ボクっ娘薬師は勇者に媚薬を渡した【完結】   作:ボクッコスキー

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ボクッコスキーの声がだんだん遅れて聞こえてくるようになった今日この頃、こちらヤレヤレヤラレヤクスキーから皆様へ新作をお送りいたします。

現状の登場人物
ボクっ娘薬師:レニ  勇者:ウィル  幼馴染っ娘:アンナ
格闘娘:サラ  魔法使いちゃん:???


ボクっ娘薬師は格闘娘に媚薬を渡してしまった。

 やあ、また会えたね。もちろんボクは嬉しいよ。たとえ今、ボクが絶体絶命の状況にあろうとね。

 

「しかし珍しいな。サラとレニが二人で一緒にいるなんて」

 

「……実はナイショのオハナシをしてた」

 

「おっと、それじゃ邪魔だったか?」

 

 邪魔どころじゃない。ボクを殺したいのかこの勇者は。今すぐこの場を離れたいというのに、勇者はボクの腕を離そうとしない。

 

「ウィルにも話せない重大な内容」

 

「おいおい、仲間はずれかよ。そりゃ寂しいぜ」

 

 仲間はずれどころか仲間はずれを決めようとしているのだぞそこの猫は!ああもうまったく!

 

「なあ君、女同士でしか話せないこともあるだろう?内容を無理に聞くのはデリカシーのない行為だと弁えたまえ」

 

「言われてみりゃそっか。邪魔してすまん、俺は朝の鍛錬に行ってくるわ」

 

 全くあの男は……。まあこれでボクを遮るものはなくなったわけだ。ボクも格闘娘の前からお暇させてもらおう。

 

「ねえレニ。やっぱり私、コーヒーが飲みたい。あなたが淹れたものを」

 

 まあ、そうは問屋が卸さないわけである。

 

「ははは、全く仕方がないなぁ」

 

 ボクは踵を返して湯を沸かし始める。なぜ無抵抗か?君たちにはわからないかもしれないが、サラは今、戦闘時のみに使用する力を纏っている。そんな彼女の満面の笑みによるオネガイを、ボクがきかないわけにはいかないだろう?

 

「ほら、コーヒーだよ。ああ、安心してくれたまえ。今回は薬は入れてないからね」

 

「……今回は」

 

「あはは、そこは触れない方向でお願いするよ」

 

 今まで何の薬を試してきたかは、ボクが墓まで持っていくつもりである。なにせなかなか会えない異人族。研究対象として興味がそそられるのは仕方ないだろう?

 

「……熱い」

 

「冷めるまでゆっくり待ちたまえ」

 

「じゃあ話そう」

 

「うっ……」

 

 ボクは頭脳をフル回転させ、生きのこる道を模索する。

 

「……わかった。でもまずはボクの話を聞いてほしい。あとは煮るなり焼くなり好きにしてくれよ」

 

 こくりと頷いたのを見てボクは言葉を続ける。

 

「そもそも、今回の件に関してはもらい事故なんだ。残念ながら今回の件にボクの意思は存在していないんだよ」

 

「じゃあレニはウィルのこと好きじゃないの?」

 

「まあ、ボクからすれば良い実験対象くらいの価値しかないね」

 

「ふーん、でも夜を一緒に過ごしたんだ」

 

「だからそこにボクの意思はないと言ったばかりだろう?ほら、これだ」

 

 ボクは2度も自分に突き刺さった串を見せる。無論、媚薬成分は無効化済だ。

 

「……それ」

 

「うん?」

 

「それ、ちょうだい」

 

「残念ながら効果はもうないよ」

 

「じゃあ作って。今日の夜までに」

 

「おいおい、何をするつもりだい?」

 

「……ウィルに突き刺して、私を襲ってもらう」

 

 サラはそう言いながら、自分の体を見下ろした。

 

「私はレニやアンナみたいに綺麗じゃないから……」

 

 確かに発育という面では、年齢の低い彼女が不利だ。

 

「おすすめはしないよ?なにせ劇薬だ」

 

「くれないなら……メンバー全員を殺してウィルと逃げる」

 

「ウィルは望まないだろうね」

 

「男一人くらいなら、担いで帰れる」

 

 なんともまあ、これが嘘偽りではないのだから異人族は恐ろしい。

 

「まあ、流石にボクや他の皆を殺されるのは勘弁願いたい。そこまでいうなら作ろうじゃないか」

 

 幸い前回の残りがあるので、作るのにそれほど手間はかからない。まだこの毒は男性での実験が済んでいなかったし、ちょうどいいだろう。まったく、今夜は眠れなくなりそうだ。

 

 

____________________

 

 

「これが……」

 

「くれぐれも自分が飲まないように気をつけるんだよ。勇者用に調整した特別仕様だ。常人が服用した際の効果は分からない」

 

「うん……それじゃあ行ってくる」

 

 そう言ってサラは瓶を抱えて部屋から出ていく。串じゃないのかって?流石に前回と同じ轍は踏まないさ。少し触れてしまうだけで効果がある危険物はやめて、今回は飲料物にした。勇者には、サラから大事な話があると伝えておいたし、うまくことが運べば二人は今夜、一緒になるだろう。

 

 さて、後片付けを済ませて観察しに行こうと思ったがどうやら眠い。まあそれもそうか、今日は一日中この薬を作っていたのだから。

 思わず机に突っ伏して寝てしまったのが、私の最後の失態だった。最初の失態?まあいずれわかるさ。

 

 

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コンコン

 

 控えめなノックの音で目が覚める。どうやら机で寝てしまっていたようだ。真夜中で月明かりだけが部屋の中を照らしていた。

 

 こんな夜中に誰だいまったく……寝ているふりをしようか

 

 

コンコンコンコン

 

 

 先ほどよりも強くノックされる。どうやら緊急の用があるらしい。だがボクは眠い。明日の朝出直してくることだ。

 

 

コンコン、ゴンゴン、ガンガンガン

 

「お願い開けて!助けてレニ!謝るから!お願いだから!」

 

「……サラ?」

 

 聞いたことのない様子の声に、ボクは飛び起きて扉を開ける。

 

 扉が開け離れた瞬間、格闘娘が部屋に飛び込んでくる。レースでスケスケなネグリジェ姿の格闘娘は、いろんな汁を撒き散らしながら私に抱きついてくる。

 

「た、助かった……ごめんなさいごめんなさい」

 

 まるで幼児の様に繰り返す彼女の現状を見るに、どうやら想定していた中で最悪の状況らしい。そして彼女がここにきたということは……だ。

 

「や、やぁ勇者くん。良い月夜だと思わないかい?」

 

「グルルルル」

 

 どうやら彼は人間の理性すら失ってしまったらしい。そしてその目は、ボクの腰に抱きついたままの彼女しか映っていない。

 

 あーその……

 

「すまないサラ、どうやら薬が効きすぎたみたいだ」

 

「も、もう無理ぃ……」

 

 今回は自分の薬開発に興がのったツケだと割り切るしかないだろう。それに、派遣されてきた王女を壊されては困る。

 

「なぁ、言葉も忘れてしまったケモノさん」

 

「グルルルル」

 

「こんな貧相な発育の娘はやめてボクにしとかないかい?」

 

 標的が格闘娘からボクへと変わった後の話は、するまでもないだろう。

 




感想等いつも増えてるから記念パピコ、評価ニキたちもセンキューベリマッ
ちなみにボクっ娘の発育は偏差値55くらい
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