ヒロアカ世界に初代妖精王が転生するのは大罪ですか?   作:えりまきとかげ

3 / 3

前半部分は前話を区切ったものです。迷惑かけてすみm


くりーむ

 

 初代妖精王グロキシニア。

 

 妖精界という妖精の楽園を守護する初めての妖精の王で、何の因果かは知らないがボクはこの身体に入ってしまった。それについては少し罪悪感が湧くがボクの名前としては間違えていないはず。まあ魂は違うんだけどね。

 

「おう、グロキシニアか。そして妖精ってわけね」

 

「いえーす、アイアムフェアリー」

 

「妖精ねぇ……異能の類か?」

 

「違うわい!種族が妖精族なんだよ!」

 

「なるほど、異能によって種族が変わったってことだな」

 

「そんなわけ……あれ?」

 

 待て、意外と六駆の主張の方が正しいかもしれない。そもそも何でボクがグロキシニアの身体に入ってしまったのか。たまたま転生先にグロキシニアがいたとか?いいや違う。グロキシニアは殺されてるし登場作品が違う。そう考えるよりも………

 

「ボクの個性が『グロキシニア』っていう方が筋は合うよねぇ」

 

 この身体自体が個性によって生まれたものだったなら理解できる。文字通り個性はボクを作り上げているわけだ。

 

「あ?お前の異能自分の名前なのか。オールフォ―ワンと一緒だな」

 

「うむぅ……流石に自分の名前が個性……じゃなくて異能っていうのは恥ずかしいなぁ」

 

「ほう、お前のセンスの出番じゃないか」

 

 んなこと言ったってポンポン出せるわけじゃないんだけどなぁ。グロキシニアか……持っている魔力は『厄災(ディザスタ―)』。かすり傷を重傷化させ、毒を猛毒に変化させるなど小さな腫瘍を増大させる能力で、植物を支配して成長させるたり枯れさせたりすることも出来たはずだ。

 

 それだけでも十分強いのだが、グロキシニアの戦闘スタイルはそれと異なる。霊槍バスキアスと呼ばれる武器を使用しての空中戦が基本だったはずだ。霊槍というものは妖精たちが住む妖精界のどこかに存在しているという神樹から造り出された神器で、歴代妖精王が所有するものでもある。妖精王の証ってところだね。

 

 よし、試してみるか。

 

「………霊槍、バスキアス」

 

 アニメで見たように虚空に丸く手を振ると、その虚空から突如として光が現れる。

 

「うぉっ!?」

 

「あっ」

 

 その光は、六駆の顔の横を通り過ぎ壁をぶち破っていた。

 

 待って威力半端じゃない。確かに作中では岩とか破壊していたけど実際に見るとヤバいな。

 

「おい危ねぇぞ!俺じゃなかったら死んでたぞ!」

 

「いやーごめんごめん。事故だよ事故。それと今のは君じゃなくても死なないよ」

 

 怒り心頭の六駆に一応手を合わせて謝る。でもボク悪いことしてないと思うんだけどなぁ。殺人未遂に器物損害、つき加えるのならば不法侵入か。よくあることでしょ?この世界では。

 

「なんだ今の光は!?」

 

「おい、今ので二人死んだぞ!」

 

「どこに隠れていやがる!」

 

 ぶち破った壁の方から人の声が聞こえる。え、マジで?たまたま当たっちゃったかんじ?

 

「……………」

 

「おい、ボクを置いていくな」

 

 音もなく扉に向かった六駆のシャツを掴む。てめぇ、まさかボクを囮にするんじゃないだろうな。

 

「バカ野郎!お前が起こした問題だろ!俺は関係ないはずだ!」

 

「関係ある!一緒に寝た仲だろう!?」

 

「一緒に寝てねぇよ!」

 

 六駆に引きずられながらも手は離さない。ぐぉぉ、死ぬときは道連れじゃぁ!

 

「あっちから声が聞こえたぞ!」

 

「任せろ!」

 

「絶対殺してやる!」

 

 やばいやばいって!声が近いんだけど!まだヒロアカに来て一日ぐらしか経っていないよ、原作キャラと交流してないよぉ!

 

「つかお前、さっきの光で殺せばいいだろ」

 

「バカか!?こちとら人殺しなんて経験ないんだよ!平和の下で暮らしてきた日本人だぞ!」

 

「二人殺しただろ」

 

「あれは偶然!当たった二人が悪い!」

 

「いたぞ!きっとこいつらだ!」

 

「げっ!?」

 

 壁に開いた巨大な穴から魚みたいな人間が現れる。わー、さかなクンだ。ってふざけてる場合か!逃げなきゃ、殺されてまうわ!

