どうなる香修!
ー香取隊作戦室ー
「じゃあ、行ってくるわね♫」
上機嫌の葉子は個人ランク戦へ向かった
「アイツここんとこ休日はホント機嫌いいですよね華さん。」
若村は怪訝な面持ちでそう尋ねる
いつからだろうか、華は二年前のことを思い出す。葉子たちが彼の隊、三雲隊と初めて戦いそして大敗を喫した試合のことである。今でこそA級七位の三雲隊であるが、当時は前ラウンドでの惨敗で三雲隊はここまでかと思われていた。葉子は三雲隊を自分の隊と重ねたに違いない。
しかし、彼の隊は"進化"を恐れなかった。葉子は自分と彼を重ねていたからこそ、"進化"をした彼に苛立ちを覚えたのだと今では感じる。
あの試合から葉子、香取隊は確かに変わった。
ー二年前ー
玉駒第二との試合の数日後
「僕がそうすべきと思ったから...」
「あたしは…」
香取は三雲との戦闘中の会話を思い出していた
「葉子何か言ったか?」
若村が尋ねる
「なんでもないわ。」
「じゃあ、次の対戦相手の特徴を確認するぞ 」
三雲のあの発言は周りがそして彼女自身が思っている以上に彼女の心を揺さぶっていた。
(あたしは…)
香取はいつの間にか今まで考えたこともないことを考えていた
確かに香取は試合中イラついていたし暴言まがいの発言もしたが、三雲隊の実力は確かなものがあった
だからこそあの発言には説得力があったのだ
香取は三雲に自分を重ねていた
(あたしは…)
(あたしは今どうするべきなんだろう?)
「おい葉子聞いてるのか?」
(………)
「おい葉子!」
(って何!?何マジでアイツに言われたこと考えてんの!ホント
「バッカみたい」
あっと思った時にはもう遅かった、若村の眉間にシワが寄った
「オマエほんとに話聞いてんのか!?」
「だいたい葉子、オマエは試合中の言動といい荒すぎだ!!」
香取も負けじと言い返す
「なによ、あたしのプレイスタイルに文句があるって言いたいわけ!?」
「ああそうだ、少しは理性で動けって言ってるんだ!!」
「あっそ、理性で動いてもどうせアンタの頭じゃ、勝てっこないわよ!」
「ちょっと葉子ちゃん、それは言い過ぎなんじゃ、」
三浦が仲裁に入ろうとするが二人の喧嘩はヒートアップしていー
「ちょっと、」
珍しく染井が発言した その声は普通の大きさであるが、とてつもない語気を帯びていた 透き通るように声が響いた
「葉子、プレイスタイルはともかく "前回のランク戦" 三雲くんに色々言ってたよね、」
「な、なによ」
一瞬で静まり返った作戦室にたじろぐ香取
「ちゃんと、謝ったの?」
「えっ、なんであたー
「ちゃんと、謝ったの?」
とてつもない語気に気圧され折れる香取
「わかったわよ、今度謝っー
「今すぐに 行きなさい」
「はい」
もうこうなっては香取はいや、香取隊は華に従うしかなかった
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振り返るとあの日からである
葉子が三雲くんと毎週末個人ランク戦をやり始めたのは
「華さん?」
「ごめんなさい、ぼーっとしてたわ」
「…葉子のことだけど機嫌が悪いならともかく、機嫌が良いならいいんじゃない?」
「ですね、今期は二位も狙える位置に
あるんで葉子の調子は特に鍵ですから」
「そうね、ところで雄太が帰ってきたら三人でご飯でもどう?」
「えっ、もちろんです!」
染井は毎週末葉子が三雲とランク戦をやっていることが雄太にバレてはランク戦が危ういと考えて、週末は定期的にこうして三浦や若村を誘っているのだ
(やった!!今日は華さんとご飯が食べられる!!!)
当の若村はそれと知らず上機嫌である
とはいえチャンスには変わりはない
頑張れ!ジャクソン!!
ー個人ランク戦会場ー
「じゃあ、シューターの基本的な立ち回りについておさらいしようか」
「はい!お願いします!!」
そこには仲睦まじい様子で話し合うC級隊員と三雲修の姿があった
「何よりも基本は大切だかー
ドン!
次の瞬間吹っ飛ぶ三雲 修
トリオン体とはいえ壁に当たる鈍い音が響く
「修先輩!」
すかさずショートボブの後輩が駆け寄る
先ほど三雲と話していたC級隊員だ
なお、かなりカワイイ
「あの子ホンマ可愛いな!」
「そうすね、ちなみにイコさん
どういう状況か教えてもらえます?」
「なんや隠岐、
知らんかったんかいな、
ほな教えたる。」
「なんかいきなり香取ちゃんが
メガネにタックルかましよってな
・・・・そんな感じや!
