乃、どうしたんだ…?お前は誰よりもあいつらが好きなんだろう?そしてあの家も好きって話だろ?」

 

二乃「知ったような口を聞くんじゃないわよ。よりにもよってあんたが…こうなったのは全部あんたのせいよ。あんたなんて来なければ良かったのに」

 

来なければ良かったのに…か。

 

二乃自身は風太郎に言ってるかもしれないが、オレは自分にも言われているようにも聞こえる。オレと風太郎が家庭教師をしなかったら、二乃も五月も喧嘩をして家出をしなくて済んだかもしれないのにな。なんで家庭教師の仕事受けてしまったんだろうな。結局二乃を説得できないまま二乃は風太郎と三玖を追い出した。オレはというと何故か追い出されなかった。そう、オレは今二乃が使っているホテルの部屋の中にいる。

 

八幡「なんでオレを追い出さなかったんだ」

 

二乃「ハー君はいいの」

 

そう言ってスタスタと歩いて椅子に座り込む二乃。オレは良いって言われても、オレは風太郎や三玖達と同じであの部屋に戻ってきて欲しいと思っている。でもそれを知ったら二乃はどう思うのだろうか。でもだからと言ってそれを黙っている訳にもいかない。一体どうすればいいのだろうか。

 

二乃「座らないの?」

 

八幡「いや、いい。オレも風太郎や三玖と同じで説得しに来たんだ」

 

二乃「…」

 

八幡「……本当に戻る気はないのか?」

 

二乃「うん。こればっかりはハー君にどれだけ説得されても戻る気はないわ」

 

八幡「…そうか」

 

そしてオレはトビラに手をかけ二乃の方へ振り返る。

 

八幡「邪魔したな」

 

二乃「え…もう帰っちゃうの」

 

八幡「ああ」

 

二乃「……そっか……」

 

そう言ってしょぼんと悲しそうな顔になる二乃。その表情になるのはちょっとズルいのでは?だが、こればっかりはオレと風太郎の責任もある。

 

八幡「…ああ。それじゃあ」

 

そう言ってオレはホテルの部屋を出て外へ出た。外には風太郎と三玖が待ってくれていた。

 

風太郎「お、来たか」

 

三玖「ハチマン、どうだった?」

 

八幡「ダメだ。無理だった」

 

オレは首を軽く横に振りながら答える。それに三玖は「そっか」と悲しそうな顔になりながら答える。

 

八幡「……まぁ、とりあえず今日はここまでにしようぜ」

 

風太郎「だな。五月もどっかのホテルにでも泊まってるだろし」

 

八幡「だな」

 

三玖「…それが…実はあの子家に財布を忘れてる」

 

風太郎・八幡「「マジかよ…」」

 

 

 

 

 




今回はこんな感じになりましたけれど、いかがでしたか?ではまたお会いしましょう。
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