 

「ちっ!おら行くぞチビ助!」

 

「どぅあっ!?」

 

 六駆がボクの頭を掴んで扉から飛び出る。ちょっ、助けてくれんのは嬉しいけど頭が痛い!潰されちゃう!トマト汁が噴き出るぞ!

 

 魚人もボクたちを追いかけてくる。

 

「仲間を殺されて、ただで済ますわけにはいかねぇ!」

 

「え、何そのかっこいいセリフ」

 

「ごちゃごちゃ喋んじゃねぇ!舌噛むぞ!」 

 

 古びた町の中を走る。正確にはボクを抱えた六駆と魚人とその一味だけど。

 

「はっ!」

 

「おお」

 

 六駆が路地裏に入り、敵をかく乱する。なんというかスパイ映画みたいな動きだね。ボクの視点からだとゲーム実況を見てるようなかんじ。

 

「…………………静かに」

 

「りょ」

 

 魚人たちから見えない角に隠れ、息をひそめる。六駆の顔を見てみると平然とした顔だった。余裕なのかな。

 

「くそ、どっか行きやがった」

 

「隠密系の個性か?」

 

 六駆は個性を発動させたのか、追いかけてきた魚人はボクらを見失ったようだ。流石だ、逃げ足だけは速い。

 

「…………」

 

「どしたの。もう撒いたんじゃむぐっ!?」

 

 口を押さえられて黙らされる。

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「ちっ、しょうがねぇ。引き上げるぞ」

 

「おい良いのかよ。あの人に怒られるぞ」

 

「そんときは頭下げて謝ればいい。なにより時間の無駄だ」

 

「……………了解」

 

「…………………」

 

「…………………」

 

「………もういいぞ」

 

「ぷはぁっ」

 

 六駆の手がようやく離れる。危ない、死ぬかと思った。呼吸困難で。あと数秒遅かったらボクが死体に成り果てるところだったぞ。ボクを連れて逃げてくれたのは助かるけど殺されるのは勘弁だ。

 

「ていうか、最初から異能を発動させておけば良かったんじゃないの?」

 

「それだと俺は逃げれるがお前は殺されるだろうが」

 

 え、そうなんだ。でも魚人たちはボクたちのこと見失っていたけど。発動条件でもあるのかな。

 

「俺の異能『絶気配(ゼロサイン)』は俺の気配を消してくれるが、俺以外の気配は消すことが出来ない。まあ、俺の近くにいるとソイツの気配も少し薄まるらしいがな」

 

「へぇ。六駆って意外と優しいんだね、ボクを見捨てないあたり」

 

 そもそも個性の名前それでいいのか。中二感が凄いんだが。

 

「は!?俺は優しくなんかねえよ!それは……その、お前が死んだら目覚めが悪いだけだ!」

 

「はいはい、男のツンデレには需要はありません」

 

 あー目の毒だわ。イケメンがやっても女の子にしかキャーキャー言われないっつうの。いや男でもキャーキャー言うか。主に叫び声で。

 

「………この後どうしよっか」

 

「どうするって何がだよ」

 

 何言ってんだコイツみたいな顔をされた。ボクも信じられない。彼は本当に日本人か?日本語通じないんだけど。アメリカ人じゃないのだろうか。

 

「隠れ家?は崩壊、敵には目をつけられた。お互いに一文無し。これでどうやって世紀末社会を生き抜けというんだ」

 

「そりゃあ、殺して盗んで逃げ続ければいいじゃねぇか」

 

 ドン引きだ。ボクはこれ以上ないほど引いている。彼への見方が二十度ぐらい変わった。あんま変わってないな。

 

「その、提案なんだけどさ」

 

「あ?」

 

「ボクと六駆とで、手を組まない?」

 

「は?」

 

 またもや何言ってんだコイツみたいな顔をされた。結構傷つくな。ボクが頑張って提案してやってるのには?ってなんだよ。

 

「ああいや、俺は嫌だってわけじゃなくてな。ただ驚いただけだ」

 

「そ、そっか」

 

「俺にとっては仲間が出来るのはありがたいが、お前にはメリットあるのか?」

 

 いやメリットだらけですよ。逃走には困らなくなるし、ボッチじゃなくなるし、一緒にいると生き残れそうだし。

 

「もちろんあるに決まってるじゃないか。友達と一緒に旅してみるの夢だったんだよねぇ」

 

「は?」

 

 またまた何言ってんだコイツみたいな顔をされた。もう泣いていいよね?涙腺崩壊しかけてるんだが。

 

