音のヒーローアカデミア   作:いろはす/1roh4su

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第二話・俺と緑谷と個性把握テストォ!?

 雄英高校ヒーロー科。

個性を用いた犯罪をおこす(ヴィラン)から、市民を守るヒーロー達を養成するヒーロ―科の中でも、最も難しいといわれる超名門校。なんとその入試倍率は例年300を超えるとされる。その正体は一般入試の定員が38名、19人ずつでなんと2クラスしかないという頭がおかしいほど少ない定員故だ。

 

そんな入試に俺は合格した……わけなのだが。

 

「トータル成績最下位の物は見込みなしと判断し、除籍処分としよう」

 

ど う し て こ う な っ た。

 

 

 

 

 

 

時は遡り数十分前。

 

初日ということもあり余裕をもって家を出た俺だったが、道に迷ってしまって思ったより時間を取ってしまった。

とはいえ遅刻する心配なんて微塵も無く教室にたどり着けたわけだが。

 

「デカすぎるだろ……なんだこのドア、バリアフリーなのかな?」

 

雄英のあまりにも大きい教室のドアの前で俺は一人で立ち尽くしていた。

パシャリとスマートフォンのカメラ機能を使ってドアの写真を撮り、引き戸に手をかける。

……想像していたよりも軽い力で動いたな、このドア。滑りよくするテープでも貼ってあるのかな。

教室の中にはもうすでに人が数人いた。とはいっても全員揃っているわけではなさそうだ。空いてる席多いし。

どこに座ればいいのかなと机を眺めていると、何やら眼鏡をかけた真面目そうな人がこちらへ近づいてくるのが見えた。

 

「おはよう! ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉(いいだてんや)だ。よろしく頼む」

 

「ああ、これはどうもご丁寧に。俺は鹿利多中出身の響崎結弦。こちらこそよろしくね」

 

にしても聡明中ってかなりのエリート校じゃなかったっけ? 飯田って名前もどっかで聞いたことが……まいっか、いずれわかるだろ。

 

「響崎くん、席は右端から出席番号順になっているぞ」

 

「お、了解。ありがとね」

 

飯田に礼を言って自分の席に荷物を置く。ところでなんで入学式の持ち物に体操服があるんだろ。とりあえず持ってきたけどさ。

荷物を置いた俺は、とりあえず誰かと喋っておこうと思い席を立った。

するとガラと引き戸が開き、三白眼と耳たぶが特徴的な女子生徒が入ってきた。

 

「おはよーございます……ってあれ、響崎じゃん」

 

「耳郎! 受かってたのか!」

 

「あんたこそね。あの時は助かった、改めてありがと」

 

俺のほうこそ耳郎を助けたおかげで合格基準に届いたよ、なんてのは言わないほうがいいか。

そう思ったので俺はにこやかに微笑んで返す。

 

「そういや響崎、席ってどうなってんの?」

 

「出席番号順らしいよ。飯田……あそこの眼鏡の人が言ってた」

 

「オーソドックスな感じか……ってウチあんたの隣じゃん。縁があるね」

 

まじか、知ってる人が隣なら割と安心かも。

最初に声かけるときが一番緊張するから。

毎年毎年、仲良かった人と違うクラスになるせいで大変だったよ。教師たちは俺に恨みでもあるのかってくらいクラス離れるからさ…………泣いてないです。

 

「つかなんで今日体操服まで持ってこさせられたんだろ。入学式とガイダンスだけの予定じゃなかったっけ?」

 

「そのはずなんだけど……」

 

俺の席の近くで喋っていると、前の席に座っていた金髪のチャラそうな人が振り返って声をかけてきた。

 

「なんかレクリエーションでもやんじゃねえの? 流石に初日から授業ってことはねえだろうし。俺は上鳴電気(かみなりでんき)、よろしくな耳郎、響崎」

 

「どーも耳郎ですよろしく。つか盗み聞きしてたのか、趣味悪いねあんた」

 

「なんだよたまたま聞こえたんだよ! 仕方ねえだろ!」

 

唐突に始まった耳郎と上鳴の漫才に苦笑いしながら、上鳴をいじるためのセリフを考えていると、不意に声が響いた。

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

声のするほうを見ると、ドアの向こうに寝袋に入りながらゼリー飲料を一気飲みしている無精髭の生えただらしない男の人が寝ころんでいた。

 

なんか……いるぅ!!!

 

恐らくこの場にいる全員が似たようなことを考えただろう。

寝袋男はのっそりと立ち上がり、寝袋から出ながら口を開いた。

 

「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限君たちは合理性に欠くね」

 

先生だったのか……。

 

「担任の相澤消太(あいざわしょうた)だ。よろしくね」

 

担任だったのか……。

というか雄英の教師ってことはこの人もプロヒーロー? 見たことないぞこんなヒーロー。

チラっと隣を見て耳郎に知ってるかアイコンタクトを送ってみたけど首を横に振っている。

ってことは俺らが知らないだけかメディアに出たがらないアングラヒーローか?

