相手の動きが分かるのは普通じゃないですか?   作:雑食で節操なし

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ランク戦開始 

大規模侵攻が終わってから数日後、正式に隊を結成した修たち玉狛第二こと三雲隊。

 

とはいえ修と遊真のWエースが場を荒らし千佳の砲撃による援護射撃である程度の点を取ることが出来る、だが三人が目指している遠征部隊には三雲隊以外にも幾つもの部隊が参加する。

 

その為行き当たりばったりな戦いを玉狛のオカンこと木崎が許す筈もなく必ず何かしらの作戦を立ててあたるべしと言われてしまった。

 

初日の間宮隊と吉里隊には千佳を温存して修と遊真の二人のみで戦う事にした。

 

その結果八点という大量得点をあげることになったのだった、そしてこれは次の諏訪隊と荒船隊の間にあった物語である。

 

この日修たちはステージ選択権を使用し市街地Cによる諏訪隊を荒船隊を乱戦に持ち込ませる作戦に決めその為の訓練をしていた。

 

そしてその中休みに来訪者がやって来た、風間と木虎に緑川と黒江の四人はまるで照らし合わせたかのように訪れたのだ。

 

そもそも今回木虎が玉狛支部を訪れた理由は自隊の隊長である嵐山がいたく修を褒め始めたのだその理由は同じ嵐山隊のスナイパーである佐鳥が大規模侵攻時の修の活躍を声を大にして話始めたからである。

 

それだけでも業腹なのに何故か自分には冷たい黒江が修には懐いていて、更に自分が足一本を犠牲にしてようやく仕留めたラービットを無傷で完勝したことが原因だった。

 

(A級としてこのまま何もしなかったら負けを認めてるようなものじゃない、そんなの認めるわけにはいかないわ)

 

(だいたいそんなに強いのならもっと堂々としてなさいよ)

 

そんな理不尽なことを思いながらズンズンと歩みを進める木虎に他の三人は見当違いの事を思っていた。

 

(そんなに三雲先輩と戦いたかったのかな木虎ちゃん)

 

その通りである、ただしそれはA級としての矜持を示す為である。

 

(まさかこの人も修先輩を狙って)

 

これもまた正しい、正しいが狙っているのは首である。

 

(ふむ、木虎も負けず嫌いだからな三雲が持ち上げられているのが気にくわないんだろう)

 

その負けず嫌いのせいで後に木虎が酷く落ち込む事を風間はまだ知らない。

 

手土産にいい所のどら焼をもらい談笑にふける玉狛支部と四人、すると風間が本来の目的である修に対してリベンジを申し込んできた。

 

ならば自分もと緑川と木虎、そして黒江もまた申し込まれ遊真はそれなら自分も戦いたいと駄々をこね始める。

 

「空閑くんはいつでも三雲くんと戦えるでしょ、今回は私たちに譲ってちょうだい」

 

木虎の言葉に賛成の意を表する緑川と黒江だが遊真もまた譲らない、それなら今自分たちは次に向けて作戦を練っているのだから賛同は出来ないと。

 

急に現れ邪魔をしている自覚があった風間たちはその言葉に詰まってしまう、がここまで来て手ぶらで帰るのも面白くない。

 

ならば折衷案で三本勝負の総当たり戦をするのはどうかとなった結果その案で決定したのだった、なお修はやるとは一言も言ってない。

 

3つある訓練室のうち一つを使い始まった総当たり戦が今始まった。

 

その結果は、修は五勝無敗、風間は使い慣れたボーダーのトリガーであった為ギリギリ遊真に勝ったが修に負けた為四勝一敗、遊真は修と風間に負け三勝二敗、黒江が二勝三敗、緑川が木虎相手に意地を見せ一勝四敗、木虎が全敗という結果だった。

 

この結果に不満を持った黒江は修や風間、遊真といった強者にアドバイスを聞きに行ったため先ほどギリギリで木虎に勝利した緑川もこれ以上黒江に離される訳にもいかないため同じようにアドバイスを聞き始めた。

 

問題は木虎である、A級としてのプライドが砕け散る程の散々な結果に部屋の隅で膝を抱え放心状態である。

 

(何よあれ、強いとは聞いていたけど強いなんて生易しいものじゃないわ、三雲君は……化物よ)

 

(旋空弧月の突きはまだ良いわ、タイミングがシビアだけど出来る人もいると思うわ、でもあれは…あの高速移動斬撃はなに?韋駄天みたいに軌道を設定してるとかじゃない)

 

(連続で動き回っていたし壁や天井に床を使って何度も方向転換してた、あんな動きが出来るものなの?)

