クリスマスに配達をしたくなかった   作:かりん2022

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続きました。でも後一話くらいで終わると思います。
誤字報告、感想、お気に入り、評価、ありがとうございます!


やったね傑ちゃん! 社畜に戻れるよ!

「悟! ついていい嘘と悪い嘘がないかい!?」

「黙ってていいことと悪いことがあんだろ」

「私はいいんだよ、呪詛師だし!」「はぁ!?」

 

 悟が睨み、傑は目をそらす。

 

「……はぁ。仕切り直そーぜ。言わねーの? 悟助けてって」

 

 ガシガシと頭をかきながら、悟が渋々と言い出す。本当は、傑から、傑に言ってほしかった。いつだって。しかし、返ってきたのは望んだ答えではなかった。

 

「そしたら、ちゃんと殺して火葬してくれるかい?」

「それ、どうしても俺にさせてーの? 俺のこと好きすぎじゃん」

 

 ため息を吐く。どうして自分に殺させたがるのか。自分で死ぬってのはなかったのだろうか?

 

「家族にスパイがいるかもと思うとね。私の身体を守りきれるかというのも微妙だし。私が心から信じるのは、君だけだよ。悟」

「……やっぱり俺のこと、好きすぎじゃん。そうじゃなくて、さ。俺じゃそんなに信用できないか? 親友一人守れないって思うか?」

 

 信頼は嬉しい。けれど、それじゃ足りない。全然足りない。

 

「あ、単純に私がもう人の中で生活するのが無理なんだ。非術師に対する拒否反応が酷いし、言葉が聞こえがたいし、もう無理を超えた無理。私はもう呪詛師以外になれないし、死刑は妥当だよ。大義で誤魔化してたけど、そこは断言するね」

「言えよ! そうなる前に!!」

「一気に症状出たしねぇ。それと同時に、村でやらかしちゃったし。そこはごめん。判断力も落ちてたんだよ、今思えば」

「それもメロンパンってやつの差し金だったのか?」

「さあ? 普通に忙しくて折れちゃっただけって気もするし。私、限界まで頑張ってポッキリ行くタイプだったみたい」

 

 傑は何でもないように肩を竦める。悟は、諦めて言葉を変えた。当然、監視はされている。呪術師復帰は絶望的だと、本人に断言されてしまった。

 

「そういえば、傑メロンパンだけは大嫌いだったよな。視界に入れるのも嫌って感じで。その頃から、メロンパンってやつについて知ってたのか? どうやって?」

「言ったら頭おかしいって言われるから嫌だ」

「この期に及んでそれ言うか」

「まあ、証拠は一応、纏めてある。私の身体に……」

「埋め込んでたやつだろ。服を改めて拘束した時に、妙な傷があったから調べたら、中にUSBがあった。よっぽど警戒してたんだな。とっくにコピーして配布済み」

「君には個人情報保護法という概念はないのかい?」

「東京壊滅の情報を直前まで温めてたテメーが言うな」

「でも、それなら私から言えることはなにもないよ。全部あそこに書いてあるからね。私としては、メロンパンにどうこうされる前に死刑にしてほしいなぁ」

「証言とってからに決まってんだろ」

「それにしたって、資料を調べてからにしたら? 私の監視が必要だっていうなら……悟のことを少し話してよ。教師として何してるかとかさ。私も、死刑になるまでメロンパンから悟が守ってくれてるって思えば、安心だし」

「……どうしても、俺の隣は嫌か?」

「メロンパンと戦うのが嫌なんだってば。正直に言えば、さっさと死に逃げしたい」

 

 それから、他愛のない話をして。部屋においてあった端末に、データがダウンロードされた。伊地知が裏とりして纏めたデータが送られたのだ。

 それと同時に、上層部から電話が来る。

 

「傑。秘匿死刑に執行猶予がついたよ。僕と縛りを結んで、メロンパン退治に専念してもらう」

 

 傑は絶望した。

 

「ぶっは、何その顔w 良かったじゃん。執行猶予で」

「良くない。良くない。良くない。1000年暗躍してそうな妖怪メロンパンに戦って勝てるわけがない」

「僕達最強だから、大丈夫だって」

「知らないから言えるんだ!」

「知ってて言ってんだよ。最低でも、加茂家最悪の呪詛師だった男だろ。ずる賢い分、宿儺よりも危険度が上なことも調べがついてる。それがどうしたんだよ」

 

 傑はぐっと黙る。そして、言葉を絞り出す。

 

「……無理だ」「無理じゃない。やるまえから諦めんなよ、傑。っていうか、呪術界ってそういうの許される業界じゃないだろ」「だから逃げたのに……」「逃さねぇよ」

 

 沈黙が降りる。

 

「……私は、縛りなんて結ばないぞ。勝手に死刑でもなんでもすればいい」

「なわけねーだろ。やるって言うまで拷問されるわ」

「……結ばない」

 

 

 

 

 

 

 

 呪術師の拷問は悪辣である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊地知は、出てきた最強二人にホッとした。

 

「縛りを結んでくださったんですね、良かった」

 

 なにせ東京壊滅の危機である。最強の片割れが泣いているのは許容範囲です。

 伊地知は、二人を会議場へと連れて行く。

 

「大体の裏は取れました。上層部の皆様も、心当たりを当たってくださるそうです。特に加茂家が乗っ取られた先祖の名誉を取り戻すためということで、乗り気になってくださってます。……大丈夫です。メロンパンに侵食はされていたかもしれませんが、自浄出来ます。夏油さんが必死になって集めてくれた資料は、無駄にはしません。でも、何故気づいたのか。どうして知ったのかわからない情報が多くあります。教えて下さい」

 

 夏油は口を開き、閉じる。

 縛りを結んだ五条がいるため、逆らうのも不可能だ。

 諦めて、ためらいの後に答えた。

 

「夢を、見るんだ。毎日、女の子に会う。幼い時から、ずっと。その子、凄くいじめっ子で、私を虐めるんだ。やーいメロンパン入れーって。その子から、聞いた。毎夜毎夜、私がどういう風に死んで、どういう風に死体が弄ばれるか。薄い本になるぞ、絶対なるぞって誂いや脅しも受けた」

「なんだよ、それ」

「知らないよ。でも、その子が起こると言った事は必ず起こったし、裏取りをすれば確かにそうだったんだ」

「だれなんだよ、そいつ」

「一応、私の前世を自称しているけれど……絶対違うと思う。悟に見えないってことは、術式でもないし、呪力もないし。……その女の子を消せるなら、何でもするよ」

「んー、じゃあ、その子が新たな情報を出したら、あるいはまだ出していない情報があったらすぐに教えてくれ」

「それ……だけ? 疑わないのかい?」

「疑わねーよ。それと、傑、もしかしてそれだと、夜眠れない? 硝子もいるし、今度はちゃんと相談しろよ」

「……なんだ。なら、早く言えばよかった」

 

「ほんとにな」

 

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