我ら! チームSRW!   作:とんこつラーメン

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大晦日に引き続き、今回はお正月の話。

元旦と言えば初詣。

初詣と言えば…?







番外編 お正月は皆と一緒に

 空が青く、空気が澄みきった日本晴れ。

 最高のお正月日和となった本日。

 トレセン学園は数多くのウマ娘達によって非常に賑わっていた。

 

「よし…これで終わりだ。もう動いてもいいぞ、ウララ」

「わーい! ダブルちゃん、ありがと!」

 

 桃色の綺麗な晴れ着を着たウララが、満面の笑みを浮かべながらダブルアールにお礼を言った。

 そのダブルアールもまた、ウララと同じように青紫の晴れ着を着て、普段は伸ばしっぱなしにしている長髪を後頭部で纏めて簪を刺している。

 普段の彼女からは想像も出来ない程に女らしい格好となっていた。

 

「フウウンサイキ! そっちはどうだ?」

「こっちももうすぐ終わる」

 

 ダブルアールが声を掛けると、そこでは純白の晴れ着を着ているフウウンサイキが、ユニコーンドリルに青い晴れ着を着付けしていた。

 器用に帯を結び、最後に軽くポンポンと叩いてから無事に完了。

 

「完了だ。立ちっぱなしで大変だったろう」

「普段やってるレースやトレーニングに比べたら、これぐらい楽勝ですよ」

「ははは…それもそうだな」

 

 彼女達がいる場所はトレセン学園から与えられているチームルーム。

 流石に寺田トレーナーは席を外している。

 

「にしても、あの理事長も太っ腹だよな。まさか、在校生全員に晴れ着を用意するなんてな。どっから用意してんだ? つーか、どこにそんな金があるんだよ?」

「さぁな。秋川理事長の総資産は計り知れんよ。ポケットマネーだけでコースを作ったり、学園の運営費に当てているぐらいだしな」

「何気に謎が多いよな…あのロリっ子。でも、それ以上に驚いたのは…」

「あぁ……あれだな」

 

 二人が振り向くと、そこには黒と金で彩られた晴れ着を見事に着こなしているアウセンザイターが目にも止まらぬ手捌きで、パーンサロイドの緑と黄色の晴れ着の着付けをしている光景がそこにはあった。

 

「姉御ってさ…本当にドイツ出身…なんだよな…?」

「その筈だが……」

「幾らなんでも手馴れすぎだろ…どこまで万能なんだよ…」

「あいつに関しては深いツッコミは無しだ。ゴルシと同じだよ」

「ある意味じゃ同列だよな…複数の意味で」

 

 そうして話している間にも着付けは終了し、全く疲れた様子も無く二人の元までやって来た。

 

「そっちも終わったようだな」

「おう。姉御もご苦労さんっす。パーンだけじゃなくて、パスチャーの着付けまでしてくれてよ」

「チームリーダーだからな。これぐらいはお安い御用だ」

 

 三人の隣では、さっきまで着付けをして貰っていたパーンサロイドとハルウララ、ユニコーンドリルとパスチャーキングが楽しそうに談笑していた。

 因みに、パスチャーキングの晴れ着は赤と白のコントラストが眩しい感じに仕上がっている。

 

「ワオッ! 三人共、very very prettyネー!」

「パスチャーさんも、よくお似合いですよ」

「みんなで着物、楽しいね!」

「はい! お正月に晴れ着を着るなんて、私初めてです!」

 

 こうして、チームSRW全員が晴れ着に着替え、後は出発するだけ…のタイミングで部屋の扉が開かれた。

 

「おや? どうやら終わったみたいだね」

「「「「「「「トレーナー」」」」」」」

 

 いつもと全く変わらない服装の寺田トレーナのご登場。

 だが、その手には普段ならば決して持たない、お正月限定の『小さな袋』が複数握られていた。

 

「うんうん。みんな、とてもよく着こなしているね。凄く綺麗だよ」

「き…綺麗か…」

「どうして、おっさんはそう歯の浮くようなセリフを普通に言えるんだよ…」

 

 などと言いつつも、思い切り照れるダブルアール。

 ついでにフウウンサイキも顔を赤くして照れていた。

 

「そんな君達に…これをあげようじゃないか」

「それは…まさか?」

「お年玉だー!」

 

 寺田が言う前にウララが答えを言ってしまった。

 

「その通り。僕から君達へと送るお年玉だよ。遠慮なく受取ってくれ」

「「ありがとうございます!」」

「どうやら、太っ腹なのは理事長だけじゃなかったみたいだな。ありがとよ」

「Thank you! ありがとうございマース! trainer!」

「やったー! 何を買おうかなー?」

「新年早々、幸先がいい出だしだな。ありがとう」

「ありがとうございます。これでまたいい土産話が出来た」

 

