やはりこの生徒会はまちがっている。   作:セブンアップ

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伊井野ミコを笑わせない

 生徒会選挙当日。様々な委員会が選挙のために体育館で準備をしている最中、俺達は神妙な面持ちをした石上に呼び出される。

 

「今日の生徒会選挙、伊井野ミコに徹底的に勝ちたいんです」

 

「事前調査では私達9割近くの票を抑えてますし、そこまで心配する必要は…」

 

「向こうに何か隠し球でもあるのかしら?」

 

「いえ、無いです。今日の選挙は僕達が確実に勝つでしょう」

 

「だったら…」

 

「それでも皆さんなら、それ以上の勝ち方が出来るはずです」

 

 伊井野ミコに徹底的に勝つ。そんな石上の依頼には、とある想いが含まれていた。

 

 そして生徒会選挙の時間となり、一般生徒は並べられた椅子に座らされている頃だろう。

 

「そろそろ準備お願いします」

 

 準備を終え、いざ生徒会選挙に。

 まずは伊井野ミコの応援演説を担当する大仏が、淀みのない演説で伊井野の良さを必死に伝えて始める。

 

「…ご静聴、ありがとうございました」

 

 大仏の演説が終了。しかし会場の雰囲気は。

 

「会場の意識が散漫です。真面目に聞いてる奴は半分もいない」

 

「…まぁ一般生徒からすれば、品定めみたいなようなもんだからな。どうでもいいことなんだって証拠だ」

 

『続きまして、白銀さんの応援演説です。四宮さん、お願いします』

 

 白銀の応援演説は勿論、四宮である。四宮が壇上に上がると同時に、会場が騒がしくなり始める。その瞬間、体育館内に大きなハウリング音が響く。

 その音に、騒がしくしていた一般生徒、および注意をしていた教師陣全員が黙り、ハウリング音を発生させた四宮に注目する。

 

「白銀御行会長候補の応援演説を務める四宮かぐやです。こんにちは」

 

 静寂の中、四宮は淡々と演説を始めていく。

 白銀の良さを、全校生徒に伝える四宮。文の構成、スクリーンに映し出される資料、制作案、これら全て、前生徒会が集って作られたもの。

 

「…内容が内容だけに、結構盛り上がってるな」

 

「会長の成果をそれっぽく演出して見せただけですよ。大事なのは積み重ねと適切な出力(伝え方)です。そのどちらが欠けても評価には繋がらない」

 

「だが意外だったな。石上がここまで本腰を入れるとは」

 

「僕が言い出したことですし。伊井野に徹底的に勝つって」

 

 俺達が話している間に、四宮の応援演説は終了。完璧な演説を終えた四宮に、拍手喝采。

 

『続きまして、伊井野ミコさんの立候補演説です』

 

 伊井野ミコによる、生徒会長立候補演説。壇上に上がり、スピーチする内容が書かれた紙を開いて、演説を始めるのだが。

 

「…私…名前は……」

 

「えっ?」

 

「なんて?」

 

「マイクトラブル?」

 

「聞こえねーよ」

 

 マイクを使っても尚、聞こえない程の小さい声。遠目から見ても分かる彼女の様子。

 

「くすくす…」

 

「緊張してるのかな」

 

 三度騒がしくなる体育館。四宮が演説した時とは違う、明らかな喧騒。これら全ては、無意識の悪意によるものだ。

 

「これが伊井野の勝てない理由。元々人前が苦手な奴でしたけど、選挙に負ける度酷くなってる」

 

「…あがり症だからな、あいつは」

 

 あがり症だけならまだなんとかなるかも知れない。

 だが、あいつを見て笑う人間がいる。今体育館が騒がしいのがその証拠だ。

 

「…そりゃ笑えますよ。学年1位の融通が利かないクソ真面目ちゃん。普段は偉そうに指図してくるくせに目の上のタンコブが、こうも見事に生き恥晒してくれるんですから」

 

