やはりこの生徒会はまちがっている。   作:セブンアップ

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生徒会は言わせたい

 フランスの姉妹校と交流会の準備を行う俺達。あの呪いの猫耳カチューシャはとりあえずしまいました。

 

「パーティは週明けの月曜日、設営は前日の日曜日」

 

「これは誰か一人指示出し役が必要だな」

 

「後土産菓子の買い出しも必要ですよ」

 

「これは二名必要でしょうね。参加者全員分となると結構な量ありますから」

 

「わざわざ休日返上で買いに行くとか俺嫌だ」

 

 俺は二日ともゴロゴロしたいんだ。なんなら日曜日は朝からプリキュアを見る習慣があるんだよ。

 

「比企谷の言う通りだ。あー面倒面倒。誰がやりたがるって言うんだ。なぁ四宮」

 

「まぁ……そうですね」

 

 なんか君ちょっとそわそわしてない?トイレに行きたいなら早く行きなよ?

 

「んー…誰も行きたがらないのは困りましたね」

 

「まぁ?どうしてもって言うなら?別に…」

 

 すると、ここで藤原がとある提案を出す。

 

「じゃあゲームで負けた人が行くっていうのはどうですか!?最下位の二人が買い出しに行くということで!」

 

 確かにこれ以上押し付け合うのは不毛な争いとは言える。時々、藤原っていい案出すよな。普段はよく分かんねぇやつなのに。

 

「なんのゲームで決めんの?」

 

「これです!"NGワードゲーム"です!」

 

 NGワードゲーム、か。

 名前の通り、NGワードを言った人間が負けのゲーム。自分のNGワードが分からないから、うっかりNGワードを言ってしまって負けてしまうということがある。

 

「これは例ですが、NGワードはこんな風に単語帳に書いたのを右隣の人に渡すという形式にします。渡された紙がその人の言っちゃダメな言葉、つまりNGワードです。自分に見えないように掲げてくださいね」

 

 藤原は単語帳に"かんたん"と書き、それを白銀に渡す。紙を渡された白銀は頭の上に掲げた。

 

「ルールは理解出来ました?」

 

「あぁ、()()だな」

 

「はいドーン」

 

 うわざっこ。ものの数秒で負けてんじゃねぇか。

 

「じゃあ本番いきましょー!」

 

 このゲーム、いかに相手にNGワードを言わせるかが鍵になる。とりあえず、俺の右隣は白銀だから、白銀が言いそうな言葉を書けばいい。

 とはいえ、白銀が言いそうな言葉、か。さっきですらまんまと引っかかったわけだし、あまり捻るのも良くはない。

 

 "本気"とかでいいかな。普段から言ってるかは知らんけど、少なくとも白銀が言いそうな言葉ではある。キャラ的に。

 四宮が俺のNGワードを作ってるわけだが、一体どんなNGワードなんだろうか。

 

 みんなはNGワードを書き終え、右隣の人間に渡す。そして、渡された紙を頭の上に掲げるのだが。

 

「じゃあ準備はいいですかー?」

 

 何あれ。藤原のNGワード何あれ。"ちぇけら"ってなんだ。白銀NGワードゲームの理解本当に出来たのか?藤原があんなイミフな言葉を使うわけ…。

 

「YO!YO!早速スタートだYO!」

 

 なんかノリに乗っとる。レベル2くらいのラッパーぐらいのクオリティなんだけど。急にどうした。

 

「藤原書記?」

 

「NGワードに俺っちがよく使う語尾を指定されてはたまらんYO!だから口調を変えているんだYO!残念だったなメーン!」

 

 確かに、藤原はずっと敬語で"です"か"ます"だけども。このままのノリじゃあいつ普通にちぇけらって言うぞ。まさか、白銀はそれを分かった上で?エスパーなのかこいつは。

 

「かぐやさんのNGワードは私が書いたんYO!どんなことを書いたと思うYO?」

 

「……」

 

「セイホーっお」

 

「……」

 

「セイホーっお」

 

「……」

 

「セイホー……」

 

 四宮、ただ静かに笑みを浮かべた。こいつ大人気ねぇなおい。

 まぁ確かに、NGワードゲームで確実に勝てる方法は喋らないことなんだけども。

 

「流石にそれはゲームとして成り立たない。最低限会話が成立する程度くらいは喋ってくれ」

 

「…仕方ないですね。分かりました」

 

