今回は長引かせるのもあれなので先生のパーティーを一挙紹介です。あ、お嬢様の疑問もあるよ!
背景、父さん母さん。
如何お過ごしでしょうか、息子のリョウです。
色々と支えになってくれた両親には感謝してもしきれません。
今、自分は…
「ラルトスちゃん可愛いです~」
「らる~♪」
お嬢様のリリィの教師をしていて、最初のポケモンとしてラルトスをプレゼントしたところです。
その結果俺は無視されてラルトスに夢中になっております。
リッターが俺の肩に手を置く。
布みたいな手は労るような視線と同じくらい優しかった。
「──」
「やめろ、俺をそんな目で見るな。俺は哀れなんじゃないぞ。
寧ろ微笑ましいものを見てるんだ、そう、断じてありがとうの言葉を貰いたいなぁとか子供っぽいことは思ってないんだ」
「──」
「その『あーうんうん、そういうことにしておいてあげるから涙拭けよ』みたいな目をやめろぉ!?」
くそぅ…この剣盾野郎…野郎?まあ野郎でいいや。
こまけぇこたぁいいんだよ!
あのラルトスはメスなので、ゆくゆくは…というやつだ。
リリィさんに出していた課題も…うん、終わってるな。
『何故シビルドンは浮いてるのですか?普通浮きませんよね?』
課題を出し、解答の下に丁寧な字で書いてある疑問に思わず声に出しそうになる。
知らねぇよぉ!!
シビルドンが浮いてる理由なんて特性だからだよ!
それ以上なんかあるのか!?あれだよ、でんじふゆうの凄い版だろ!ええい、ポケモン研究所とか図鑑に載ってないか!?
乗ってねぇ!
何てこった、こいつ海がどうとか吸盤がどうとかしか乗ってねぇ!
改めて見ると怖いなお前!
シビルドンが浮いている理由……分からん。
分からないが、ギアル達が浮いてるみたいに、磁力で浮いてるんじゃ?特性のふゆうもあるし、きっとそうだ。
うん、そういうことにしておこう…これは触れちゃいけない…!
「見てください、先生!ラルトスちゃんの可愛らしい笑顔!」
「いやまあ、可愛いけど目は隠れてて見えないね」
「先生はもう少し褒め方を覚えるべきです」
今まで女子と話す事があまりなかった俺にコミュニケーション能力を求めるだと!?でも生徒に言われたら頑張るしかないな…
俺はとりあえずラルトスとリリィの触れ合いを見ながら質問の回答を書いていく。
シビルドンは磁力によって浮いている…そう解答しておく。
こうとしか考えられない。ポケモンに常識を問いてはならない。
俺は、無力だ…
「しかし先生、勿体振るのは良くないと私は思うのです」
「どういうこと?」
「イッシュリーグの時の手持ちがいるではありませんか。リッター以外にも私は見たいですわ!」
「あー…」
まあ確かに。
勿体振ってたつもりはないけど確かに紹介してなかったよな。
リッターからの視線も心なしか痛い。
やめてください、先生だって頑張って生きてるんだぞ。
リッターを紹介したのは成り行きというのもあるし、勿体振るのも良くないなと思って頷く。
「取り合えず、庭に行こうか。大きいのもいるしさ」
「はい!」
「らる~…?」
野生だったラルトスを抱き上げたリリィは目を輝かせて頷いた。
ラルトスは何だろう?というように首を傾げるも、リリィが気に入ったのかされるがままだ。
懐かれてるな、トレーナーの才能の一つだ。
そうして庭へと赴き、ボールを5つ取り出す。
皆、リリィに慣れてくれればいいけど。
「皆、出てこい!」
投げたボールから一斉にポケモン達が出てくる。
リッターもポケモン達に並び、一匹ずつを紹介しようとするが…
「えるる~♪」
可愛らしく鳴いた綿を背負ったポケモン、エルフーンが俺に飛び付いてきて、それをしっかりと受け止めて抱っこする。
うーん、出鼻挫かれたけど、まあいいか。
「この子はエルフーンのフェイだ。まだまだ子供だけど、パーティーだと結構仕事してくれる子だな」
「えぅ?」
「フェイちゃんですね。リーグでも『いたずらごころ』の特性を利用した戦術で翻弄してましたわね!」
フェイをぽふぽふと撫でるとこれまた嬉しそうな笑顔で胸元に擦り付く。悪戯好きの多いエルフーンだが、フェイは子供だけど悪戯好きというより甘えん坊だ。まだまだ子供だからか遊びたい年頃なのかな。
そんなフェイを抱っこする俺に近付いてくるポケモンが一匹。
「ヒヒ!」
