やはりこの生徒会はまちがっている。   作:セブンアップ

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 久しぶりの投稿。それだけ。


かぐや様は見舞いたい

 

「最悪だ……」

 

 俺は布団の中で寝込んでいる。今日は平日真っ只中の木曜日。時間は午前9時過ぎ。今の日、今の時間帯なら祝日でも無い限り学校がもう始まっている。それでも布団の中に入っている理由。簡単だ。

 

 熱出した。

 

「小町ぃ……」

 

 とは言っても、実家暮らしの時と大差無い。小町は「看病する」と言うけど学校あるし、親は共働きで俺の体調不良ごときに休みを取るわけにもいかない。だから一人暮らしだからと言って不便か否かと言われたら、そこまで変わりは無い。

 だが、やはり誰かが居ないと言うのは辛いものがある。スポーツドリンクなんて買ってないし、お粥やうどんを作る気力さえ無い。

 

「鳥肌凄ぇ……」

 

 温かい時期だと言うのに、鳥肌が立ち続けている。身体の熱が高過ぎる故に、寒気がしているのだ。布団にくるまっていても、拭いきれないこの寒さ。

 

「完治したら溜まった仕事しなきゃならんのか……」

 

 生徒会長だからこその仕事が溜まってしまう。その仕事を藤原や石上、四宮に任せるわけにもいかない。そう考えると、より一層身体がだるくなる。

 

 仕事の事考えたらだるくなるのはいつもか。根っからの仕事嫌いだし俺。生徒会長ってマジ社畜。もしかしたら働き過ぎで熱を出したのでは。だとしたら今日明日休むのは合理的だと言える。

 

「しんど……」

 

 でもやっぱしんどい。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 おかしい。もう比企谷会長が来てもおかしくない時間なのに、いつまで経っても教室に来ない。遅刻でしょうか?

 比企谷会長が来ないままチャイムが鳴り、ホームルームが始まってしまった。

 

「比企谷くんは体調不良で欠席です。日中温かいとはいえ、夜間は少し冷えるので、体調管理は怠らないようにしましょう」

 

 担任の報告で比企谷会長が来ない理由が分かった。体調不良であるなら、2日3日休めば治るでしょう。

 しかし、彼は今一人暮らし。そんな中、体調不良。単なる風邪なら良いですけど、もし高熱を出していたとしたら。

 

「…比企谷会長…」

 

 不安に駆られてしまう。熱で死ぬ事は無いけれど、今も熱で苦しんでいる比企谷会長を想像すると、不安になってしまう。今すぐ授業なんて放棄してお見舞いに行ってあげたい。

 比企谷会長の身が気になり、授業に集中出来ずにいた。そのまま放課後に突入し、私のケータイに1通の連絡が来ている事を確認。送信されていたのは午前中だったようだけれど、それすら気付かなかった。

 

『熱が出た。迷惑かける』

 

 と、淡白な内容だった。比企谷会長らしいと言えばらしい。

 彼の辛さがメールからでも伝わってきてしまう。早くお見舞いに行ってあげたい。これほど早く学校が終わって欲しいと思ったのは初めてかも知れない。

 とりあえず、今からお見舞いに行く事を伝えなくちゃ。サプライズでも無いのだし、もし何か必要な物があれば購入しなければならない。そう思い、私は比企谷会長に返信する為にこう打ち込んだ。

 

『放課後お見舞いに行きますが、何か必要な物はありますか?』

 

 後は送信するだけ。それだけの事なのに、何故か指が動かない。

 

「送信しないんですか?」

 

 そこに、隣で静かに様子を見ていた早坂が声を掛ける。

 

「まさか、"これを送る事で私が比企谷会長の事が大好きみたいにならないかしら?"みたいな頓珍漢な事考えてます?」

 

「…失礼よ、早坂。私がそんな事を考えるわけも無いでしょう」

 

「今までの自分見返してからそのセリフ言ってください」

 