 とはいえ、四宮のNGワードは結構簡単なものが出てきたな。

 "好き♡"か。これなら、こいつの好きなものとか嫌いなものの話で誘導出来る。

 ♡がちょっと気になるけど、まぁそれは置いておこう。

 

 ただ、ド直球に質問すれば勘づかれてしまう。普段はアホだが、四宮自体の頭の回転の速さは尋常じゃない。腐っても秀才だ。

 

「藤原書記は嫌いなことってあるのか?」

 

 ここで白銀が藤原に話を振る。

 

「嫌いなこと、ですか……。そうですね……」

 

 低クオリティのラッパーの真似を一度やめて、表情を曇らせる。

 

「私…空気読めないってよく言われるんですYO…」

 

 だいぶ重い話だった。普段、天真爛漫な藤原がここまで悲しげな表情をするのは初めて見た。

 

「みんなはそこも私の良いところって言ってくれるけどYO……。でも恋バナする時に私を混ぜてくれないんですYO!絶対地雷踏み抜くからってぇ!」

 

 的確な判断だなそれは。いい観察眼を持ってる。

 

「ちょっぴり疎外感を感じます…YO。知らぬ間にみんなに迷惑かけてるのかなって考えると、悲しくて…」

 

 …どうやら、俺達が地雷を踏んだようだ。藤原がクラスでどういう立ち位置なのかは分からない。だが少なからず、彼女のことをそういう風に思っている連中がいるということ。

 誰かからハブられる辛さは、ぼっちの俺がよく分かる。

 

「…でもあれだ。お前のことを迷惑とか思わないやつもいるだろ。少なくとも、生徒会の面々はお前のことを迷惑だとは思ってないだろうけど」

 

「そうですよ。貴女のそういう裏表が無いところに助けられてる人はたくさんいます」

 

「…本当?私のこと嫌いじゃない?」

 

「えぇ…まぁ……()()ですよ」

 

 四宮が恥じらいながら、藤原にそう言った。

 

ドーンだYO!

 

 さっきまでの重い表情が一瞬でどこかにいき、普段のバカ面に戻る。まさか、なんだかんだで藤原に対して好意的な四宮を逆手に取るために、今の話題を…?

 だとしたら相当タチ悪ぃ。

 

「今の話全部嘘だったんですか!?」

 

「嘘じゃないですブラフですYO!私が恋バナに混ざらないわけないじゃないですか!雨が降ろうと槍が降ろうと混ざりますYO!」

 

 やっぱタチ悪ぃ。

 そういうとこ。そういうとこがハブられるんだよ。つーか謝って?さっきまで俺ちょっと恥ずかしいこと言っちゃったから謝って?

 

「はぁ………ん?」

 

 すると隣で、何やら白銀が藤原に真剣な表情を向ける。

 

「藤原書記。ここからは、()()でやらせてもらうぞ」

 

ドーンだYO!

 

「はあああぁぁぁーッ!?」

 

 俺が白銀に指定したNGワード、"本気"を言ってしまったため、白銀は四宮に続いて即敗北。

 

「まさかマジで引っかかるとは……」

 

 話を変えて、俺が白銀にNGワードを言わせるために誘導しようと策を練ってたのだが、勝手に自滅しちゃった。

 

「…とりあえず、最下位二人は決定したし、このゲームはこれで終いでいいだろ」

 

「まだです!まだ比企谷くんとの決着はついてないですYO!」

 

 藤原、ゲーム続行する気満々。まぁ俺が負けても、買い出しに行かなくて済むわけだから、気楽っちゃあ気楽だけど。

 

「負けた方が次のパーティにイメチェンして来るんだYO!」

 

「……ふぁ!?」

 

 イメチェンって、あのイメチェン?待って待って俺嫌なんだけど。そんなの恥ずいしどこ向けのサービスだよそれ。

 

「比企谷くんがイメチェンした姿見たいですYO!」

 

「お前クソ()()なこと言いやがって…」

 

ドーンだYO!

 

「へ?」

 

 掲げていた紙を確認すると、達筆な字で"面倒"と書かれていた。

 

「なん……だと…」

 

 何?俺負けたの?パーティにイメチェンして行かないといけないの?

 

「わーい!みんなに勝っちゃいました〜!」

 

「…ドンマイ、比企谷」

 

 つーか、イメチェンって何変えればいいんだよ。俺今までノーメイクノーチェンジだったんだけど。

 

「…とんだクセ者だよ、ちくしょう」

 

 帰りに何かイメチェン出来そうなやつ買って帰ろう。

 俺もう二度と藤原とNGワードゲームしたくない。

 

 

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