どちらにせよこれからお世話になるならいずれは解ることだろう。

未だ困惑顔の俺たちを尻目に相澤先生は寝袋をガサゴソと漁り、中から体操服を取り出した。

 

「早速だが、体操服(コレ)きてグラウンドに出ろ」

 

入学初日にして俺たちは雄英の自由な校風について嫌というほど知ることになった。この学校では教師まで自由なんだな……。初日の予定なんて普通事前に伝えとくだろうに。

すたすたと一人先にグラウンドへ向かっていく相澤先生を見て、俺たちは更衣室へと向かった。

 

「にしてもいきなりグラウンドに集まれって……いったい何をするつもりなんだろうね」

 

「そうだな……しかしかの雄英の先生が言うことだ、何か理由があるのだろう」

 

飯田は見た目通り真面目のようだ。こういう人は自分の実力に慢心したりせずに高みを目指し続けるのだろう。

にしてもあの緑髪の人、受かってたんだな。会場は違かったからどんな個性なのかとかは全く分からないけど。

すると上鳴が何やら神妙そうな顔で問いかけてきた。

 

「つか響崎。お前こっち来ていいのか? 女子更衣室は反対側だぞ?」

 

……え?

 

「なにか問題ある?」

 

「いや俺らは別にいいんだけど……なあ?」

 

とそこにやたらとやたらとぎらついた眼をしたちっちゃい男子生徒が入り込んできた。

 

「オイラはむしろ大歓迎だけどな!!」

 

「はあ……」

 

歓迎されてるならいいのか……いいのか?

俺がどういう意味だと考えこんでいると飯田がすごい表情をして言った。

 

「問題しかないだろう!! 響崎くん、俺たちはもう高校生なんだぞ! 更衣室が分けられているのだからしっかりと()()()()()()更衣すべきだ!!!」

 

あっなるほど。多分こいつら俺のこと女子だと思ってるな?

3年間言われてなかったからすっかり忘れてたが、俺の容姿は中性的……というか女性的らしい。

生まれもった白髪碧眼、右目のそばに泣きボクロ、色白で男にしては長い髪の毛も相まって、俺は昔からよく女子に間違われてきたのだ。

少しでも男らしくなろうと左耳にピアスをつけたけど特に効果はなかったらしい。

 

「あー……何か勘違いしてるみたいだけど、俺はれっきとした男だよ。ちゃんと制服もズボン履いてるだろ?」

 

「「「え!?!?!?」」」

 

「おいまさか誰も気づいていなかったの!? 一人称俺なのに!? ズボン見えてなかったのかよお前ら!!!」

 

まさかの全員が驚くという事態に俺は大声をあげて抗議した。

 

「いや……ズボンは個性の都合なのかなって……思って」

 

「"オレっ娘"ってやつなのかなって……」

 

「す、すまない響崎くん……俺としたことが」

 

「まじでか……」

 

言われ慣れてるとはいえ流石に誰も気づいてなかったってのは結構……くるな……。

若干のダメージを負って俺は着替えを済ませ、グラウンドへ出た。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ今から"個性把握テスト"やるぞ」

 

体操服に着替え、グラウンドへ出た俺たちへ相澤先生がそう言った。

 

「個性把握……テストォ!?」

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間無いよ」

 

入学式を悠長な行事って……。まさか担任先導の下いきなり学校行事をすっぽかすだなんて思いもしなかった。

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

確かに雄英は自由な校風を売りにしている。俺だってピアスを付けているし、さっき更衣室で話した切島(きりしま)なんかは髪の毛を染めているそうだ。最も今や個性の影響で髪の色なんて千差万別だけど。

だとしてもこれは……若干、いやかなり"自由"の範囲を超えている気がする。

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学のころからやってるだろ? 個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない、まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

……仮にも教師が文科省の怠慢だとか言ってもいいんだろうか?

一応公務員だろ、ヒーローも教師も。

 

「実技入試成績のトップは爆豪(ばくごう)だったな。中学の時のソフトボール投げ何メートルだった?」

 

「67メートル」

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円からでなけりゃ何してもいい、早よ。思いっきりな」

 

まじかあの爆発ヘアーが入試トップだったのか。確かにバカみたいに仮想敵ぶっ倒してたもんなあ。

 

「んじゃまぁ……死ねえ!!!

 

…………死ね?

