深海提督は今日も後悔している様子   作:創作図書館

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『ダツゴクする予定だったはずの様子』

 

 

 

 

 

 

 懲罰房の中で、アビスは考えた。今自分が置かれている状況の整理をすることにした。

 地下室の懲罰房に幽閉、きっとこのまま居ても元帥らに引き渡され、詰んでしまう。

 

 話し合いに応じないことで、また改めると言って出て行った提督たち。そう、この状況の間にするべきことと言えばもはや選択肢は一つだけ。

 

――脱獄だ。

 

 

「ぐぬぬ……!! ぬうああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

 

 

 喉がはりさけんばかりに叫び散らして、アビスは椅子に括られながらも全身に力を入れた。

 深海棲艦以上の頑強な身体に、その力。それをもってしてもなかなか千切れない鎖。

 

 それもそのはず。なにせこの鎖は対深海棲艦用に作られた鎖であるからだ。

 例えそれが試作の段階であろうとも、効力としては深海棲艦の活動を制限、つまりは弱体化することができるのだ。

 

――だがそれ故に、アビスはこれまで出したことがないぐらいに力んで、鎖を破壊することに成功する。

 

「ッしゃああああああああああ!!!」

 

 鎖を壊したことで、力が元に戻る。アビスは両手を広げ、喜びに満ちた笑いを上げる。

 すると上から扉が開く音が聞こえ、数人の足音がこちらに向かって来る。

 

「一体何事……って、テメェ!?」

 

「天龍ちゃん待って、冷静になった方がいいわ」

 

「よォ、テメェらは確か天龍と龍田だなァ? ククク、こりゃ都合がいい。テメェらには人質になってもらうぜ!!」

 

 アビスは牢屋に手を掛け、力だけでこじ開ける。それに対して天龍と龍田は戦闘態勢に入るが、それよりも早くアビスは床を蹴り上げ加速した。

 

「「なっ!?」」

 

「地上だからって油断してんじゃねェぞ!!!」

 

 加速した上に、的確に両者の首をそれぞれの手で掴んだ。そのまま押し寄せて、壁に追いやる。

 首を掴まれた状態で持ち上げられた天龍と龍田は、その息苦しさにアビスの手を離そうとするが、一向に緩まない。

 

「本来なら此処で首をへし折ってもいいが、テメェらを人質として利用しなきゃ上に行ってもハチの巣状態……。一人だけでなく二人も人質にしてりゃあ、お仲間も手出しはできねぇよな?」

 

「なんつー速さだよ……!」

 

「けほっ! 速さだけじゃない、力も……!」

 

「いいなァ、その表情! 苦しんでる姿が絶妙に似合ってるじゃねえか」

 

 不敵な笑みを浮かべながら弱ってきた天龍と龍田に対して、自身の胸に引き寄せて首に腕を回し、固定する。

 そして成す術もなく人質となった天龍と龍田を連れて、アビスは上に続く階段を上がっていった。

 

 

「オラオラオラァ!! テメェらのお仲間はこの通り、人質にしてやったぞォ! 大人しくしてやがれ――ッ」

 

 

 意気揚々に、そして高らかに声を上げながら脱獄できるかもしれない喜びで舞い上がっているアビス。

 扉を蹴り壊し、そこに居るであろう艦娘たちに忠告するべくして声を荒げた。

 

しかし、そこには誰も居なかった。

 

「あ? 誰も居ないな。どこに行きやがった?」

 

「提督含め、艦娘たちは出撃の最中なんだよ」

 

「いや、だとしても他の艦娘たちも居るだろうが」

 

「懲罰房に続くこの場所から離れている訓練場や広場に普段は居るもの。普通じゃ此処に居ないわ」

 

「そうなのか? じゃあテメェらはなんで此処に居た?」

 

「テメェの監視を任されていたんだよ!」

 

「アハァ……! なるほど、それにしては手応えの手の字もなかったなァ?」

 

「チッ! この外道が!!」

 

 誰も居ない状況の中、監視を任されていたのにもかかわらず瞬殺された天龍と龍田を煽るアビス。

 それに対して天龍は顔を顰めながら奥歯を噛み締め、龍田は言い返す気力も無いようだ。

 

 だがここで、アビスはアホなことを言い出した。そのアホな言葉に天龍と龍田は、目を見開きなんともいえない表情で憐れむこととなる。

 

 

「じゃあよ、その提督の元へ案内しやがれ。テメェらを人質にしてることを見せつけなきゃいけないからよ!!」

 

「龍田、こいつはアホだ」

 

「えぇ、相当なアホだわ」

 

 

 

 

 

 

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