音のヒーローアカデミア   作:いろはす/1roh4su

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第八話・俺と騎馬戦とチア衣装!?

「それじゃこれより15分! チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

ミッドナイトの合図で各々がチームを決めるために動き出した。

 

さてと、俺もチームメンバーを集めなきゃな。

 

そう思い、とりあえず動こうとした俺に声が掛かった。

 

「響崎、組もうよ。ウチとあんたの個性なら相性いいし」

 

声をかけてきたのは耳郎。むしろこっちからお願いしようと思っていたほどだ。

USJの時に発覚したことだが、俺と耳郎の個性はすこぶる相性が良い。耳郎のイヤホンジャックを挿している間は、俺の弱点の一つである音の枯渇の心配がほぼ無くなる。そして第二種目は騎馬戦、基本的にチームメンバーとは離れることはない。つまり機動力の大幅な増強をデメリットなしで行使できるのだ。

 

「もちろんだよ。問題は後のメンバーだけど……」

 

個性の相性を考えるのであれば、A組のメンバーを誘うのが最も確実だろう。互いに個性はある程度把握済みで連携も取れる。

勝利の確率を上げるためにメンバーを考えていると、再び後ろから声を掛けられた。

 

「なあ、あんた。3位の人だよな?」

 

「え? うんそうだけど……」

 

返事をしながら振り返ろうとしたその時だった。

突然思考にモヤがかかったような感覚に襲われ、意識がだんだんと薄れていく。

 

まずい――これは、個性!?

 

抵抗しようと体に力を込めようとするも既に体の感覚がない。辛うじてうっすらと見える視界にはいつぞやの宣戦布告くん。近くには虚ろな目をした尾白もいて、宣戦布告くんのその顔はにやりと笑みを浮かべており、この状態は彼の個性によるものだということは容易に推測できた。

その視かいすらももやがかかり、なにもかんがえられな……いよに……。

 

「大丈夫? 響崎」

 

不意に肩に感じた衝撃と耳郎の心配する声で俺は急速に意識を取り戻した。

どうやら軽い衝撃でさっきの状態は解除されるらしい。

 

「今のって……」

 

「チッ……」

 

宣戦布告くんは舌打ちをして無言でその場を去ろうとする。が俺はそれを引き留める。

 

「待って! 今のって君の個性だよね? 良かったら俺達と組まない?」

 

「ちょ……響崎何言って」

 

「……は? 正気かアンタ。俺は今アンタらを利用しようとしてたんだぞ?」

 

何を言ってるのかわかっていない耳郎とバカじゃないのかと言いたげな表情を浮かべる彼。

 

「正気だよ。君の個性があれば勝ち進める。それに、目的の為なら他者を利用するのも一つの手だ。さっきのことは気にしてないよ」

 

唖然とした表情の彼に俺は続けて言葉をかける。

 

「それに君は、ヒーロー科に編入したいんだよね。なら、なりふり構ってる場合じゃないだろ?」

 

その言葉を聞いた彼は薄く笑みを浮かべてこう言った。

 

「そう……だな。なりふり構ってる場合じゃない。組んでくれるというならありがたい」

 

「ちょっとまって響崎、どういうことかちゃんと説明して」

 

そう言って話を遮った耳郎にさっきの出来事を簡単に説明する。それを聞いた耳郎は戸惑いながらも俺が考えていることを理解してくれたようだ。

その後、彼――心操人使(しんそうひとし)の個性を詳しく聞き、作戦を練った。それと試合開始前にしっかりと尾白の洗脳も解いてもらい、状況の説明をするとすぐに制限時間終了の合図がなってしまった。

 

『さぁ上げてけ鬨の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙を上げる!!!!』

 

プレゼント・マイクの合図で騎馬を組み、メンバーに声を掛ける。

 

「よし、作戦は大丈夫だなおまえら!」

 

「ああ」

 

「だいじょぶ。全くえげつない作戦立てるねあんた」

 

「お、俺も大丈夫だ。最初は驚いたけど、ここまで来たら勝利に貢献するよ」

 

俺の声に頼もしい返事をしてくれる3人。すると心操が550ポイントのハチマキを巻きながら、尾白に謝罪した。

 

「尾白、いきなり洗脳して済まなかった」

 

「……仕方ないよ。普通科の人は君しかいないんだから」

 

するとそこで再びプレゼント・マイクの声が響く。

 

『よぉーし組み終わったな!!? 準備はいいかなんて聞かねえぞ!! いくぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

