やはりこの生徒会はまちがっている。   作:セブンアップ

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 メンヘラ代表、伊井野ミコのエンドルートです。


伊井野ミコエンド

 

「八幡先輩…」

 

 俺の太腿の上に当たり前のように座る彼女、伊井野ミコ。彼女の依存っぷりは精神科に行かなけらばならないレベル。最早、俺の身体の一部と言っても過言では無いほどの。

 伊井野…ではなく、ミコの時間は愚か、人格すら歪ませた俺が責任を取らなければ、きっと彼女は自殺をしてもなんらおかしくない。早坂や龍珠のようにメンタルが強いわけじゃないのだ。

 

 ミコは俺に依存して離れられない。俺はミコの依存がどう転ぶか分からないから離れられない。これが共依存と言うのであれば、その通りである。

 

「先輩、頭撫でて…」

 

「へいへい」

 

 今日はただの平日。俺は秀知院を卒業して大学に進学。ぼっち生活を恙無く送っているわけだが、終わり次第必ずミコの家に赴かないければならない。その上、宿泊を強制される。

 

『帰っちゃダメです。ずっと私の側に居てください。私を…捨てないでください』

 

 ほとんど同棲に近い。むしろ家に帰るよりも頻度が格段に多い。小町からは「ミコさんほったらかしたら何するか分からないし、仕方ないけどそのまま側に居た方が良いと思うよ?」と言われた。小町でさえ、ミコの依存っぷりに危惧している。

 

「そういえば、どこの大学にするんだ?ミコの事だし、もう既に決めたんだろ?」

 

「先輩の大学です」

 

「…マ?」

 

 確かに、うちの大学には法学部がある。ミコは法律系の道に進むと言っていたし、特におかしなところは無い。

 が、俺に依存していたなら話は別だ。大学よりも学部よりも、おそらく俺が居る事がミコの志望動機となり得たのだろう。

 

「大学でも離れるつもりはありませんから」

 

 ミコの声に凄みが増す。ミコは頑固だ。意地でも離れないつもりだろう。それに真っ向から否定すれば、きっと彼女の精神が不安定になるし、そもそも否定する気も無い。

 

「…そうか。頑張れよ」

 

「はいっ」

 

 ちょっと嬉しそうにして、彼女は勉強に励む。

 今どういう状況か教えてあげよう。俺の太腿には彼女が居て、彼女は受験勉強をしていた。基本的に俺が彼女の座椅子のような扱いになっている。

 彼女は範囲を区切って勉強している。ひと段落したら休憩し、甘えに甘えまくってくる。さっきのように、頭を撫でてと言われる事もあれば、頑張った事に対する労りの言葉などを掛ける事もある。

 

 全ては、ミコの為に。

 

「大学を卒業したら先輩と結婚……楽しみです」

 

 そして、もう既に婚約までしちゃった。婚約と言っても口約束的なもので、そこまで本格的なものではない。

 

 だが。

 

『私、先輩と結婚しますから。付き合うって事は、そのまま結婚もするって事なんです。…もし他の女に手を出したり、私を捨てたりなんかしたら。絶対に許しませんから

 

 こうなった。

 

 付き合う=婚約だと彼女はそう思い込んでいる。俺を離さない為に、何が何でも関係を繋ぎ止めようとしているのだ。金銭的な理由もあって高い物ではないが、実質的な結婚指輪まで購入した。だから俺と彼女の左手の薬指には、同じ指輪が嵌められている。

 

 それだけじゃない。

 

 以前、彼女に買ったチョーカー。ミコが今でも着けているのは分かるのだが、同じチョーカーを彼女が買って来て、俺に着けるように言った。チョーカーだけでなく、部屋着やスマホのカバー、諸々その他ほとんどが彼女とのペアルックになった。

 

「もっと強くギュッてしてください」

 

 座椅子の俺はミコのお腹辺りに両腕を回して、背後から抱きしめるような形になっている。特に力を入れていたわけでは無いのだが、ミコはもう少し強めの方が好みなのだろう。

 

「先輩、私の事好きですか?」

 

「じゃなきゃこんな事はしてない」

 

「…ちゃんと言ってください。私が理解出来て、聞こえるように」

 

