HERO LEGENDS   作:くろから

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興奮を求めて

ある日、オクタビオ・シルバは退屈していた。いや、彼が退屈しない日は無いに等しかった。シルバ製薬CEOの息子である彼は、人生に何の望みも持たず、命知らずのスタントを披露した動画を投稿することで、視聴者の度肝を抜くことを楽しみにしていた。

しかし彼の刺激的な生活は突然の悪意によって終わりを迎えることになる。

 

 

 

 

 

 

オクタン「ヒュー、今日も刺激的な走りだったな」

胸元に取り付けていたアクションカムに撮影された動画の出来に満足した彼は家路につく

しかし、家に向かう途中の公園の前に差し掛かった時、彼はボールを追いかける少女の行く手に迫るトラックを見た。

オクタン「おい!」

彼は少女を守ろうと個性を使用し道に飛び出した

 

個性、そう呼ばれる超能力を人口の8割が有するこの世界にて、オクタビオは『アドレナリン』の個性を持っていた。名前の通り、自由にアドレナリンを分泌することができる能力だ。

 

 爆発的な心拍数。血管の拡大。筋力の増強。動体視力の上昇。痛みと恐怖の麻痺。

 

 

ブチっ

肉のつぶれる不快な音がしたが、少女は無傷だ

オクタン「フウゥー、おいお前、車道に出るときは十分に気お付けろって学校で習わなかったのか?」

少女は何の返事もしない

オクタン「おいどうした?俺のスピードに度肝抜かれちまったか?」

少女は涙目で首を横に振ると、震える指で後ろを指さした

オクタン「おいどうした?俺の後ろにアジャイでもいるってのか?」

彼は笑いながら振り向いた

だが、何かがおかしい、後ろの景色に決定的な違和感があった

何故俺の後ろはこんなに赤いんだ?

なんで悲鳴がこんなに遠いんだ?

目の前が赤いのはなぜだ?

オクタン「おい・・・俺の足はどこに行った?」

同時に襲うのは焼けつくような痛みと途方もない喪失感、「もう俺は走れない」

オクタビオは人生で初めての恐怖の悲鳴を上げた

彼は、突然にして若き無謀な日々が終焉を迎えたことを告げられた。

 

 

数時間に及ぶ大手術のあと、彼の親友が病室に入ってきた

オクタン「なあ、イズク。イズクよぉ・・・・俺の足はもうねえんだ・・・こんな・・・退屈な人生なんて俺は・・・生きたくねえよ・・・・」

自分の限界を超えることに生涯をささげてきた彼にとって、両足の切断は死刑宣告と同義だった

オクタン「足があったとこがよ、凄え気持ち悪いんだ。何も無いとこが寒くて、痺れて、痛くて……アドレナリンを流し続けないと狂っちまいそうになる。クソッ、こんなんどうすりゃ……」

 

 

 

 握った拳でつい数時間前まであった足を叩きつける彼。しかし、中に何も存在しないシーツは、ボスンと音を立てるだけだった。彼は表情を歪ませ、顔を覆った。

 

出久「オク、義足を作ろう」

 

オクタン「義足……?」

 

出久「そうだよ! 今は個性の影響もあって色んな技術も凄いスピードで発展してる! きっと生身の足より速く走れる義足だってあるさ!」

彼の目に炎が宿った

オクタン「そうか・・・・その手があったか・・・・・義足だ!すげえ義足を作ればもっと早く!もっと激しい人生になるぜ!ありがとな!イズク!やっぱお前は頭がいいなあ!」

そうして瞬時に走行機能を回復したオクタビオは、浅薄なスタント動画の投稿に満足できなくなり、至上のアドレナリンの奔流を求めて二人の親友とヒーローになることを決めた。

これは彼らが最高のヒーローになるための物語だ




多分続かん
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