我ら! チームSRW!   作:とんこつラーメン

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今まで一度も描写してこなかった夏合宿。

良い機会なのでぶち込もうと思います。

待望の水着回です。

そしてそこで、残酷な格差社会に絶望する……。











決戦に向けての夏合宿!

「ふむ…もうそんな時期か」

「どうしたんですか急に?」

 

 トレーニングの休憩中。いきなりアウセンザイターがスマホを見ながらふと呟いたのが始まりだった。

 因みに、寺田は自販機に飲み物を買いに出かけている。

 

「いやなに、大したことじゃないさ。もうすぐ夏合宿が始まるなと思ってな」

「そういえば、もうすぐ6月もENDよネ」

「夏合宿か……今年入ったばかりのパーンサロイドは初めてだったな」

「はい! 風の噂では、トレセン学園では夏合宿こそが一年で最も集中すべき時だと聞いてます! 私も一生懸命頑張ります!」

 

 『頑張る』と意気込んではいるが、実際は『どんな場所で、どんな特訓をするのか楽しみだなー』が本心である。

 やること成すこと全てが初めてなので、色んな事に興味津々なパーンサロイドだった。

 

「もしかしたら、夏合宿を挟むことすら見込んだ上で、ユニコーンにステークス出場を提案したのかもしれんな」

「あの人なら大いにあり得そうですね……」

 

 フウウンサイキに言われ、ユニコーンは頭の中で寺田が後ろを向きながらピースをしている姿を思い浮かべる。

 見た目に反して相当な切れ者である寺田の頭の中を予想出来るものは非常に少ない。

 

「なら、ユニコーンにとって、この夏こそが一番の正念場になりそうだな」

「YES! Trainerから専用のTraining menuを貰ってから、ユニコーンの早さに一層の磨きが掛かってるものネ!」

「今回は、相手が相手だからな。特訓をし過ぎて損をすると言う事だけはあるまいよ」

 

 腕組みをしながら、アウセンザイターが神妙な面持ちで語る。

 ユニコーンがスプリンターズ・ステークスで相対するウマ娘達は、いずれもが名だたる強豪ばかりだからだ。

 

「バクシンオーは言うに及ばず、マルゼンやタイキも短距離では凄まじい実力を持つウマ娘達だ」

「それに加え、カレンやフラワーも短期間で驚くほどに腕を上げてきやがってる。ユニコーン…マジで気を引き締めていけよ。じゃなきゃ…食われちまうぞ」

「分かってますよ。カレンさんやフラワーさんが天才肌なのは…ボクが一番よく知ってますから」

 

 トレセン学園にて短距離を専攻するウマ娘は意外と少ない。

 殆どのウマ娘達の大半は、長く走れる中距離や長距離を走ろうと考えている。

 お世辞にも人気があるとは言えない分野において、圧倒的な結果を残している彼女達を侮るなんてことは絶対にしない。

 ダブルアールに忠告を受けるまでも無い事だった。

 

「とはいえ、トレーニングばかりをしていて根を詰め過ぎるのもよくないぞ。折角の海なんだ。思い切り羽を伸ばして、心身共にリラックスをして今後に備えるのも大事だ」

「そうですね。こんな機会でもないと海なんて行きませんし……」

「ユニちゃん! 海に行ったら、一緒にスイカ割りしようね!」

「そうだね、ウララちゃん」

 

 今から夏合宿に思いをはせつつ、彼女達の時間は過ぎていった。

 その頃、寺田は間違って『ホット』の方のお汁粉を買ってしまい地味に落ち込んでいた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 そして、あっという間に時間は流れ……待望の夏合宿!

 煌めく太陽! 穏やかに波打つ海! そして…可愛らしくも美しいウマ娘達!

