読者様には、何の影響もありませんので、これからもよろしくお願いします。
No.1.91
発令所内では、国連軍の幹部が結果を今かと待ち侘びている。
「その後の目標は、どうなっている?」
「あの爆発をまともに受けたんだ、ケリはついているだろう。」
砂嵐の映像に目を見張る幹部達。
「映像、回復します!」
オペレーターの報告で主モニターの映像が徐々に回復する。
「うおっ?!」
当たり一帯が、地獄を彷彿とさせるように一帯が火の海だった。その中に大きな影が佇んでいる。次第に鮮明になっている使徒の姿を見て驚く幹部。
「そんな」
「我々の最終手段だったんだぞ…」
立ち上がった幹部が力無く椅子へ座り込み、顔を下に落とす。
「くそっ、なんなんだ!あの化け物は!」
幹部の一人が机を叩く。
No1.92
NERVに到着したミサトとシンジを乗せた車が地下行きの貨物列車に乗り込んだ。
『ゲートが閉まります。ご注意ください』
貨物列車内でアナウンスが流れると、自動で重い扉が閉まる。
「特務機関ネルフ?」
貨物列車に乗った車内でシンジは、初めて言葉を繰り返しミサトに尋ねる。
「そ。知らないのは無理もないわ、国連直属の非公開組織だもの」
ミサトはハンドルに両手を乗せてシンジの方を振り向く。
「父のいる所ですね……」
シンジは、明らかに声が低くなる。顔も少し暗い。
「まねー。お父さんの仕事、知ってる?」
ミサトの言葉に反応してシンジはますます暗くなる。
「人類を守る大事な仕事だと、先生からは聞いてます」
貨物列車の作動準備が終わり発車のベルが鳴る。
No.1.93
使徒の殲滅作戦で、自分達の戦力が全く歯が立たず考えることをやめた国連軍の幹部達は、NERVに結果を委ねるしかなかった。
「今から本作戦の指揮権は君に移った。お手並みを見せてもらおう」
「了解です」
先程と変わらず、無表情で幹部達を見てゲンドウが答える。
「碇君、我々の所有兵器では、目標に対し有効な手段が無いことは認めよう。だが、君なら勝てるのかね?」
幹部の一人が、ゲンドウを見据えて嫌味を言う。
「そのためのNERVです」
ゲンドウは左手で眼鏡を上げると、一変して自信のある表情を覗かせる。
No.1.94
「これから父のところへ行くんですか?」
下降を続ける貨物列車の中で、シンジは足元にに視線を落とす。
「ええ、そうなるわね」
ミサトは携帯を閉じて顔を上げる。
「……父さん……」
シンジの中で、幼い頃の記憶が蘇る。母親の眠る病室が思い浮かぶ。
「あっ、そうだ。お父さんから、ID貰ってない?」
ミサトの声によって、はっと思いだしてシンジはバッグの中を漁る。
「あっはい!……どうぞ」
シンジは、クシャクシャになった紙をミサトに渡した。紙には碇ゲンドウが殴り書きした『来い!』というメッセージが書かれていた。IDカードは、その紙の端にクリップで留められている。
「ありがと。じゃ、これ読んどいてね」
そう言って、ミサトは『ようこそNERV江』というパンフレットをシンジに手渡した。
「ネルフ……」
シンジは、手渡された資料の表紙をじっと見つめる。
「父さんの仕事か…」
シンジは、小さく呟くいた。
それから、シンジは、考え込むのを止めて、ミサトに話を振った。
「なんかするんですか、僕が。……そうですよね。用が無いのに父が僕に手紙をくれるはず、無いですよね」
「そっか、苦手なのね、お父さんのこと。……あたしと同じね」
ミサトは、シンジの態度を見てその内心を察する。
「えっ?」
シンジは、意外な言葉に驚いてミサトを二度見する。
その時、暗いトンネルを抜けて貨物列車が広い明るい空間へと飛び出す。
「......すごいっ!本当にジオフロントだ!」
目の前に広がる景色を見て素直に驚いて一瞬言葉を失うシンジ。貨物列車が走る線路は、空に掛かっている橋のように高い場所から地下へと続いていた、眼下には、広大な空間が広がり、綺麗な湖や森林が見える。天井からは無数のビル郡が突き出し、採光窓からは太陽の光が差し込んでいて一帯は明るい。
「そう、これが私たちの秘密基地、ネルフ本部。世界再建の要、人類の砦となるところよ」
ミサトは窓の外に釘付けになっているシンジを見ながら説明する。
貨物列車の最終地点に到着したミサトとシンジは、エレベーターに乗って更に地下深くへと降りて行く。地下8-30を過ぎた辺りで到着のベルが鳴る。
エレベーターのドアが開くと、一人の女性が中へ乗り込んで来た。
「うっ、あらリツコ......」
ミサトは気まずい表情で白衣姿の女性に声を掛ける。
「到着予定時刻を20分もオーバー。あんまり遅いから迎えに着たわ。葛城二佐。人手もなければ、時間も無いのよ」
その女性は、毅然とした態度でミサトを責める。
「ごめんっ!」
ミサトは右手を立ててぱっと顔の前に出して、腰をかがめて彼女の機嫌を取ろうとする。
「はぁ」
仕方がないわねという風にして、肩の力を抜いて溜息を吐く白衣の女性。
「例の男の子ね」
その女性は、シンジの方を向いてそれを言う。
「そ」
ミサトはシンジの方を見ながら少し得意げにして腕を組む。
「技術局第一課・E計画担当責任者・赤木リツコ。よろしくね」
リツコは、白衣のポケットに手を入れたままシンジに自己紹介をした。
「あっ、は……はい。よろしくお願いします」
資料を読んでいたシンジは、さっと顔を上げてリツコに一礼する。
No.1.95
第1発令所のゲンドウは、小さなエレベーターに立って冬月の方を見る。
「では、後を頼む」
そう言ってゲンドウは地下へと降りていく。
「3年ぶりの対面、か……」
冬月は、感慨深い表情でゲンドウを見送った。
No.1.96
エレベーターを歩いた後3人で通路を進んでいく。そしてある扉を抜ける。
「碇シンジ君、あなたに見せたいものがあるの」
真っ暗な空間にシンジを案内したリツコは、照明のスイッチを入れた。
照明のスイッチが入ると、暗さで何も見えていなかったシンジの目の前に巨大なロボットの顔が目の前に現れる。その空間は巨大なプールに浮橋が掛けられている。ロボットは肩から上が液体から出ていた。
「う、うわぁっ!」
シンジは、ロボットの顔を見て驚く。
それを見てリツコは言う。
「人の作り出した、究極の汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。我々人類の、最後の切り札よ」