相手の動きが分かるのは普通じゃないですか?   作:雑食で節操なし

5 / 9
ランク戦 その2

今日はすんなりと起きれた何か良いことがあるかも、そんな思いと共に目を覚ました那須は歯磨きを済ませ食卓に着く。

 

朝のニュース番組のコーナーでは丁度占いをやっている、今日は今まで勝てていない鈴鳴第一と今期の台風の目である玉狛第二とのランク戦である、験担ぎでチラリとテレビに目をやる那須。

 

 ごめんなさい最下位はうさぎ座のあなた、大切なモノを奪われるかも、ラッキーアイテムは仲間です。

 

那須の機嫌が下降した瞬間だった。

 

 

その後隊室に入り最終確認を進めていく那須隊、選んだステージは河川敷。

 

「集合場所は大丈夫?茜」

 

「はい!三雲くんたちがいない側の土手です!」

 

今回の那須隊の作戦は暴風雨の中三人で合流、その後橋を渡りその橋を落とし残りの2チームを戦い合わせ、その間対岸から一方的に攻撃し漁夫の利を得るといったものだ。

 

その為に橋を落とす為のメテオラを全員装備している、後は転送後の場所がランダムというのがネックといったところだろう。

 

そして始まったランク戦第三戦、転送位置は原作と同じ位置に、だが相違点もある。それは修の強さだ。

 

原作では何時でも落とせる相手としか見られていなかった、がA級に完勝できる人物として既に広まっている為単体では戦わず必ず複数名であたるべき相手と認識されているのだ。

 

幸い今回那須隊が用意した対村上作戦は遊真や修に併用できる。

 

その強みを生かす為に誰かを適当に攻撃して意識を散らそうと動き出した那須、だがその目論見は通らなかった。

 

そもそも今回の肝はアタッカーたちにある、村上もそうだが修や遊真も上から数えた方が早い位置にいる、そんな連中をどう封じるかそれが肝心だ。

 

そして最近村上が完封されたのは諏訪隊との一戦だ、それをマネしない理由が那須隊にはない、そしてその作戦はアタッカーランキング4位の村上に通じる以上他のアタッカーにも通用すると考えるのは道理だろう。

 

その為修は橋を落とす事を敢行した、好きなモノに橋を上げるくらいの修からしたら断腸の思いだったが勝つために必要な犠牲だと割り切る事に。

 

千佳の砲撃で橋を落とした事により各々の作戦の変更を余儀なくされる、そんななか解析席に着いている太刀川は思いきった事をするなぁ三雲と内心感心していた。

 

 

 

「雨取隊員の大砲により橋が落とされてしまった!かく隊作戦の変更を余儀なくされてしまいましたが、これについてはどうお思いますか、迅さん」

 

「そうですね、西岸はアタッカー三人による三つ巴+スナイパーなんでスナイパーが鍵を握っていると思います」

 

「東岸は近距離が一人、中距離が二人、遠距離が二人なんでどれだけ三雲隊長を近付けさせないかが重要ですね」

 

「なんだ迅、三雲の事をずいぶんかってるなそんなに強いのか?」

 

「そりゃあ強いよ太刀川さん、俺も小南たちも未だに勝ててないからね」

 

迅のその言葉にへぇと短く呟くと目を細めてジッとモニターを見つめるのだった。

 

 

 

 

一方その頃ランク戦は新たな局面を迎えていた。別役と合流した来馬はこれ迄の戦いから修を相手取るには距離を保つかB級一位に君臨する二宮の様に逃げに徹するか最後に仕事をするしかないと考えていた。

 

那須を捕捉した二人は時に二人で守り、時に攻めに転じて何とか修が来る前に東岸に一人孤立している那須を落とそうと奮戦していたが、先程から射たれていたバイパーに比べて若干遅い事に気付いた別役が来馬を突き飛ばした直後爆発。

 

この試合で今まで使って来なかったバイパーとメテオラの合成弾である変化炸裂弾<トマホーク>が見事に決まり一点をもぎ取った、それに動揺して反応するのが遅れた来馬の首を修が切り落とす。

 

これにより点数は玉狛第二が二点、那須隊と鈴鳴第一が一点となる、そして修&千佳VS那須の戦いが始まる。

 

 

那須が最も得意とする建物を使って射線を切りながら変幻自在なバイパーを使い相手を誘導し、攻撃力が高いメテオラでトドメをさすという今までの戦いかたから少し手を加えた高機動戦法をとっていた。

 

対する修はというと、那須と同じく地面を蹴り或いは建物を蹴り淡々と那須を追いかけている。

 

(それならこれはどうかしら、三雲くん)

 

今までのやり取りから追いつく事を優先しているのは分かっていた、斬り落とせるバイパーなら斬りながら直進して、メテオラは避けるそれの繰り返しだった、射出されたばかりで何故区別がつくのかは分からないが不意打ちは通用しそうにない。

 

ならば相手の逃げ場をなくすまで、そうできる技量を那須は持っているしその為のトリガーであるバイパーを使った全方位射撃、所謂鳥籠は那須のオリジナルでもある。

 

