ユニコーンのレースの話が終わって、軽い燃え尽き症候群みたいになってました。
ですけど、これからは少しずつでもコッチも更新していきたいと思います。
終わりが全く見えないんですけどね…。
一応、次回以降は暫く、日常回を書こうと思っています。
史上稀に見る激戦を繰り広げたスプリンターズ・ステークス。
ターフの上ではライバル達だったウマ娘達も、一度そこを離れれば仲の良い学友へを戻っていく。
そんな彼女達が今いるのは、トレセン学園の食堂。
宣言通り、レースを頑張った彼女達に対し、労いの気持ちを込めてアウセンザイターが自慢の手料理を振るっているのだ。
食堂全体がウマ娘達で賑わっていて、その中心にいるのは勿論、今回のレースに出た少女達だった。
「いや~! まさか、あのメンバー相手に、あの距離で逆転してみせるとは思わんかったで! ホンマにようやったな! ユニコーン!」
「ありがとうございます。タマモクロス先輩」
カウンター席に今回の出走メンバーが座り、色んな面々からの言葉を受けている。
特に、驚異の末脚にてとてつもない大逆転劇をしてみせたユニコーンの注目度は凄まじかった。
「ユニコーンドリル。分かっているとは思うが、暫く休んだ後には私と走って貰うからな。忘れるなよ?」
「分かってますって、ブライアン先輩」
「あら! 私もいる事を忘れて貰っては困るわ!」
「キングヘイローか。いいだろう…二人纏めて掛かって来い! 相手が誰であろうとも、勝つのは私だ!」
「例え相手が三冠ウマ娘であっても関係ないわ! 真の一流の実力を見せつけるだけよ!」
いつの間にか、ユニコーンを余所にブライアンとキングの間で火花が散っていた。
何度も挫けても決して諦めないキングヘイローと、常に強者との戦いに飢えているナリタブライアン。
まだまだ実力の開きはあるが、将来的にはどうなるか分らない二人だ。
「おいおい…余りユニコーンを困らせるなよ。ブライアン」
「フッ…姉貴と言えど、今回ばかりは止められないぞ。あんなレースを見せられて、燃え上がらない方がおかしい」
「その気持ちは分かるが……」
珍しく興奮気味になっている妹を止める為に来たビワハヤヒデであるが、ブライアンの言葉で自分の方が止まってしまう。
彼女だって立派なウマ娘。あんなすばらしいレースを見せられて、何も感じない訳がない。
「はぁ…すまないな。ユニコーン」
「ボクなら大丈夫ですよ、ハヤヒデ先輩。今までにも似たような子がいたので、こーゆーのは慣れてるんで……」
「似たような子? あぁ……」
ユニコーンにいつも絡んで来ていたウマ娘と聞いて、最も印象深いのがツインターボだ。
何故かトウカイテイオーだけでなく、ユニコーンドリルの事も一方的にライバル視ししていて、彼女に勝つことを目標としている…らしい。
(ユニコーンの中では、ツインターボとブライアンは同格の扱いなのか…中身的な意味で)
チラッと横目でチームカノープスのメンバーが座っているテーブルを見ると、そのツインターボが口に付いたソースをナイスネイチャが拭いてあげていた。
(確かに…幼い頃のブライアンに似ているかもしれないな)
無邪気なツインターボの姿を見て、少しだけ懐かしい気持ちになった。
「ユニコーン! お前…マジでスゲェな!! まさか、バクシンオー先輩やマルゼン先輩達に勝っちまうとは思わなかったぜ!」
「あの末脚…凄かったわね。有り得ないぐらいの速度が出てたような気がするけど……」
「あれは文字通りの『ファイナルアタック』だからね。自分の体力を根こそぎ持っていくから」
レース直前まで心配してくれていたウオッカとスカーレットからも労いの言葉を受ける。
同じ中等部の仲間が短距離最速の称号を得たのだから、感慨深いのかもしれない。
「なにやら盛り上がっているようですが、ユニコーンさんに一番早くリベンジをするのは私です!」
「それは聞き捨てならないわね。バクシンオーちゃん」
「ユニコーンにリベンジをしたいのはユーだけじゃないんデスよ?」
「ちょわっ!? タイキさんとマルゼン先輩もご一緒ですかッ!?」
「「当然」」
再びユニコーンと走りたいと思っているのはキングたちだけではない。
バクシンオー達もまた、今回の雪辱を晴らしたいのだ。
それを律儀に聞き逃さないのがブライアンなわけで。
「ならば、全員纏めて相手してやる!」
「ブライアン……」
勝負熱に火が点いた妹を止める術はないのか…。
頭を抱えながらハヤヒデは溜息を吐いた。
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カウンター席から離れた場所にある席にて、キングを除いた黄金世代のウマ娘達が揃って座っていた。
その目は様々な感情を見せている。
「今日のユニちゃん…本当に凄かったですね」
