諦めはウマ娘を殺しうるか?   作:通りすがる傭兵

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というわけで夏合宿の時間だゴルァ!

はい。ここも原作(アニメ)にガンガン追加要素を放り込んでだな......?


第3章 燃えよ根性、滾れ情熱『チーム カノープス』
第18話 エンジンのような情熱を連れて


 

 

 

 

「快勝快勝! やっぱり私、神に愛されてる......?」

「いや普通に地力が強いだけだからね」

「すごかったマチフク!」

「でへへー......どちら様?」

「南坂さんが目をつけてる子。来年から学園に来るんだって」

「おお〜、後輩になるというわけですね、ヨシヨシ」

「ターボ子供じゃないもん!」

 

 割り箸を割りながら答えると、フクキタルがキラキラとした目をいつも以上に輝かせてちっこいウマ娘の頭を撫でていた。彼女の名前はツインターボ。人一倍小柄な体格と目を引く青い髪、人一倍の負けず嫌いとレースが大好きな、そんなどこにでもいるウマ娘。

 

「そんでダブルターボさんでしたっけ」

「ツインターボ! 間違えないでよ!」

「わざとですよあいだだだだだだ!」

「ガブガブガブガブ!」

「2人とも、ラーメン伸びるぞ」

 

 ......ちょっと性格に難ありと言えなくもない。

 注意するとターボが噛み付いていたフクキタルの手を離して、いただきまーすと元気な掛け声をかけてラーメンを啜りだす。フクキタルはといえば噛みつかれた手を振りつつ、同じようにラーメンを啜り出した。

 

「すごいレースだった! 隣のおっちゃんが『強いレース運び』って言ってたけど、どういうこと?」

「最終直線だけで3バ身のブッチギリ。これができるのは強い末脚と的確なペース配分ができるってこと」

「正直な話、楽勝でした。占う必要も無いくらいにレベル違いでしたよう」

「きょうしゃのよゆーってやつだな!」

「ターボ、箸を人に向けない」

「はーい......」

 

 実際問題、フクキタルの地力はG1は勝てないとは言わないが、G3〜G2くらいを勝てる実力がある。もちろんG1クラスのウマ娘が出走していなければのただし書きはつくが、展開次第ではG1勝てるポテンシャルも無いことはない。それをわかっていてなんでトレーナーは重賞でも無いレースを走らせたのか。出走していた他の子には悪いけれど『勝って当然』なレースだったと思わずにはいられない。

 

「フクキタル、今日はどうだった?」

「いやあ、しばらく見放されていましたがようやく先頭の景色を見ることができました。沖野トレーナーには感謝です。次も簡単に勝てるレースだと有り難いんですけどねぇ」

 

 ため息をつきながらチャーシューを齧っているフクキタルに対して同意するようにツインターボがブンブンと首を縦に振っていた。

 

「やっぱりレースは勝つのが楽しいもん! でもマチフク、どうして最後しか1番前を走らなかったの?」

「最初っから最後まで走るのは難しいんですよ、ね、トレーナーさん」

「ん、ああ、そうだね」

「そんなわけないじゃん! だってターボ見たもん、1番前でずっと楽しそうに走ってるの見たもん! えーと、ダービー!」

「楽しそうに?」

「うん! 1番前でずっと笑って、最後までとっても! だから、ターボもやりたい!」

「ずっと、笑って......か」

 

 楽しく走る。昔はそう思っていても、いざ真面目に取り組むとなるとそれを見失うウマ娘も多い。こう言った純粋な輝きを持ったままレース生を終えることのできるウマ娘はどれだけいるか。

 私にはもう、思い出せない想い出だ。

 

「ツインターボは走るの好きか?」

「うん! 1番前で走るのが好き!」

「そっか。でも、中央はターボより速い子が沢山いるけど?」

「ターボ負けないもん!」

「その心意気だ」

「大将さんおかわりください!」

「速くない?!」

「た、ターボ負けないもん!」

「あー、無理しないで、ね?」

「ふぁふぁふぉいっふぁいふぁふぇふふぉん!」

「口の中の食べ物はちゃんと噛んでから喋る」

 

 フクキタルがレース後で腹ペコだったらしく3人前も食べてしまったが、それに張り合ったツインターボが2杯目の半分を食べたところで目を回してしまった。フクキタルに彼女を背負わせ、お会計をとレジに足を運んだところで店の大将がこんな事を言ってきた。

 