騎馬の構成は右翼が尾白で左翼が俺、先頭が耳郎で騎手に心操といった構成だ。あらかじめ耳郎の右耳のプラグを俺に突き挿してある。

そして作戦は――。

 

『START!!』

 

「ひとまず作戦通り、序盤はひたすら回避だ」

 

「了解、舌噛むなよ!」

 

心操の指示で俺は個性による身体強化を70%で使用し、強化された腕力で無理やり自分以外を()()()()()()()()移動する。かなりバランスは悪いが、左翼右翼で身長差が出るほうがまずいと判断しての構成だ。仕方がないと割り切ろう。

3人分の重量を抱えているとはいえど、身体強化のおかげで回避するのはさほど難しくはない。心操も鉢巻を取ろうとはせず、回避に専念しているのも大きいだろう。

 

尾白が右側の攻撃を防ぎ、耳郎のプラグと俺の機動力を駆使して左側の攻撃を捌く。

心操にはひたすら相手の手を避けることに専念してもらい、なるべくヘイトを買わないように立ち回る。

極力目立たずに動け……!

 

 

そうしてハチマキを取ることも無く取られることも無く試合開始から7分が経過した。

 

『現在のランクを見てみよう! ……あら!!? ちょっと待てよコレ! A組緑谷以外パッとしてねえ……ってか爆豪あれ……!?』

 

モニターを見ると2~4位がB組の騎馬で埋まっている。これB組、多分クラスぐるみだな。第一種目の時に目立ってなかったのは情報収集の為か。

俺達の持ち点は変わらず、順位は615ポイントの轟チームに次いで6位。ここまでは計画通りに進んでいる。問題はここからだけど……。

 

「すこし轟の近くに来すぎた。少し距離を――ッ!?」

 

氷結の個性を使う轟を警戒し、距離を置こうとしたその時。八百万が何かを創造しているのに気づいた俺は、反射的にバックステップで距離を置いた。

 

刹那。

 

 

BZZZZZZT!!!

 

 

上鳴の放電が炸裂し、轟の騎馬の周囲にいた騎馬は感電し、動きを止めてしまった。

俺達は咄嗟に少し距離を置いたおかげで、電撃の範囲から逃れることができたようだが、まだ油断はできない。

 

「まずい、逃げるぞ」

 

心操の指示に従い、俺は急いで轟から距離を置く。

すると轟が冷気を棒に伝わらせて周囲の騎馬の動きを止めた。その氷はさっきまで俺達がいた場所まで侵食している。

 

「あっぶな! これ避けてなきゃ終わってたよ」

 

だがまだ早い。

 

「幸い轟は緑谷を狙うみたいだ。ここはもう少し回避に専念して残り1分で最終段階に移行しよう」

 

 

 

 

 

 

Side.鉄哲徹鐵(てつてつてつてつ)

 

「オラァ! ポイントゲットぉ!!」

 

骨抜(ほねぬき)が個性で柔らかくした地面に騎馬を拘束し、塩崎(しおざき)の個性でハチマキを奪い取る。という作戦がうまい具合に通ったのか、俺達は3位にまで上り詰めてきていた。

 

「鉄哲、制限時間残り45秒だ」

 

「わかってらぁ!」

 

骨抜にそう返しながら周囲を見渡す。するとさっきまで逃げ回ってた騎馬がこっちに向かって突っ込んでくるのが見えた。

騎手は目に隈のできた気だるげな奴、こないだA組に行った時にいた奴だ。両手を広げて突っ込んでくるそいつと手四つの状態になるも、腕力は俺の方が上だったようだ、ハチマキを奪い取ることに成功した。

 

「な、返してくれ!」

 

「返さねぇよ――ッ!?」

 

隈野郎の問いかけに答えた瞬間、頭にモヤがかかったみたいな感覚に陥る。視覚や聴覚が失われていき、体が言う事を聞かなくなった。

 

「――! ――――――」

 

「――――――――」

 

なかまたちがなにかいってるけど……なんていってるかききとれねえ。

 

混濁した意識の中、一言だけはっきりと聞こえた。

 

ハチマキを外して俺に渡せ

 

俺はその言葉に従って、自分のつけているハチマキを全て外して相手に渡す。

 

「ありがとな」

 

その瞬間、俺の意識は元に戻った。

 

 

 

 

 

 

Side.響崎結弦

 

 俺の考えた作戦はこうだ。まず序盤から中盤にかけて、ポイントを守りきる。そして終盤に高順位の騎馬にハチマキを奪わせ、油断させてから心操の個性『洗脳』でハチマキを確実に奪い取る。