「普段から伊井野に注意受けてる奴からすれば、笑うなって方が無理あるからな」

 

「僕だってあいつには恨みも多い。でも」

 

 神妙な面持ちから、石上は怒りを見せるような面持ちへと変える。

 

「でもイラつくんですよ。頑張ってる奴が笑われるのは」

 

 石上が俺達に依頼した「徹底的に勝って欲しい」という内容。要のところは、伊井野ミコを笑わせない勝ち方をして欲しいということ。

 

 今のまま放置すれば、伊井野は無様に負けた上にあがり症が更に酷くなる。

 俺も多少の注意を受けてきた。だがそれは全て、あいつが自分の信念を持って貫いているからだ。非難されても、笑われても、正義という信念を持って普段から頑張っている。

 

 それに、だ。

 

『秀知院がより良い学校になって欲しい……その一心で、今まで頑張って来たのに…。私の頑張りって、一体なんなのかな……』

 

 過去にあいつが呟いたこと。俺は今でも記憶に残っている。

 あいつの信念も頑張りも間違っちゃいない。古臭い考えではあるが、あいつは何も悪くないのだ。

 

 ただ正しくありたい。その一心なのに、周りがそれを許さない。

 

「…白銀。アフターケア頼むな」

 

「え?ちょ、おい、比企谷っ?」

 

 白銀の言葉を聞かず、俺はそれだけを言ってその場から離れる。

 

 悪意の矛先は、ちょっとしたことで変わる。イレギュラーが入れば、とりあえず伊井野に矛先が向くことはない。

 

 俺が出来ることは正攻法とはかけ離れたもの。この選挙に纏う歪な雰囲気を、全てぶっ壊す。

 

「あっ……」

 

 伊井野が用紙を落とす。慌てて拾おうとするが、先に俺が拾う。

 

「比企谷…先輩……?」

 

「まぁあれだ。とりあえずもう終わりだろ」

 

「終わ、り…?」

 

「ビラ見たぞ。俺からすれば、だいぶ古い校則だ。これじゃあ票数は稼げねぇわ」

 

「おい君!何してる!」

 

 教師陣が慌ただしく注意する。しかし、俺にはただの野次にしか聞こえない。

 

「それにこいつら、ちゃんと話を聞いてねぇからな。伊井野が慌てふためく姿を偉そうに笑ってるだけだし」

 

 俺は全校生徒に向けて、鼻で笑う。

 

「なんだあいつ」

 

「知らねーよ。誰だよ」

 

 いい感じだ。いい感じに伊井野から意識が逸れている。

 

「お前らもさ、伊井野が慌てふためく姿見て楽しんでんだろ?普段から伊井野から注意受けてる奴は特に。自分が校則を破ったことを棚上げして伊井野を笑う。俺からすれば、伊井野よりそっちの方が滑稽に見える。正に、最底辺の世界の住人だ」

 

「なんだよお前!」

 

「急に出てきて調子乗んな!」

 

 やっべ。四宮の演説と同等の盛り上がりだ。我ながらここまでよく盛り上げたものだ。

 

「普段注意してくる奴が無様な姿を晒す。お前らからしたら、伊井野は見下したい相手だろ。自分の方が上だと、伊井野より優位な立場にいると確認がしたい。だから伊井野を嘲笑ってんだろ」

 

「比企谷先輩……」

 

「お前もだ伊井野。さっきも言ったが、こんなアホみたいな古臭い考えの校則は今の時代には合わない。例えそれを認めさせたくても、あがり症じゃ尚のことな」

 

「…そ…んな……」

 

 伊井野は顔を俯かせる。

 

「言い返したいなら何か言えよ。人の目ぇ見て話せって言われてないのかお前」

 

「わ、私が言いたいのはっ…」

 

 伊井野が勇気を振り絞って顔を上げる。

 

「ほれ。言ってみ、伊井野」

 

