何故、気付かなかったのか?
世の中それじゃ済まされない。
いつだって、正義の味方は苦労人だ。
そんなのやらない奴は沢山いる。
それをやっているのは、多分彼だけだ。
木ノ瀬響也以外に、いなかった。
「響也君、またしのが!!」
響也の名を呼ぶ、ツインテールの少女、小路綾。
彼はそれを聞くと制服の胸元を緩めて彼女に聞く。
響也「場所はどこだ?」
綾「図書室」
響也「ここで待ってろ」
そう言って響也は走り出した。
一人残された綾は泣きながらその場に崩れる。
「大丈夫か、小路」
綾「皆……」
図書室では
響也「おい、忍に何やってる」
忍「響也君、助けて!!」
女子生徒「何ってこけしで遊んでるだけだよ」
男子生徒「言わばコマ回し的な奴、暴れるからちょっとオイタしたけどな」
白い紐で縛られた忍、そして二人の生徒の行いに響也はキレた。
響也「人を縛る遊びがあるか!!忍に謝れよ!!」
この言葉に二人の生徒は無言で退出していった。
響也はその間に紐を解き、忍を解放する。
忍「響也君……」
響也「もう大丈夫だ」
忍は響也に抱き着くと号泣する。
忍「ありがとう……」
その言葉を聞いた響也は忍を連れて友達と合流した。
彼女、大宮忍は響也の初恋の人で、ご近所さん。
響也にとって大事な人だった。
そして響也は大切な友達に巡り合う事になる。
響也「ホームステイ?」
忍「外国に泊れるんだよ、一緒に行こうよ!!」
目を輝かせる忍に俺は断れるはずもなく……
響也「わかった、俺もついていくよ」
数日後、二人は飛行機でイングランドへと飛んだ。
降り立った異国の地、草原や馬を眺めながら歩く。
そして二人はステイ先に家へとやって来た。
カランカラン ガチャ
「いらっしゃい」
扉から後ろに隠れた少女と母親が現れると挨拶を交わす。
響也「初めまして、カータレットさん。木ノ瀬響也です」
大宮忍「大宮忍です、三日間よろしくお願いします」
カータレット「よろしくね、ヒビヤ君、シノブちゃん」
「はっじめましってーーー!!」
響也・忍「うわああ!!」
突然日本語で挨拶と同時に現れる、金髪少女。
「ああ、私は九条カレンデス、日英ハーフなので是非日本語で」
響也「よ、よろしく……」(やたら元気いいな)
「あ……」
響也・忍「?」
突然飛び出し、顔を赤くしたままで話せない少女が近寄って来る。
カータレット「彼女、人見知りで日本語話せないけど、仲良くしてね」
その言葉を聞いた響也は彼女に、聞く。
響也「君、名前は」
「アリス・カータレット」
名前を聞くと響也はアリスの手を握り、忍も手を重ねる。
響也「よろしく、アリス」
忍「よろしく」
その後、カータレットさんにお世話になりながら、アリスやカレンと日本の話をした。
最初こそぎこちない会話が続いていたがカレンが通訳になってくれて助かった。
アリスも自然と笑うようになり、お互い通じ合う事が少し、出来たかもしれない。
二日目の夜、響也はアリスに話した厚焼き玉子を作った。最初こそオムレツと何が違うのかと聞かれたが日本の素材で作る飾らない料理だと教えた。
わざわざ自分お手製の出汁を持ってきて正解だった。
出来上がった厚焼き玉子を見たアリスは不思議そうにフォークで食べると……
アリス「……」 キラキラキラキラ
目を輝かせてカレンに言葉を伝える。
カレン「凄く美味しい、何を使ったんだろう。だって」
響也はアリスに出汁について語った、だがこの時は説明しても残念ながら理解できなかったみたいだが。
だが、この時響也は感じていた。この時間がずっと続けばいいのに。と……
その夜、近くの森でバーベキューをしようという事になり、俺達はその準備をしていた。
俺とアリスは森の中で薪になる枝を拾っていた。
響也「そろそろ戻るか」
戻ろうとした時だった、アリスの視界に入ったのは……
大きな、野生の狼だ。
恐怖でその場でしゃがんでしまうアリスに響也は反射的に腕を掴む。
響也「アリス、逃げろ!!」
アリスを引っ張り、逃げようとした瞬間……
ガッ!!
響也「がアアアア!!」
響也の左腕を狼に噛まれ、血が響也を赤く染める。だが響也は逆に狼を蹴り飛ばし、怯んだすきにアリスと走る。
森を抜け、忍たちと合流した所で俺はその場に崩れ落ちた。
目が覚めるとアリスと忍が響也を挟むように眠っていた、アリスは目の覚めた響也に泣きながら自分の名前を呼び続けた。
響也「ごめんよ、アリス」
ホームステイの三日間が終わり、カータレット家と別れを告げる事になる。
その時アリスは響也に伝えた。
アリス「また、会えますか?」
アリスが最初にしゃべった、日本語だった。
響也「会えるよ、きっと」
響也はそう言うとアリスとカレンにに赤い布袋を渡した。
響也「それはお守りって言って願いを叶えてくれるおまじないだ」
忍「そして私もアリスちゃんに」
忍はアリスに箱を渡すとその中には簪が入っていた。
アリスは不思議そうに見ると忍はアリスに簪を刺す。
響也「似合ってるんじゃん、可愛いよ」
4人はお守りを見せ合うと笑顔で伝える。
響也「いつか、また4人、出会えますように」
響也と忍は二人に別れを告げて日本へと向かった。
大切な三日間で友達を得た響也、彼はアリスとカレンとの再会を待ち続けた。
3年後
桜が舞い散る中、一人庭の手入れをする響也。そんな彼は手入れを終えてポストを開ける。
響也「エアメール……?」
エアメールを開き、ローマ字で書かれたその手紙には……
響也「アリスが、日本に……!!」