今度はちゃんとした所に投稿しますよ~。
周りの成長に焦ってトレーニングを続けていた、ある日の事。
ユニコーンのスマホに一通のメールが入って来た。
「…え?」
部屋で体を休めながらベッドの上で寝転がっていたユニコーンは、思わず変な声を上げてしまった。
幸いにも、同室のカレンチャンは私用(ウマチューブ関係)で出かけていて、もしも今の声を聞かれていれば、それこそとことんまで聞かれていたかもしれない。
「皆が…こっちに遊びに来る?」
ここでユニコーンが言っている『皆』とは、彼女にとって家族であり仲間でもある『データウェポン』達の事だ。
普段はバラバラの所に住んで、それぞれの生活をしているのだが、時折こうやって同窓会のように皆で集まって食事をしたりすることがあるのだ。
ユニコーンがトレセン学園に来てからは回数が減ってきていたから、メールを呼んだ途端になんだか急に懐かしくなってきた。
「…明日は丁度休みだし……気晴らしに行ってみようかな……」
このまま根を詰めたって何もいい事なんてない。
それは誰よりもユニコーン自身が理解していた。
だが、そんな理屈でこの焦りをどうにか出来れば誰も苦労なんてしない。
だからこそ、ユニコーンは悩み苦しんでいるのだ。
「皆…どうしてるのかな……」
データウェポンの中でも一番の仲良しであるレオサークルや、自分にとって姉とも言うべき存在であるキバストライカー、何気によく牛乳を送って貰っているブルホーンとはよく連絡を取っているが、他のデータウェポン達とは最近は疎遠になりがちだ。
別に彼女達の事が嫌いになったとか言う訳ではなく、単純に用事が無いのだ。
真面目な性格をしているユニコーンには、ただ話す為だけに電話をすると言う選択肢が最初から存在していない。
通話をする時は必ず何か用事が無ければいけないと本気で思っている。
「明日、ボクが出かける事は絶対にカレンさんにバレちゃいけないな……」
もしもそんな事がバレたら、確実にカレンからコーディネイトという名のファッションショーが始まってしまう。
以前に一緒に服を買いに行った時、それによってどれだけ恥ずかしい思いをしたのかユニコーンは微塵も忘れていない。
「あ…ちゃんと待ち合わせの場所と時間も書いてあるや。この時間帯なら大丈夫かな?」
その後、カレンが部屋に戻ってきて、少しだけ表情が軽くなったユニコーンを見て怪しんだが、なんとか頑張って誤魔化せた。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
懐かしの仲間達と再会する約束の日。
こう書くと、なんだか仰々しく見えるが、実際には単なる同窓会擬きである。
「えっと…確かこの辺りで間違いなかった筈……」
レディースなジーパンを穿き、真っ黒なロングTシャツの上から白いTシャツを着ている。
本来、ユニコーンはボーイッシュな格好の方が好きで、余りスカートは穿き慣れていない。
流石に制服のスカートは妥協しているが、それでも下にはスパッツを穿いている。
「あ…あれかな?」
休日故に賑わう街中をキョロキョロと見渡していると、とある一角に非常に見慣れたカラフルな美女&美少女の集団がいるのが見えた。
ユニコーンが向こうを見ていると、向こうもまたこちらを見て手を振った。
「おーい! ユニコーン!!」
「レオちゃん…相変わらず声が大きい…」
溜息を吐きながらも、相変わらずな仲間に微笑を浮かべつつ歩いて行った。
「みんな、久し振り」
「「「「「「「久し振りー」」」」」」」
やっぱり家族同然の者達と再会すると、どれだけ悩んでいても笑顔にはなるもの。
少しだけ頭が軽くなったような気がした。
「本当に久し振りだな。ユニコーン」
「うん。久し振りだね、レオちゃん」