「次はお前にしようか。こいつはヒヒダルマのシュネー。力自慢で、うちのエースより瞬間火力は高いよ。そんでもって、フェイの兄貴分だ」
「えるー!」
胸を叩き、自分を誇るような笑みを見せるシュネーにフェイは兄貴分が来たからか嬉しそうにシュネーへと飛び移る。流石ヒヒダルマというべきか、軽々とフェイを持ち上げて背中に乗せる様は面倒見の良さを感じさせる。
「シュネー…フレアドライブの一撃はリーグ戦でも遺憾無く発揮されてましたわね。メタグロスなどもいた筈ですが、あっさり沈めてましたし」
「ヌオ!」
「あら、この子は…ヌオーですわね」
シュネーを見て、俺のイッシュリーグの戦いを思い出しながら言うリリィの前にぽてぽてとヌオーがやって来て片腕を上げて挨拶をする。
紹介されていると理解してるのか、自分から行ったようだ。
「モーアだな。普段はのんびりとしてるんだけど、バトルだと頼りになるよ。な、モーア」
「ぬお~♪」
ぽんぽんと頭に手をやると嬉しいのか間延びした声でモーアは鳴く。タマゴから孵したウパーの頃から大切に育ててきたからウチのパーティーだとエースの次に古株だな。
「耐久戦術をしてた子ですね。水と地面タイプは弱点があまりないと聞いたことがありますわ」
「最近はフリーズドライっていう技もあるから油断できないけどね」
まさか水タイプへの打点が更に増えるとは思わなんだ。貴重な水・地面タイプだけどフリーズドライのような水タイプに対しても効果抜群という技はつまりモーアにとっては更なる弱点な訳で…そうなると硬さ自慢のモーアもキツいのだ。
「ブラッキ!」
「あ、ブラッキーですわ!確か…アイちゃんでしたわね」
「そう、ブラッキーのアイだ。この子も硬いし、何よりやれることが多いからフェイと同じ撹乱要員だな。色んな所で助かってるよ」
やってきたブラッキーことアイをリリィはしゃがんで見つめ、俺はそれを見ながら紹介していく。
アイもリリィが気になるのかじっと見つめていて、何だかにらめっこみたいだ。
そうして、一番目立っていた最後のポケモン、俺の相棒がやって来る。俺の隣にやって来て、笑顔で挨拶。
「ボマッ!」
「おーい、リリィとアイ。取りあえずこっち見てもらっていい?」
「あ、すみません。…やっぱり格好いいですわね…ボーマンダは!」
「そうだろうそうだろう、俺の相棒は格好いいんだ。ということで紹介するよ。俺の相棒のサラメだ」
「ボーマ!」
翠の体色のボーマンダ…つまり色違いであるサラメはよろしくと伝えるように鳴く。サラメはこのメンバーの中なら一番付き合いが長いポケモンで、俺のパーティーのエースをしているドラゴンタイプだ。後、格好いいボーマンダってことで勘違いされるけどメスだ。
気さくだし、気配りの出来る奴だけどバトルになるとドラゴンタイプらしい獰猛さを出して勝利を手繰り寄せてくれる。頼れる相棒って奴だな。
アイがサラメの背中に乗ってもサラメは気にしない。モーアを育てた時も面倒見よかったなぁ。
「サラメの活躍、覚えてますわ。アデクさんのポケモン相手に一歩も引かぬ力強さ…けれど、後一歩でウルガモスに押し切られた所もバッチリ覚えてますわ!」
「ボマ…」
「さ、サラメ!落ち込むなって、もっと強くなって勝てばいいんだから!な!」
後、割と負けたりするとその時の事を気にしちゃったりする子でもある。リリィにイッシュリーグの時の事を言われて少ししゅん…となってしまったので元気付ける。
仕方ないのだ、"ちょうのまい"からの"ぼうふう"はサラメでもキツいよ…
慰めていると、リリィが「そういえば」とふと思い出したような声を出す。
「先生、とても今更なのですがホウエン地方出身ならこの疑問を解消していただけませんか?」
「何か急に改まったな。どうした?」
「ヌケニン、というポケモンがいるではありませんか」
「ああ、いるね」
ヌケニンか。
ヌケニンはツチニンがテッカニンに進化する時に脱ぎ捨てた殻がひとりでに動いているポケモン、だったかな。まあどう見ても生き物の類いというより怨念がどうこう言われるポケモンで、これまで確認されなかったゴーストタイプと虫タイプの複合であり、更に特殊な耐性を持つポケモンだったりする。
「ヌケニンは何故いつの間にかボールに入っているのですか…?」
「ああ…なるほど。確かにその疑問はもっともだな」
俺も昔その疑問を抱いたことがある。
