我ら! チームSRW!   作:とんこつラーメン

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今回もまたユニコーンを含むデータウェポン娘達のお話。

ついでに現代社会のホワイトベースクルーも登場?








切り札は一番近くにある

 喫茶『ホワイトベース』に入ると、カウンターにいるちょっと老け顔っぽい男性の言葉が聞こえてきた。

 

「いらっしゃいませ。貸切の予約をしていた方々ですね」

「えぇ、そうよ。今日はよろしくお願いするわね」

「畏まりました。カイ!」

 

 男性が名前を呼ぶと、休憩室から気怠そうな顔をしているエプロンを付けた少年がゆっくりとやって来た。

 

「呼んだかいブライトさん…って、もしかして貸切をしたいって言ってた客かい?」

「その通りだ。接客を頼む」

「そいつは良いけどよ……他の連中はどうしたんだよ?」

「フラウとミライは買い出しに出かけている。ハヤトはバックヤードで整理をして貰っている最中だ」

「セイラさんは?」

「彼女は今日は休みだろう」

「そうだったっけ?」

 

 二人の関係性は店長とバイトといった感じか。

 かなりフランクに話している所を見ると、付き合いは流そうだ。

 

「彼、もしかしてバイトさん?」

「その通りです。もう随分と長い間勤めてくれてるんですが、未だに生意気な所が直りません」

「ちょ…ブライトさん! お客さんの前でそれはないだろ~?」

「事実なんだから仕方がないだろう」

「チッ…!」

 

 悔しそうに舌打ちするが、カイの顔はそこまで嫌そうにはしていない。

 こんなやり取りはこの店では日常茶飯事なのかもしれない。

 

「そういえば、さっきからタムラさんを見かけないが…どこに行ったんだ?」

「あの人なら『塩が足りなくなった』っていって出かけて行ったけど?」

「なんだと? まだ一袋ぐらいは残っていた筈だが……」

「あの人に取っちゃ『あと一袋』なんだろうぜ」

「全く…タムラさんにも困ったもんだ。料理人としての腕がいいだけに強く言えないし……」

 

 どうやら、この店も色々と苦労を抱えているようだ。

 そこを敢えて指摘しないでスルーするのが空気を読むという事なのだろう。

 

「そろそろ座ってもよろしいかしら?」

「おっと。大事なお客を立たせたままにする訳にはいかない。どうぞ、お好きな席へとお座りください」

 

 ブライトに促され、一番大きなテーブルのある席へと全員が座った。

 総勢で8人の大所帯だが、それでも難なく座る事は出来た。

 

 店内は多少こじんまりとしている感じは見受けられるものの、木製の床や壁などが落ち着いた雰囲気を漂わせている。

 店内BGMなども無く、静かな空間になっていた。

 

「随分と美人さん揃いです事。家族…には流石に見えねぇか。んじゃ、友人関係って所かな?」

「そんなかしらね」

「敢えてぼかす…か。成る程ね。まぁ、そんな事はどうでもいいや。それよりも、ご注文は何にします? メニュー表はそこにありますぜ」

 

 テーブルに備え付けられたメニュー表を全員で覗き見るかのようにして眺める。

 特に、レオサークルの目はギラギラとしていて、確実に喫茶店じゃ出ないような注文をする気満々だ。

 

「まずは全員分のコーヒーでもお願いしようかしら?」

「あいよ。コーヒーね。って…何人いるんだ?」

「8人よ」

「わぉ……マジかよ。ブライトさん! コーヒー8人分ね!」

「了解した。すぐに用意しよう」

 

 店の貸切をしたドラゴンフレアが皆の代表として注文をしている。

 実際、一番金を持っているのが彼女なので、誰も文句は言えないのだ。

 

「バイトさん。少し気になった事があるんだけど、いいかしら?」

「なんスか? 紫髪の美人さん」

 

 何を聞くつもりなのか、バイパーウィップがカイに質問をし始める。

 飄々としているカイと無表情のバイパーの対比は凄かった。

 

「カウンターにいる人って店長さんにしては妙に若く見えるんだけど……」

「お? そこに気が付くのか。やるねぇ~」

 

 口笛を吹きながら驚くカイ。

 人数分のコーヒーを淹れている真っ最中のブライトを眺めながら説明をした。

 