……なんだか卑怯な気がしなくもないが、使えるものは何でも使う。ルールは破ってないし問題ない。

作戦通りに事は進み、心操が鉄哲からハチマキを受け取った直後。

 

 

『TIME UP!』

 

試合が終了した。騎馬を解体して、メンバーと勝利を喜び合う。

 

『早速上位4チーム見てみよか!! 1位、轟チーム!! 2位、爆豪チーム!! 3位、鉄て……アレェ!? オイ!!! 心操チーム!!? いつの間に逆転してたんだよオイオイ!!』

 

プレゼント・マイクの慌てたような声。どうやらノーマークだった俺達の騎馬がいつの間にか3位になっていることに驚いたらしい。

 

『そして4位、緑谷チーム!! 以上4組が最終種目へ……進出だああー!』

 

4位は緑谷のところか……。どうやら1000万は轟に奪われてしまったらしいが、緑谷が噴水の様に涙を流して喜んでいる様子が見えるのでまあ結果オーライという奴なのだろう。

決勝進出チームの発表を終えたプレゼント・マイクは昼休憩のアナウンスを入れる。

 

『一時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ! じゃあな!!! オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜ』

 

『寝る』

 

『ヒュー』

 

そういうやり取りはマイクをオフにしてからやれよ……。

 

 

「あー疲れた」

 

「響崎がいたチーム、なんか急に逆転してたよな。アレ何だったんだ?」

 

試合が終わり、退場中。近くにいた砂藤が俺に質問してきた。

俺は一応心操の個性については話さずに誤魔化した。

心操も最終種目に出場するのだ、あまり言いふらすのもよくないだろう。

 

というかこの戦いで思ったより音を使ってしまった。このままじゃ最終種目に影響するよなあ……。とりあえずダメもとで耳郎に頼んでみるか。

 

「じろーさんじろーさん、お昼食べながらでいいから音の補充させてくれない?」

 

「別にいいけど、実はヤオモモ達と一緒に食べる約束しちゃったんだよね……」

 

あれ、思ってたよりすんなり了承してくれた。

敵に塩を送ることになるから断られると思ってたのに。

そう言うと騎馬戦で勝てたのはあんたのおかげだからお礼だとのこと。優しさが身に染みるよ……。

 

「ヤオモモ、芦戸。お昼のことなんだけど、響崎も連れてっていい? こいつさっき個性使いすぎたから補充したいんだって」

 

「「そういう事ならもちろん(ですわ)!」」

 

耳郎が頼んでくれたおかげで女子達の席に混ざらせてもらえることになった。

……ほんとに俺がいて大丈夫? 俺刺されたりしない?

そんなことを考えていたからだろうか。

 

「二人には聞きたいこともあるしね……」

 

芦戸がぼそりと呟いた言葉を聞き逃してしまったのは。

 

 

 

 

 

 

「ずばり、二人はどんな関係なの!?」

 

「付き合ってるの!?」

 

場所は変わって食堂。耳郎に音の補充をしてもらうためにA組の女子達と昼食を取っていた俺は、耳郎はよく一緒にいるけどどんな関係なのかといった質問を受けた。

 

「ば、つ、付き合ってない!!」

 

それを聞いた耳郎が顔を真っ赤にして慌てた様子で答える。心なしかプラグから伝わってくる心音も速さを増している気がする。

 

「今は響崎に聞いてるの! で、どうなの?」

 

どうやら芦戸は耳郎ではなく俺から聞き出すつもりのようだ。

俺は仕方なく、唐揚げを口に運ぶのをやめて答える。

 

「別に付き合ってないよ。ただ入試の時から知り合ってたから、他の人に比べて話しやすくて。んで、喋ってるうちに意気投合したって感じ」

 

「へえーそうなんだ。絶対付き合ってると思ってたのになー」

 

と葉隠は表情こそ見えないが、すこし不服そうにそう言った。

芦戸も恋バナしたかったのにーと不満気だ。

恋バナは俺がいない時にやってほしいところだ。

 

その後も他愛のない話をしながら俺が唐揚げ定食を食べ終えると、後ろから肩を叩かれた。

 

「響崎、さっき緑谷が探してたぞ」

 

振り返るとそこにいたのは上鳴と峰田。二人に伝えてくれたことに対する感謝の言葉を述べて耳郎達に断りをいれ、緑谷がいたという場所へ向かう。

にしても俺を探してるって何の用だろう?

