五等分の花嫁~五月のお団子が美味しい御話~   作:鈴木ヒロ

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一「それにしても二乃、よくバスローブ姿でホテル内を走れたね」

二「思い出させないで。でもフー君の視線を一人占めしたのは悪くない気分だったわ」

一「誘惑しすぎて四葉と喧嘩にならないでよ?」

二「そうね。正面衝突したら運動神経の差で四葉には勝てないし・・・・・・」

三「武田信玄を学べば、いざという時の策になるはず」

二「それだわ。三玖、手を貸しなさい」

一「姉妹喧嘩に何を持ち込む気なんだろう」




リスタート①

「―――きちゃん。五月ちゃん?」

ハッと目を覚ます。すぐさま自分の身体を触り、怪我がないことに安堵した。

ゆっくりと深呼吸して気持ちを落ち着ける。

「びっくりしたぁ・・・・・・。急にどうしたの?」

声に顔を向けると横に驚いた顔の一花がいた。

「あぁ、一花・・・・・・。ごめんね心配させて」

あの後どうなったんだろうか。あの一件で旅行が台無しになってないといいが。

「ところで一花、あの後は―――」

そこまで言って違和感に気づく。一花の背景がホテルのものでも病院のものでもない。それ以前にどこか記憶にあるインテリアだ。

慌てて周囲を見渡してはじめて気づいた。

水玉模様のシンプルなカーテン、たくさんの収納スペースに惹かれて選んだ木製の棚、大きな姿見鏡、そして幼少期からお気に入りだったヒトデ型クッション。

「私の、部屋?」

ここは高校時代、姉妹と暮らしていたマンションの一室、私の部屋だった。

「だ、大丈夫五月ちゃん?変な夢でも見た?」

心配そうに見つめる一花を見つめ返す。髪型こそ変わらないが顔つきが少し幼く見える。それに着ている服装があの頃の制服だった。

「えっと一花、どうして高校の制服を着ているの・・・・・?」

脳内にはありえない想像がちらつく。昔二乃が見ていた映画に似たような展開があったが、あれはフィクションの話だ。

「えぇっと・・・・・・それは今日が学校に行く日だからなんだけど」

寝ぼけてる?と困り顔で訊ねる一花の声が遠く感じた。嫌な想像が加速する。

「今は、令和何、年?」

その問いは即答されず、間をあけて「何を言っているか分からない」といった顔で一花が答えた。

「今は平成なんだけど、そういう意味ではないのかなぁ」

レイワってなんだろう、と頬を掻く一花。その言葉に一瞬頭の中が真っ白になるが、慌ててスマホを探す。枕元にあったそれは充電ケーブルに繋がれており、置いて充電されるタイプの充電器ではなかった。

もはや確信に至っている仮説を否定し、スマホの画面を起動する。

そこには、六年前の春を示す日付が浮かんでいた。

 

「五月、今日は休んだ方がいいんじゃないの?」

二乃が朝食を片付けながら心配そうに尋ねる。その髪型は長髪のツインテールと、懐かしい記憶の頃の二乃だ。

「ありがとう二乃。でも大丈夫だよ」

あの後、混乱した頭で考え込んでいたら不審に思った他の姉妹が様子を見に来た。予想通りというか当たり前だが、他の姉妹も懐かしい制服と容姿だった。

一花が他の説明に何かを説明して、とりあえず朝食となり今に至る。

今の状況をどう整理しても、過去にいる自分を否定できない。夢かと思ったが、二乃が作ってくれたベーコンエッグはとても美味しく味覚を刺激して、とても夢の中とは思えない。

「でもあんたが朝ご飯をおかわりしないなんて異常よ」

「あはは・・・・・・そういう日だってあるよ」

流石にこの状況でたくさん食べれるほど精神は太くない。というかおかわりの有無で体調を心配されるのはどうかと思うが。

「無理しないほうがいいよ。午前は学校案内だけだし、午後から学校来るでも」

「ありがとう四葉。でも確かめたいこともあるし」

これがリアルな夢だとしても学校を休むというのは気が引ける。それに今は少しでも情報が欲しいから動けるときは動きたい。

「それよりも五月、今日は何か変」

三玖が食後の緑茶を両手で持ちながらじっと見つめてくる。

「それは私も言っているでしょ。ご飯おかわりしない五月なんて変以外ないわよ」

「そうじゃない。話し方がいつもと違うから」

言われてから初めて気づいた。高校卒業後から口調を変え始め、大学を卒業する頃には長年使っていた丁寧口調もなくなり、今ではこれが通常営業だったため完全に失念していた。

「あー、夢で昔のことを思い出してつい昔の口調になって、ましたよ?」

「なんで疑問形なのよ・・・・・・」

いざ意識すると何とも面倒な口調をしていたものだ。これは慣れるまで時間がかかりそうだ。

(まぁこの状況が夢であって、覚めてくれたら何も悩むことないんだけどなぁ)

口に運んだ熱々のウインナーの美味しさが、無情にもその仮説を否定するようだった。

 




五等分の花嫁の無人島ゲーム、とても面白いですが風太郎のボイスが途中でなくなるのが悲しかったです。でも立ち絵がちょこちょこ変わって可愛い(大事)

ようやく本編スタートです。
未来五月ちゃんの時代が令和なのかはご都合処理しました。
物語の主軸は五月ちゃんですが、なるべく他の姉妹も登場するように立ち回っていきたいと思います。

次回の更新予定は4月8日です。

※誤字報告ありがとうございます。Wordで作成してコピペして満足すると見落としが多いので気を付けたいと思います
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