相手の動きが分かるのは普通じゃないですか? 作:雑食で節操なし
この日黒江は非番のため自隊の隊長である加古望と一緒にショピングに来ていた、そして今は丁度昼食時の為一軒のレストランに入ったところである。
「それで、何か聞きたいことがあるのかしら?」
そう切り出す加古に瞠目するも気づいていたんですかと聞き返す黒江に少しだけ笑みを覗かせて勿論と言い切った。
考えが顔に出ていると言われたみたいで少し面白くない黒江だがせっかく向こうから話題をふってくれたのだそう思い直す事にした。
実は、そう切り出した黒江は最近気になっている事を徐々に話始める。
気になる男性が居ること、その人を気付けば目で追っていること、名前を呼ばれただけで嬉しくなるのに他の女性と話していると面白くないこと等を静かにだが悲痛な面持ちで語るのだ。
最初は静かに聞いていた加古だが自分の可愛い隊員が誰かに恋している聞かされては不謹慎だが女性としてトキメカない筈がない。
(強くなることしか興味がなかったあの双葉がそうなるなんて)
そこから幾つか質問をしその全てが肯定するものだった、例えば夜もその人のことを考えてしまうだとか、ふとした時にその人のことを考えてしまうだとかだ。
「双葉よく聞いてちょうだい……あなた、その人に恋してるのよ」
そう言われてしまい目をしばたたかせるとふぇなんて少し気の抜けた声をだし顔を真っ赤にさせる黒江。
何度も小さな声で恋、私が、これが恋等と呟きぽふりと湯気でも出るのではないかというくらい首もとまで赤く染まる。
それを見て想い人を思い出したのだろうと当たりをつけた加古は眼を細めこの可愛らしい後輩を何時までも眺めていたくなったがスマートフォンがら流れてくる緊急アラームにそれを妨害される。
すわ何事かと慌てて確認すると迅が予測していた大規模侵攻が始まったとの連絡を受け急いで三門市へと赴くのだった。
現場に到着すると周りの至るところにトリオン兵が散らばり市民を襲おうとしている最中である、加古のハウンドと黒江の韋駄天により難なく対処出来た為安堵のため息が漏れる。
双葉が何時もより動きが固いのは直前に加古自らが言った恋云々のせいだろう、今でも思い出しては頭を振っている。
中学生の双葉に今すぐ切り替えろと言ったところで無駄だろう、自分の迂闊さに嫌気が差してくる。
するとそこに自隊の頼れるオペレーターである小早川から通信でボーダー本部付近にて三輪隊隊長である三輪とB級の三雲が人型近界人(ネイバー)と交戦中との連絡が入った途端双葉が持ち場を離れボーダー本部へと駆け出していた。
慌てて声をかけるもそれだけ必死なのか止まることはなく、直ぐに姿が見えなくなっていった。
そして今黒江の目の前には三輪の姿がなく三雲一人で人型ネイバーと相対しているところだった。
時は30分程遡る、烏丸と二人で千佳を含むC級の護衛をしていた修は敵の策略にはまり仲間たちと分断されていた、そして目の前で千佳をトリオンキューブへと変えられてしまったのだ。
少し前までは三輪と一緒に戦っていたのだがその三輪もまた敵により離れた場所に飛ばされ修一人で戦う事になた。
そして現在、何時もの少し困り顔で冷や汗をかいている姿からは想像が出来ないくらい全身から怒気を発し、言葉も普段とは比べものにならない程冷たい。
「何故他人の大切なものを踏みつける事ができる、命を何だと思っているんだ」
空気がピリピリとする、三雲先輩の声を聞いた瞬間背中に冷や水を入れられた時とは比べものにならない程ゾワッとした、私に向けて言った訳ではないのに。
チラリと横顔を見ると三雲先輩は生身の時と同じ火の模様が額に浮かんでいて、握りしめた弧月からはギシギシと軋む音がして赤熱化している。
面と向かって見た訳ではないが人形近界人の様子を見るに冷たい眼をしているのだろう、冷や水をかきジリジリと少しずつ後退している様から分かる。
ネイバーの男の方が声を出そうと口を開いたその瞬間だった。
ボッ!!
という空気を裂く音、三雲先輩がいつの間にか片足を前に出し反対側の腕を前方に突き出していた、弧月の専用オプショントリガー旋空による斬戟の拡張。
当たる、そう確信しただが弧月の切っ先が男の回りに浮かんだ魚に触れた瞬間パキュと音を立ててキューブ状に変化して相手の足下に転がった。
(トリオンをキューブ状にするトリガー!)
ならば三雲先輩の旋空も、同じくキューブ状態になる筈そう黒江は考えた、がその予想に反して肩を突かれて尻餅をつくハイレイン、だが相手にはトリオンが漏れ出ていない。
(弧月の先が再生した!?いやあれは違う、トリオンを無理やり流して作り直した?)