 これ要するにアレですね。ASMR的な事をしろとのご命令ですね。ミコは俺の声が大好きだとか言って、時々詩を詠ませたりするのだ。そして音読しているところを録音して。

 

 何度も言ってしまっているからか、もう羞恥心もクソも無くなった。

 

「愛してるぞ、ミコ」

 

 彼女の耳元でそう囁く。するとミコは身体を震わせて、少し息を荒くする。

 

「…もっと…もっとください…。八幡先輩の愛の囁き、もっと私に感じさせてください…」

 

 こうなると、勉強どころじゃなくなる。まぁ彼女の頭脳なら俺の大学ぐらい余裕で来れるだろうけど、それでも勉強しろと思う俺。手塚部長もよく言うだろ。油断せずに行こうと。

 

 しかし、そんな彼女を俺は突き放せない。

 

「…ミコは欲しがりだな、本当」

 

 それから数十分、彼女の耳元で囁き続けた。

 結果、彼女は満身創痍な状態で勉強どころでは無くなった。俺を抱き枕かのように、力強く抱きしめる。そんな彼女に対して、俺も応じて抱きしめる。傍目から見たら単なるラブラブカップルなんだろうが、俺達の関係はそんな安いものでは無い。

 歪な愛で築き上げられた、共依存の関係。互いに底なし沼にハマり、足掻く事無く共に沈んで行く。底が無い限り、俺とミコは共に堕ちて行く。

 

 どこまでも。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 月日は流れ、俺は大学2回生となる。ミコは秀知院を卒業し、本当に俺の居る大学に進学した。卒業式には、OB的な感じで俺も行ったのだが。

 

『比企谷先輩、これから先本当に気を付けてください。あいつ以前にも増して比企谷先輩に依存してる。もし本当にどうしようも無い事があったら言ってください。僕もなんとかするんで』

 

 石上には警告をされて。

 

『ミコちゃんの事、よろしくお願いします。比企谷先輩が居ないと、ミコちゃんは本当に独りになってしまいます。比企谷先輩という拠り所が無くなったら、ミコちゃんは…』

 

 大仏にはミコのこれからを任された。

 石上や大仏ですら懸念するほど依存しているミコ。そしてそんな彼女に離れられない俺も依存してる。

 

 ミコは重度の依存性で、そして嫉妬深い。被害妄想も激しいし、そこから癇癪を起こす。

 

 例えば、今みたいに。

 

「さっきコンビニで女店員の手を触りましたよね!?なんで私以外の女の手に触れるんですか!」

 

 先程、ミコとコンビニに寄ったのだ。単にお釣りを貰う時に当たっただけ。互いに触れようとしたつもりは無いのだが、ミコはそれが気に入らないようだ。

 

「あの女、絶対に先輩に色目使うつもりだった…!先輩は私だけの王子様なのにッ!!」

 

 怒り狂ってるのは見ての通り。包丁を取り出してもなんら不思議じゃない。

 

「なんで触れた時点で手を払わないんですか!」

 

「そんなんしたらお釣りが飛んで行くでしょうが」

 

 ミコは無茶振りを言う癖がある。それでも、これはまだマシな方なのだ。

 

「この前だってそうです!サイゼリヤに行った時、ウェイトレスに話しかけられて会話してた!」

 

「そりゃ店員呼び出さなきゃメニュー頼めないだろうよ」

 

「日曜日の時も、"やっぱニチアサはプリキュアに限るなぁ"とか言って、私以外の女に視線を向け続けていたじゃないですか!」

 

「そりゃ視線向けなきゃ何見てんだって話だろうよ」

 

「先輩は私だけを気にして、私だけを見ていなきゃいけないんです!他の女に少しでも意識をずらされたくない!私には先輩しか居ないのに!先輩に捨てられたら、私……私……」

 

「落ち着けって。お前を捨てるわけないってもう350回は言ってる」

 

 女の子を簡単に捨てるほど俺そんな鬼畜じゃないよ?