「あの人は店長代理みたいなもんなのさ。本当は別のおっちゃんが店長をやってるんだが、ぎっくり腰をやっちまって休んでるんだ。で、その間の代理として一番バイト歴の長いあの人が代理をやってるって訳さ」

「成る程……」

 

 何度も頷きながらバイパーは聞いたことを脳に刻み込んでいく。

 その目的はたった一つ。

 

(自主製作の小説のいいネタになりそうだわ……)

 

 バイパーウィップ。趣味、小説執筆。

 いつの日か、どこかの編集部などに持ち込んでみたいと画策中。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 カイがコーヒーをテーブルに運んできてくれたところで、ようやく今日の本題がスタートした。

 

「…で、単刀直入に聞くけど、ユニちゃんは一体何に悩んでいるの?」

「え?」

 

 全員の言葉を代弁するかのようにガトリングボアが話を切り出した。

 まさかの一言に、ユニコーンはコーヒーカップを持ち上げたまま硬直してしまう。

 

「な…悩み? ボクが?」

「うん。ユニちゃんの眉間にすっごく皺が寄ってる。何か悩んでる証拠でしょ」

「もしかして…皆も気が付いてた?」

「「「「「「勿論」」」」」」

「はぁ~……」

 

 チームメイト達以上に非常に長い付き合いである彼女達を誤魔化す事は出来ない。

 先程は曖昧な表現をしたが、実際には家族なんて言葉ですら生温い程の関係なのだから。

 

「話してみてよ。力になれるかもしれないから」

「……分かった」

 

 観念したのか、ユニコーンは微笑を浮かべながらポツポツと話し始める。

 自分の周りで起きた出来事を。自分が抱えている悩みを。

 離れた場所からそれを眺めていたカイとブライトは、彼女達がどうして店を貸切にしたのか、その理由をようやく理解出来た気がした。

 

「…というわけ。正直、こんな気持ちになったのって初めてだからさ…どうしたらいいのか分らなくて……」

「成る程ね」

「あのレースなら、私も中継で見てたから分かるわ。確かに、同じチームメイトがあんな凄い勝ち方をしたら、誰だって焦るわよね」

 

 うんうんと何度も頷きながら、ドラゴンフレアが腕を組んで豊満な胸を持ち上げる。

 それを見てユニコーンの眉間がピクっとしたが、全員が見てない事にした。

 

「自分の持ち味……自分にしかない武器ねぇ……」

「そんなのもう、一つしか無いんじゃないかしらぁ~?」

「レオもそう思うぞ」

「そんなのもうさ、最初から答えは決まってるも同然じゃないのか?」

 

 全員がユニコーンの顔を見てハッキリと言い放った。

 

「「「「「「「ファイナルアタックしかないでしょ?」」」」」」」

「や…やっぱり…?」

 

 ファイナルアタック。

 嘗ての彼女達と契約した者達が放つ事が出来る最強最大の必殺技。

 全てのエネルギーを残らず消費する代償として、圧倒的な攻撃力を持つ一撃を打ち込む事が出来る。

 データウェポンによって攻撃方法は様々で、ユニコーンの場合は角から放たれる竜巻の如き一撃だ。

 

「…ボク自身も、一番最初に思いついたのはファイナルアタックだったんだけど……」

「けど? どうしたのさ?」

「アレを一体どうやってレースに活かせばいいのか全く分からないんだよ……」

「「「「「「「あぁ~…」」」」」」」

 

 元来、攻撃技であるファイナルアタックをどうレースに応用すればいいのか。

 それこそが、ユニコーンの悩みの一つでもあった。

 そんな事を話している最中にも、レオサークルは自分のコーヒーに角砂糖とミルクをたっぷりと入れて甘々な状態を楽しんでいた。

 

「う~ん……あのフウウンサイキ? って子は、自分の限界を越える事でレースに勝ったんだよな?」

「本人はそう言ってました」

「なら、ユニも目指すべき所は同じじゃないのか?」

「同じって…ボクも限界を超えろって事ですか?」

「違う違う。そうじゃなくてさ……」

 

 キバストライカーがユニコーンの頭にポンと手を乗せて、彼女を宥めるように撫でながら優しく言った。

 

「限界の限界まで力を出し切ってみればいいんじゃないかって話。ファイナルアタックみたいにさ」

「限界の限界まで……」

 

 キバの言葉を聞いて、ふとユニコーンは思い返す。

 今までのレースで自分は一度でも限界まで頑張った事はあったか?