 毎年、トレセン学園の夏合宿で使用されている浜辺はまさに、貸切状態に等しいことになっていた。

 

「「ついた~!!」」

「はしゃぎすぎだっつーの」

 

 学園指定の水着に着替えたチームSRWの面々も、全員揃って海へとやって来ていた。

 その美しい景観に興奮したウララとパーンの二人は、揃って両手を上げてから叫んでいた。

 傍にいるダブルアールが完全に保護者枠となってしまっていた。

 

「ここに来るのも一年振りですね」

「そうネ。今年のSummerは今年だけ…思い切り楽しまないと損ヨ?」

「はい…そうですね」

 

 そう呟くユニコーンの視線は、隣にいるパスチャーの胸に集中していた。

 

(ボクには分かる…! パスチャーさんの胸…去年よりも確実に大きくなってる! 推定で2…いや、3から4ぐらいか…?)

 

 一人のアスリートとして頑張ってはいても、やっぱりユニコーンも歳相応の女の子。

 自分の胸のサイズと他人の胸のサイズを比べてしまうのは仕方が無かった。

 

「去年は遠泳などをしていたが…今年ぐらいは体を休めてもいいかもしれんな」

 

 そう呟きながらやって来たフウウンサイキも、当然のように水着姿。

 三冠を取って以降、フウウンサイキは心に余裕が出来たのか、後輩達や同級生たちとよく交流している姿が目撃されていた。

 それでいて、実力は微塵も落ちることなく、ちゃんとレースでも勝ち続けているのだから恐れ入る。

 

(フウウンサイキさん……三冠ウマ娘になってからバストアップしてない…? もしかして…三冠を取る事がバストアップに繋がるのかッ!? そういえば、生徒会長やブライアンさん先輩も胸が大きいしな……)

 

 ンな訳ねーだろ。

 ひょっとして、それはギャグで言っているのか?

 いいえ、彼女は本気です。真剣です。

 

「しっかし、アウセンザイターの姉御が一緒にいるのも珍しいッスよね」

「そうか?」

「だって、去年の夏合宿じゃ海に到着した途端に『海の家』に直行して料理をしまくってたじゃないッスか」

「確かにそうだったが…あれから私も少し反省をしてな。少なくとも空いた時間などは海を堪能しようと思い至ったのさ」

 

 言うまでも無い事だが、アウセンザイターとダブルアールのスタイルは抜群で、その美貌はそこらのモデルなんて裸足で逃げ出すレベル。

 過去に一度だけ、ゴールドシチーに誘われて臨時の読者モデルをしたことがある二人だったが、その時は見事に二人並んで雑誌の表紙を飾ってみせた。

 だからこそ、ユニコーンは彼女達と張り合おうとは思わない。

 レースで勝負する事と、女として勝負する事はまた別問題なのだ。

 

「しかし、案ずることは無い。昼食時には我がブランシュタイン家秘伝のスパイスを使った極上のバーベキューを御馳走しようじゃないか」

「ワオ! それは今からベリーベリー楽しみネ!」

「全くだぜ! こりゃ、昼までに腹を空かしておかねぇとな!」

 

 こうして、運命(?)の夏合宿が始まったのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

 

 どう考えても異常と思えるような大きさのタイヤを引き砂浜を歩く。

 本当は走りたいのだが、流石にそれはどんなウマ娘でも不可能なので、一歩一歩確実に足を踏みしめるのだ。

 

「根性論…なんて…ボクらしくは…ないけれど…!」

 

 自分の拘りを気にしているような状況ではない事は、ユニコーン自身が誰よりも一番よく理解している。

 だからこそ、彼女は今まで自分がしてこなかったような特訓も進んで行っている。

 生半可な覚悟で『ファイナルアタック』を習得なんて出来る筈も無いのだから。

 

「ふぅ……少し休憩しよう……」

 

 腰に付けた紐を解き、近くにあったパラソルまで行ってから寝転ぶ。

 普段の彼女からは想像も出来ない姿だが、それだけ疲れている証拠でもあった。

 

「よくフウウンサイキさんがやってるのを見かけたけど…めちゃくちゃ足腰を酷使するんだな……あの人が強いのも納得するよ……」

 

 予め買っておいたドリンクを飲んでから水分補給。

 あと少しだけ続けてから、小休止後に息抜きも兼ねてからブラブラしようと決めた。

 だが、そんなユニコーンの予定は意外な珍客によって壊される。

 

「あら…コレは懐かしいですネ~! 久し振りにやってみようかしラ! うんしょっと……」

 