 

捕捉であるがトリオン体は生身の肉体よりも運動性能が高く壁を蹴って駆け上がったり、壁走りをする事も出来る、だがあくまでも自らのイメージに沿った動きしか出来ないのである。

 

つまり修は生身でもこれらの動作が出来るという証左でもあるのだ。

 

膝を抱え考え込んでいる木虎が気の毒になったのか風間は声をかける事にした。

 

「何を悩んでいる、木虎」

 

風間にそう聞かれ話すべきかどうか迷ったが木虎は今まで貯まっていた不満をあらいざらい話すことを決め一つ深呼吸をすると声を荒げ一息に吐き出した。

 

「ふぅー……何なんですかあの動きは!!何で韋駄天も使わずに同等の速度を出しているんですか!しかも韋駄天より自由に動けるておかしいじゃないですか!!」

 

「私たちはA級でボーダーの精鋭が最近B級に上がったばかりの人たちにここまで一方的にやられないといけないんですか!!」

 

「嵐山さんも他の人たちも三雲君のことばかり褒める!黒江ちゃんは私には冷たいのに三雲君に懐いて!!本部でも話題に上がるのは三雲君たち玉狛第二ばかり!何でこんなに比較されなくちゃいけないんですか!!!」

 

ある程度吐き出した木虎は肩で息をしていて未だに呼吸が荒い、徐々に冷静になってきたのか風間に謝ろうと目線を向ける。

 

「ふむ……木虎、お前は俺の身長についてどう思う」

 

そう聞いてきたのだ、風間は158cmと同年代や年下と比べても低い、その事を素直に言ったとしても風間は気にしないだろう、だが目上の人に率直に小さいと伝えるのもなかなかに勇気がいる行為だろう。

 

「俺は同年代や年下と比べても小さいだろう、だがこれは俺に配られたカードでもある、戦闘において背の高さは言うまでもなく重要な役割だ」

 

「だが俺はこの身長でここまでやって来た自負がある、身長だけで勝敗は決まらないと証明してきたつもりだ」

 

「二宮もシューター一位だったのに出水に弟子入りしただろう、太刀川も忍田本部長の弟子でもあった、今木虎がやるべきはA級のプライドを捨て教えを乞うことではないのか」

 

「現に緑川も黒江も研鑽を積むために教えてもらっているぞ、俺も教えを乞うつもりだ」

 

「お前はどうする、このまま比較されっぱなしで良いのか、それともここで苦渋を飲み込んで更に飛躍するのか」

 

そこで一旦言葉を止めると真っ直ぐに木虎を見つめてきた、言葉に詰まる木虎を一瞥するとそのまま修たちの方へと歩きだした。

 

(……そうよ、私は…私たちはボーダーの精鋭、ならこんな苦渋なんて飲み込んで前に進んでやるまで)

 

修をキッと睨み付けると駆け足で駆け寄る木虎。

 

(でも侮らないでちょうだい三雲君…貴方の技術を、私のモノにして必ずアッと驚かせてみせるから)

 

木虎は悩み事が吹っ切れたのかいつもどうり自信に満ち溢れた表情で修たちの元へとやって来た。

 

それからは修の講義に皆が耳を傾け皆が一字一句逃さない様に真剣な表情をしている、そんな講義の内容はというと、呼吸で取り込んだ大量酸素を血中のどの部位に集中させるかで身体能力を大幅な強化を施すというものだった。

 

だがこの方法は長い期間の鍛練が必要である事を説明し実際にやって見せることとなった。

 

先ず始めに修自らトリオン体に複数の刺し傷を作ってトリオンが流出する様を見せる、次に宇佐美に頼みトリオン体を修復してもらうとまた同じ様に刺し傷を作った、ただし今度はその場所を意識しながら呼吸をしてである。

 

するとどうだ、先ほどとは明らかにトリオンの流出が悪くなり遂には先ほどとは比べ物にならない速さで止まってしまったのだ。

 

既に修から話を聞いていた遊真以外の四人は驚きの余り目を見開いている、その後は生身で高速移動を生身でやってのけ呼吸方の有能性を説くのだった。

 

なお修は既に玉狛支部の皆には呼吸方を教えている事が知られた為今度から風間たち四人にも教える事となったのだった。

 

 

 

そして始まったB級第二開戦、荒船隊及び諏訪隊との戦いでは終始作戦を徹底した為六点というまたもや大量得点をあげることと成った。




黒江ちゃん
何かと理由を付けて修に会いにいくも幼馴染みや先輩、更には嫌いな相手まで付いて来た為内心ふて腐れている、かわいい。
更に自分以外の者にも指導を始めたせいで本部でも二人っきりという状況にはなりにくくなった。

木虎
今まで貯めていた不満が爆発した修くんに頭を下げて教えを乞う事となった、その結果修くんの非常識な身体能力にツッコミを入れる重大なポジションを獲得した。

玉狛勢
初めに修くんの師匠と成った烏丸さんはボコボコにされ迅さんに師匠役は必要ですかと真顔で問いかけた、その後小南が修くんの相手をしてやると挑んだ結果またしてもボコボコにされ遂にはレイジさんを加えた玉狛第一総員で当たったものの完膚なきまで負けた。
小南がぐずりながら理由を聞いた結果、呼吸方法が判明、今皆で習得に励んでいる。
因みに一番習得率が高いのはレイジさんの岩の呼吸。
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