「そーだね~。まさか、短距離であんな末脚を見せてくれるとは思わなかったよ」
「私も、ユニコーンさんと同じ『差し』ではありますけど…あれ程までの追い上げは難しいでしょうね…」
「まさに鬼気迫る走り…でしたネ。普段のユニちゃんからは想像も出来なかったデス…」
不屈の精神にて幾度となく立ち上がって来たキングとは違い、ここにいる彼女達は、まだ立ちはだかる大きな壁に対する気持ちの整理の仕方を余りよく知らない。
彼女達もこれまでに敗北を経験をしてはいるが、それでも『次こそは』という気持ちがまだあった。
だが、今回のユニコーンは全く違う。
ウマ娘としての本能が激しく叫ぶのだ。
『生半可なことでは、あの背中に追いつくことは愚か、影を踏む事すらも許されない』と。
「正直に言うとさ…ちょっちユニコーンの事を侮ってた」
「セイちゃん…?」
なんだか雰囲気の変わったセイウンスカイに、スペシャルウィークは目を丸くして振り向いた。
彼女の顔にはいつもの飄々とした笑みが消え、遠くのカウンター席にて賑やかにしているユニコーンの背中をじっと見つめている。
「別にあの子が弱いって言うつもりはない。実際、ユニコーンは他の距離でも好成績を残してるし、私達だってあの子に負けた事があるしね。だけど、流石に今回ばかりは分が悪すぎるって思った」
「約一年振りの短距離復帰に加え、相対するメンバーはサクラバクシンオーさんを筆頭とする最強スプリンター軍団…」
「まともに戦ったら…負けは確定ですネ……」
「ユニちゃんは…そんな人達に対して真っ向から挑んで…勝ってみせた」
あれは間違いなく歴史に名を残すレベルのレースだった。
たった一度のレースで、ユニコーンドリルは多くの人々とウマ娘達に鮮烈な記憶と記録を残してみせた。
「しかもさ…模擬レースとはいえ、キングはあれを間近で受けて、それでもまた挑もうって気になってるんだから凄いよ。普通に尊敬するね」
「なぁ~に生意気言ってんだ。ガキ共が」
ちょとだけ空気が重くなりつつあった彼女達の前に、コーラの入ったコップを持ったダブルアールがやって来た。
口元には何かのソースっぽいのが付いていることから、ついさっきまで何かを食っていたのだろう。
「あ…ダブルアール先輩。向こうは良いんですか?」
「同じチームだしな。祝う事ならいつでも出来るさ。それよりも、お前らだろ。なに気圧されてんだよ」
「あんな凄い走りを見せられたら、圧倒されるのも当然デース…」
「はぁ…んなの、お前らには関係ないだろ。つーか、これから先…お前達とユニコーンが一緒のレースに出る事は殆ど無いと思うぞ?」
「え? それはどういう意味ですか?」
自分達とユニコーンが一緒に走らない?
言っている意味が分からずに、思わずグラスワンダーが聞き返した。
「あいつ…ユニコーンはこれからは短距離一本で行くつもりらしい」
「「「えぇっ!?」」」
「わぉ…そう来たか…」
まさかの完全スプリンター転向宣言。
これまではマイルに短距離まで広く走っていただけに衝撃の発表だった。
「どうやら、今回のステークスに勝ってスプリンターとしての本能って奴を完全に思い出したらしい。『ボクはチームSRWの短距離代表として頑張っていくつもり』…らしいぜ? ったく…実力だけじゃなくて、その心まで大きく成長しやがった。こりゃ…バクシンオー達がリベンジするのは難しいかもしんねぇな。特に…ブライアンの奴も食っちまうかもしれねぇぞ」
「ブ…ブライアン先輩も?」
「あぁ…。アイツの実力はオレもよく知ってるからな。だからこそ言える事もある。多分だけど…今のユニコーンなら本気のブライアンとタメ張れるんじゃねぇか?」
三冠ウマ娘とほぼ互角に近い領域にまで至った。
嘗てブライアンに勝利し、本人もまたトレセン学園にて限りなく三冠ウマ娘に近い存在であるダブルアールの言葉だと、その説得力はかなり大きい。
「それよりも、お前らには他にも沢山のライバルがいるだろうが。ユニコーンにばかり目が行ってんじゃねぇよ」
「「「「…………」」」」
彼女が言っている事は何も間違ってない。
目の前の強大な壁にばかり注視していたら、横から来た他のライバル達に足を掬われる。
そんな事は本人達が一番よく理解している。
「って、んな事を話してたら、これまた面白い奴等がやってきやがった」
カウンター席の方を見て、なにやら楽しそうに笑うダブルアール。
そこには、ゴルシとカレンチャンの二人が近づきつつあった。
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ユニコーンが色んなメンバーから迫られていると、それをかき分けるようにして二人のウマ娘達がやって来た。