 とはいえ、少し考えなかったわけでは無い。お見舞いに行く事で、比企谷会長に私が好きだと思われてしまうのではと。故に、これは告白なのではないかと。

 

「かぐや様が行く気無いのなら、代わりに私が行きますけど」

 

「は?」

 

 何言ってるのこの子は。この私を差し置いて、比企谷会長の家に上がり込むですって?しかも一人暮らしの家に。そんな愚行が許されるとでも思っているのかしら。

 

「私とて、比企谷くんの事が心配ですから。ここでうだうだ言って立ち止まるくらいなら、私が行くだけです」

 

 早坂のその言葉に返せない。返してしまえば、はっきりと比企谷会長の事が好きだと明言しているものだと確定してしまうから。

 

 でも、嫌。例え早坂でも、藤原さんでも。

 私以外の人間が比企谷会長のお見舞いに行くなんて。私の居ない所で、私じゃない誰かと比企谷会長の2人きりの空間なんて。

 

 絶対に嫌。

 

「…ダメよ。そんな事、私が許さないわ」

 

「…それもう比企谷会長の事好きって言ってる事になりません?」

 

「違うわよ!これは……そう!比企谷会長の身を案じてよ!高熱で苦しんでいる比企谷会長に早坂がトドメを刺さないか監視するの!」

 

「照れ隠しか何かで私を加害者呼ばわりするのやめましょう」

 

「とにかく!私と早坂、2人で行けば良いの!」

 

「はぁ。まぁそれでも良いですけど」

 

 本来ならば、私1人で行きたいところ。しかし私だけが行ってしまえば、早坂の言うように、比企谷会長への好意を認めたという事になる。

 比企谷会長への想いは好意などではなく、同じ人間として尊敬出来る部分があるというだけ。決して、恋愛感情などではない。

 

「とりあえず、先にスーパーに寄りましょう。お見舞いの品無しで訪ねるわけには行きませんし」

 

 私達はスーパーに寄って、比企谷会長のお見舞いの品を購入。そして比企谷会長の家に。

 

「インターホンを鳴らして、比企谷会長を迎えさせるわけにはいかないわ。早坂、ちゃんと持って来てる?」

 

「はい」

 

 早坂が取り出したのは、比企谷会長の部屋のスペアキー。私がそれを受け取り、鍵を開ける。

 

「これ、軽く住居侵入なんですけどね」

 

「何よ。貴女だって、比企谷会長の部屋のスペアキーを作るって言ったら即答で了承したじゃない」

 

 扉を開くと、奥から咳き込んだ比企谷会長の声が。

 

「比企谷会長っ……」

 

 比企谷会長が居るであろう部屋に、私は急ぎ足で向かう。部屋には、比企谷会長が寝込んでいる。

 

「比企谷会長っ」

 

「…し、のみや……に、はや、さか……?なんで…いんの…?」

 

 喉がやられているのか、少し声が掠れている比企谷会長。

 

「お見舞いだよ。体調不良って聞いて、流石にお見舞いに来ないほど鬼じゃないよ」

 

「そう、か…。…つか、どうやって入った…?鍵、閉まってたろ……」

 

「それはこのスペアキーでそいっと」

 

「えっなんでスペアキー持ってんの……。怖い…後怖い……」

 

 と、顔を青ざめる比企谷会長。早坂に耳打ちをしながら声を荒げる。

 

「ち、ちょっと!比企谷会長が余計に顔色悪くしちゃったじゃない!」

 

「それを私に言われましても。そもそもかぐや様が用意しろって言ったんじゃないですか」

 

 ああ言えばこう言って、私と早坂の言い合いに比企谷会長は。

 

「病人の前で喧嘩やめて…?本当に何しに来たか分からんから。ごほっごほっ!」

 

「あ、ご、ごめんなさいっ!」

 

 鍵がどうとか今はとりあえずどうだって良い。比企谷会長のお見舞いに来たのに比企谷会長のご迷惑になるような事をするのは絶対に駄目よ。

 