随分と物騒な掛け声で投げられたボールははるか彼方へと飛んでいき……。

 

「まず自分の"最大限"を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

相澤先生が見せた記録結果は……脅威の705.2メートル。

その瞬間、思わず皆が湧きたった。

 

「なんだこれ!! すげー()()()()!」

 

「705メートルってまじかよ!」

 

「個性思いっきり使えるんだ!! 流石ヒーロー科!!」

 

「面白そう……か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

相澤先生がにやりと笑った。

 

「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

 

まじかよ!? どう考えてもやりすぎ……。

 

「生徒の如何は先生(俺達)の自由。ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」

 

入学初日に、どでかい受難が来たもんだ……。

 

 

 

 

 

 

第1種目:50メートル走

 

『3秒04!』

 

早速飯田がとんでもないタイムをたたき出した。

スピード型の個性かな? ふくらはぎからマフラーみたいのが生えてるし、個性『バイク』……いや、『エンジン』とかか。

それにしても……音、溜まってないんですけど大丈夫ですかね、俺。

俺の個性は『蓄音』、音を蓄えることができ、蓄えた分だけ身体能力が向上する個性。

入試の時の様に蓄えた音を放つこともできるが、この場では使わないだろう。

つまり自分の番が来るまでにできるだけ音を蓄えておかなければいけないんだけど、実はあんまり蓄えれていない。音を蓄えるという個性なのだが、フルパワーで音を吸収すると何も聞こえなくなってしまうため、普段は一部しか吸収しておらず、あまり蓄えがないのだ。

だから他の人の番に集めておきたいんだけど……生憎俺は出席番号8番、すぐに出番が来てしまう。

仕方がないので50メートル走は今蓄えている音だけで勝負することにした。

そうこうしている間に出番だ。

 

『位置ニツイテ……ヨーイ…………START!』

 

全力で……走り抜ける!!!

全身に音を纏って駆け抜けろ!!!

 

『5秒34!』

 

「ふぅ……まああんまり蓄えてなかったしこんなもんだろ」

 

 

第2種目:握力

 

爆豪の爆破のおかげで音はある程度補給できた。

とは言っても微々たるものだが……。

 

「ふんぬぅ!!」

 

結果は……63キロ。いいだろう。

なんか一人万力使ってる人いたけど、あれはいいの?

 

 

第3種目:立ち幅跳び

 

「だらっしゃああああああああ!!!」

 

503.27センチ!!

 

 

第4種目:反復横跳び

 

「ふっふっふっふっ!!」

 

64回!

 

 

第5種目:ボール投げ

 

「いっけえええええ!!!!」

 

102メートル。音が足りてないな、こうなるならもっとためときゃ良かった。

 

次々とみんなが記録を出していく中、緑谷(みどりや)というらしいあの緑髪の男子はいまいち優れた記録が残せずにいた。

 

「大丈夫なのかな? あの緑谷って子」

 

「ああ、緑谷くんはこのままじゃマズいな」

 

「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」

 

俺と飯田が危惧していると爆豪が突っかかってくる。

 

「無個性!? 彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」

 

「は?」

 

「ん? 緑谷、入試の時になにかやったの?」

 

恐らく会場が違ったのだろう、そんな"成した"だなんて言われるようなことした人いた覚えがない。

 

「ああ、彼は入試の時に動けなくなった麗日くんを庇って、0P敵を一撃で粉砕したんだ」

 

「なっ!?」

 

「一撃……」

 

……の割には、成績が振るっていなさすぎる。何か発動条件でもあるのだろうか?

 

「46メートル」

 

「な……今確かに使おうって……」

 

「個性を消した。つくづくあの入試は……合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学できてしまう」

 

個性を……消した!? 個性を消す個性?

 

「消した……!! あのゴーグル……そうか! 抹消ヒーロー≪イレイザーヘッド≫!!!」

 

イレイザーヘッド……聞いたことはある。

仕事に差し支えるという理由でメディア露出を控えるアングラヒーロー。

 

「見たとこ……個性を制御できないんだろ? また()()()()になって、誰かに救けてもらうつもりだったか?」

 

個性を……制御できない?

 

「本当なのか飯田?」

 

「ああ、彼は入試で0Pを破壊した後、右腕と両足がバキバキになっていた」

 

まじかよ……。個性が制御できないなんてまるで発現したての幼児だ。

身体が耐え切れなくなるほどの反動を受けるせいで、幼少期に個性を容易に練習できなかった……とかか? 考えられる理由は。

 

「個性は戻した……。ボール投げは2回だ。とっとと済ませな」

 

「指導を受けていたようだが」

 

「除籍宣告だろ」

 

見ると緑谷はなにやら俯いて、ブツブツと呟いていた。

そして意を決したように振りかぶり……

 

SMASH(スマッシュ)!!」

 

投げた。

 

投げられたボールは先程の記録が嘘のように飛距離を伸ばし……落ちた。

記録は――705.3メートル。

 

「指先にだけ個性を使ったのか……!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()を。

緑谷の指は腫れあがってこそいるが、残りの測定に影響が出るほどじゃあない。

上手く考えたな。

 

「どーいうことだこらワケを言えデクてめぇ!!」

 

「うわああ!!!」

 

急に暴れ始めた爆豪に向かって相澤先生が首に巻いていた布のようなものを巻き付けた。

 

「ぐっ……んだこの布、固っ……!!」

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ"捕縛武器"だ。ったく何度も個性使わすなよ……俺はドライアイなんだ」

 

個性すごいのにもったいな!!

