ボクっ娘薬師は勇者に媚薬を渡した【完結】   作:ボクッコスキー

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難しいことは考えず、スナック感覚でサクッとお楽しみください


ボクっ娘薬師は勇者に媚薬を渡した

 この物語を開いたばかりの君たちでもすぐに理解できるよう、簡潔に現状を説明しよう。

 

 ボクは勇者パーティーのヒーラー兼薬師のレニ・クロージック。勇者率いる僕らのパーティーは、人間の住まう土地へと侵攻を繰り返す魔族の親玉を倒し、帰路についているところだ。色々なものは犠牲にしたものの、なんとかメンバーに欠員を出すことなく旅が終わりそうなことにボクは安堵している。

 

 ボクらのパーティーは、勇者以外は女性で構成されたいわゆるハーレムパーティーであり、日々唯一の男性でもある勇者を取り合っている。ああ、ボクは例外というものだ。彼は人間族の中でも最強。実験対象として興味は尽きないからね。

 

 なに?もっと簡潔に?わがままだな君たちは。仕方がない。ここは古典に則して三行で説明してあげよう。

 

・勇者、魔王倒す

・ハーレムパーティー、いまだ争奪戦続く

・ボク、実験が進んでニッコリ

 

 まあこんなところだよ。これだけわかっていれば、以下の話も理解しやすいとボクは思うよ。

 

 

__________________

 

 

「やあ、こんな夜遅くに女の部屋にたずねてくるとは、ふしだらな男だね君は」

 

「いいだろ。おまえと俺の仲だ」

 

「はぁまったく。他の娘たちに聞かれたらボクの首が飛びかねないんだが?誤解を招きかねない発言は控えてくれたまえ」

 

 お風呂上がりのボクはコーヒー牛乳を片手に、部屋に入ってすぐのところで正座をしている彼を見下ろす。

 そう、この情けなさそうな男こそが、人間族最強戦力、魔族の王を討ち取った勇者である。

 

「それで、大した用もなく訪ねてきたわけではないだろう?」

 

「ああ、頼み事があってな」

 

 彼は言う。女をすぐに落とせるような媚薬が欲しいと。

 勇者という地位に実力、それほどのものがありながら媚薬までもお求めというわけだ。

 

「なるほど……」

 

「すまん……無理だよな。忘れてくれ」

 

 顎に手を当てたボクをみて彼はどうやら勘違いしたらしい。ボクには不可能だと思っているようだ。馬鹿にしないでほしい。ボクは世界最高の薬師だ。媚薬くらい作れるさ。ただ問題は……

 

「どんなものをお求めかな?」

 

「……は?」

 

「だからどういった媚薬を求めているんだい?まさか万能な媚薬があるとでも思うのかい?」

 

「いや、その詳しくなくてな……」

 

「まあそうだろうね。例えば……雰囲気を上げるだけのものから、1錠でべた惚れにさせる薬に、遊郭でも見ないほど敏感な娘にする薬など様々だよ」

 

「よくわからないな」

 

「まあ君は脳みその端まで戦闘のことばかり詰まっているからね」

 

「すまない」

 

「謝られるほどではないさ。現に君の戦果で人間族は救われたのだから」

 

 ボクは持ち込んだバックの中身から材料をいくつか取り出し、火を灯して煮込む。

 

「まあ、ボクに相談したことを褒めるべきかな」

 

「どういうことだ?」

 

「ボクは自分で言うのもなんだが天才だ。薬に関する分野は特にね」

 

「それは、俺もそう思うよ」

 

「はは、褒めても何もでないよ。それで、だ」

 

 煮汁に串をつけ、染み込ませれば完成だ。先の方にキャップをつけ、丁寧に布で包んで渡す。

 

「これは?」

 

「おっと扱いには気をつけたまえよ?君の意図しない相手に使うと大変なことになる」

 

「ええっと……どうやって使うんだ?」

 

「先端のキャップを外して対象に刺すだけさ。それで相手は呂律が回らなくなるほど発情し、抵抗する力すら失う。あとは押し倒すなりなんなりすれば、間違いなく一晩で対象は君のものだ。」

 

「そんな劇薬をどうして」

 

「なに、君は英雄だろう?未来の権力者に借りを作っておいたほうがいいと思ったまでだよ」

 

 それに、彼が誰を選ぶのかも気になる。幼馴染の剣士ちゃんかそれとも異国の格闘娘か、はたまた一番付き合いの短い魔法使いちゃんか。

 

「ほら、あまり長居しないでくれよ。たとえかわいい女の子からだとしても仲間から刺されるのだけは勘弁してほしいからね」

 

「ああ、わかった」

 

 彼が立ち上がったのをみて、ボクは背中を向けた。さて、彼が動くなら間違いなく今夜だろう。明日の朝が楽しみだ。フフッと笑いながら、ボクは火を吹き消した。

 

 

チクリ

 

 

 おや?この気持ちは何だろう。まさかこのボクが知らず識らずのうちに恋慕でも抱いていたのか?いや違うな。この気持ちは……そしてこの首筋に走るチクリとした感触は……

 

「……?おいおい君いったいにゃにをすりゅんだにぇ……」

 

 あっヤバい。薬が回って……

 

「すまんな、かわいい女の子ですらなくて」

 

 最後にみたのは、刺した串を投げ捨て、もう片方の手だけでボクをベッドに押し倒す彼の姿だった。

 




続き、待ってます(他力本願)
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