プロローグ
フリーザによって、惑星ベジータが消滅したエイジ737。生き残ったサイヤ人はベジータ、ナッパ、ラディッツ、そしてカカロットの4人に絞られた。しかし、惑星ベジータが消滅する前、サイヤ人達を従えていた帝王・フリーザの影に隠れて過ごしていた弟がいた...
「コルド大王...次世代の後継者をそろそろお決めになられてはいかがですか?」
「無論だ。だが私の後を継げるのはフリーザしかいまい...フリジットは、とても戦闘では使えない。」
フリーザの父親のコルド大王は、自身の『悪の帝王』の後継者として、フリーザを指名した。それに伴い、もう1つ残酷な処分が下された。
「パパ、なんで僕はパパ達と一緒に行動できないの!?フリーザとは一緒に行動してるのに!」
「フリジット、貴様のような臆病な息子など一族の恥だ。どこかそこら辺の惑星で勝手に暮らすがいい...」
コルド大王には、もう1人の子供がいた。フリーザの弟にあたる、フリジットだ。
コルド大王の後継者は、兄・フリーザとなった。弟・フリジットは、生まれつきながら低い潜在能力と戦闘能力を評価されず、コルド大王に捨てられた。
「ひぐっ...えぐっ...」
幼いフリジットは、心に深い傷を抉られた。フリジットは、兵士たちの指示により宇宙船に乗り、惑星ベジータへと向かわされた。
「ちっ...フリーザの野郎...俺たちを奴隷か何かと勘違いしてやがる...」
「全くだ、フリーザめ...いつかサイヤ人達の力で、奴を倒そうぜ!」
「じょ、冗談抜かすな!フリーザ様の戦闘力は、サイヤ人達の力など遥かに超越してるんだぞ!?」
惑星ベジータでは、サイヤ人達が穏やかに暮らしていたが、その裏でフリーザ一族に対する憎しみを抱いているサイヤ人も多かった。
バタッ
「ひえっ...」
「ああ?なんだこのガキ!」
「おいおいこいつ、フリーザの弟だぜ!」
「確か、弟の方は戦闘センスがあまりにも低いために、惑星ベジータに送り込まれたとか...」
フリーザ軍は、戦闘能力の低いフリジットを戦闘民族であるサイヤ人達と共同生活を営ませることで、立派なフリーザ軍としての力を習得させようという狙いだったようだが...
バシッ バンッ
「いたっ、やめっ...」
「丁度いい、フリーザの野郎に顔も似てるし、サンドバッグにしてやろうか!」
「坊や、キツいお仕置きの時間だよ...!」
フリーザに似ている容姿からサイヤ人達の目に留まり、フリーザに好意を抱かないサイヤ人から、かなりの虐待を受けていた。日に日に体は弱まり、虐待はエスカレートしていくばかりだった。暫くして、フリジットは惑星フリーザへの帰還、そしてフリーザ軍への加入を願い出た。
「フリーザ...僕はあんな星は懲り懲りだ!いつもいつも理由をつけて虐められるんだ...いい加減フリーザ軍に入れてくれよ!」
「それは、君が弱いからじゃないの?フリジット?」
「なっ...」
「元より、落ちこぼれの君になんか何一つ期待してないんだよ!」
ピピッ
フリーザの一撃により、フリジットは完全に捨てられた。宇宙空間を彷徨い続け、遥か彼方『惑星プルーン』に辿り着いた後、フリーザやサイヤ人に復讐する為に、1人で猛特訓を続けた。
「これじゃ、フリーザ達には勝てっこない...」
だが、フリジットは端から戦闘能力が皆無な為、まともな特訓方法を見出すことができないのも当然だった。
「おっ、なんだぁ?困りごとか?お坊ちゃん」
すると、ガタイの強そうな巨大な男がフリジットに声をかけた。
「フリーザとサイヤ人ってのに復讐したいんだ...僕は奴らに複数人で虐められたんだ...」
「なっ、フリーザ!?あの宇宙の帝王か...もしかしてお前は...」
「僕はフリジット、フリーザの弟なんだ...」
驚愕の事実を知ったその男は、例え悪の帝王の弟であろうと、酷い待遇を受けてきたフリジットにチャンスを与えたい気持ちだった。しかし...
「なるほどな...生憎だが、サイヤ人達程度ならなんとかなれども、フリーザを相手にするには俺は愚か、この星の民族にはとても無理だ...」
当時、フリーザの力は宇宙中でもトップクラスであり、相手にするのはとても不可能だとされてきたのだ。
「だがな、この星はフリーザに目をつけられることもなく平穏だ。それに、フリーザには及ばずとも、強靭な力を持った連中ばかりだ。」
「だったら、僕に稽古をつけて欲しい!フリーザとサイヤ人にどうしてもこの手で復讐がしたいんだ...!」
「本当なら金銭を要求するところだが、お前の今までの待遇を考慮してそこら辺は全部パーにしてやる。」
「ありがとう...本当にありがとう!」
「俺の名はカイスだ...よろしくな...」
こうして、暫くの間はフリジットと惑星プルーンの巨漢、カイス一味との特訓で汗を流した。
ある時は...
