相手の動きが分かるのは普通じゃないですか?   作:雑食で節操なし

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長くなってしまった。


玉狛製トリガー

ボーダー本部で行われた模擬戦が終わり小南から玉狛支部へ来いと伝えられた修、私たち玉狛第一も意見を出したんだから感謝しなさいよね、そう言われたがここではなく人が引いてから言ってほしかった。

やっと家にたどり着いた、そしてか細く帰宅を告げるとそのままベッドへとダイブ。

 

流石に疲れた、あの後周りから色々と絡まれたのだからそれは仕方がない事と言える。

 

戦闘狂二名(太刀川と米屋)に今すぐ取ってこいと絡まれ、明日玉狛に行ってすぐに本部へと来るんだろと訪ねてくる者多数、何でもない風を装いつつも明らかに目をギラつかせる風間と二宮、純粋に喜んでくれたのは嵐山と時枝そして佐鳥後は来馬といった面々のみだ。

 

年上たちに詰め寄られ精神的に疲れた。

 

何よりも一番堪えたのが黒江が上目遣いで少し瞳を潤ませ、服の袖を握り一緒に遠征には行けないんですかと声を震わせて聞いて来た時が一番しんどかった。

 

遠征部隊に選ばれるのは三雲隊の悲願である、それに参加出来なくなるなら申し訳ないがそのトリガーを受け取る事は出来ない。

 

小南に確認しても、さぁ?としか言わないのだ。

 

その言葉を受け余計に瞳を潤ませる黒江、自分が悪い訳ではないのに申し訳なさがこみ上げて来た為、明日学校帰りに行ってすぐに聞いて来るから、そう言いなんとかその場を逃れる事が出来た。

 

このまま寝てしまおうか、そう思える程には疲れている修だった。

 

 

翌日、学校が終わり空閑と千佳のチームメイトと一緒に玉狛支部へとやって来た修たち一行。

扉を開け中に入るとミカエル・クローニンが出迎えてくれた。

 

「やぁ、いらっしゃい。修専用トリガーだよね、今持ってくるからちょっと待ってて」

「わざわざありがとうございます、クローニンさん」

「作っていて楽しかったから問題ないよ」

 

そう言うといそいそと奥へと向かっていく、そのまま少しの間待たせてもらっているとクローニンがやって来た。

 

そして特性とコンセプトと伝え始める、ある程度の話していると空閑から模擬戦をしようと誘われた。

 

「こういうのは試してみないと感覚が分からんだろ、だからオレとやろう。修」

「ただ戦いたいだけだろう」

「まぁ、そうとも言うな」

 

例の3の顔で全く悪びれない空閑に文句を言いたくなるが確かに使ってみて感覚を確かめたい気持ちもある、だから空閑の誘いに乗ることにした。

 

 

 

 

「………ズルいぞ、修」

 

ジト目を向けてくる空閑と冷や汗をかく修、模擬戦結果だが空閑のストレート負け。

その為空閑は恨めしいとばかりに見つめてくるのだ。

 

さて、玉狛トリガーを受け取った修だが学校から帰って来た小南に捕まってしまっていた。

 

「さっそく戦るわよ、修!」

 

空閑との戦いを終えたばかりの修の首根っこを掴みズルズルとブースへと歩いて行く小南。

私が胸を貸してあげるわ!となかなか上機嫌である。

そんな小南に3試合までの2本先取を提案し何とか承諾を得たのだった。

 

 

ブース内で睨み会う修と小南、先に動いたのは小南だった。

 

(修に先手を取られるとそのままズルズルとやられちゃうもの、だからここは先手必勝!)

 

修もまた弧月を出して迎え撃つ、双月から繰り出される連撃を弧月1本で防いでいく修。

 

「どうしたのよ、早くアンタ専用のトリガーを使いなさい!修!!」

 

そこまで言われたのなら使わない訳にはいかない、旋空弧月で無理やり距離を取ると目の前に弧月を掲げる。

すると、ぐにょりと弧月の形が変わっていくではないか。

そして目の前に現れたのは弓であった、弧月の柄をそのまま掴と呼ばれる持ち手に、弦はスパイダーを使用しているのだろう。

その姿はまごうことなき弓である。

 

(弓?中距離なら射撃トリガーが有るのにわざわざなんで)

 

すると修が弦を引き始める、ギリギリッと音が聞こえてくる気さえしてくる。

 

ドカッ!っという音がブース内で響いた。気づけば小南の右腕は撃ち抜かれ後ろのビルにはクモの巣状の亀裂が走っている。

 

(ッッッ!見えなかった、光が走ったと思ったら腕を奪われてた。でも何であんなにも早いのよ!?)