「比企谷会長、朝から何か食べましたか?」

 

「いや、食ってねぇな…」

 

「食欲が無いのか、身体が重くて出来なかったのかは分かりませんが、何か食べないと薬も飲めないですよ。食材なら買ってますし、私作って来ますよ。台所をお貸しいただけますか?」

 

「勝手に使ってくれ…。……悪いな、迷惑かける」

 

「この程度の事で迷惑だなんて言わないでください」

 

 いつだって、貴方は他人を慮る。例え自分が苦しい状況になっても、その状況に誰1人巻き込ませまいとして。

 だからこの程度で迷惑かけるなんて言わないでください。私は比企谷会長の助けになるなら、なんだってしますから。

 

「それでは、台所を貸していただきますね」

 

 調理ならば四宮家の躾で完璧にこなせる。お粥程度など目を瞑ってでも作れるでしょう。

 

 と、その前に。

 

「早坂」

 

「はい?」

 

「比企谷会長の様子を見ていなさい。流石に1人で残すわけにもいかないから」

 

「えぇまぁ。かぐや様が調理をするならば私は見ておくつもりでしたが」

 

「そう。けれど」

 

 早坂は比企谷会長と仲が良く見える。それは最近に始まった事ではなく、もうずっと前から。だから。

 

「比企谷会長に距離を詰めるのだけは、許さないから」

 

 釘を刺しておく。あり得ない事だろうけれど、私が居ないところで早坂が比企谷会長にキスでもしたら、もう早坂を信じられなくなる。

 これでも早坂は私の大切な人。そんな彼女に比企谷会長を取られたら、頭がおかしくなりそうになる。

 

「かぐや様の感情は分かってるおつもりですから。それに病人相手にそんなやらしい事はしないですよ」

 

「なら良いの。それじゃあ、比企谷会長は任せたわよ」

 

 早坂に嘘は無い。その様子を見て信じた私は、比企谷会長を早坂に任せて台所へ向かった。その際、早坂が小さく発した言葉を聞き取る事もせず。

 

「…かぐや様が手をこまねいていたら、知らないけど」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 四宮が台所で調理している間、部屋では早坂と俺の2人だけになった。なんかスペアキーを作ったとか怖い事言ってたけど、その事が今どうでもいいくらい辛い。

 

「…大丈夫?」

 

「朝に比べればな……それでもしんどいわ」

 

 朝からずっと寝ていて多少マシにはなったが、元から熱や怠さが酷かった為、今でも変わらず辛い。

 

「ていうか、熱出したんなら誰か呼んだら良かったのに。かぐや様への連絡見たけど、何あれ?めちゃ淡白じゃん」

 

「熱出したからって見舞いに来させるわけにもいかんだろ……」

 

 熱を移すわけにもいかないし、そもそもこいつらにはこいつらの都合がある。それをガン無視して呼び出すなんて出来るわけがない。

 

「でも、かぐや様は心配してたよ。熱が出たって聞かされて。…私だって」

 

 たかが熱だ。寝てたら治るし、病院にでも行って薬を処方されて終わり。誰かがそこまで心配する理由も無い。にも関わらず、こいつらは。

 

「…そうかい」

 

 義理堅いのか、あるいは……。

 

 とにかく、来てしまったのに追い出すわけにもいかない。身体も怠いままだし、こいつらの厚意に甘えておこう。今度マッカンをダース単位で贈る事で手打ちにしてくれないだろうか。

 

「お粥が出来ましたよ」

 

 四宮がお粥を持って来たので、食べるために一度起きあがろうとする。しかし、それを近くに居た早坂が介助してくれた。

 

「…悪いな」

 

「ううん、気にしないで」

 

 天使か。天使かこいつは。

 

「ひっ」

 

 しかし、もう一方の彼女は悪魔のような表情をしていた。時折、藤原に向ける冷たい表情を俺に向ける四宮。

 

「比企谷会長、私が食べさせてあげますね」

 