 いきなりやって来たパスチャーキングが巨大タイヤの紐を自分の腰に括り付けて、走る体勢になっているのだ。

 

「レディー……ゴー!!」

 

 そこから始まる、パスチャーキングの常識離れしたランニング。

 あのフウウンサイキやダブルアールですら苦戦する巨大タイヤを、あろうことか軽々と引っ張って普段と全く変わらない速度で砂浜を疾走しているのだ。

 

「アハハハハハハハハハハ! なんだかテンションが上がって来たワ! もっとSpeed upネ!」

 

 もう言葉も出ない。フウウンサイキやダブルアール、アウセンザイターも十分に桁違いだったが、パスチャーキングもまた常識では決して測れないレベルの実力の持ち主であることを改めて思い知る。

 

「ははは……相変わらず、パスチャーさんのパワーはとんでもないな……」

 

 ゴールドシップ、ナリタタイシンと並ぶ『追い込み』を最も得意とするウマ娘であるパスチャーキング。

 その実力の秘密の一端を垣間見たような気がした。

 

「やや! そこにいるのは、もしやユニコーンドリルさんですかっ!?」

「げっ……」

 

 この無駄に大きく元気な叫び声は、忘れたくても忘れない。

 ユニコーンが最も目指すべき目標にして壁であり、同時に最も苦手なウマ娘のサクラバクシンオーだ。

 

「そんな所で座ってどうしたのですか? もしや、お怪我でもなさったのですかッ!? だとしたら、委員長として放置はしておけません!! 中等部、高等部の違いは有れど、私が委員長である事には違いありませんから!」

「いや…ボクは普通に休憩をしてるだけですよ?」

「そうなのですか? ならば安心しました!」

 

 良くも悪くも一直線。バクシンオーと一緒にいるだけで精神的に凄く疲弊する。

 そんな彼女だが、スプリンターとしては間違いなく超一流。

 苦手と尊敬。そんな二つの感情が入り混じる、複雑な心境を抱えているのだ。

 

「そういえば、パーンさんから聞きましたよ! ユニコーンさんも今度のスプリンターズ・ステークスに出るそうですね!」

「あ…話しちゃったんだ。別にいいけど……」

 

 いずれは嫌でも知られる事なのだから、そこまでは気にしてはいない。

 けど、せめてバクシンオーには一番最後に知って欲しかった。

 だって、彼女がそんな事を一番最初に知ったりしたら……。

 

「またアナタと一緒に走れると思うと、今から楽しみで仕方がありません!! あぁ~…この興奮はどこにぶつけたらいいんですかぁ~!?」

「トレーニングにでもぶつけたらいいんじゃないんですか?」

「それもそうですね! 流石はユニコーンさん! ナイスアイデアです!」

 

 常日頃からこんなにもテンションが高くて、よく血管が切れないなと感心してしまう。

 いや…こんな性格をしているからこそ、短距離という刹那の戦場にてズバ抜けたスピードを出せるのか?

 

「あ~! ユニちゃんったら、こんな所にいた~!」

「カレンさん…と、他にもいる?」

 

 バクシンオーの次にやって来たのは、同室で友人のカレンチャンと、その後ろにはタイキシャトルとマルゼンスキー、ニシノフラワーも一緒にいる。

 どういう訳か、この場に今度のレースにて雌雄を決するメンバーが揃ってしまった。

 

(これ…どういう状況?)

 

 今年の夏合宿は、ユニコーンにとって去年以上に波乱を巻き起こしそうだった。

 レース前に集合してしまったライバルたち相手に、ユニコーンはどうするのだろうか?

 

 

 

 




【パスチャーキングの一コマ】

ウオッカ「なんか黒くでデカいのがスゲー速さで近づいてくるッ!?」
ダイワ「あれって、もしかしてトレーニング用のタイヤっ!? それを引っ張ってるのは……」
ウオ&ダイワ「パスチャーキング先輩ッ!?」
パスチャー「アハハハハハハハハハハハ!! まだまだイケるわヨ~!!」
ゴルシ「なんか面白そうなことをやってんな! アタシも混ぜろー!!」
ウオ&ダイワ「なんか増えたッ!?」

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