ライオン娘であるレオサークルは、ユニコーンよりも少し小さく良い位置に頭があるので、よく自然と頭を撫でている。
レオ自身もその事を喜んでいるので、誰も何も言わない。
「トレセン学園じゃ随分と活躍してるみたいね、あなた」
「そ…そうかな…?」
無表情ながらも友の事を想っているバイパーウィップに苦笑い。
紫の長髪を一本に結んでいるゴスロリ服を着ている美少女で、何故か左目に眼帯をしている。
別に目が悪いわけではなく、本人曰く『これも一種のファッション』らしい。
「ユニちゃ~ん! 会いたかったわぁ~!」
「ぶほぉっ!?」
そこに、全く空気を読まずに抱き着いてきたのは、オレンジの髪を持つ抜群のスタイルを持つ美女のブルホーン。
よくユニコーンに自分の経営している農場で作っている牛乳を送っている張本人だ。
「よく受話器越しに声は聞いてるけど、こうして顔を見れたのは本当に久し振りだから、お姉さん本当に心配してたのよぉ~!」
「分かったから…分かったから離して…本気で苦しい……」
スーパークリーク級の大きさを誇る胸に押しつぶされそうになるユニコーン。
顔色が洒落にならなくなってきた所で、それを傍で見ていたドラゴンフレアが助け舟を出す。
「はいはい。心配だったのは分かるけど、少し落ち着きなさいな。ブルちゃん」
「ドラちゃん…はぁ~い…」
「ぷはぁ~……空気がおいしい……」
ブルホーンの抱擁から解放されて、思い切り空気を吸い込んで復活する。
呼吸ってやっぱり大事。
「ありがとうございました…ドラゴンフレア」
「どういたしまして。にしても、ユニコーンっていつもブルちゃんに抱き着かれてるわよね。なんで?」
「それは、こっちが聞きたいんですけど……」
ドラゴンフレアはまさかの真っ赤なチャイナドレスを着て、高級感のある扇子を持っている。
髪も服も見事に赤一色な上、ブルホーンに負けず劣らずのスタイルを持っているので物凄く目立つ。
その見た目通り、彼女はこの中でも最も金持ちで、その優れた頭脳によって見事に一代で大成功を収めていた。
「ユニちゃん、ユニちゃん。頼んでおいた例のブツは持って来てくれた?」
「はいはい。ボアちゃんが欲しがってたのはこれだよね?」
緑の髪のボブカットな眼鏡っ子のガトリングボアに、頼まれていた物を鞄から出して手渡す。
受け取った途端、彼女の顔が一気に輝き始めた。
「おぉ~…! 正真正銘、本物の三冠五人衆のサインだ…! 家に帰ったらすぐに飾らないと……」
「大事にしてよね? 同じチームのフウウンサイキさんやアウセンザイターさんには簡単に頼めたけど、生徒会所属のシンボリルドルフさん達にこれを頼む時、すっごく緊張したんだから」
「分かってる。これはちゃんと防塵処理とかしてから丁重に神棚にでも飾る事にする」
「いや…そこまでしなくていいから」
若干…というか、かなりのウマ娘オタクであるガトリングボアには、本人達直筆のサインは非常に希少な宝物なのだろう。
「後でユニちゃんのサインも頂戴。これから先、ユニちゃんが大活躍する事を期待して、一足先に頂いておきたい」
「似たような事、つい少し前に後輩の子に言われたような気がする…」
その後輩は、今日は街のゲームセンターにてレースゲームに明け暮れている。
今頃は従業員泣かせのぶっちぎりレコードを生み出している事だろう。
「そう言えば、ここまで皆はどうやって来たの?」
「フレアのプライベートジェットとリムジンでやって来たのだ」
「エールちゃん」
誇らしげに胸を張って教えたのは、虹色の髪を持つ美幼女のフェニックスエール。
データウェポン達の中でも最も特殊で、文字通り無限の力を持つ最強の存在だが、この世界では普通の美幼女だ。
現在は、とある小学校に元気に通っているらしい。
「久し振りだな、ユニコーンドリル。お前の活躍はいつもテレビなどで拝見しているよ。同じデータウェポンとして鼻が高い」
