「なぜ?どうしてなの!?」
王里科学研究所ユニットリーダー、O嬢はことごとく失敗する実験結果に愕然とした。追試験を行っている各地の研究機関からも、失敗の報告しか届いていない。
ある特殊条件下で哺乳類の体細胞にハナクソを擦り付けると、未分化で多能性を有する細胞に変化する事を彼女は発見した。彼女はこうして出来た万能細胞を、STEP細胞(Stimulus-Triggered Eroero of Pluripotency cells)と名付けた。それはまさに今までの常識を覆し、新しい生物学の時代を拓く、大きなSTEPのはずだった。
今年の1月。何年も何度もボツを食らっていたSTEP細胞についての論文がついに権威あるネイチャー誌に掲載された。その輝かしい成果を彼女は記者会見で大々的に発表した。たちまち彼女は時代の寵児となった。ボンテージにエプロン姿で実験をする彼女のファッション性も大いに注目された。頭の良さだけではない、彼女はルックスもとても魅力的だ。多くの人が「彼女に、天は二物を与えた」と思った。
あの発表から、未だ三月も経っていない。今までは200回以上、生成に成功していた。しかし、ある日を境にぱったりと成功しなくなってしまった。今までの成功は全て夢かまぼろしだったというのか?
「いや、そんなはずはない、そんなはずはない。。。」
彼女は何度もひとりごとを繰り返した。
その頃。天にて。
【バグ報告書】
発見日 2014年1月28日
報告者 ポーリーヌエル
不具合内容 細胞にハナクソを付けると突然変異を起こす
修正内容 ハナクソを付けても変わらないよう修正した
修正確認日 2014年4月1日
神様はその書類の最終確認欄にハンコを押した。これでバグ対応の作業は無事、完了だ。一仕事を終えた天使たちが囁き合っている。
天使一同「おつかれさまーーーー!」
天使A「それにしても神様、やっちゃったよねー」
天使B「アミバが経絡秘孔を発見した時以来の大失態だな」
天使C「指で突いたら人体が破裂する、あのバグか。あれは酷かった」
天使D「全部リコールだと言って、神様、メギドの火で人類を滅亡させる一歩手前だったからな」
天使A「神様を思い留めさせるのに苦労したなぁ」
天使一同 「うん、うん」
天使C「あれは後に下界の漫画家に啓示して、フィクションとして世に出したんだよね。」
天使A「あのバグ面白すぎるから、埋もれさせるのは勿体無いw」
天使B「それにしてもOタン、デラカワイソ杉」
天使A「きっとインチキ扱いされるんだろうなぁ」
天使D「先日、難聴のバグをこっそり直した時も下界では一悶着あったみたいだしねー」
天使A「難聴が自然回復することは考えられない、とか専門家に言われちゃったよね」
天使B「オッサンはどうでもいいw」
天使一同 「ひでーwww」
全ては主の御意のままに。