 

「時間がもったいない。次準備しろ」

 

その後、無事……何事も……無くは無かったが残りの3種目を終わらせた。

いやだって持久走でオートバイに乗る人がいるなんて思わないじゃん……。

思わず相澤先生のほう見ちゃったけど個性の範疇だから問題ないらしい。

 

「んじゃパパっと結果発表。トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

さて、最下位は免れてるといいが……。

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

……え?

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

「「「はああああああ!!!!??」」」

 

「あんなのウソに決まってるじゃない……ちょっと考えればわかりますわ……」

 

いや……ウソじゃない。おそらく相澤先生は()()()()()()()()本当に除籍するつもりだった。

開示された結果によると、俺は16位。最下位は緑谷。

緑谷があそこで腕を壊していれば……このクラスは20人になっていただろう。

 

なんつー担任だよ……ホント。

 

 

 

 

 

 

無事初日は終了して、下校時間になった。

玄関から出るところでトンと肩を叩かれた。

 

「よ、響崎。駅までなら一緒に帰らない?」

 

「耳郎。もちろん大歓迎だよ」

 

ちょっと待ってて急いで靴履き替えてくると下駄箱に戻っていった耳郎を眺めていると、飯田となにやらやたらと疲れている緑谷を見つけた。

 

「おーい緑谷! 指治ったのか?」

 

「あ、響崎くん……! うんリカバリーガールのおかげですっかり」

 

「それは良かった。かなり痛そうだったから」

 

無事でよかったけど、リカバリーガールほんとすごいな。こんな短時間で怪我を治すなんて。

駄弁っていると耳郎が駆け足で戻ってきた。

 

「響崎お待たせー……って緑谷と飯田じゃん。あんたらも今帰り?」

 

「えーっと、耳郎さんだよね? うん、僕達も今帰るところだよ」

 

「どーも耳郎です。つか緑谷、よく無事だったね」

 

「あはは、リカバリーガールのおかげで」

 

そのまま成り行きで4人で帰ることになり、歩き出した。

すると突然、飯田が顎に手を当て

 

「しかし相澤先生にはやられたよ。俺は「これが最高峰!」とか思ってしまった! 教師がウソで鼓舞するとは……」

 

「ウチもひやひやしたよ。ウチの個性、体力テストにはあんまり意味ないんだよね」

 

二人が今日の個性把握テストについての反省をしているとこちらへ向かう足音が聞こえてきた。

 

「おーい! 皆さん駅まで? 待ってー!」

 

あれは……ハンドボール∞の人。

 

「君は∞女子」

 

「ずいぶんストレートなあだ名だね飯田」

 

「女子の名前は早いとこ覚えといたほうが身のためだぞ?」

 

麗日お茶子(うららかおちゃこ)です! えっと飯田天哉くんに耳郎響香ちゃん、響崎結弦ちゃ……くんと緑谷……デクくん! だよね!!」

 

「デク!!?」

 

デクと呼ばれた緑谷がびっくりして目を見開いてる。

まあでも子供にデクって名前はちょっと……ダメでしょ。

てかおい麗日、君もか。

 

「え? だってテストの時爆豪って人が」

 

「あの……本名は出久(いずく)で……デクはかっちゃんがバカにして……」

 

「蔑称か」

 

「あんま褒められたもんじゃないよね」

 

かっちゃんって爆豪のことか……勝己(かつき)だっけか?

 

「えーそうなんだ!! ごめん!! でも"デク"って"頑張れ!!"って感じでなんか好きだ私」

 

「デクです」

 

「「「緑谷(くん)!?」」」

 

麗日の言葉に顔を赤くして即答する緑谷に三者三様に突っ込む飯田と耳郎と俺。

 

「浅いぞ!! 蔑称なんだろ!?」

 

「あんた……流石にそれはどうかと思うよ緑谷」

 

「ねじ切れんばかりの掌返しだね……」

 

「コペルニクス的転回……」

 

「コぺ?」

 

耳郎達と帰りながら俺は、これから彼らと歩む学園生活に思いを馳せていた。

これから様々な困難に直面するだろうっていうのはわかっているけど……友達ができたことくらいは素直に喜んでいいよね。

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