 疲労困憊になった事はあっても、それはただ疲れただけであって限界ではない。

 レース後でも普通に動けるぐらいの余力は残していた。

 その余力ですらも絞り尽くして走るという事なのか?

 

「それはナイスアイデアですね。流石は体育教師のキバ姉さん」

「茶化すなって」

「けど、問題はどこでそれをするか…よね」

「残った全部の力を出し切るのだ。タイミングは非常に大事だろう」

「やっぱり、最後の直線じゃないかしら~?」

「それしかなさそうね。一番なのは、ラストの直線まで体力を温存しつつも好位置をキープし続ける事……」

「ユニコーンって確か『先行型』なんだろ? だったら、そんな風な走りは得意中の得意なんじゃないの?」

 

 まるで自分の事のように皆が真剣に話し合っている。

 その事が嬉しくて、少しだけウルっときてしまった。

 それを言ったら確実にからかわれるので黙っているが。

 

「どうやら、問題は解決したようだな」

「みたいッスね。いつの間に隣にいたんだよハヤト」

「ついさっきですよ。あの人達が貸切のお客さんですか?」

「あぁ。あれだけの人数が一気に来ると、店も賑やかになる」

「タイミングのいいところで追加注文でも聞きに行きますか」

「頼んだ。そろそろミライ達も帰ってくる頃合いだろうしな」

 

 話し合いに熱中している彼女達の所へ、再びカイがやって来て、手に持ったトレーをコンコンと叩いてから自分の方へと視線を向けさせた。

 

「はいはい。話し合いも結構だけど、お腹が空きませんか? お姫さま方」

「そういや、まだコーヒーしか注文してなかったな」

「レオ、お肉が食べたい!!」

「肉…肉ねぇ…。なら、カツサンドとかどうだい? 衣がサクサクで、甘酸っぱいソースをたっぷりとかけたとんかつをふわふわのパンで挟んだ自慢の一品だぜ?」

「それ食べる!!」

「あいよ、毎度あり!」

 

 まずはカツサンドを注文することにした面々だが、その後すぐにナポリタンやオムライス、デザートにバニラアイスを注文するなど、ドラゴンフレアが今回の支払いを担当すると分かっているからか、遠慮することなく次々と店のメニューを注文しまくって売り上げに貢献した。

 

 支払いの時にドラゴンフレアが財布の中からブラックカードを出して全員をドン引きさせたのが一番印象深かった。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 いい気晴らしが出来た次の日。

 ユニコーンはいつものようにトレーニング場へと来ていたが、その目つきは今までとは全く違っていた。

 

(ボクにはフウウンサイキさんみたいに限界を越えるだなんて芸当はまだ出来ない…。今のボクが出来る事、それは限界を越える事じゃなくて、限界を出し切る事! 皆の応援を無駄にはしない! 向かうべきゴールが見えた以上、あとはそこへと向かって突き進むだけだ! それが『ドリル』なんだから!!)

 

 靴紐をしっかりと結んでから、体を温める為にまずは軽く芝のコースを走っていく。

 その足取りはとても軽く、迷いも恐れも全く感じられなかった。

 

「ユニコーンの顔つきが変わった…?」

「どうやら、彼女も己なりの『答え』を見つけ出したようだな」

「へへ……やっと『前』を向きやがったか。そうでなくっちゃな」

「YES! もうダイジョーブみたいネ! Next raceが今から楽しみだワ!」

 

 フウウンサイキ、アウセンザイター、ダブルアール、パスチャーキングの四人が揃って生まれ変わったユニコーンを温かく見守る。

 自分だけの道、自分だけの武器を見出した頼もしい後輩の活躍を信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




喫茶『ホワイトベース』の従業員は、基本的に原作のクルーがやっています。

勿論、ブライトさんは店長代理で、現在はミライさんと交際中。
今回は登場しなかったメンバーもちゃんと全員揃って働いています。

次回から、迷いを吹っ切ったユニコーンの特訓が始まる?



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