 

「そんなの分からないじゃないですか!じゃあもし橋本○奈が告白してきたら?もし浅川○奈に付き合ってって言われたら?先輩は断れるんですか!?」

 

 女優のチョイスがちょっとアレなのだが、ミコは自分よりも格上と見做す人間を比較対象にしたがる。しかも超極端。

 ここでの答えは、「そんなわけないだろ」である。もし本当にこれで付き合うとか言ったら、ミコはどうなってしまうか。今よりもっと癇癪が酷くなるだろう。

 

 というか、そもそも大前提としてだな。

 

「付き合ってる人間が居るのに、告白されて付き合うわけないだろ」

 

 ミコに促されているとはいえ、俺は彼女に何度も好意の言葉を告げている。その事自体に嘘は無い。

 それでも、彼女は俺が離れるのが、誰かから奪い取られるのが嫌で仕方がないのだろう。分かってはいても、不安になる。理解するのと納得するのとではまるで違う。

 

 だから今の彼女を安心させるのは、言葉だけでは足らないのだ。

 

「俺が好きなのはお前だけだ」

 

 癇癪を起こすミコに対して、優しく抱擁する。こうすれば少しは落ち着くのだ。

 

「…まだ信用出来ません。もっと強く」

 

「分かってる」

 

 彼女の機嫌は徐々に良くなり、いつの間にか甘えるように。

 そこからしばらく、ミコが甘える時間が続いた。頭を撫で、力強く抱きしめ、彼女に対する好意を告げる。

 ここまで密着していながら、性的な行為は1度もしていない。プラトニックなお付き合いをしていると言っても良い。それはそれで俺的に全然良い。もしミコがそんな行為にどハマりしたら、多分毎日のように求めてくるのが目に見えてる。

 

 そんなバッドエンド的な未来な想像をしている俺の思考を払拭するように、スマホが振動し始める。片腕はミコを抱き寄せたまま、もう片方の手でスマホを手に取り、何の通知か確認する。

 

 だが。

 

「…誰からですか」

 

 こういう時のミコは過敏で敏感である。さっきまで機嫌が良かったのが、ジェットコースターばりに急降下する。

 

「小町からだよ」

 

 通知はどうやら小町から。本格的にミコの家に泊まり続けている俺は、中々アパートに帰る事が出来ていない。1ヶ月に1回帰れるぐらいだ。その時、必ずミコも来る。

 

 そんなわけで、さっきの通知は言ってみれば安否確認みたいなもの。

 

「…今はこまちゃんより、私を見てください」

 

 言い方に棘が無い。唯一、ミコは小町を女として敵視していないのだ。

 俺の実の妹という理由があるのだろうが、ミコ自身も小町を嫌っていないのだ。

 

「私の事、好きですよね?」

 

「おう」

 

「私は先輩にとって必要ですよね?」

 

「そうだな」

 

「捨てませんよね?先輩に捨てられたら私、生きていけません」

 

 飽きるほど行うこの問答。どれだけ聞いても、どれだけ確認しても、ミコの中には「自分は捨てられるのではないか」という不安がある。その度、彼女に対する好意の言葉などを与える。

 

「死なない限りはずっと居るから」

 

「死んだら私も後を追います。先輩が居ない人生なんて、生きる価値がありませんから」

 

 これもよく言う。俺が死ねば自分も死ぬと。

 

「先輩は私の全てなんです。でも、先輩はそうじゃないかも知れない。その上、私以外の女が先輩を狙う可能性もある。私だけの王子様なのに、醜く浅ましい女が先輩を誑かそうとする」

 

 最後の一文、なんか四宮とかが言いそうなセリフだったな。生徒会に長く居たから影響されちゃったのん?

 

「先輩が私以外の女と視線を交わすだけで、不安になるんです。…私から離れるんじゃないかって。私に飽きて、他の女を選ぶんじゃないかって」

 

「ミコ…」

 

「…どうせ私なんて重いし、めんどくさい女なんですよ。私なんかが好かれるわけがない。嫌われて当然の人間なんです。どれだけ嫌われたくないって思っても、現実は甘くない。私が嫌われるのなんて、当たり前で、必然なんですよ」

 

 こういう時、「そんな事ないよ」と否定してあげるのが正解だろう。もし肯定すれば、彼女は今以上に悲観的に、卑屈になってしまうから。

 しかし、俺がそんな優しい否定の言葉を口にしても疑われるだけだ。何故なら、俺はそんな人間では無い事をミコは知っているからだ。

 

「…万人から好かれるのなんてあり得ない。必ず誰かから、周囲から嫌われる事だってある。それを気にしても無駄だとは言えない。つか、お前が面倒で重たいのはそんなのは分かり切ってる」