「あ……」

 

 焚き付けるだけ焚き付けた。観客も伊井野より俺に意識が向いている。

 後は、伊井野次第。

 

「この公約はアホらしくなんてありません!!」

 

 …びっくりした。慌てて耳塞いじゃったよ。俺どころか、会場が一瞬で沈黙した。

 

「いいですか!こちら各高校のブランドイメージのアンケートです!我が秀知院のブランド力は年々下降の一途を辿っております!」

 

「…原因は?」

 

「いくつかの原因はありますが、その中でもモラルの低下が強く印象付いているようです!世間には"偏差値だけ良いボンボン共"、そんな風に思われているのです!」

 

 火が付いた伊井野は、留まるところを知らない。アドリブもアドリブ。さっきまで用紙を見ていた伊井野が一転し、まるで政治家のように次から次へとスピーチを続けていく。

 

「まぁそういう側面は否めないけども。まぁでも秀知院がそんな風に思われているなら、近所の人からの印象もあまり良くないってことなんだよな?」

 

「そうです!そのせいで、最近は行事において地域団体の協力が得られない状況が続いています!」

 

「具体的には?」

 

「例えば文化祭のキャンプファイヤー!3年前まで恒例行事でしたが、深夜まで居座る生徒やポイ捨て問題が取り沙汰され、夜間活動に町内会の許可が下りなくなってしまいました!風紀の乱れが引き起こした問題の一つです!」

 

「つまり、周囲からの不評は現状の緩い校則が招いたことだと言うのか?だからって坊主はやり過ぎだろ」

 

「カッコいいでしょ坊主頭はーっ!!!」

 

「え」

 

一周してお洒落でしょ!あのクリクリはきゅんきゅんします!」

 

「え、あ、そう…」

 

 まぁ好みは人それぞれだからな。坊主が好きだと言う人間もいないわけではないが、なんて場でカミングアウトしてるんだよ。

 

「この情報社会、どんな些細な醜聞でブランドが崩壊するか分かりません!私達が社会人になってからも秀知院のブランドを保ち続けるため、今こそ風紀のある秀知院というイメージ改革が求められているのです!!」

 

 伊井野にはしっかりした信念がある。それを上手く伝えるのが難しかっただけで、それさえクリアすれば誰もが聞き入るスピーチになる。

 

「…凄ぇわ」

 

 伊井野のスピーチはまだまだ続いた。10分、20分。それ以上時間がかかり、誰かが止めれる雰囲気もなかった。

 

 その結果。

 

「…まぁ、仕方ないな」

 

 白銀と伊井野の生徒会選挙の票数において、40票の僅差で白銀が勝利した。結果として、伊井野は負けてしまったが。

 

「惜しかったな!俺お前に入れてたのによ!」

 

「来年もあるんだ!頑張れよ!」

 

「伊井野さんがそこまで学校のこと思っていたなんて知らなかったよ!」

 

「私達インスタで#坊主撫で隊ってのをやってるんだけど……」

 

 どうやら、次の生徒会選挙は大丈夫そうだ。伊井野に対する周りの見る目も変わった。

 

「ほらあいつだよあいつ。調子乗って壇上に出て、先生に連れてかれた奴」

 

「マジで意味不明。お前が何言ってんだよって話よね」

 

 ついでに、俺に対する周りの見る目も変わった。今の季節のように、少し寒々しい。

 

「…あんたは良いの?」

 

 その場から立ち去ろうとすると、目の前には四条が現れた。

 

「何がだよ」

 

「あんたの人格を知ってるから、大体分かったけど。誤解はさっさと解くべきじゃないの?」

 

「誤解は解けないだろ。解は出てる。それ以上解きようがねぇだろ」

 

「…本当、下らないことばっかり言って。…そういえば、かぐやおば様が倒れていたわよ」

 

「は?」

 

 何故四宮がぶっ倒れる。

 

