ディメンション・
そして、作中では経済特区として存在している日本の東京にある、とある高層マンションの一室にフューはいた。今日も今日とて暇を持て余した彼女は、同じELダイバーであるトキの家に上がり込んでくつろいでいたのだった。
「ト~キ~、フューはひまなんだよ~」
青まじりの銀とベージュの二色の長い髪に青と黄色のオッドアイ。顔の半分を隠すようにヴェールを斜めに掛け、黒いワンピースを着た十代半ばほどの少女である。頭からは長短一対の角が生え、服の裾から伸びるトカゲのものに似た細く長い尻尾はゆらゆらと揺れていた。
「もう、そんなに暇ならミッションでも受けたらどうですか? 一人でも受けられるものはありますよ」
「……んー? ひとりはたいくつー、なんだよ~。フューは、たいくつがきらいなのだよ~」
トキの言う通り、GBNにあるミッションはダイバーランクが低くても遊べるよう、難易度の低いものも数多く用意されている。中にはF~Eランク限定、Cランク以下限定といったミッションもあるし、ランクに関係なく受注可能な代わりに、ランダムにチーム分けされる闇鍋めいて混沌としたバトルミッションも存在している。
しかしフューはあまり乗り気ではなかった。元々バトルにはあまり積極的でないというのもあるが、彼女の専用機である『フューガーディー』はどちらかと言えば防御寄りであり、その役割はタンクに近い。
武装としてビームセイバーやフォトン・レーザー砲といったものはあるが、ソロで戦うとなると火力的には心許ない。これが別のゲーム、例えばターン制のコマンドバトル型RPGであれば、防御が高く火力の低いキャラでも回復アイテムなどを駆使してしぶとく生き残り、敵を打倒することもできるだろう。しかしGBNに、ガンプラバトルに、そんな都合の良い回復アイテムは存在しない。
一応、耐久値を即座に回復できるリペアツールこそあるものの、戦闘中には使用できない。例え戦闘中に使えたとしても回復行動を悠長に待ってくれる敵など、それこそチュートリアルミッションに出てくるNPDリーオーくらいだろう。ではバトル以外のミッション―――
こちらに背を向けてしゃがんでいるトキの背中を、ソファの肘掛けに顎を乗せた状態でぼんやりと見つめながら、つらつらと考える。
フューは後見人の二人のデータの他に、〝誰かを求める〟感情、想いを基にして生まれてきたELダイバーだ。故にこそ、いつも誰かと、親しい間柄の人と一緒にいたいと思っている。一人ぼっちは寂しいから。
「よし、確認終了! 私は今から見回りに行きますけど、フューさんはどうします?」
「……うゅ? トキが行くなら、ついてく……。ひとりはひまー、なんだよ……」
「それじゃあ、一緒にGBNの風紀を守るために頑張りましょう! えい、えい、おー!」
「……トキ、暑苦しい……」
「んなぁっ!?」
◆ ◆ ◆
◇ ◇ ◇
◆ ◆ ◆
セントラル・エリア、その総合ロビーにトキとフューはやって来ていた。平日の昼間にも関わらず、ロビーを行きかうダイバーの姿は多い。GBNはサービス開始からもうかれこれ8年近く経っているが、いまだにその人気は落ちていないということだろう。
だが人が多くなれば、それだけ風紀や秩序を乱す人間の割合も多くなる。初心者狩りは様々な対策や、システムの改善によって大幅にその数を減らしたものの、それでも初心者ダイバーを狙って詐欺行為を働く悪質なダイバーが居なくなったわけではない。だからこそ日々の見回りは大事なのだと、トキは自信満々にそう語って見せた。
「心の乱れは秩序の乱れに繋がりますからね、ハレンチすぎるのもよくないですよ」
「……はれんち……」
フューの視線は、トキの下半身―――スカート丈が短すぎてほぼほぼ露出している太ももへと注がれる。イタズラな風が吹かなくても、歩いているだけで下着が見えそうなものだが、そこはやはりGBNというべきか。歩いているときはもちろん、走っていても下着が衆目の目に晒されることはない絶対領域を備えた、鉄壁仕様だった。
とはいえ、見えるか見えないかのギリギリのラインを反復横跳びしているような丈の短いスカートである。そんなスカートを揺らしながら歩き回る姿こそ心を乱し、秩序の乱れへと繋がるのではないか? と思われそうなものだが、そのことについてトキ自身はまったくの無自覚だった。
「ん? どうしましたフューさん」
「……なんでもない、よ? はれんちは、よくない……。フューは、おぼえた」
「さすがフューさんは飲み込みが早いですね。関心関心」
「……ん」
花丸でもあげましょうか、というトキに、フューの口元が僅かに緩む。ELダイバーたちのそんな光景を目のあたりにした壁のシミたちは、無事ロビーの壁のシミになった。
「あら? そこにいるのはトキちゃんとフューちゃんじゃなーい!」
「あ、マギーさん! こんにちわ!」
「……こんにちわ、マギー」
「はーい、こんにちわ。今日は二人でどうしたの? もしかして、デートかしら?」
見回りを続けていたトキとフューの二人に声を掛けてきたのは、すらりとした長身の男性ダイバー。身長160cmほどのトキよりも、さらに背の高い彼(?)はマギー。