(そうか、三雲先輩は相手のトリガーがトリオンに効く事を知っているから無理やりトリオンを注ぎ込んで直ぐに再生・攻撃出来るように、ならあの赤熱化は……トリオンのオーバーフロー!!)
トリオンをキューブ状に変換しそのキューブを自身のトリオン体に還元出来るのであれば生半可な攻撃は無意味であると考えた修。
ならば自身のやるべき事は相手の足止めである、そうすればレプリカが敵の遠征船に細工を施すまでこの場に止めて置くことだと割り切りトリオン度外視の戦法に打って出たのだ。
その証拠に修の手足には無数の亀裂が入りトリオン量が枯渇気味であることを示していた。
それでも尚修は止まらない、ハイレインの肩に、足に腕、腹に顔もう既に前面で当たっていないところはないのではと思う程である、生身なら既にボッコボコのボロボロ状態だろう。
何かを喋る前に口元を突かれ満足に喋れていないハイレイン、それを唖然と見続ける女ネイバーのミラとオロオロとするしか出来ない黒江、正直に言おうカオスであると。
慌てて女のネイバーが何かをしようとしているのを黒江が察して韋駄天による奇襲を敢行しようとしたところ三雲に抱き止められ小脇に抱えられてしまった。
「おっ、修先輩!」
突然の出来事に目を白黒させ思わず名前呼びをしてしまう黒江に疑問を持ちつつも些細なことだと割り切る修。
「ごめん黒江、あの女性のネイバーはワープを使って来るから同士討ちを狙って来るかも知れない」
そう言い切りでも、僕が絶対に黒江を傷つけさせないからそう言い安心させる様に微笑む修、恋心を自覚したばかりの黒江には刺激が強すぎた。
「はっ、はひっ、わ…わかりまひた」
嬉しいような恥ずかしいようなそんなない混じりの感情のなかこのままなにもせずオンブに抱っこというのは黒江のプライドは許されない。
「私のトリオンを使って下さい、修先輩!」
せめて何か役にたちたいその一心からでた言葉である、それに対して万感の想いを乗せ感謝を伝える修。
「ありがとう黒江、隣に君が居てくれた(トリオンを補給してくれる)からまだ戦える」
そう微笑まれてしまい黒江は二度目の撃沈。
黒江の支援を受け更に加速する修、もう一度言おうカオスであると。
中学生女子を脇に抱え一人太鼓の達人状態の修、好きな男性に抱き止められた状態で手を繋ぎ嬉しさのあまりにやけるのを必死に隠そうとするも抑えきれない黒江、自分よりも年下の子供にボッコボコにされるハイレイン、何とかしようにも修にいすくめられ動けずにいるミラ。
そんな中突如と鳴り響くアラームに驚き遠征船内の仲間に確認を取ると帰還命令が実行され変更が出来ないと。
ミラが急ぎハイレインを回収しようとした時三輪の風刃による遠距離斬撃、遊真による強(ブースト)の印と射(ボルト)の印を五重に重ね掛けした遠距離射撃により物理的にボロボロにされトリオン体が解除されてしまったのと同じタイミングで修のトリガーがもボフリッと音を立てて壊れてしまった。
これ幸いと急いで逃げるハイレインたち、忘れることなく捨て台詞を吐いていく。
「今回はこれで引いてやる、顔を覚えたぞ玄界の少年」
「隊長!お早く!!」
急かす様に促すミラに続くハイレイン、だが全くカッコ良くない事に気付いているのだろうか。
その後人型ネイバーたちを早期撤退させた事により市民の被害は最小限に抑えられC級も連れ去られることなく千佳もまた連れ去られる事もなく修も入院せず、遊真はレプリカと別れずにすんだのだった。
修くん
目の前で千佳をキューブに変えられ怒りが頂点に達してしまった、その結果ハイレインを使った太鼓の達人をする事に、因みにその後黒江の様子がおかしくオロオロしていた。
黒江
自らの恋心を自覚した修とのやり取りを思い出しててはベッドでゴロゴロしている、まだ出てきていない草壁さんに負けるな恋する忍者ガール。
加古さん
勝手に持ち場を離れた黒江を叱った後何があったのかを聞いたのが運の尽き、盛大にノロケられた後ブラックコーヒーが飲みたいと呟く姿が目撃された模様。
草壁さん
未だに本編での出番が数コマしかないお方、修くんと黒江のやり取りを聞いてそれは四年前に私が通った道だと言ってのけた、それはそれとして修くんにはデートを申し込んだようだ。
旋空弧月を使った連続の突き
BLEACHの三番隊隊長の技、あのお方の場合は斬魄刀を構えるだけで何度も出来るが旋空はあくまでも斬撃の延長である為腕を伸ばして引っ込めての挙動を連続で取らなければならない。