あ、ちなみに
ナスカレー奢りやで!」
「なんや殆ど分かってないやないですか」
生駒隊の二人はさておき
当の香取というと
(なによ!名前で呼んじゃって!)
先に約束をしていたにも関わらず三雲を誰とも知らない後輩に取られたと感じた香取は不機嫌そのものだった
とはいえ十五分以上遅れて来た香取が言えたことではないのだが
「アタシそこのメガネと先約があるの、悪いけど、どいてもらえる?」
「ひぇっ、」
高圧的な香取にすっかり怯えてしまった
C級隊員
はたから見るとB級隊員が可愛い後輩をいじめているようにしか見えない
※実際似たようなことなのだが
「おい見ろよアレ、A級の三雲と
B級の香取がなんかやってるぞ」
既に出来つつあるギャラリー
「香取先輩、ちょっと落ち着いてください!僕に案があります!!」
焦る三雲、香取隊の染井からはメンバーと大ごとにならないようにと言われているのだ。主に香取とという意味であるのだが
「なによ、言い逃れしようってんの?
アタシにはそんなの通用しー
「いいから来てください、
キミもちょっといい?」
「あ、はい!私は大丈夫です。」
怯えるC級隊員のフォローも欠かさない、こういうところは三雲の評価が高い理由の一つでもあり、こういう一面に落とされてしまった隊員も少なくない
(なによ、そんなにその子が大事なわけ!?)
香取の不機嫌は更に悪化か?と思いきや
「じゃあ行きますよ香取先輩、」
三雲が香取を腕を組んで、引っ張って歩き出す
「ふぇっ」
腕を組んできた三雲に
[というかそうでもしないと香取は動かせないだろう]
俯き動揺を隠せない香取
(な、なによ!?こんなんでアタシの機嫌が直ると思ったら大間違いなんだからね!)
と言いつつも俯いた香取の頬は桜色になっている
(どうせアンタのことだからこういうことも全部無自覚なんでしょうけど、
……!だったら遠慮するだけ損じゃない)
自分よりも十センチほど高い彼に彼女は肩を寄せた
「……ちょっと痛い目見ればいいんだわ」
グイグイいこうと決心する香取
「香取先輩、確か今日はスパイダーの新しい使い方を覚えたから試したいという要件でしたよね」
歩きながら三雲が香取の顔を見て話す
彼女は見上げる
そして視線を外さない
(目、同じ色…)
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一瞬その瞳に引き込まれて
なんなのだろう、いつからなのだろう
自分でもわからないこの感情は
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「おっ?あれ三雲じゃね!?おーい三雲!」
米屋が遠くから近づいてくる
はっ!と我に帰る二人
「ていうか腕!離しなさいよね」
「すっ、すみません!」
のけ反る三雲の顔は赤面している
「なに?あたしの顔になんか付いてた?」
「い、いえ、なにも」
すっかりあがってしまっている
それを見て香取は
(いいザマね♫)
とても上機嫌である
ボソッ
「あの、"香取"先輩でしたっけ?」
C級の後輩が尋ねる
「なによ、やっぱりアタシの顔になー
「いえ、そうではなくて」
「なによ」
「……… 」
なんとなく
怒られそうで答えられない後輩
「だからなんなの?」
香取が迫る
恐る恐る後輩は答える
「大丈夫ですか?顔が、その…真っ赤……」
「………っ」
「おっ!香取もいるじゃん♫ていうか香取顔真っ赤だぞ!?大丈夫か?」
「なんでもありません!ていうか、なんで近づいてくるんですか?」
目がウルウルし始めている香取
そして傷つく可哀想な米屋
「あ、アンタたち!アタシは先行ってるから!!」
髪型も相まってゆでだこのように
真っ赤に染まった顔でそう言う香取
もう完全に涙目だ
「か、香取先輩!?あのどこ行くか、まだ言ってませんけど?」
「もういいから!」
いつもの彼女からは想像もつかない
眉が垂れて目には涙を浮かべる顔に
三雲は困惑気味
「ちょっ、香取先輩!?」
彼女は三雲の静止を振り切り
飛んでいった
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「おい三雲、 お前も隅におけねーなー♫
でも女の子を泣かせちゃダメだぜ。」
米屋が擦り寄る
「ほい、これやるよ」
差し出されたのは二枚のチケットだった
「それでどうにかしろ」
「エッどうにかしろって、僕がですか!?」
「普通お前以外にいねーだろ、」
「…………」
その通りである
「じゃあ俺はこの辺で、頑張れよ少年♫」
「なんか先輩大変そうなので、私ここでお暇しますね」
「え……」
完全に一人になってしまった三雲
次回!!どうなる香修!?
次回、修奮闘!