紫色の髪に、軽く日に焼けた肌。鍛え上げられて引き締まった肉体を大胆に前を開いたツナギのスーツで包み、その上からボレロを羽織っている。トキと同じくマナーのなっていないダイバーがいないか見回っており、時には初心者ダイバーにお勧めのミッションを紹介するなどナビゲーターのようなこともしている。
「……でぇと……」
「違いますよマギーさん! 今日はフューさんと二人での見回りなんです!」
「あら、そうなの? お姉さん早とちりしちゃったわね」
「うぃ……」
デートではないとトキが言った時、フューは胸の奥底にもやっとした何かが生じるを感じた。いましているのは見回りであって、デートではない。
しかし、それを即座に違うと言われると、なぜだかもやっとする。そのもやもやが何なのか、フューはその答えを知らない。それが何という名前なのか分からなかった。
「……後はアタシが引き継ぐから、二人で遊んて来たらどうかしら?」
「え、いいんですか!?」
「ええ。それと、これはいつも頑張っているご褒美ね♪」
「わ、チョコエッグ! ありがとうございますマギーさん! じゅるり……」
「……トキ、よだれ」
マギーから貰ったチョコエッグを前にして、早速アホ面―――だらしのない顔になっているトキをジト目で見るフュー。そんな彼女もちゃっかりチョコエッグを貰っており、尻尾が嬉しそうに揺れている。
「えっへへ、このチョコエッグ大切に食べますね! それでは!」
「……ん。マギー、ありがと……」
連れ立って歩いていくELダイバーの少女二人の背中を見送って、マギーは「これも若さ、かしらね」と頬に手をやってしみじみと呟くのだった。
―――【俺たちが】ELダイバーについて語るスレpart◆◆◆【パパとママだ】
………
……
…
78:名無しの後見人
ELダイバーと人間のカップル、いいよね・・・
79:名無しの後見人
いい
80:名無しの後見人
ビルドダイバーズのリクとサラちゃんとかいう最大手
81:名無しの後見人
まあ、ELダイバーは人間の後見人とセットみたいなところあるから、そういう仲に発展するのもおかしくはないだろうなとは
82:名無しの後見人
えっ、うん!(後見人以外といちゃついてるELダイバーを見ながら)
83:名無しの後見人
セッちゃんのことか、セッちゃんのことかぁぁぁ!!
84:名無しの後見人
ギャルスナイパーと火力の妖精の組み合わせか・・・
85:名無しの後見人
オタクにもロリにもELダイバーにも優しいギャルがいるですって?
86:名無しの後見人
モミセツはいいぞ
87:名無しの後見人
汝モミセツをすこりなさい
88:名無しの後見人
ワイ後見人はちのセツ推しだから・・・
89:名無しの後見人
ちのセツも良き。ちのちゃんにされるがままにされてるセッちゃん好き
90:名無しの後見人
ちのちゃんに吸われてるセッちゃん好き
91:名無しの後見人
セツちゃんの前でだらしねぇ顔してるちのちゃん最高に推せる
92:名無しの後見人
せやな
93:名無しの後見人
モミジさんといちゃついてるセッちゃんも好き
94:名無しの後見人
いいぞ、軽率にいちゃついていけ・・・
95:名無しの後見人
人間とELダイバーもいいけど、ELダイバーとELダイバーもね!
96:名無しの後見人
ELダイバー同士かー。なんかあったっけ?
97:名無しの後見人
フューちゃんとトキちゃん
98:名無しの後見人
フュートキキテル・・・
99:名無しの後見人
キテルネ・・・
100:名無しの後見人
真面目な委員長タイプのトキちゃんが、ちょっとえっちなフューちゃんに影響されていくんだ・・・
101:名無しの後見人
えっちなのはいけないと思いますん
102:名無しの後見人
いうてトキちゃんいまのままでもセンシティブなんだよな・・・。あの魅惑の太ももがワイを惑わせるんや・・・
103:名無しの後見人
どうしよう、お説教が一ミリも頭に入ってこない
104:名無しの後見人
草。でも、目の前であんなひらっひらのスカートが揺れてて眩しい太ももさらけ出されてたらそっちに意識向いちゃうよね
105:名無しの後見人
むしろフューちゃんがミニスカになるのでは・・・?
106:名無しの後見人
そこに気づくとは・・・やはりHENTAIか
107:名無しの後見人
トキちゃんみたいに超絶丈の短いスカートになるフューちゃんですって!?あー、ダメダメセンシティブ判定入っちゃいます!!
108:名無しの後見人
歩くセンシティブ判定はおハーブ
109:名無しの後見人
ワイ後見人、セントラルロビーで仲良く歩いているトキちゃんとフューちゃんを見て無事壁のシミになる
110:名無しの後見人
へー、デートかよ
111:名無しの後見人
俺も見たわー。なんかトキちゃん楽しそうだったな
112:名無しの後見人
妹であるフューちゃんにいいところ見せようと張り切ってたんだよ
113:名無しの後見人
我そういうの好き
114:名無しの後見人
退いてください!私がお姉ちゃんですよ!
115:名無しの後見人
ELダイバーの場合は間違ってないんだよなあ・・・
116:名無しの後見人
認識としては兄弟姉妹らしいからな
117:名無しの後見人
まあ、そのあとマギーさんにお菓子貰ってアホ面してたけど
118:名無しの後見人
言い方ぁ!
119:名無しの後見人
これはポン
120:名無しの後見人
トキちゃんらしい
121:名無しの後見人
お菓子に目がないからね、仕方ないね