二「当り前じゃない。イケメンに会えない分、テレビでイケメン成分を補給しないと」
五「あ、この俳優さんはどうですか?優しそうでカッコいいですよ」
二「分かってないわね。男はワイルドで少し危ない雰囲気の方がいいのよ」
五「ワイルドで危ない・・・・・・?」
二「えぇ、そんな肉食系のイケメンに言い寄られたいわぁ・・・・・・」
五「ワイルドで(とある男性を思い浮かべながら)危ないくて(とある男性を浮かべながら)肉食系・・・・・・?(とある男性を思い浮かべながら)」
「陶晴賢」
「陶晴賢・・・・・・!」
「陶晴賢・・・・・・?」
屋上の中心で2人、屋上のドア越しで1人、三者三様の言い方で言葉出る。
あの後、放課後まで待って彼を追うつもりが、次の授業の準備もせずに教室を去る彼に気づき、不審に思った私は急いで彼を追った。
彼は屋上への階段で不自然に辺りを見渡し、そのまま屋上へと入っていった。
屋上の真ん中で1人ニヤニヤソワソワしている彼の様子はまるで告白を待つ男子のようで、他人事ながら恥ずかしくて目を背けてしまった。
しばらく待っているとカツカツと階段を上ってくる音が聞こえて、慌てて自動販売機の陰に身を隠した。隠れる場所を想定していなく正直バレると思ったが、運よく視線がこちらに向かなかったらしい。
屋上のドアが開く音がすると「み、三玖・・・・・・!」という驚きの声が。ドアが閉まる音を確認してから物陰から出てドアの窓からコッソリ覗くと、上杉君と三玖が中央で対峙していた。
上杉君が何か話しているのを見て慌ててドアに耳を当てる。「良かっ・・・・・・れたんだ」「俺ら来年・・・・・・」「食堂で言え・・・・・・たんだけど」と、何やら話しているが離れた位置とドア越しのせいで所々が聞き取れない。
ジレンマに駆られて少しだけドアを開けようとゆっくりドアノブを回すと、「誰にも聞かれたくなかったから」と告白の導入のような台詞が聞こえて回す手が固まった。
手に汗を感じ始め、「もしかして本当に!?」と想像が先走りしたタイミングで聞こえたのが「陶晴賢」だった。
(陶晴賢?陶晴賢って歴史上の人物の?え、なんでわざわざ屋上で呼び出して陶晴賢?)
一度先走った思考を元の位置に戻すまで時間がかかった。気づくと2人は何故か意気投合した様子で会話が盛り上がっていた。主に三玖だが。
その様子も意味が分からず処理落ち寸前だったが、昼休みの終わりを告げる鐘がなり、2人がこちらに戻ってきた。慌てて階段踊り場を走り抜けて1つ下の階段手すりに背を任せると、ほぼ同時に屋上ドアが開く音が聞こえて安堵から思わず一息漏れた。
ドア越しとは違いハッキリと聞こえる2人の会話に耳を向けると、自動販売機で何かを購入する音が聞こえて「これ友好の印。飲んでみて」と三久の声が聞こえた。
友好の印。この日から三玖は彼に対して心を開き、次第に近い関係となって、いずれ恋するに至るのだろう。
(頑張って三玖。その恋は叶わないけど、その経験は貴女の成長に繋がるから)
この世界では平等な恋愛のレースでも、未来世界から来た私にとって言葉は悪いがただの出来レース。叶いもしない恋ならばここで止めておくのが正解かもしれない。
しかし、未来世界の三玖は上杉君に恋したことを後悔しておらず、自分を好きになれた大事な想い人だと笑顔で話していた。それならばきっと、この世界の三玖も乗り越えられるだろう。何はともあれ1人目の攻略を無事見守った自分へのご褒美に、帰り道で肉まんを買って帰ろうかな。
「鼻水なんて入ってないよ。なんちゃって」
三玖も可愛らしい冗談を言うのだな、なんてニヤケそうな頬を抑えながらその場を去ろうとしたが、上の会話が不自然に止まっていることに気づいた。
「あれっ、もしかしてこの逸話知らないの?」
数秒前まで機嫌良さそうだった三玖の声が少し低い声になっている。その後、不穏な沈黙が続き、先程までニヤケそうだった私の頬に冷や汗が伝う。
「そっか。頭良いって言ってたけどこんなもんなんだ」
普段の三玖からは想像できない重く低い声が聞こえた。
(いえ三玖、多分ですけど高校レベルで逸話は範囲外だと思いますよ)
雲行きが不安になり、もう少し様子を見ようと近づくと「やっぱり教わることはなさそう。バイバイ」と階段を下りる音が聞こえた為、慌てて物陰に身を隠した。
幸い、三玖はこちらに気づくことはなく教室方向へと戻り、今度こそ安堵の息をついた。
「なんか聞こえたと思ったら、ここで何してるんだよお前・・・・・・」
暗い表情をした上杉君が降りてきて私を見つける。彼からは隠れる気も誤魔化すつもりもなかったため、「貴方があまりにも不審だったので見に来たんですよ」と悪びれる様子も見せずに返答した。
「堂々とストーカー宣言かよ」
「ストーカーではなく協力者として様子を見に来ただけです!・・・・・・それで、一体どうなったんですか?」
「・・・・・・よく分からない」
「いや、よく分からないと言われましても」
「よく分からない、が」
彼はグッと拳を握り、先程までゲッソリとしていた人とは思えないような不敵な笑みを浮かべていた。
「売られた喧嘩は・・・・・・買うしかねぇだろ」
「え、ちょ、ちょっと上杉君!?」
そう言うが早いか彼は私を無視して足早に去ってしまった。普通、一応心配している私を置いてどこかに行くだろうか。彼のノーデリカシーはこの頃から既に始まっていたようだ。
「・・・・・・これからどうしよう」
協力したいところだが極力手伝わない方針を決めたからには、ここは彼に任せるのが良策だろう。しかし、私だけ未来を知っているという優越感が「手伝いたい」という欲求を押してくる。
そんな自分勝手な欲求が表に出る前にプルプルと首を振って欲求を振り払う。ふと時計を見ると、午後の授業が始まるまで数分もないことに気づき、慌てて教室へと戻った。
上旬どころか中旬に投稿することになり申し訳ありません。
あまりにも更新頻度が曖昧になってしまう時は、更新報告用のTwitterアカウントも作ろうかなって思案中です。
このペースだと完結するよりも先にごとよめ映画が上映されそうですね・・・・・・
毎週更新を目標にして、忙しくても月3くらいで更新頑張ります。
早さを優先しすぎて誤字脱字・不適切な表現にならないように気を付けますが、もし不明な点があれば遠慮なく教えていただければ幸いです。
イベント編の方が全く手を付けられない・・・・・・
父の日とか執筆できるかな・・・・・・
次回更新は6月下旬です。