 と、笑みを浮かべて匙で粥を掬って俺に向ける。

 いや怖いよ。表情で言えば怒から喜に変わったかのように見えるが、その本質が全て冷徹な感情が込められていそう。

 

「はい、あーん?」

 

 断れない。断ったら殺される。そう思わせる表情。その有無を言わせぬ悪魔の表情に従い、俺は差し出された粥を口にする。

 

「っ!」

 

 出来立ての粥を食べてしまった俺は、あまりの熱さに吹き出してしまいそうになったが、なんとかこらえて口内で熱を冷ましながら粥を喉の奥へ運ぶ。

 

「…美味い」

 

 熱さはさておいて、味はコメントも出せぬほどの美味さ。高級調味料でも使ったのかと錯覚するレベル。四宮家で訓練された結果の味か。

 

「でしょう?私の腕に加え、食材は全て最高級の品々を取り揃えておきました。栄養面もきっちり考えて」

 

 最高級の品を揃えたと自慢する四宮。たかが粥にそこまで強い気持ちを注ぐのかよ。流石は四宮家というか、平たく言うと金使いが荒い。

 

「美味いし、作っておいてもらってなんだが…もっと安物でも良かったんだぞ…?レトルトとかでもあったろ」

 

「比企谷会長は秀知院の生徒会長でもありますから。より早く復帰出来るように。比企谷会長は、生徒会に必要な存在ですから」

 

 確かに今日生徒会休みにしてしまったし、仕事に若干の遅れが生じてるのは否めない。

 

「比企谷会長に、ずっと居て欲しいんです」

 

「四宮…」

 

 ……それはずっと働き詰めにさせたいという例えですかね。「お前何風邪で休んでんだとっとと復帰して死ぬまで働けや」と言ってるのでしょうか。

 生徒会てこんなブラックだったっけ。生徒会っつか生徒会長って役職がか。もう辞めたい。いっその事伊井野にでも生徒会長譲り渡そうかな。

 

 なんて考えながら、見舞いの時間は徐々に過ぎていった。時間は既に夕方の5時半を超えている。

 

「かぐや様、そろそろ」

 

「あら、もうこんな時間なのね。…では比企谷会長、私達は帰りますね」

 

 四宮と早坂は帰宅の準備を始める。

 

「ありがとな…めちゃくちゃ助かったわ」

 

「いいえ。この程度の事、お気になさらずに。それでは比企谷会長、また学校で」

 

「じゃあね、比企谷くん」

 

 別れを告げて、彼女達は去って行った。

 今日の事に関して、四宮と早坂には頭が上がらない。それこそ、何か奢れと言われても否定出来ないぐらいに。

 

「…はぁ……」

 

 ちょっと嬉しかったです。涙出そう。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「早坂。私が居ない間、比企谷会長と何を話していたの?」

 

 夜。後はご就寝の準備をするかぐや様のベッドの側に立つ私に、かぐや様は尋ねる。

 

「他愛の無い話ですよ。本当に」

 

「…それにしては今日の貴女、比企谷会長に近過ぎるんじゃないかしら?」

 

「相手は病人ですよ?かぐや様みたいにそんな邪な考えを持って接してません」

 

「だ、誰が邪な考えを持ってるのよ!」

 

 特大ブーメラン。いつも「どうすれば比企谷会長を告らせる事が出来るかしら」みたいな事言って、あれやこれやと脳の無駄遣いしてるでしょうよ。あれを邪な考えで無ければなんだと言うのか。

 

「そこまで気にしなくても、今の私はかぐや様の近侍。かぐや様の初めての恋愛を邪魔などしません」

 

「だから何度も言ってるでしょう!比企谷会長に対する感情は恋愛感情では無く、人として尊敬出来る部分があるからよ!」

 

 ずっと近くに居るこの私にまで誤魔化してどうするつもりなのか。大体、今日のかぐや様ちょっと積極的だったし。「ずっと居て欲しい」とかほとんど告白でしょ。

 しかし、かぐや様は意地でも自身の感情を恋愛感情と認めない。だからこそ揶揄い甲斐もある。

 