そして、同じカナズミシティ出身である虫取り少年から聞いた話もあるのでこれは解消できるかもしれない。
「ヌケニンが所謂脱け殻ポケモンなのは知ってるだろ?」
「ええ、中身がないのですよね?テッカニンが進化する際の殻ですし当然ではありますが」
「そう、そのヌケニンにも感情みたいなのはあるようでさ。
友達が言うには進化した時の殻が動き出して、自分のボールの中に自然と入っていったそうなんだ。四六時中見ていたという苦行の末の情報だから嘘はないと思う。…で、この話から考えるとヌケニンにもツチニン時代の記憶はあって、そのトレーナーへの愛着とかでボールに入ったんじゃないかな」
「…なるほど、ゴーストタイプは疑問が多い存在ですし、そういうこともあり得るのでしょうか。それにしても、愛着があるのですね?」
「うん、その友達が撫でたら嬉しそうに頭を差し出して来たんだとか」
殻だけど。何なら体浮いてるだけで間接とか見受けられないけど。
まあでもそいつヌケニン大好きになったみたいだしいいか。
「それにしても、ヌケニン…とても不思議ですわね。
そもそも、耐久が出来ない…一撃で倒れてしまうポケモンだと聞いています。そんなポケモンで戦えるのでしょうか?」
「リリィ、ヌケニンはそんなポケモンじゃないんだ。
多分、俺の知ってるポケモンの中でも凄い特殊なポケモンに分類されるポケモンだよ」
「そうなのですか?」
「ああ、特性のふしぎなまもりによる弱点以外を一切受け付けない…これはつまり弱点を突かれるか天候のダメージを喰らうかしないと倒れることがないんだ」
これがまた厄介なポケモンたる所以だ。
ゴーストタイプと虫タイプの複合は弱点が多い、のだがメジャーな水タイプや草タイプ、エスパータイプとかじゃサブウェポンに弱点を突くものがなければ倒すことが出来ない不沈の存在となる。
「つまり、ヌケニンはやられやすいように見えてやられにくいポケモンなんだ。弱点を突けないパーティーだった場合ヌケニン一匹で詰み、なんてこともある」
「そうでしたのね…確かに今考えるとふしぎなまもりを考えればヌケニンからしたら1か0しか無い…そう考えると選出もリスクが伴う代わりに成功すればリターンも大きいんですね」
「そういうことだな。こんな感じでいいかな?」
「ええ、ありがとうございます!」
リリィは笑みを浮かべてお礼を言って、それからフェイの方へと歩き出す。ラルトスを抱えたまま。
「える?」
「ヒッヒ?」
「フェイちゃんはこの中で一番子供だと聞いていますわ。
ラルトスちゃんの良い遊び相手になってくれると思いますの」
「らる~…?」
抱えられたラルトスはまだ良く分かってない様子ではあるもののフェイは理解したのかシュネーの背から浮いてラルトスの方へと近付く。
「えるっふ!」
「ラルル…ラルゥっ」
「えるる~」
「ふふ、よかったですわ」
フェイとラルトスの会話はどんなものかは分からないが、ラルトスがフェイに両手を差し出してるのを見るにコミュニケーションは成功といったところか。
フェイはそのままラルトスを抱えてふよふよと浮き始める。
ラルトスは楽しいようで笑顔で、リリィも自分の判断が正しかったのが嬉しいのとラルトスが笑顔なのに釣られて笑顔だ。
俺は隣のサラメの頭を撫でてから、一言。
「ポケモンとの相性も良いみたいだし、これからが楽しみなトレーナー…だな」
「ボマ!」
そうだね、というようなサラメの声に賛同して貰えた喜びから口元に笑みが浮かぶのが自分でも分かる。
それから俺はモーアやサラメ達の世話をしながらリリィの疑問解消やポケモントレーナーとしての在り方を少しずつ教えていくのだった。
モーア:独語で沼という意味。ヌオーらしい名前ですね。まんまだけど
シュネー:同じく独語でシュネーマン…つまり雪だるまから取った名前。実は作者はガラルヒヒダルマを知る前からこの名前にしていたのでまさかマジで雪だるまになるとは思わなかった。
フェイ:独語または仏語で妖精という意味のフェーから少し変えて、フェイ。対戦でも良く使われるエルフーン、トラウマな人もいるのでは?
アイ:トルコ語で月を意味する言葉。月の獣とか言われたりするしピッタリだね
サラメ:ボーマンダの英語版はSalamence。そこからとってサラメ。
女の子やぞ!マンダの流星群は強い