 

「っ!…やっぱり私は…」

 

「でも」

 

 何も答えが肯定、あるいは否定だけとは限らない。白黒はっきり付けなければならない事なんてない。0か100なんてのは極端過ぎる。

 

 俺が彼女に答える言葉は、こうだ。

 

「分かり切ってるから、ミコを許容出来る。面倒でも、重たくても良い。俺だって人の事言えないぐらいめんどいし、多分重たいからな」

 

 許容しないで、強要する方がおかしい。

 メンヘラが一般的に見て面倒で重たいのは間違いない。だが、それを許容しない方がおかしい。

 

 メンヘラが嫌だ。だから自分の求める人間像の為に人は強要する。面倒だから、もう少し寛容になれと。愛が重いから、もう少し自由にさせろと。メンヘラと付き合いのある人間なら、少なからずこう思った事があるだろう。

 ただそう思うだけなら別に良い。だがそれを口に出して、強要させるのは間違っている。面倒だろうが重たかろうが、それはその人の個性。アイデンティティーだ。それを自分の手で壊す事は、決して許されるわけではない。

 

 本来のその人を受け入れる事こそが正しいと、俺は思う。そしてそれを俺は他人に押し付ける事はしない。人それぞれ違うから。他所は他所、うちはうちという名台詞を知らないのかって話だ。

 

「ミコが重たい事も面倒な事も否定しない。でも、少なくとも俺は今のミコで良いと思う。それを許容するし、むしろ八幡的にポイント高い」

 

「先輩…」

 

「良いよ。我儘でも、重たくても、面倒でも寂しがりでも。なんでもいい。この際、一緒に死ねって言うなら死んでやるよ。俺だって今更、もうミコから離れる事が出来ないと思うから」

 

 最初は単純に、ミコに対して不安があっただけ。俺が居なければ、きっと彼女は平静を保つ事が出来ないのでは。人格を崩壊させてしまうのではと。言ってしまえば、過保護なだけで済んでいた。

 

 しかし、今は違う。

 

 彼女には俺が必要。俺以外に、彼女をコントロールさせる人間なんて居ない。きっと両親ですら、今のミコをコントロール出来ないだろう。俺以外の誰にも、この役は務まらない。

 そんな考えがどんどん積み重なって、今や俺の存在意義が彼女の為にあるのではないかと思い始めた。ミコを支える事が、俺の存在意義。

 

 だからもし、ミコが俺の目の前から離れたのなら。俺に嫌気を差して消えてしまったら。

 

 俺の存在意義が消えてしまう。

 

 ミコは、自分を心から愛してくれる比企谷八幡という人間が必要であり、俺は伊井野ミコという不安定な人間を支える為に必要である。

 

 これぞまさしく、共依存。

 

「俺はお前を絶対に捨てない。捨てられるわけがない。なんなら離す気が無いまである。…今の俺なら羞恥心一切無しでこう言える」

 

 彼女の耳元に口を近づけて、そしてこう囁く。

 

「お前は俺のものだ」

 

 その言葉でミコは肩を震わせ、身体をくねくねさせる。

 

 羞恥心一切無しと言ったけど撤回します。正面から俺に抱きついてるのに身体動かさないで?腰もなんか動いてるから。八幡のアレがちょっと刺激されるから。

 

「…私、先輩のものなんだ……先輩の所有物なんだ……」

 

 あっなんか悦に入ってますね。別にこれ演技とかじゃなくて本音なんだけど。本音だから良いのか。もうよく分からんけど、なんか嬉しいんだなってのは分かるわ。

 

「先輩、もっと私に感じさせてください…!伊井野ミコの全部が、比企谷八幡の所有物なんだって…!」

 

 するとミコは、高揚した様子で求めて来る。

 

「さっきの割と独占欲ダダ漏れで言った気がするんだけど」

 

 これ以上俺に何しろと。というかチョーカーと指輪がある時点で、ミコが俺のもんみたいな感じになってるでしょうよ。まだ足りないと言うのか。

 

「…キス…」

 

「え」

 

「周りで話してたのを聞いたんです。…首や腰にキスの痕を付ける理由は、独占欲から来るものだって」

 