「たまたま見かけただけだけど、状況から見てもしかしたらあんたの行動が原因かもね」

 

「マジか…」

 

 まぁもしかしたら、俺が原因で伊井野が生徒会長になりかねなかったからな。四宮からすれば、会長は白銀で、四宮は副会長であいつの隣で支えるという構図が理想なんだろう。

 

「…保健室に行ってみるか」

 

 倒れたってことは、おそらく近くには早坂がいて、介抱しているに違いない。四条が焦っていない様子を見ると、搬送されるような様態ではないと思われる。

 

 そう踏んで、保健室に向かったが。

 

「何かご用がおありですか」

 

 やっべぇ怖ぇ。殺人衝動バリバリ出してる。ちびっちゃいそうなんだけど。

 

「何も用がないのなら出て行ってください」

 

「かぐや様…」

 

「…悪かった」

 

 俺は頭を下げて、四宮に謝罪する。四宮や早坂がどういう表情をしているのかは分からないが、今俺が出来るのはこれだけだ。

 

「四宮がぶっ倒れたのは、多分俺の行動だろう。それに俺の行動で、危うく白銀が落選しかけた。お前や白銀、藤原や石上の努力を無にするところだった」

 

「…私に謝るより、会長達に謝るべきなんじゃないですか?」

 

「だから後で謝る。だがまず四宮、お前からだ」

 

「何故、私が先に?」

 

「みんなが生徒会選挙に懸けていたのは知ってる。みんなが努力していたのも知ってる。だが、一番頑張っていたのは四宮なんじゃないかって俺は思ってる。…白銀のためなら、なんでもするような奴だからな。白銀が会長になれたのは、四宮の助力が1番大きいんじゃねぇかって思ったからだ」

 

「…比企谷くん……」

 

 彼らに謝るということは、自分自身の行動が間違っていると否定していることになる。伊井野が無事にスピーチ出来るように仕向けたとはいえ、こいつらに対する配慮が足りなかったのも事実。

 

 結果としては、伊井野はしっかりやり遂げたし、白銀は生徒会長続行。だが、こいつらの努力を危うく潰すところだった。これほど上手くいったのは、伊井野が思った以上にきちんと話すことが出来たからだ。

 

 だいぶリスキーだったが、これしかなかった。俺が出来る、最善の方法。

 

「…もういいです。比企谷くんがどうしようもない人だと言うのは、今に始まったことではありませんから」

 

 四宮は溜め息を吐き、呆れながらそう言う。

 

「そうですね。捻くれた性格は死んでも治らないでしょうしね。最早彼のアイデンティティーですよ」

 

 四宮の言葉に続く早坂。

 

「…比企谷くん」

 

「なんだ?」

 

「お疲れ様。比企谷くんは頑張ったよ」

 

 早坂は、そう優しく微笑む。

 今まで彼女は素の表情を見せることが少なかった。けれど今確かに、自然に微笑んだ早坂の表情がそこにあった。

 

「……おう」

 

 早坂の労いの言葉を受け取り、保健室を出て行った。

 

 生徒会選挙も終了。伊井野のアフターケアは白銀か藤原、後は大仏辺りがしていることだろう。今の俺が行っても逆効果になる。

 

「ひ、比企谷先輩!待って!待ってください!」

 

 廊下を歩いていると、背後から駆け足の音と同時に彼女の引き止める声が聞こえる。振り返ると、息を切らした伊井野がそこにいた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「何の用だよ」

 

「比企谷先輩に…お礼をと…」

 

「…別にお前に礼を言われる筋合いはないぞ。お前に茶々入れただけに過ぎない」

 

 伊井野に礼を言われたいためにしたわけじゃない。会場の雰囲気も、伊井野も、全部気に入らないから荒らしただけだ。前提としては、石上の依頼があったと言うのも否めないが。

 