その為わざわざ修の後ろまで回り込ませたバイパーも用いて文字通り前後左右上下全てを使った包囲網である、ご丁寧に空いた手にはメテオラを用意して、モニターで見ていた者たちも那須が勝ったと思っていた、但しそれは修の事をよく知らない者たちだけであった。

 

前方から飛来して来るバイパーに対して円舞で凪払い後方と左右から時間差で来ていたバイパーにはシールドを足場にして宙返りでやり過ごしながら上下から迫るバイパーを碧羅の天で切り裂く、左右と前方に来ていたバイパーに対して烈日紅鏡をもって霧散させる。

 

慌ててメテオラを放つ那須だが修は慌てず灼骨炎陽によりメテオラを切り裂く、辺りに立ち込める白煙の中から修が陽華突で突っ込んで来る、那須にはその様がスローモーションに見えた。

 

絶対首斬り落とすマンが自身を常に追いかけて来ている、それだけで恐怖で身がすくむ事だろう、だが那須の脳裏にうかんだモノはとある映画の1シーンだった。

 

砂浜の上で逃げる女性と追いかける男性、ありふれた1シーン、記憶に残るかも怪しい何気無いシーンだが那須の心をうった。

 

元来那須玲という少女は病弱である、ちょっとしたことでさえ検査入院を必要とする身体は運動をするという当たり前の行為さえも許されない。

 

そんな少女に許されたのは映画や小説といった創作物に没頭することだった、そんな毎日を過ごしていたある日一人の研究者が那須の元を訪れたのだ、その研究者はボーダーに所属しており那須の体質改善に繋がればと話を持ちかけた。

 

その結果、那須はトリオン体であれば問題なく動く事が出来るようになった、那須が好きなものにトリオン体での運動をあげる理由はそういった経緯からである。

 

いつか映画や小説のような事をしてみたい、那須の心に暗い影を落としたのは当然の帰結だったかも知れない、そしてそれは今場所こそ違うがシチュエーションは同じだった。

 

逃げる那須(女性)と追う修(男性)、そして捕まり抱き寄せられ(突かれ、建物に縫い付けられる)耳元で囁かれる同じ捕まえたとの言葉、恍惚の表情に成りそうになる顔を必死に我慢して修を見る那須。

 

そこで気付いてしまった、修が自分を見ていない事に、眼も会っているのに三雲くんは私を見ていない、私の姿が映っているのにその瞳からは先を見つめているのが分かってしまった。

 

(何故、私を見ていないのかしら、「私を…見て」

 

修に手を伸ばそうとする那須に最後の足掻きで相討ちを狙っている、そう思った修は弧月を那須から抜くとそのまま首をはねる。

 

そしてランク戦第三戦は終わりを迎えた、結果は三雲隊が六点、鈴鳴第一が一点、那須隊が一点という三雲隊の圧勝だった。

 

 

再び観戦室に戻りる、太刀川と迅の二人に意見を求めた三上、一言も喋らない太刀川を不信に思いそちらを向くと壮絶な笑みを浮かべ修を見つめていた。

 

 

余談であるが、今回のランク戦が終わり皆が離れていくなかスクッと立ち上がった黒江を見つけた木虎、最近は修の元で一緒に訓練をするなかで仲良くなっていった、意を決して声をかけることにした。

 

「黒江ちゃん久しぶり、元気にしてたかしら?」

 

短くお久しぶりですと返す黒江、三雲くんの所に行くのだろうと思いそう聞くと反ってきた答えは那須隊に行くという。

 

血を見ることになると判断した木虎は慌てて黒江の腕を捕まえると強引に修の所に引っ張っていったのだった。

 

「離して下さい!木虎さん!人のモノを盗るなと警告するだけですから!!」

 

「特大のブーメランよ黒江ちゃん、良いから三雲くんの所に行くわよ、今回の感想を言ってあげれば喜んでくれるから」

 

「このまま那須さんまで入って来られたら勝ち目が無くなるじゃないですか!」

 

「草壁さんには勝てるのかしら黒江ちゃん?」

 

「草壁さんは目じゃないです、私の方が若いので、那須さんは私より背が高くておしとやかで綺麗じゃないですか!男性はあんな女性が好きと加古さんが言ってました!!」

 

そんな会話をしながらズルズルと三雲隊室に引っ張られていく二人が目撃されたとか。




遅くなってしまい申し訳ございません。

修くん
ランク戦の際に必ず首を斬り落とす、なんなら胴体をはねた後念入りに首を斬る、付いたあだ名がネックリッパー(恐怖の首刈り男)最近烏丸から変なフェロモンが出ているのではと心配されている。

那須さん
最近気になる後輩がいる、同級生の伝手を使い動向を調べている。
あら、三雲くん最近よく会うわね。
逃げて修くんちょう逃げて。

太刀川さん
へぇアイツが風間さんのお気に入りかぁ、忍田さんに言ったら戦えるかな。


次回予告
立って修!あなたがこの勝負に勝てば三雲隊が遠征に行ける確率が上がるのよ!あんな戦闘狂に負けないで修!(なお負けない)次回決闘スタンバイ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。