「あんた、あの様子を見るにトレーナーさんだろう? フクキタルさんのダービー惜しかったな」

「応援ありがとうございます。直接言ってくだされば良かったのに」

「いやあ気恥ずかしっくて言えやしねえよ。次は何に出るんだい?」

「それはまだ秘密ですよ」

「だろうな。そんで......ツインちゃんも中央に、ってところか」

「ツインターボのことですか?」

「ああ。いつも騒がしいから忘れねえよ。しょっちゅうレース場とかに入り浸ってて、よくうちの店にも来てたんだ。一緒にあそこのテレビでレースを観てたりしてなあ。ぎゃんぎゃん常連と騒いでたよ」

「へーえ」

「あの子のこと、よろしく頼むよ」

 

 まいどありー、という声を背中に受けつつ店を後にする。すやすやと寝息を立てるツインターボを背負ったフクキタルが心配そうにこちらを覗き込んでいた。

 

「トレーナーさん長かったですね。何かあったんですか?」

「......いや、そういえばフクキタルのこと何にも知らないな、って思って」

「おや、そういえば話してませんでしたね?」

「前のトレーナーさんの話とかも聞かせてよ」

「いいですよ。あの運命の出会いは衝撃的でした、あれは私が──」

 

 そうだ、まずは楽しく走らせてあげよう。そのためには、彼女がどんなことが好きなのか、どんな走りが好きなのか。それを知るためにいっぱい話そう。フクキタルと。

 

「ところでターボさんのおうちはどちらでしょう?」

「......ターボ起きて」

「すやあ」

「......どうしよっか?」

「もう深夜バスの時間まであまり時間が、はっ、こういう時こそ占いの出番! シラオキ様タなむほーれんそう」

「道端でこっくりさんを始めるんじゃないよ」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「で、この有様というわけですよ」

「とれーにんぐ!」

「いやどうしてそうなるんだよ」

 

 ウオッカのツッコミが冴え渡るここは千葉県の海沿いにあるトレーニング施設の一つ。そして私の隣にいるのはツインターボ。そう、ついて来ちゃったのである。というか成り行きでバスに乗せちゃったのである。

 

「いや本当にどうしてこうなっちゃったの......?」

「ターボも水着着替えてくる!」

「あ、うん、いってらっしゃい......ってあるの?」

「ありますよ」

「あるんですか?! 南坂先輩流石です!」

「そもそも、見学のつもりで連れて来る予定でしたしね」

「......えっ?」

「あれ、言い忘れてましたっけ?」

「フクキタル、ホウレンソウは大事だよって言ってるよね」

「にぎゃーっ!」

 

 すっとぼけ顔で首を傾げるフクキタルの頬を引っ張る。そもそも連れて行こうって言い出したのはあなただしあの態度は途中まですっかり忘れてた態度だからね。

 

「こんな様子で大丈夫なのかしら......?」

「いつもこんな感じでしょ。カリカリしてると眉間に皺が増えるよ〜」

「あはは、気合満点で良いじゃないですか!」

 

今年の春の注目株、母親はアメリカで成績を残した名ウマ娘。資質は十分『キングヘイロー』

学内レースでは高順位をキープし続けるが、どうにも勝てないブロンズコレクター『ナイスネイチャ』

名門メジロ家出身。惜敗が続いていたが宝塚でゴルシを下し初のG1制覇『メジロライアン』

 

そしてもうひとり。

 

「テメエどこから入ってきたチビ助ェ!?」

「ぴぎゃーっ!?」

 

 草むらからツインターボの首を捕まえてて引きずってきた、血気盛んな黒毛のウマ娘。フクキタルとは同世代かつ同じ中距離路線。ダービーこそ間に合わなかったものの、勝ちタイム自体はトライアル青葉賞をコンマ8秒も上回る好タイムを叩き出していた。

 

彼女がいればダービーもどう転んだかわからない。

そして菊花賞では矛を交えることになるだろう。

 

『ステイゴールド』

 

「ああん!? 見せモンじゃねえぞ!」

 

問題児と聞いていたが、これ程までとは......!

 

「サブトレ、フクキタルの後ろに隠れんのは流石にカッコ悪いだろ」

「コワイ」

「ちょっと、ウチのトレーナー怖がってるじゃない!」

「勝手に怖がってる手前が悪いんだろうが!」

「まあまあまあまあ......」

 

夏合宿、大丈夫かな。そう思わずにはいられない。




この世界ではもうちょっとだけ騒がしいカノープスです。まだ仮だけどね!

ネイチャとターボ以外影も形もありましませんので追加しました。
リャイアンについてはかんんんんんぜんに趣味です。ついでにゴルシちゃんの宝塚が爆発しました。許して
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