「で、でもっ……比企谷先輩が割って入って来てくれなかったら、私は何一つ言えないまま演説を終えるところでした。比企谷先輩がいなきゃ、私はダメだったんです」

 

「大袈裟だろ」

 

「大袈裟じゃないです!…また比企谷先輩に助けられて……私、先輩に迷惑ばかりかけてしまって…」

 

 と、悔しむ様子でそう溢した。

 別に迷惑だと思っちゃいないけどな。人に頼る気満々のやつに比べれば、全然マシな方である。

 

「お前がそこまで気に病む必要はないし、俺は迷惑だと思ってない」

 

「けど…」

 

「それに、俺も流石に頑張ったやつを迷惑呼ばわりするような鬼みたいな人間じゃねぇよ」

 

「え…?」

 

「白銀を僅差に追い詰めるほどの演説をしてみせただろ。きっかけはどうであれ、お前がこの学園のことを思って頑張ったってことが伝わったはずだ。そんな人間を迷惑だっつうほど、俺はそこまで性格悪くない」

 

 中学生から、あるいは小学生から。

 規律を重んじ、人を正しそうと伊井野なりに頑張っていた。それを伝える努力もしていた。

 

 伊井野は、頑張り屋な女の子だ。俺よりずっと苦しんで、足掻いて、抗っていたに違いない。

 そんな彼女を突っぱねるほど、俺は非情な人間じゃない。

 

「…比企谷先輩…」

 

 それはさておき、伊井野から向けられているこの視線に俺はどう対応したら良いものか。

 睨んでいるわけでもなく、哀れんでいるわけでもなく、ただただ俺をジッと捉えた熱く、強い視線。妙に熱っぽい視線に見えるのだ。

 

「と、とりあえず。もう話は終わりだ。俺は今から、白銀のところに行かなきゃならねぇんだよ」

 

 伊井野の視線から無理に逃げるようにし、言うことだけ言って白銀達を探した。

 

「比企谷、見つけたぞ」

 

 白銀達を探していると、逆にあちらから見つけられてしまった。四宮以外の生徒会メンバーが揃っており、今から俺がリンチでも喰らいそうな構図に見えてしまう。

 

「…悪かっ…」

 

「謝る必要はない」

 

「…は?」

 

 謝罪の言葉を遮った白銀の言葉に、素っ頓狂な声が出た。

 

「お前がそういうことをするやつだと言うのは分かりきったことだし、それにお前がやらなければ俺がやるところだったからな」

 

「…だからって謝らない理由にはならねぇだろ」

 

「どうせお前のことだ。謝るだけ謝って、勝手に生徒会から消え去るつもりだったろう」

 

「いや消えるも何も、生徒会は解散したんだし…」

 

「あぁ、解散した。だがまた結成した。四宮副会長、藤原書記、石上会計、更には伊井野会計監査」

 

 えっ伊井野までいるの?何あいつ、風紀委員と掛け持ちで生徒会やるつもりなの?

 

「そして、比企谷。お前を新生徒会の庶務として任命した」

 

「………ふぁっ!?」

 

 えっ待って勝手に決められてるってのはどういうこったパンナコッタ。

 

「謝る必要がないのはこういうことだ。謝るならば、それ相応の働きを奮ってもらう」

 

「…んな横暴な…」

 

「生徒会長だからな。これぐらいの横暴は当然だ」

 

 と、笑みを浮かべながら開き直る白銀。

 

「誰か欠けることは許されない。全員揃ってこその、()()()()()()なんだ。…比企谷庶務。何か異論はあるか?」

 

 …本当面倒くさい。生徒会の仕事も、このクソ横暴な生徒会長も。

 それでも、そんな生徒会という空間が俺に安らぎを与えていたのは否めない。知らず知らずに、あの場所に依存していたのかも知れない。

 

「…分かったよ。どこにでも連れて行け」

 

「ふっ…決まりだな」

 

 一番面倒なやつは、この俺かも知れないな。

 

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