またどこかで誰かのレースを書けたらとは思いますが、まだ誰を走らせるかは考えていません。
激戦のスプリンターズ・ステークスがあった次の日。
今日は誰もが体を休める日曜日。
それはトレセン学園に通うウマ娘達も例外ではない。
友達と一緒に外に遊びに行く者もいれば、寮の自室でのんびりと過ごす者もいる。
それぞれ思い思いの休日を過ごしていた。
「ふわぁ~…まだ眠いや…」
「あははっ! ユニちゃんったら大きな欠伸してる!」
栗東寮の廊下を一緒に歩いているのは、先のレースにて大活躍をしたユニコーンドリルとカレンチャンの二人。
あれから本当に付き合っているのかは不明だが、今まで以上に仲良くはなっているようで、よく二人一緒にいるところを目撃されている。
「まだ完全に疲れが取れてないんだよ…」
「それなら二度寝とかすればよかったのに」
「いや、幾ら日曜日だからと言って生活リズムを崩すような事はしたくないんだよ」
「ユニちゃんえら~い! 流石はカレンのお姫様♡」
「それだと、カレンさんが王子様になっちゃうけど…」
「え? 別にお姫様同士がイチャイチャしてても問題無いんじゃない?」
「そーゆーものかな……」
未だにカレンの恋愛観が理解出来ていないユニコーン。
彼女はまだノーマルのままのようだ。
それも時間の問題かもしれないが。
「おや? これはまた丁度いい所に」
「「フジ先輩」」
道行く途中にて顔女達が出会ったのは、この栗東寮の寮長をしているフジキセキ。
ボーイッシュな性格や容姿とが相まって、学内でもかなりの人気を誇るウマ娘だ。
「ボク達がどうかしたんですか?」
「君達がというよりは、ユニコーンくんにかな」
「ユニちゃんにだけ…?」
まさか、フジ先輩もユニちゃんの魅力に気が付いて?
反射的にユニコーンの腕に抱き着き、渡すまいとアピールをする。
それを見てカレンが何を考えているのかすぐに察し、彼女を安心させるように笑顔を見せた。
「大丈夫だよ。君が考えているような事じゃないさ。実は、たづなさんがユニコーン君の事を呼んでいてね。なんでも、君宛の荷物が届いているらしい」
「ボク宛の荷物…? なんだろ…」
この時期に誰かから送られてくる物なんて全く想像がつかない。
そんな予定は無いし、連絡だってないから。
「兎に角、まずはたづなさんの所まで行ってみるといい」
「分かりました。まずは行ってみます。教えてくれてありがとうございました」
「カレンも一緒に行くからね」
「はいはい」
フジキセキに礼を言ってから、二人は寮の外へと向かっていく。
二人の後姿を見て、フジキセキは楽しそうな微笑みを浮かべた。
「あのレースからこっち、本当に仲睦まじくなったものだね。仲良きことは美しきかな」
・・・・・
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・・・
・・
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たづながいると思わしき場所に向かう為に、まずは校門の傍を経由しようと歩いていると、その途中で当人と出会う事が出来た。
「あっ! ユニコーンさん! よかったぁ~…」
「おはようございます、たづなさん」
「おはようございま~す!」
「おはようございます、ユニコーンさん。カレンさん。挨拶は良いんですが、それよりも…」
「ボク宛に荷物が届いてるんですよね? どこですか?」
「こちらです。量が多かったので、中に運んで貰ったんです」
「「量が多い?」」
一体全体何が送られてきたのか。
ユニコーンには皆目見当がつかない。
「まずはついて来て下さい。こっちです」
たづなに案内されてやって来たのは、校舎一階にある玄関ロビー。
そこには複数の大小さまざまな段ボールが並べられていた。
「ホント…なにこれ?」
「うわぁ~…一杯あるねぇ~」
「そうなんです。勝手に開ける訳にもいきませんから、まずはユニコーンさんに確認して貰おうと思って…」
「分かりました。けど、一体誰から……」
段ボールの側面を調べて何か無いかと見ていると、すぐにそれは見つかった。
「あ……これってまさか……」
差出人が掛かれた明細が張り付けられていて、そこには内容物も記載されていた。
それを見たユニコーンは、すぐに段ボールを封しているガムテープを剥がしてから開けた。
「やっぱりか……」
「何が入ってたの? あ…これって?」
そこに入っていたのは、大量の牛乳瓶。
勿論、ちゃんと中身は入っている。
瓶には『出雲牧場特製牛乳』と書かれたラベルが貼ってあった。