「いや、なんでもない。驚いただけだ」

 

「は、はあ。それじゃあ交渉は成立ってことで良いんだよね?」

 

「ああ」

 

 六駆に手を差し出す。一瞬動揺した六駆だったが、すぐに笑顔になって握り返してきた。

 

「よろしくね、相棒(六駆)

 

「足引っ張んなよ?相棒(グロキシニア)

 

 

 こいつとなら、一緒にいてもいいかもしれない。ボクは、心の中でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボクたちはあれから、都市を離れ郊外で生活していた。その期間およそ一か月。六駆とも仲良くやらせてもらっている。たまに喧嘩はするけどね。

 

 六駆曰く、重要都市から離れるほどヴィランの発生率が少なくなるから息を潜めるにはもってこいの場所らしい。常識的に考えて、人が少なくて警備も甘い郊外の方が断然犯罪はやりやすいはずなのだが、この世界はコミックである。

 

 異能が発現して自身の力を過信した人達が力試しに都市に向かうのだ。そしてオールフォーワンの支配下に加わるということか。ゴキブリほいほいみたいだな。何もしなくても有能な異能が集まってくれてオールフォーワンは嬉しいだろうなぁ……早めに恩を売っておきたいね。ついでに強い異能を授けてくれてもいいのよ?

 

 でもボクの異能が奪われる可能性もあるのか。まだボクの個性の評細は分からないが、たぶん作中のグロキシニアみたいなことができるんだろう。

 

 そうえいば、妖精といえば羽なんだけどボクには生えていなかった。まだ覚醒していないからなのかな……。グロキシニアの虹色の羽を実際に見られる機会なんて前世ではありえなかったから、是非見たかったんだけどね。キングと同じように試練を越えなければ羽は生えないのか?覚醒はしたいんだけど、痛いのは嫌なんだよね。

 

 

 あ、確認したけど下の方も生えてなかった。どちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!

 

 

「おい見えたぞ。今回の目標(ターゲット)はアレだ」

 

 

 六駆が指さした先を見ると、黄色いJのマークが目印のコンビニ……ってJ.STOREか。この時代にもあったのね。

 

「よし、やっておしまいなさい六駆さん」

 

「おう!」

 

 フ◯ーザのような口調で六駆の背中を押し、コンビニに向かわせる。最初は前世の常識があって戸惑ったけど、今はもう慣れた。ぶっちゃけこの辺りの警備は緩すぎて警官も見当たらない。いたとしても、ご老人しかいないだろう。過疎化半端じゃないな。若い人は全員都市に行ってしまったのか。

 

 逆に、都市の人口が低下して郊外の人口が増えるドーナツ化現象があったとしたら、そのときに都心に向かおうかな。ヒーローも登場していないし、大丈夫でしょ。たぶん。

 

 

 ブロック塀の上に座り、足をブラブラさせて六駆を待つ。

 

 

 どうでもいいけど、菓子パンではクリームパンが一番好きだ。あんこが入っているとなお良し。時代は甘党だぜ。ホイップに目がいくなんて子供だなと笑うヤツもいるだろうが、安いし美味しいし魅力的なクリームパンこそ至高。クリームパンしか勝たん。

 

「よっし、取ってきたぜ」

 

「お、速いねー」

 

 いつの間にか帰って来ていた六駆は、右手にレジ袋を提げてクリームパンを頬張っていた。

 

 ……くりーむぱん?

 

「おまっ、それボクのぉぉぉぉ!」

 

「あ?別にいいだろ」

 

「よくない!ボクの生命線がたった今消え去った!」

 

「お前……前世ク◯ームパンダちゃんだったのか?」

 

 違うわ!あんな二頭身と一緒にするな!ボクだってそこそこ身長あるんだからな!

 

「だいたい、俺の異能のおかげで手に入れたもんだろーが」

 

「ぐぬぬぬ」

 

 確かに、これまでの戦利品は全て六駆の個性による成果だ。気配を消す能力だったらコンビニから幾らでも盗むことが出来る。まあ監視カメラなどには映るんだろうけど。そこは六駆の盗みのテクニックで、死角をついているため問題ない。貴方有能過ぎない?

 

「ボクの分は?」

 

「ほらよ」

 

 レジ袋の中から何かを投げられて咄嗟にキャッチする。

 

「ふむ、レンジで一分簡単お昼ご飯のできあがり……冷凍食品じゃねぇぇぇかぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

 

 ブロック塀の上から光のビーム(霊槍バスキアス)を出したボクは悪くないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





異能と個性の分け方の判断が難しい。

助けてアン◯ンマーン
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。