深海提督は今日も後悔している様子   作:創作図書館

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『テイコウするつもりだった様子』

 

 

 

 

 

 横須賀鎮守府にある地下の懲罰房。そこにアビスは椅子に座らされた状態で鎖に縛られ監禁されていた。

 身動きを取ろうにも動けず、挙句の果てには暗い。しかし深海に慣れている事もあり、それには苦痛を感じなかった。

 

 ただ一つ言うのであれば、自由に行動できないことがなによりのストレスであり、アビスにとっての屈辱だった。

 更に言えばかれこれ一週間もこの状態を虐げられており、そのストレスはもはや絶頂寸前だった。

 

「テメェら! 何度も言うがこんなことしてタダで済むと思うんじゃねぇぞ!! 俺の可愛い可愛い深海棲艦共がテメェらを沈めに来るからなぁ!!」

 

 地下に響き渡るアビスの叫び。すると上から扉が開く音が聞こえて、誰かが降りてくるのがわかる。

 やがてそこには制服に身を包んだ提督と、秘書艦の大鳳。そして明石がアビスの前に現れた。

 

「相変わらず元気だね、深海提督さん」

 

「ハッ! テメェが明石っつう艦娘だな? それに大鳳、今回は三人掛かりでオレになにをする気だァ?」

 

「なにをするもなにも、話し合いをしに来たんですよ。そうですよね、提督」

 

「うん。でもその前に、朝食持ってきた。食べよう?」

 

「敵の施しなんざ受け入れねェ!!」

 

 トレイに載せられた朝食を持って問いかけてくる提督に、アビスは唾を吐き捨てる。

 そんなアビスに提督は小さい溜息を吐いて、大鳳に牢屋の鍵を開け、中に入れるように指示を出した。

 

「貴方は深海提督、私たちの敵。だから形だけでも牢屋に閉じ込めておかないと、いけない」

 

「形だけだァ? その言葉にどういった意味があるのかは知らねぇが、オレはなにも吐かねぇぞ!」

 

「さっき唾を吐き捨ててたけどね」

 

「それとこれは違うだろうが!」

 

「明石、あまり彼を挑発しないで。とりあえず、はい」

 

「あァ?」

 

「あーん」

 

「だからオレは敵の施しなんざッ――。んぐっ!?」

 

 提督の考えていることはわからない。故に、料理を載せたスプーンを抵抗するアビスの口の中に無理やりねじ込んだ。

 そんな提督の行動に大鳳と明石は真っ青になり、彼女たちも提督の考えがなにかなど知る由も無い状態。

 

 口の中に入れられたスプーンを抜かれると同時に、中には料理の旨味が広がる。

 美味い、それでいて初めて感じる。一瞬だけ食べようと思った所で思い留まり、アビスは吐き捨てようとする。

 

 だがその時、提督は両手でアビスの口元を塞ぎ、息がまともにできないアビスはじたばたを繰り返す。

 

「ちょっと、提督!?」

 

「さすがにそれはどうかと思います……。というか、ある意味では彼にとって拷問なのでは?」

 

「食事は大切。一週間、なにも食べてないのはダメ。だから無理やりでも、食べさせないと」

 

「~~ッ!!!」

 

「「うわぁ……」」

 

 明石と大鳳がジト目でアビスを憐れむ中、アビス本人は息苦しさに耐えられず飲み込んでしまう。

 少し満たされる空腹、それでいて抗えない美味い料理の味。アビスが飲み込んだと同時に、提督は少し微笑んで、満足そうに両手を離した。

 

「おぇ……ぐぅ……ッ!」

 

「いい子、だね。よしよし」

 

「なんだこいつッ!!!」

 

「ねぇ大鳳さん。なんで提督は敵に優しくするんだろう」

 

「なんでも、過去に色々あったみたいですよ。私も詳しい話は聞いていませんが……。とはいえ、過去のことを彼は覚えてなさそうですけど」

 

「へぇ……。まぁ提督が優しくするってことはいい人なのかな」

 

「一概には言えませんが、そうかもしれません。ですが敵勢力に変わりはありませんので、油断できません」

 

「まぁね」

 

 辱めを受けるアビスと、それを行動に移す提督を見やりながら大鳳と明石は話し合う。

 

「いい加減にしやがれ! テメェらの目的はなんだァ!? まぁ聞かずともオレを捕らえて本部に報告だのなんだのするだろうが、そうはさせねェからな!」

 

「私の、目的?」

 

「あァそうだよ! まどろっこしいのはやめて、言ってみろや!」

 

 一週間も監禁され、怒りがピークを迎えた頃。アビスは提督に目的を聞いた。

 そんなアビスの言葉に、しばらく提督は考える。そんな様子を大鳳と明石は見守る。

 

――そして。

 

 

「――私の“モノ”になってほしい」

 

 

 提督の一言に、アビス含め全員が凍り付いた。なにがどうなってそうなったのか、理解できないから特に。

 あまりの言葉に、アビスはゲッソリとした表情で顔を引きつらせながら、叫んだ。

 

「ふざけんじゃねえええええええええええええええええええええええええええええええええええッ!!!!」

 

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