「牛乳?」
「うん…これ、ボクの友達の経営している牧場で作ってる牛乳。今までにも定期的に送られては来てたんだけど、こんな時期に送ってくるのは珍しいな…」
「それって、時々カレンにもくれる凄く美味しい牛乳?」
「その通り。美味しくて栄養満点。ん? なんか紙が入ってる…」
メッセージカードのような物を拾い上げ、中身を読んでみる。
すると、そこにはブルホーンからのお祝いのメッセージが書かれてあった。
『優勝おめでとう! これは、私からのお祝いのプレゼントだよ! 友達やチームの皆と仲良く飲んでね! ブルホーンより』
短い文章ではあったが、そこからはブルホーンの祝福する気持ちがきちんと伝わってきた。
メッセージを呼んで、自然とユニコーンの顔が笑顔になる。
「成る程…これは全部、ユニコーンさんへの祝勝プレゼントだったんですね」
「みたいです。ってことは、こっちは?」
少し小さめの箱を空けて中身を確認すると、今度は明らかに超高級そうなハンドバックやら腕時計やらが入っていた。
こんな事が出来るのは、データウェポンの中でも一人しかいない。
「ドラゴンさん…ちょっとやり過ぎ」
「すっごーい…これ全部、ブランド物じゃないの? しかも、かなり高級な」
「だと思う……」
流石に、これを持って登校は出来ないし、外出なんて論外だ。
この高級品詰め合わせは有り難く仕舞っておこう。
「この一番大きな箱には何が入ってるんでしょうか?」
「変な物じゃありませんように…」
一縷の望みを胸に箱を開けていく。
その中に入っていたのは……。
「ぬ…ぬいぐるみ?」
ディフォルメされたホワイトライオンの巨大なぬいぐるみだった。
その大きさ、ユニコーンの上半身ぐらい。
「か…可愛い~♡ 白いライオンのぬいぐるみだ~♡ すっごいふわふわ~♡」
ユニコーンが呆けている間にカレンが先にぬいぐるみを持ち上げて、そのフワフワな感触を堪能していた。
「白いライオン…レオちゃんか」
嘗ての自分と同じ白いライオンのぬいぐるみを送ってきた。
レオサークルが考えそうなことだ。
「…他のは部屋で開けた方がいいかもしれない」
フェニックスエールやキバストライカー辺りはまだ大丈夫かもしれないが、ガトリングボアやバイパーウィップとかは本当に何を送ってきたのか想像が出来ないから。
万が一にでも誰かに見られたら、その瞬間に黒歴史が生まれてしまう。
たづなにも、その旨を伝えてから、カレンと一緒に荷物を持ってから部屋へと戻って行くユニコーンだった。
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校門の前でジャージを着た状態で準備運動をしているフウウンサイキ。
休日でも一切体を動かさないという選択肢は無い彼女だった。
「これでよし…っと。しかし、別に私に付き合わなくてもいいんだぞ? オペラオー」
「ボクが好きで一緒に来てるんだ。気にしないでくれたまえ」
「お前がそこまで言うなら、別にいいか」
そんな彼女と一緒にジャージを着て準備運動をしていたのは、寮のルームメイトのテイエムオペラオー。
彼女も一緒にフウウンサイキの運動に参加するようだ。
「それに、物好きなのはボクだけではないようだしね」
「なんだって?」
オペラオーが寮の方を見ると、そこから同じようにジャージを着たウマ娘達が四人やって来た。
そのどれもが非常に見覚えのある顔ばかりだ。
「やぁ、フウウンサイキ君。私も御一緒させて貰おうか?」
「間に合ったようで良かったですわ」
「オレ達も一緒に行きます!」
「頑張ってついていきますから!」
「タキオンにマックイーン。ウオッカにスカーレットまで……」
四者四様にやる気は満々なようで、いつでも行けるといった感じだ。
特に、折角の日曜日にあのアグネスタキオンが来るとは思わなかった。
「それで、今日は何をする気なんだい?」
「別に大したことじゃない。昼まで学園の外周をランニングでもしようかと思ってな。午後からは普通に休むさ」
「ユニコーンさんのレースを見て火でも付きましたか?」
「フッ…そんな所だ。タキオンたちはもう準備運動は済ませているのか?」
「「「「勿論」」」」
「よし。ならば行くとするか。余りペースを上げずに行くぞ。今回はあくまで『軽い運動』のつもりで行くんだからな」
「「はい!」」
「了解だ」
「任せてくれ」
「承知しましたわ」
こうして、フウウンサイキを先頭にウマ娘達のランニングが始まった。
走っているのはいずれもが数多くのレースにて大活躍している猛者ばかり。