「随分マシになってきたな、その調子だ!」
「今日はありがとう!モモ兄さん!」
またある時は...
「スピードは確かに良いんだけど、力強さが足りないね...もっと相手を押し倒すような力が...」
「ビワ、それお前が言えたことじゃないけどな。」
「ハッハッハッハ」
フリジットは、カイスの仲間である『モモ』『ビワ』とも共同生活をしていた。
カイス一味との猛特訓で鋼の体を手に入れたフリジット。だが、そんな生活をしている中で、復讐心も徐々に削がれていた。しかし...
ビッ
ピピッ ピピッ ピピッ
「ふ、フリーザだああああああ」
「フリーザ達が攻めてきた!!!」
「さ、サイヤ人もいる...!」
強大なパワーを醸し出していた惑星プルーンの民族の力を感じ取ったフリーザ軍の侵攻が始まったのだ。
「てめぇら!フリーザ様は貴様たちの存在を否定なさった!大人しくここで墓場に失せるんだな!」
ピュン
「うわあああああああああああああああああああああああ」
惑星プルーンは、あっという間に占領されかかっていた。だが、まだフリジットやカイス一味の存在は、気づかれていなかった。
「フリーザの野郎...サイヤ人達を連れて...もう許せない!」
「待て!フリジット!いくらお前が修行して強くなったと言っても、フリーザの相手にはならない!」
「でも!俺は!」
カイス一味との特訓で成長したフリジットでも、フリーザには敵わないと指摘されたのだ。フリジットの頭は、完全にフリーズした。
「これもやむなしだ。フリジット!ここにお前が乗ってきた1人用のPODがある!お前だけでも別の星に逃げるんだ!」
「でも!そんなことしたらカイス達が...」
「平気だよフリジット...自分の星の事は、自分達でなんとかするから...」
「そんな...」
「いつかお前がもっと強くなって、私達の仇を討ってくれ...」
「...」
フリジットは、受け入れられなかった...自分を救い、成長させてくれた3人を見捨てて逃げてしまうという事実を。
「安心しろ、俺たちはあんな奴らには負けはしねぇ!力ではともかく...俺たち惑星プルーン人の誇りだけは絶対に捨てない!」
ゲォォオオオオオオオオオオオ
「みんな...ごめん、死なないで...!」
フリジットは、3人の姿を眺めながら、惑星プルーンをPODで飛び去った。
その後、惑星プルーンの民族はフリーザ達により全滅させられた。フリジットは暫くの間、無人の小惑星でただ途方に暮れていた。
「俺が...全て...」
フリジットは、その後数年間食料の確保以外の作業を全くしていなかった。そんなある日のことだった...
ゲォォオオオオオオオオオオオ
「ぬお!?何だ!?」
1つの宇宙船が飛んできた。しかし、どこかフリジットにとって見覚えのあるような物だった。
シュー
「よっと、ここにフリジットが...」
「か、カイス!なんで!?」
全滅したはずの惑星プルーンの巨漢、カイスがフリジットの元へやってきた。
「フリーザ達によって、惑星プルーンを滅ぼされる前に俺たちも脱出を試みたんだが、緊急脱出用の宇宙船は1つしかなかったんだ...」
「じゃあ、モモ兄さんとビワ姉さんは...」
「亡くなった...生き残ったのは俺とお前だけだ。」
だがフリジットは、涙を呑んで事の終末を受け入れた。
「俺にも、フリーザやサイヤ人達に復讐する理由が出来た。奴らがフリーザ軍なら、我らはフリジット軍で対抗するぞ!」
カイスは、フリジットにゲキを入れた。フリジットにも気合いが入った。
「絶対に、仇を討つんだ...!」
こうして、フリジットとカイスは近くの星の有力な戦士達をスカウトし、フリーザ軍に対抗する為のフリジット軍を形成していた。
修行も怠る事なく、毎日出来る限りの事をし続けた。しかし、数十年後...フリーザは死んだ。そんなフリーザを倒したのは、サイヤ人だったのだ。
「孫...悟空...?」
「どうやら、奴ら生き残りのサイヤ人は地球に生息しているようだな。」
「フリーザがいなくなった今、俺が復讐を果たすべき相手は、サイヤ人だけだ。例え命に変えてでも...」
フリジットは、サイヤ人達への復讐を誓った。