 

だが考察に回す時間は無い、すでに修は新たな弓矢をつがえている。

慌てて修に向かって走り出す、そのついでにメテオラを撃ち出し牽制を図る。

 

(普段通りのトリガー構成ならアステロイドでしょうけど修のトリオン量であの威力とスピードが両立するとは思えないわ)

 

何か仕掛けがあるはず、そうアタリをつける小南。

 

その通りで、これは修がわざわざ弦を引いている理由でもある。

矢をつがえる修が放つ事で威力と距離にトリオンを回しスピードを自前で用意した。

その結果、スパイダーというワイヤーの張力と修の腕力による強弓が誕生したという訳だ。

 

軽やかに小南のメテオラを避け弓矢を放つ、ドカッっという音と共に今度はシールドに突き刺さる。

 

(ヤマ勘が当たって良かったわ、でもこれで弓を使える距離じゃ無くなったでしょ。この勝負私の勝ちよ修!)

 

この時、小南は二つのミスをしていた。

一つ、修の玉狛製トリガーが弓だと思い込んでいた為この弓が弧月が変化した物だと気が付かなかった事。

二つ、弓の取り扱いに関して殴っては行けないという事は無い事を知らなかった事。

 

その為この結果は必然だったのかも知れない。

弓矢射ち終えた修は弓を勢いよく振り下ろす、それも旋空弧月を発動しながら。

肩口から一直線に切り裂かれこの勝負の決着が着いた。

 

 

続く2戦目、今度は早々に距離を取りまたもや弓矢に変化させる。

一つ前回と違う点をあげるとすれば今回は修が弦を引いていないにも関わらず、いくつもの矢を放っている事だろう。

そしてその矢は小南に対してある程度ホーミングをしている。

 

(今度はハウンドを矢にしたのね、でもハウンドなら元々の攻撃力は低い、その上修が直接射っていないならシールドで防げる)

 

確かに修のトリオン量では一発一発の威力は低い、だがどんなモノでも数が重なれば脅威となるものだ。

 

様々な角度から飛来してくるハウンド、少数ならばシールドで防ぐ事や避けたり、双月でサバく事も出来ただろう。

だが今回は数が多かった上に時間差で着弾するのだ。

 

その為小南は幾つかの選択肢を迫られる事となる。

一つ目、距離を取って仕切り直す事、だがこの選択は修の追撃を許す事になる。

二つ目、フルガードで無理矢理この弾幕を突破する方法、だがこの選択の場合は小南の得物が無くなる為再び双月を発動するまでの間修の攻撃を身体能力だけで凌がなければ行けない。

三つ目、メテオラで修を牽制しつつ被害を最小限に抑える為に前面にシールドを張り前進する方法だがその場合上への対策が無くなる為少なくとも被弾してしまう事。

 

そこまでを僅かな時間の間に考えた小南だったが、修が弓を投げつけて来た事で一つ目と三つ目の選択肢を捨てた。

残ったのは二つ目のフルガードで弾幕を無理矢理突破する方法だ、お互いに得物なしの状態なら条件は一緒で後は早くトリガーを発動した方が勝つ。

 

ここで一つ説明をしよう。

ボーダーのトリガー構成では同じ側のトリガーは同時発動は出来ないが反対側のトリガーならば発動出来る。

そして今回の修のトリガー構成は、

 

  右側     左側

 

  弧月     アステロイド

  旋空     ハウンド

  メテオラ   スパイダー

  シールド   シールド 

 

である。

 