 それぞれにぽち袋を受けとり、ユニコーンやダブルアールが試しに中身を確認してみる。

 中に入っていた金額を見て、二人は軽く目を見開いた。

 

「おいおい…マジかよ? こんなに貰っちまってもいいのか?」

「こんなに沢山貰ったの…本気で初めてかも…」

「大丈夫だよ。トレセン学園勤務のトレーナーの給料を見縊って貰っちゃ困る」

 

 そう言って胸を張る寺田であったが、体型のせいで実際に張っているのは腹になってしまった。

 

「そういや、沖野さんもチームメンバーに色々と御馳走をしていたな…」

「普通に気になってきたわネ…trainer達のSalaryが…」

 

 彼女達も、トレセン学園所属のトレーナーがかなりの高給取りなのは知っていたが、具体的な金額までは知らないでいた。

 だが、お年玉と言う形で具体的な指針が生まれてしまったため、逆に気になって来てしまった。

 

「お年玉も渡したし、そろそろ行くとしようか」

「そうですね。皆、準備はいいか?」

「おう! 問題無いっス!」

「いつでも行けるぞ」

 

 戸締りもして、忘れ物も無い。

 後はもう出かけるだけとなっている。

 

「よし。それでは行くとしようか…初詣に」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 部屋を出ると、そこにも沢山の晴れ着を着たウマ娘達が。

 そんな中で真っ先に目についたのは、皆から『黄金の世代』と呼ばれている個性豊かな仲良し五人組だった。

 

「着るのを手伝ってくれてありがとう。グラスちゃん」

「お役に立てたようで何よりです」

「流石はグラスデース! 見事な手捌きでしタ!」

「いやー…グラスもだけど、まさかキングも着付けが出来るなんてねー」

「一流たる者、これぐらいは出来て当然よ」

 

 スペシャルウィークは薄い桃色の晴れ着を。

 グラスワンダーは青い晴れ着を。

 エルコンドルパサーは真っ赤な晴れ着を。

 セイウンスカイは薄い水色の晴れ着を、

 キングヘイローは緑色の晴れ着をそれぞれに着こなしていた。

 

「おっ! お前らも着替えたのか!」

「ダブルアール先輩! 他の皆さんも! あけましておめでとうございます!」

「あぁ、おめっとさん」

 

 こちらに気が付いた五人は、早歩きで傍までやって来た。

 流石に格好が恰好なので走る事は難しいようだ。

 

「うわー…ダブルアール先輩…すっごく綺麗……」

「そ…そうか?」

「とてもよくお似合いですよ。フウウンサイキ先輩」

「君もな。グラスワンダー。素晴らしい着こなしだ」

「流石はエルの尊敬する先輩の一人のパスチャーキング先輩…眩しいデース…」

「あなたもとっても可愛いわよ? 晴れ着の時もマスクは外さないのネ…」

「アウセンザイター先輩はあれだねー。そうしてると増々、大人びて見えるねー」

「フッ…君の方も普段よりも大人びて見えるよ。セイウンスカイ」

「ウララさんも…変われば変わるものね…」

「キングちゃんも、とっても可愛いよ!」

 

 お互いがお互いを褒め合う、何とも言えない光景。

 それを寺田は微笑ましく眺めていた。

 

「お前達も今から初詣か?」

「はい! ってことは…チームSRWの皆さんも?」

「そうなんだ。折角だし、一緒に行かないか?」

「いいんですかッ!?」

「勿論だ。なぁ、トレーナー?」

 

 一応の確認を取るフウウンサイキではあったが、あの寺田がこんな事を断る訳も無く…。

 

「君達がそうしたいのなら、僕は全然OKだよ」

「だとさ」

「ありがとうございます!」

 

 こうして、一気に賑やかになった面々。

 改めて神社に向かおうとすると、なんだか周囲が騒がしくなったことに気が付いた。

 

「なんだ?」

「何かあったのかしら…?」

「あれじゃない?」

「「あれ?」」

 

 セイウンスカイが指さした方を皆で見ると、そこには彼女達と同様に晴れ着を着た三人のウマ娘達が。

 

「我が友シンボリルドルフに……」

「エアグルーヴとトウカイテイオーか」

「会長が来たのなら、この様子も納得ですね」

 

 ルドルフは薄い緑の晴れ着を、エアグルーヴは濃い青の晴れ着を着て、テイオーは自分の勝負服に合わせたのか青と白の晴れ着を着ている。

 彼女達を見ていると、向こうもこちらに気が付いて近寄ってきた。

 

「あけましておめでとう。ふふ…まさか、アウセンザイターの晴れ着姿を見れるなんてな」

「それはこちらの台詞だと言わせて貰おう。着付けは君がしたのか?」

「私とエアグルーヴでやったよ。そっちは?」

「私とフウウンサイキ、それからダブルアールの三人で行った。二人とも実に見事だった」

「彼女にそんなスキルがあったとはな…」

 