「まだまだ、ボクなんて他の皆に比べれば未熟者だよ」
頬を掻きながら遠慮がちな事を言うユニコーンを見て、全員が同じことを思った。
この子、何かを悩んでいるな…と。
伊達に前世からの長い付き合いはしていない。
顔を見ただけで、彼女が何かに悩んでいることぐらいはすぐに分かる。
「そんな事は無いって。お前は充分に頑張ってるよ」
「キバ姉さん……」
右半分が青髪で、左半分が白髪な背の大きい女性がいきなりユニコーンの頭を撫でる。
彼女こそが、ユニコーンドリルとレオサークルにとって姉のような存在であるキバストライカーだ。
本来ならば同時に存在なんて出来ない筈が、なんでかこの世界では別人として普通に生きている。
そんな彼女は普段、とある高校にて体育教師をやっていたりする。
「ここで立ち話ってのもアレだから、まずは何処かに移動しようじゃないのさ。話はそれからでもいいだろ?」
「そう言うと思って、既にいい感じのお店を予約して貸し切ってあるわ。そこに行きましょ」
「いつの間に……」
ドラゴンフレアが自分のスマホを軽く操作すると、いきなり道の向こうからリムジンがやって来て目の前に停車した。
「はい、皆乗って頂戴」
「またリムジンだー」
「気のせいかな…? 前に乗った時のとは違うような……」
「ユニちゃんには分かっちゃった? なんか新しい車種が出てたから、思わず衝動買いをしちゃったのよ」
「……値段は?」
「聞きたい?」
「……遠慮しときます」
「賢明よ」
確実に庶民では想像も出来ないような価格であるのは確実なので、大きくショックを受ける前に自ら引くことにした。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
高級感MAXのリムジンに揺られて到着したのは、とある小さな喫茶店。
全く想像もしていなかった店のチョイスに、ドラゴン以外の全員がお口ポカーンになっていた。
「割とマジで高級中華料理店とかを想像してた。酢豚とか食べたい」
「大丈夫よ、レオちゃん。ここのマスターに頼めば、酢豚ぐらいは出してくれるわよ」
「ホントッ!?」
「酢豚を出す喫茶店って……」
「その気になれば、割と何でも出してくれるけど?」
「例えば?」
「前には醤油ラーメンを作って貰った事があったわね」
「「「「「「「………」」」」」」」
この時、全員がまた同じことを思った。
自分達は無茶を言って迷惑を掛けないようにしよう…と。
「ところで、さっきのリムジンはどこに消えたの? いつの間にかいなくなってるけど」
「そこの駐車場に停めてあるわ」
「完全にはみ出してる…」
「というか、あそこに車を入れられたドライバーさんのテクニックも相当よねぇ~」
喫茶店の隣にある駐車場は、お世辞にも広いとは言えない。
車が十台ぐらいはいれば満杯になる大きさだ。
リムジンは、その一角を完全に締めていた。
ガトリングボアとブルホーンが思わず口に出してしまうのも無理も無い。
「はいはい。そんな事よりも、早く入りましょ」
またもやドラゴンが仕切る形で、全員揃ってお店の中へと入って行く。
喫茶店『ホワイトベース』へと……。
まずはユニコーン以外のデータウェポン娘を全員集合させました。
思ったよりも文字数が多くなってしまい、本格的な話は次回にします。
因みに、喫茶店の名前は勿論とある戦艦の異名である『木馬』から。
流石にお店のマスターはウマ娘とかじゃないですが、めっちゃ関係のある人です。
皆さんに分かりやすく言うと、左舷の弾幕が薄いと気になる人です。
どうしてこんなチョイスなのかは、もうすぐ公開予定の『閃光のハサウェイ』を参照してください。
厳密には違いますが、食べ物関係のお店という意味じゃ一緒だと思いますから。