そして今回は弧月を弓にしていない、弓にしたのはメテオラである。

つまり、小南のシールドに弓が接触した瞬間爆発と共に白煙をあげる。

フルガードとはいえ集中シールドには強度の面において劣っていて、合成弾を除く汎用性トリガーの中ではアイビスと共にメテオラが一番攻撃力が高い。

だがいくら攻撃力高いといった所で修のトリオン量ではフルガードをした小南のシールドを抜けない。

 

たがもうもうと立ち込める白煙により小南の視界ほ奪われてしまう、そして視界を奪われてしまえば取れる対応は限られてくるものだ。

シールドを消して丸見えの上空に避難するか、もしくはこのまま何もせずにシールドの中で待機するか。

 

だがメテオラが爆発した事で同じ列に設定した弧月が使用できる様になった修は即座に弧月を発動、そしてそのまま旋空に繋げる。

集中シールドでも防ぐ事が出来ない修の旋空弧月をフルガードで防げる訳も無い。

そのまま修に斬られてしまい修の勝ちが決定した瞬間だった。

 

 

 

 

「お疲れ様です」

 

そう言ってやって来たのは本日のバイトを終えた烏丸だ、そんな烏丸が部屋の中に入るとそこには、小南に頭を齧られている修がいるではないか。

 

「また何かやらかしたのか?修」

 

冷や汗をかきながらも否定するも、小南は噛みついたままで遊真も修を突っついている。

 

あの後相手を変え何度も対戦したが、修の玉狛製トリガーを使った柔軟な戦い方に翻弄されなす術もなくやられまくった二人と、巻き込まれた迅はグッタリとソファにその身を預けているのだとか。

 

「修どうだったかな、新しいトリガーの使い心地は」

「クローニンさん、…そうですね、結構頭を使うと言うか一度変えたらその形なのでそこからの対応力が試されるといった感じでした」

 

そういえば修の玉狛製トリガーが出来たと言っていたなと思い出した烏丸、詳しく教えてもらおうと修とクローニンに問いかける。

 

「修のトリガーは既存のトリガーの形を変えるトリガーだよ、その分消費トリオンを低くしているけど修のトリオン量なら多くても二種が限界かな」

「二種は流石に少ないな、形を変えるだけならもっと出来そうだが」

「その分戦闘に回せるトリオンが少なくなってしまうので、どうしても回数に制限が出てしまって」

 

成る程な、そう呟く烏丸。

元々修のトリオン量はボーダーの規定では落第レベルだ、だからこそクローニンも消費トリオンを少なくかつ修の戦闘能力の向上に繋がるこの形にしたのだろう。

 

「それでなんて名前なんだ、そのトリガー」

「一応名前は決めてるんだけどね、修の好きな名前でいいよ」

「……僕にはいい名前が思い付かないので教えてもらっても良いですか?」

「そのトリガーの名前はスライムだよ、変幻自在で好きな様に姿形を変えれるからね」

「えー、あんなイヤらしいトリガーの名前がスライムってなんかダサくない?もっといい名前考えなさいよ修」

 

折角クローニンが考えた名前になんということを言うのだろうか小南先輩は、そう思い口を開こうとすると遊真と迅もまたしきりに頷いている。

数えきれない程ボコられた三人は改名を提案、そんな三人に修は。

 

「えっと人前で宣言する訳でもないですし、名前を聞いて侮ってくれるならヤリようがあると思うので」

 

そう言う修にこれから先修専用トリガーの餌食になる先輩や同僚果てには後輩に対して黙祷を捧げる烏丸だった。




修くん専用玉狛製トリガー<スライム>

トリガーの形を変えるだけのトリガー、使い手の発想力と戦闘能力に依存している。
それでも修のトリオンが少ない為回数か制限されている。
その真価はリズムを変えれる事、戦闘中に相手の得物の間合いが伸びたり形が変わったら対応に追われる事となる、そんな状態で修くんの相手をしなければならない。
また弱点として質量保存の法則が発動するため元となったトリガーよりも重くならないし、他のトリガーと混ぜ合わせる事は出来ない。


(弧月+メテオラ=爆発する弧月)
(弧月+スパイダー=切断力があるスパイダー)
は出来ない。

弧月をスパイダーの様にして細い弧月やメテオラを弧月の形にして爆発する弧月は作れる。


変形できる回数の部分を三回から二種に変更しました。
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