そんな彼女達が堂々と道を走れば、当然のように大衆の目に晒されるわけで。
道行く人々に注目されながらも、彼女達は真剣な顔でランニングをこなしていった。
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栗東寮内にある自販機前。
新入生であるキタサンブラックとサトノダイヤモンドの二人が並んで悩んでいる様子だった。
「どれにしよっか~ダイヤちゃん」
「私は、このオレンジジュースに…って、売り切れてる?」
「ありゃりゃ……」
何を買おうか悩んでいる二人の背後に、大きな人影が迫る。
彼女達のすぐ後ろまで来ると、二人に向かっていきなり話しかけた。
「悪いけどよ…何にするかまだ決まってないんなら、先にオレが買ってもいいか?」
「え? あ…ごめんなさい! って…えぇっ!?」
「こ…この人って、もしかして……」
後ろから手を伸ばして金を入れてから、缶コーヒー(微糖)のボタンを押してから商品を取り出した。
そこで初めて、自分が彼女達から見られている事に気が付く。
「ん? なんだ?」
「「チームSRWのダブルアール先輩っ!?」」
いきなり自分の名を叫んで何事かと思ったダブルアールは、一先ずは二人を近くに会ったベンチに座らせ、自分も彼女達の隣にドカっと座った。
「ほれ。オレからの奢りだ」
「え…えぇっ!? いいんですかっ!?」
「構いやしねぇよ。後輩なら後輩らしく、黙って先輩から奢られてろ」
「「あ…ありがとうございます!」」
キタサンブラックにはアイスココアを、サトノダイヤモンドにはカフェオレを手渡した。
ジュース系は殆ど売り切れていて、残っているのはコーヒー系か、もしくはそれに準ずる物ばかりだったのだ。
「しっかし、まさか入学したばかりの後輩にも名前が知れ渡っているとは、オレも有名になったもんだ」
「クラスの皆が先輩の事を話しているの聞いて、ダイヤちゃんと一緒に図書館で先輩のレースの映像を見てみたんです」
「ふーん…で、どうだったよ?」
「「本当に凄かったです!!」」
キタサンブラックはトウカイテイオーに、サトノダイヤモンドはメジロマックイーンに強い憧れを抱いてトレセン学園へと入学をした。
だが、実際に入学をして彼女達は知った。
憧れの二人以外にも凄いウマ娘が沢山いる事を。
今まで盲目的にテイオーとマックイーンばかりを見てきた彼女達には、その事実は鮮烈であり、同時に衝撃的でもあった。
「あんなにも雨が降っている中で全力疾走するなんて…信じられませんでした!」
「バ場最悪の状態で圧倒的な差をつけての一着…正直、最初は我が目を疑いました!」
「そっか。ま、地面がどうとかオレには関係ないんだよ。どんな時、どんな状況であっても常に全力を出す。それがオレだからな」
「「ほわぁ~…」」
八重歯を見せつつニヒルな笑顔を見せたダブルアールの横顔に、思わず二人は見入ってしまった。
遠くから見ていると『なんだか怖い先輩』といった印象の彼女だったが、実際にこうして話すと全く違った一面が垣間見えた気がした。
「そういや、お前らって確かテイオーとマックイーンに憧れてココに入ったんだろ?」
「し…知ってるんですか?」
「知ってるも何も、割と有名人だぞ? お前らの存在は。『テイオーとマックイーンの熱狂的な大ファンのウマ娘達が入学してきた』って」
「完全に初耳だ……」
まさか、そんな噂が広まっているとは。
これからは少し自重しようと反省する二人だった。
「テイオーの奴は知らねぇが、マックイーンなら少し前に外に行っちまったぞ」
「そ…そうなんですか?」
「あぁ。フウウンサイキがランニングに行くってんで、タキオンやウオッカ、スカーレットと一緒に付いて行ったみたいだ」
「フウウンサイキさんって…少し前に三冠ウマ娘になったって言う、あの…?」
「そ。そのフウウンサイキだ。オレのチームメイトで、頼りになるダチ公だ」
フウウンサイキの事は彼女達もよく知っていた。
ずっとテイオーが目指していた三冠ウマ娘になってみせたウマ娘。
見る者全てに圧倒的な強さと印象を叩きつけた、あのレースはキタサンブラックとサトノダイヤモンドにとっても忘れられないレースとなった。
「ったく…日曜日ぐらい大人しくしとけばいいのによ。相変わらずジッとしてるのが苦手な奴だよ」
「そうなんですか?」
「おう。少し前までは、よく山籠もりで修行とかしてたぐらいだしな」
「「山籠もりの修行ッ!?」」
そんなの、普通はフィクションでしか聞いたことが無い。
矢張り、三冠を取れるウマ娘ともなれば、それぐらいは普通にしなくてはいけないのだろうか?