 俺も聞いた事はある。だが、ミコはそういう事に対して「破廉恥ね!」とか言う奴だと思っていた。実際、今までそういう要求は1回も無かった。俺もそこまで飢えてるわけじゃない。だからお互いのペースでやっていけたらそれで良いと思っていたが。

 

「…俺は良いけど、お前は良いのか?その…人に肌を見せるとかそういうの」

 

「…本当なら結婚してからが良かったですけど。…先輩が私を"俺のもの"って言ってくれてから、身体がおかしくなって……」

 

「Oh…」

 

 さっきの話の続きをしよう。そういう性的な行為をしたら、間違いなくどハマりするとも言った件。

 ミコは食欲旺盛だ。どっかの五月さんのように、人並みより多く食べる。それは別に良い。世の中そういう人間は多数存在するからだ。

 

 問題は、食欲に性欲が比例するという事だ。それは科学的根拠でも証明されている。

 それだけじゃない。真面目、ストレスが溜まりやすい、精神的に不安定な人間も得てして性欲が強い。

 

 つまり、今ここでそういう行為をすれば、ミコは間違いなくハマる。

 

 俺はそれを危惧していた。求められる事は別に嫌ではないのだが、俺の体力的に保つかどうか分からなかったから。それこそ、毎日精力剤を飲まねばならない状況に陥るかも知れない。

 

 そうなったら、そうなった時だ。

 

「…じゃあ、首からいくぞ」

 

「は、はい…」

 

 ミコの表情が少し硬くなる。緊張から来るものだろうか。

 かくいう俺も少し緊張しており、彼女の首筋に近づく度に手が微弱ながら震えていく。

 

 唇が首筋に触れると。

 

「んっ…」

 

「ちょっと。変な声出さんでくれませんかね」

 

 八幡ドギマギしちゃうから。ていうか既にしてるけど。

 

「だ、だって……先輩の唇が私の首に触れて…」

 

「…とりあえずいくぞ」

 

 一々気にしていられないと割り切って、俺はそのまま彼女の首を吸った。

 

「ぁっ…!」

 

 だからやめてって。そういう声がですね、男の子を泥沼に落とすきっかけになるんですよ。

 

 とりあえず痕が付いたのかどうか確認する為に、俺は一旦ミコの首筋から顔を離す。すると、白い肌が故に目立つ赤い痕が残っていた。

 

「付いたぞ。見えないなら写メ撮ろうか?」

 

「…それはまた後でお願いします…それよりも…」

 

 ミコは首と、そして腰を見せる為に部屋着をはだけさせる。普段じゃ見せないミコだからこそ、俺の理性をバンバンに刺激する。

 

『ミコちゃんって結構エロいんですよ。身体付きとか』

 

 いつぞや大仏が密かに言っていた情報だが、今ならその言葉も頷ける。身体付きとかだけでなく、仕草というか、もうなんか全体的にエロい。エロい風紀委員とか何その同人誌的キャラは。

 

「私の身体に、先輩のものだって証をいっぱい付けてください」

 

 と、艶かしく求めるミコ。本人は意図して誘惑しているわけでは無いのだろう。無意識だからこそ、余計に理性を刺激してくる。

 

「…良いんだな」

 

 最後の確認を取る。その確認にミコは小さく頷き。

 

「私の身体も心も、全部先輩だけのモノにしてください」

 

 ミコからの了承が出た。のであるなら、俺はそれに従って彼女を俺のものにする。そこから先は、この物語では見せられない激しい場面となるので、この辺りで終了とする。

 

 俺とミコは共依存。ミコは俺を必要とし、俺はミコに必要とされる為に生きる。俺達の関係は純粋な愛ではなく、泥沼のような暗く歪な想いが交錯して繋ぎ止める関係である。

 しかし、その関係は俺達にとって心地良いのだ。誰がどう言おうが、この関係こそが俺達の最適解なんだろう。

 

 底の無いこの泥沼こそが、俺達だけの空間なのだ。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 後日。

 

「先輩……今日も欲しいです」

 

 やっぱりどハマりしました。

 これはアレですね。薬局やらドンキやらにお世話になりそうな日常が続きそうですね。

 

 




 まさかのヒッキーがヤンデレ気味になっちった上に、なんかバッドエンドの雰囲気になっちった。なんでこうなった。

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