 

 

 

 

 

 

「おーい緑谷! 俺を探してたって上鳴から聞いてきたけど」

 

「え? 僕が響崎くんを?」

 

教えてもらった場所にいた緑谷には心当たりがないようだ。なにかと聞き間違えたのかな? 

どちらにせよ今からもどってもすぐに昼休憩が終わってしまうので緑谷と会場へと向かうことにする。

 

「そういや緑谷、最終種目進出おめでとう」

 

会場へと向かう途中、俺は緑谷に祝福の言葉をかける。

 

「あ、ありがとう! 響崎くんも進出おめでとう。頑張ろうね」

 

「まあ俺達戦うかもしれないわけだけどね」

 

「あはは……そうならないといいなあ。あ、もちろん負ける気はないけどね!?」

 

大慌てでそう訂正する緑谷にわかってるよと笑って答える。

 

相手が誰であろうと、全力で戦う。それが最大限の礼儀だ。

 

 

 

 

 

 

『最終種目発表の前に予選落ちの皆へ朗報だ! あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーションも用意してんのさ! 本場アメリカからのチアリーダーも呼んで一層盛り上げ……ん? アリャ?』

 

昼休憩が終了して生徒が続々と会場へ戻ってきた、わけなのだが……。

 

『なーにやってんだ……?』

 

『どーしたA組!!?』

 

俺の目の前にはなぜかチア衣装を着たA組女子の姿が。

 

……え?

 

「峰田さん上鳴さん!! 騙しましたわね!? ああ、何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私……」

 

そう言って落ち込んでしまう八百万。

峰田と上鳴の策略。つまりさっきの緑谷が俺を探してるって話もここに結び付くわけか。と普段の俺なら気づいていただろうが、今の俺はそれどころではなかった。

 

「アホだろアイツら……」

 

恥ずかしがりながらポンポンを地面に叩きつけるチア衣装の耳郎から目が離せない……!

 

ハッ! そ、そうだ写真……。

理由はわからないが今の姿の耳郎を写真に収めなければいけない気がする。

俺は震える手でスマホを取り出し、耳郎に向ける。くっそ鎮まれ俺の右手ッ……!

なんとか無理やり手の震えを抑え込み、俺はシャッターを切った。

 

『さァさァみんな楽しく競えよレクリエーション! それが終われば最終種目』

 

スマホをしまった後も耳郎から目を離せずにいたが、プレゼント・マイクのアナウンスで我に返った。

 

『進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!! 一対一のガチバトルだ!!』

 

「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります! レクに関しては進出者は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね」

 

「響崎、あんたレクリエーションどうする?」

 

「お、俺は出るつもりだけど……」

 

不意に耳郎が話しかけてきた。さっきまでジロジロと見ていたことに対する罪悪感や近くで見るチア衣装を着た耳郎の破壊力にどもりながらも出場の意を示す。

耳郎が不思議そうな顔をしているけど、お願いだから顔を覗き込まないでほしい。まともに顔を見れる気がしないから……!

 

「んじゃ1位チームから順に……」

 

「あの……! すみません」

 

不意に誰かがミッドナイトの話を遮った。

見ると手を挙げているのは尾白だった。

 

「俺……辞退します」

 

「尾白!? どうした急に!」

 

尾白の衝撃発言にざわつく会場。俺が理由を聞くと尾白は申し訳なさそうにこう言った。

 

「響崎と耳郎には感謝してるよ……。試合前に俺を正気に戻してくれたしね。……でも、これは俺のプライドの話なんだけど……、ここは皆が力を出し合い、争ってきた場なんだ。俺はこんな気持ちでこの場所に立ちたくない。きちんと自分の意志で取り組んで勝ち取った切符でこの場所に立ちたいんだ」

 

「尾白……」

 

尾白の辞退の申し出はミッドナイトにより承認された。尾白の棄権で空いた枠には最後まで頑張って上位をキープしていた鉄哲チームから、鉄哲が入ることになった。

残念だけど、尾白が自分の意志で決めたことなら俺達はそれに従うしかない。

 

そして決まったトーナメントの組み合わせ、俺の初陣の相手は――。

 

「上鳴……」

 

互いに個性が割れている相手だ。しっかりと作戦を練る必要があるな。




お気に入り50件感謝です!!

今回の話は出来があまり気に入ってないのでもしかしたらそのうち修正するかもです。
あとついにストックが切れましたのでモチベ向上のために感想頂けると嬉しいです。
質問やアドバイスなどもどしどし送ってやってください。

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