「いや…一応言っておくけど、そんな事をしてんのはフウウンサイキの奴だけだからな? アウセンザイターの姉御やブライアン、シービーやルドルフ会長はんな事は全くしてねぇから」
「そうなんだ……」
ここで急いでフォローをするダブルアール。
ちゃんと言って聞かせなければ、後輩たちが夏休みに本気で山籠もりをしかねない。
そんな事をするのはフウウンサイキとゴルシだけで十分だ。
「あの…先輩にも憧れてる人っているんですか?」
「そりゃあ…な。憧れって言うか、いつか絶対に越えたいって思ってる奴ならいるよ」
「それって……」
「アウセンザイターの姉御とルドルフの会長だよ。ブライアンには前に一回勝ってるし、シービーの奴にも今なら勝てる自信がある。フウウンサイキは…微妙だな。暫く見ない間に劇的に強くなってやがった。五分五分って感じだ」
トレセン学園の生徒会長と、そんな彼女と互角の実力を持つ相手を目標にしている。
まだ入学したての二人には、まるで遠い世界の事のように聞こえた。
目の前にいるダブルアールだって、二人からしたら超絶的な実力者なのだ。
そんな彼女が越えたいと思っている存在。
名前や顔だけは知っているが、その実力は本当に未知数だった。
「なんつーかさ…あの二人だけはマジで別格なんだよ。どんだけ特訓しても、全く勝てるビジョンが見えやしねぇ」
徐にダブルアールが手を伸ばし、それを静かに睨みつける。
「こうして手を伸ばしても、あの二人の背中に全く届く気がしない。別次元すぎるんだ。伊達に、二人揃って7冠制覇なんて信じられないような偉業をやってないってことだな……」
「「ダブルアール先輩……」」
いつも強気な彼女にこんな表情をさせる。
改めて、自分達がどんな場所に入学したのかを思い知られた。
「…って、なんか変な話をしちまったな。ワリィ」
「いえ…そんな…」
「気にしてませんから。寧ろ、先輩のお話が聞けて良かったです」
「…そっか。お前ら、今日は暇か?」
「は…はい。私もダイヤちゃんもこれと言った予定はないですけど…」
「だったら、今からオレの部屋にでも来ねぇか?」
「「いいんですかっ!?」」
「当たり前だ。お前らとはなんか気が合いそうだしな。もっと色々と話したくなった。オレが知ってるテイオーやマックイーンの話なんかもしてやれるぜ」
「「是非ともお邪魔します!!」」
その後、二人はダブルアールの部屋まで行って、彼女から憧れの二人に関するいろんな話を聞かされた。
途中、買い物に出かけていた同室のエアシャカールが帰ってきたが、流石に後輩に対してはそこまで噛み付く事も無く、普通に彼女達の事をもてなしていた。
この日を境に、ダブルアールの傍によくキタサンブラックとサトノダイヤモンドが一緒にいる光景が目撃されるようになったとか、なんとか。
チケゾーに色んなゲームをやらせてみたシリーズ。
第二弾『チケゾーにFF10をやらせてみた』
チケゾー「うわぁぁぁぁぁぁぁん!! ジェクトさぁぁぁぁぁぁんっ!!」
タイシン「今度はまた何をやってるのさ…」
ハヤヒデ「チケットがゲームをやっているなんて珍しいな」
チケゾー「ぐすっ…。なんか急にお父さんに会いたくなった…」
タイシン「いきなりのホームシックって」
ハヤヒデ「一体どんなゲームなんだ…?」