「そういえば、思い出しました。かぐや様が粥作ってる間に比企谷くんが言ってましたけど、比企谷くん付き合ってる子が居るそうです」

 

「……は?」

 

 ポカンと間抜けな顔を曝け出すかぐや様。空いた口が塞がらないといった表情。こんな表情はレアである。

 

「い、いえいえいえ。比企谷会長がつ、付き合ってるなんて……。熱でうなされた出鱈目では?」

 

「そんなフィクションみたいな事よく知ってますね」

 

 ラブコメでは熱にうなされて黒歴史を作る、なんて展開はありがちだけど。

 

「でも実際、比企谷くんの口から…」

 

「嘘よ!!」

 

 突如、大きな声を発するかぐや様に驚く私。

 

「えぇ、そんなの嘘に決まってるわ。あるいは比企谷会長がその女に騙されているだけ。比企谷会長がそんな何処の馬の骨とも分からぬ女と男女交際するなんてあり得ない。この間の告白だって断ってたのよ。そもそも、比企谷会長は中学の頃に振られて恋愛面に対して酷く怖がってる節があるのよ。そんなあの人が誰かとすぐ付き合うなんて考えられない」

 

 怖い怖い怖い怖い。かぐや様が変な方向に行ってしまってる。ちょっと揶揄おうと思ったら思わぬ展開になってしまった。ツンデレを超えてヤンデレ。ツンデレの進化はヤンデレだと言うのか。笑えない。

 

「でも確かに、比企谷会長の周りでうろちょろする雌豚が居るのもまた事実。この間の女然り、あの風紀委員の女然り。まぁ誰にせよ…」

 

 かぐや様は、悪魔すら怯える表情で。

 

「比企谷会長に纏わりつく女は駆除しなくちゃ」

 

 や、やばい。このままでは無実の人達がかぐや様の餌食になってしまう。

 

「か、かぐや様」

 

「早坂も考えなさい。どうすれば比企谷会長の周りに余計な雌共が近づかなくなるか」

 

「さっきの、普通に嘘なんです」

 

「……は?」

 

 ポカンと間抜けな顔を曝け出すかぐや様。空いた口が塞がらないといった表情。こんな表情はレアである。

 

「比企谷会長への気持ちをそろそろ自覚して貰っても良いかなって思って揶揄おうとしただけなんです。申し訳ございません」

 

「……という事は、比企谷会長は誰とも交際してないって事?」

 

「そうなります」

 

 するとかぐや様はホッとした表情で息を吐く。コロコロ表情変えちゃって。何が尊敬してるだ。思いっきり恋愛感情じゃないか。

 

「ただ、報告している通り、比企谷会長の周りに女性が少し多いのも事実。進展が無いままだと、本当に他の女性から横取りされる可能性もあります」

 

「そ、そうね。他の女に取られない為には、比企谷会長を骨抜きにして告白させる必要があるわ」

 

 骨抜きまでは良かったのに、何故そこから受け身で待とうとするのだろうか。骨抜きまでしてるのなら告白もしろと思うけど。

 

「お見舞いに行ってお粥を提供しているので、多少かぐや様に対して好感を抱いてる事は確かでしょう」

 

「本当!?比企谷会長からそろそろ告白されるかしら!?」

 

「…それはなんとも」

 

 好感度が上昇しても、おそらく告白するまでとは行っていないだろう。比企谷くんの事なら尚更だ。

 

 …それにしても。

 

「…本当に比企谷くんの事が好きなんだな」

 

「?何か言ったかしら、早坂」

 

「いえ、何も」

 

 私はかぐや様の近侍、早坂愛。彼女の恋路を応援するのも近侍としての私の役目。

 

 もし、私がかぐや様の近侍で無かったら。そんなIFを考えても無駄なだけ。仮定なんて意味の無い事だから。

 

 既に私は、色んな事を諦めてるから。

 

 


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