「おいユニコーン! なんだよ、あのめっちゃカッコいい末脚はよ! あれか? やっぱ普通じゃ考えられねぇような修行でもしたのか? 大岩を割ったりとか、大滝を逆流させたりとか、吹雪の中でスパーリングしたりとか!」
「いや…別にボクは聖なる闘士を目指してる訳じゃありませんから…」
「ちょっと! ユニちゃんはカレンの彼女なんだから、そんな風にくっつかないでくださいよゴルシ先輩!」
左側からゴルシが首に手を回すようにしてくっついてきたかと思ったら、今度は右からカレンが腕に抱き着いて来て自分の方に引き寄せる。
傍から見たら両手に花状態だが、ユニコーン自体も立派な花なので、普通に美少女達がじゃれ合っているようにしか見えない。
「あんたら! その辺にしてやんな! ユニコーンたちはレースで疲れてるんだからさ!」
「ヒシアマゾンさん……」
ここで待ったを掛けてくれたのが、さっきからアウセンザイターと一緒に料理を作っていたヒシアマゾン。
彼女もまたアウセンザイターの友であり、よく一緒に料理を作っている『料理友達』でもあった。
「フッ…仕方あるまい。それだけの走りをしてみせたのだ。皆から注目されるのは必然というものだ」
「そうかもしんないけどさ……」
「だからこそ、我等の料理で労うのだ。違うか? 我が友ヒシアマゾンよ」
「はぁ…アンタにそう言われちゃ、何も言い返せないじゃないか…」
ヒシアマゾンにとって、アウセンザイターは最強のライバルの一人であると同時に、尊敬するウマ娘の一人でもあった。
特に、料理の腕は誰よりも認めている。
「ならば、何か精の付くものでも食わせてやれ」
「フウウンサイキか」
今度は、ユニコーンよりも先に『扉の向こう』へと至ったフウウンサイキ。
格闘技をしているだけあって、体の事に関しても中々に詳しかったりする。
「今は兎に角、腹いっぱいに食ってからゆっくりと休む事だ。と言う訳だ、二人とも」
「承知した。ならば、『娼婦風スパゲティ―』などはどうだろうか? スパゲティーならば食べやすいだろうし、ニンニクも入っているから精もつく。どうだ?」
「ふむ…悪くないな」
「けど、あれって確か鷹の爪を入れてるから、割と辛くなかったっけ?」
「あ、それなら大丈夫ですよ? 寧ろ、辛いのは大好きですし」
「…だとさ」
「ならば問題あるまい。我らの手ですぐに作って来よう。行くぞ、友よ! 今が駆け抜ける時!!」
「いや…厨房の中を走っちゃダメだろ。あんたの事だから本当に走ったりはしないだろうけど」
急に張り切り出すアウセンザイターに対して的確なツッコミ。
この二人、意外と相性が良いのかもしれない。
「ユニコーン。これからお前も忙しくなるな。なんせ、あのメンバーの中で勝ってみせたんだ。今のお前は間違いなく、全国的にも注目されているだろう」
「うーん…あんまり自覚が無いです。ボクはボクなりの走りを全力でしただけですし……」
「だろうな。三冠を取った時の私も同じだったよ。だが、世間はそうは思わない」
「ですよね……ボク、取材とか苦手なんだけどな~…」
「私もだよ。こればかりは慣れるしかない」
これまでにもインタビュー自体は何回か受けた事はあるが、その時は簡単な質問が1・2回あっただけで、そこまで深い事は聞かれなかった。
だが、今度はそうはいかないだろう。
なんせ、自分が勝ったのは短距離最速を決める一番大きなGⅠであり、出走メンバーはバクシンオー達だ。
これで注目されない方がおかしい。
「ユニちゃん。なんだったら私が手取り足取りと教えてあげようか?」
「え? カレンさんが?」
「うん。取材なら今までにも沢山してきてるし。どんな風に答えればッてのは、なんとなく分かるよ?」
「それじゃあ…お願いしようかな?」
「お願いされました! 夫婦の初めての共同作業だね!」
「夫婦じゃないから。あと、別に共同作業じゃないから」
ここでちゃんとツッコんでおかないと、絶対に調子に乗るので忘れてはいけない。
なんだかんだ言って、ちゃんとカレンの扱い方が分かっているユニコーンだった。
チケゾーに色んなゲームをやらせてみたシリーズ
第一弾『チケゾーにアンダーテール(Pルート)をやらせてみた』
チケゾー「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん! よが…よが…よがっだよぉぉぉっ!」
タイシン「ちょ…また泣いてるの? つーか、何をやってんの?」
チケゾー「モンスターの皆も…ちゃんと外に出れて…うわぁぁんっ!!」
タイシン「モンスターが外にって何?」
チケゾー「特に最後の戦いのシーンとか最高すぎるよぉぉぉぉっ!!」
タイシン「あっそ……」
チケゾー「やっぱり…みんな仲良くが一番だよタイシィィィィィンっ!!」
タイシン「分かった! 分かったから泣きながらくっつかない!」