「ということで、宿儺の器の虎杖 悠仁くん。スカウトに来たよ☆」
「お引取りください」
「悪いけど、どのみち、君は保護されることが決まっているんだよねー」
「心配だろうが、大丈夫だ。お兄ちゃんがついているからな!!」
「俺にお兄ちゃんなんていません」
「事情は説明したろう? ほら、呼んでみろ。お、に、い、ちゃ、ん!」
「俺にお兄ちゃんなんていません。メロンパンナな母ちゃんなんてもっといません」
虎杖 悠仁の説得は難航しそうだ。私でも絶対拒否するので当然だろう。
私は説得の間、ゆっくりお茶を堪能することにした。ゆったりした時間は久しぶりだ。
コケにされたと憤った上層部の動きは早かった。
既にメロンパンは倒され、今は戦後処理をしている。まあ、それが大変なのだが。
なにせ、日本全体にばら撒かれた呪物の処分である。
メロンパンが倒された後は、上層部はいつもの悟の足を引っ張る上層部に戻ってしまった。私という弱みも増えた。元のたどるはずだった未来よりはマシとは言え、悟はいつも大変そうである。
あんだけ出来るなら普段からそうしとけよ! と叫ぶ悟は悪くない。
スムーズにメロンパン排除に動く上層部の元で、あれだけ動きやすかった記憶はない。
人手不足だといつも言っている割に、ちゃんと仕事があの時に限り回ったのだ。マジで最初からやれよ。
メカ丸も、捉えた真人で癒やすことが出来たし、術師が任意で増やせるようになったし、万々歳だ。
ただ、一つ解せないことがある。
「ねぇ、悟……」
「ああ? なんだよ、傑。今忙しいんだよ」
「私は、メロンパンが倒された後も、なんで働かされているんだろうね……? 秘匿死刑はどうなったんだい?」
「上が御しやすかった上に俺の弱みを握れるお前を処分させるわけねーだろ。ただでさえ人手不足だし、それに、お前の処分大変だし。まずお前の持つ呪霊を全部祓うところからだしな」
「うう……」
「ほらー! やっぱ呪術師ってブラックそうじゃん! 俺ヤダー!」
「ああっ 確かに地獄だけど、悠仁は僕が守るからさぁ!」
「弟を守るのはお兄ちゃんの役目だ!」
「お兄ちゃんなんていません!」
上層部に嫌味を言われて虐められるのは日常的なことである。
流石にテロは事実なので、耐えるしかないし、悟も庇うことが出来ない。度を越したら庇ってくれるが。
家族は、変わらず私を慕ってくれて、今は呪術師仲間である。
色々、大変なのは大変なんだけど。
「ハッピーエンド、なのかなぁ」
ぐっと親指を立てた半透明の「あの子」が現れ、消えていって驚く。
こうして、二度と私の夢にあの子が出てくることはなく……私は、夜ぐっすりと眠れるようになった。そう言えば、早く言え早く言えって言ってたし、あの子もあの子なりに平和を望んでいたのかもしれない。わかりにくかったけど。
「……やっぱり、早く言えばよかった」
「またそれか。終わったことだろ。今度は黙ってんなよ」
悟が、私を軽く小突いた。
多分、10年前に言ってたら上層部は協力しませんでした。
いろんなタイミングや物的証拠やらが積み重なっての結果です。
上層部の皆さんは普段は足の引っ張りあいしてるけど、一丸になると無駄に有能だったりするといいなって。ただしめったにそんな事は起きない。
短くてすみません、これにて完結です。
お読みいただきありがとうございました!
後でちょこっとギャグ成分を増した改定バージョンも上げるかもしれません。