 学園の顔とも言うべき二人のウマ娘の晴れ着姿に、道行く他のウマ娘達が顔を赤くしながら見つめている。

 唯でさえ人気がある二人が晴れ着を着ているのだから、そりゃ注目されても不思議ではない。

 

「ダブルアールがちゃんと晴れ着を着こなしている……」

「そりゃ、どういう意味だ。こら」

「冗談だ。だが…似合いすぎじゃないか?」

「さっきから似たような事を連発で言われてんだけど…そこまでか?」

「あぁ…正直、これは冗談抜きで驚いている」

「これを機に、今年はもう少し女らしくしてみたらどうだ?」

「お前にだけは言われたくねぇよ、フウウンサイキ」

 

 片やオラオラ系ウマ娘。

 片や格闘家系ウマ娘。

 どっちも女らしさとは程遠い。

 スタイル抜群な美少女ではあるのに。

 

「しっかしよ…あれだな。会長と姉御が一緒に並んでるとよ…」

「お前が言いたい事は分かる」

「あれではまるで……」

(((『初詣』じゃなくて『成人式』って感じがするな…)))

 

 三人揃って心の中でツッコむ。

 それ程までに大人びているのが彼女達なのだ。

 

「スペちゃん達も晴れ着を着てるんだー! すっごくよく似合ってるね!」

「ありがとうございます。テイオーさんも似合ってますよ!」

「へへ…ありがと! けど、これって着るの難しいね~。一人じゃ何も出来なかったよー」

「ですよねー。私もグラスちゃんに手伝って貰って…」

「そうなんだー。ボクはね、会長に着付けて貰ったんだ! ユニちゃん達は?」

「ボクはフウウンサイキさんにして貰いました。ウララちゃんはダブルアールさんに、パスチャーさんとパーンさんはアウセンザイターさんにして貰ってました」

「フウウンサイキ先輩はともかく……」

「ダブルアール先輩が着付けの出来る方だったなんて…ウマ娘は見た目に寄りませんね」

「アウセンザイター先輩はもうあれだね。何が出来ても不思議じゃないねー」

「スカイさん。それを言っちゃ終わりよ」

 

 中等部の若々しいやり取りに、パスチャーキングが思わず一言。

 

「youngは良いわねぇ…。昔を思い出すワ…」

「パスチャー…高等部もまだまだ青春真っ盛りな時期だと思うぞ?」

 

 完全に近所のお姉さん目線になっていたパスチャーに対してエアグルーヴがツッコむ。

 もう完全に彼女はツッコミ役が定位置になっているようだ。

 

「やや? あそこにいるのは…メジロ家の方々じゃありませんか!」

「ホントだ! おーい!」

 

 少し遠くの所を並んで歩いていたメジロ家のウマ娘達を見つけたパーンとウララ。

 思わず声を上げて手を振ると、向こうも同じように手を振って返してくれた。

 

「流石は天下のメジロ家だな。晴れ着の着こなしも自然に出来てやがる」

「マックイーンにライアン、それからドーベルとパーマー。後は…」

「アルダンとブライトも一緒か。まさにメジロ家勢揃いだな」

 

 普段はそれぞれに別のチームに所属しているので、ああしている光景は余り目にしないが、だからこそメジロノウマ娘達が一堂に会している姿は非常に貴重とも言える。

 よくマックイーンとライアン、ドーベルの三人が一緒にいる光景は目撃されているのだが。

 

「あの方々も今から初詣に行くんでしょうか?」

「そうだと思うよ。ボク達と進行方向は一緒だし」

「じゃあ、向こうでマックイーンと一緒に回れるんだね!」

「そうなるな」

 

 メジロ家の面々を見て他のウマ娘達も初詣に行くために移動をし始めた。

 試しにスマホで時間を確かめてみると、着替え終えてからもう一時間近くが経過しようとしていた。

 

「もうこんな時間か。我々も、そろそろ本当に向かうか。君達はどうする? 我が友ルドルフ」

「私達も一緒に行こう。どうせ、行く場所は同じだ」

「それもそうか。では、参ろうか」

 

 アウセンザイターとシンボリルドルフを先頭にしてから、とんでもない一団が初詣に向かおうとする。

 見る者が見れば、間違いなく驚きで目を見開くようなメンバーばかりだ。

 実際、物陰に隠れている桃色の晴れ着を着ているアグネスデジタルが正月早々にまた尊死していた。

 

 こうして、皆揃って初詣に行くことになったチームSRWのメンバーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本当は初詣の様子も書きたかったけど、その前だけでお腹一杯に…。

新年から何やってんだ私は……。




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