ホテルでの出来事から週末が明けた月曜日。
一人ウルトラフュージョンカードを並べながら謎の占いに俺は興じていた。
忍「何の儀式?」
響也「特に何も無いよ、勝手にカード並べて出鱈目な運勢占ってるだけ」
相変わらず笑顔が眩しい、忍の事を改めて異性として認識した。
でも、アリスも可愛いしカレンも捨て難い。
相当迷走してるな、俺。
響也「ちょっと出歩いてくるか?」
教室を出た俺は桜の木のベンチに向かう。
響也「お疲れですか、久世橋先生」
「あら、響也君じゃない」
久世橋朱里先生、俺の隣のクラスの担任で俺の母さんの友達。
朱里「響也君も涼みに来たの?」
響也「いえ、ちょっと久世橋先生にお願いがあってね」
朱里「私にお願い事?」
そう言って水筒の出汁をカップに注ぎ、久世橋先生に渡した。
響也「夏用に作り直して見たんです」
朱里「凄く良い匂い、カツオ出汁?」
響也「カツオと昆布、シイタケの合わせ出汁です。氷を入れる都合上味の薄まりを避けるため濃いめに作っておきました」
出汁を綺麗に飲み干す久世橋先生は何度見ても美しい。
見惚れていた俺は……
朱里「どんな目で私を見てるの?」
響也「あ、ああ、つい、綺麗だったから」
朱里「ありがとう、凄く良い出汁だった。これでうどん食べたら最高ね」
響也「その気になれば今すぐでも作れますよ」
朱里「ホントにどこからそんな料理スキルを学んだのかしらね」
響也「その言葉は俺にとっては褒め言葉ですよ」
蝉の音色も活気付く、7月の昼下がり。
6時限目
朱里「それじゃあ、1年生の皆には集まってもらった。これから話すのは林間学校の概要よ」
響也「ついに来たか、林間学校」
朱里「今回の林間学校は基本3人1組でのグループ行動。アスレチック、動物園、川遊びの3種類の中から各自1つを選んで行動する様に、その他必要事項については林間学校のパンフレットをよく読む様に」
話が一通り終わり、帰ろうとするが突然スマホに綾からメッセージが入る。
響也「何だ?」
綾『今、恐ろしい現場に立ち会っているから図書室に助けに来てええええええ!!』
このメッセージの焦りと不穏さに何なのかと思いつつも、俺は図書室に向かった。
だが事態は俺が考えているほど楽観的な物ではなかった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
迸る殺意を纏った忍・カレン・アリス。
互いに見つめ合い、黒いオーラが図書室を包み込む。
響也「お、お前ら落ち着けって。一体何が理由で喧嘩してるんだ」
忍「響也君、林間学校のグループは私と組むよね?」
響也(グループ決めが原因かあああああああ!!)
事情を察した俺は全身から汗が噴き出す。
アリス「ヒビヤ、私と組もうよ。ヒビヤが思ってる事よりもすっごい事してあげるから」
カレン「何を言ってるんデスか?当然私と組む以外に選択肢はないデスよー。そこの黒いこけしと金髪(※自主規制※)よりも私が魅力的でしょ?」
響也「真っ黒に染まり過ぎだ!!」
実情の重さが約1000倍レベルで悪化してる。
忍・アリス・カレン「「「さあ、私を選んで!!」」」
確かに選んであげたいが残念なお話を告げる他ならない。
響也「あのさ……」
忍・アリス・カレン「何?」
響也「俺、もう御堂と竹内の二人でグループ組んでるぞ」
忍・アリス・カレン「え……ええええええええ!!」
教室
宗「そりゃあ災難だったな」
修「まあ、気持ちは分からない訳でも無いな。俺も響也に誘われるまでは女の子からオファーが大量に来てたからな」
響也「やっぱり回るならこのメンバーで回りたいよな」
宗「その方が肩の荷が楽だよ」
だがある事に俺は気付く。
響也「そう言えば綾たちもグループ組んだのか?」
宗「勿論組んだよ、穂乃花と陽子の3人で回るってさ」
修「まあ、安定と言えば安定のグループ構成だよな」
宗「それよりもアリスたちはグループ組めたのか?」
響也「案の定あの3人そのままグループ組んで回るみたいだぜ」
修「不安な顔してるな」
響也「不安過ぎて今夜は眠れなさそうだ」
そして林間学校を控えた前日の日
響也「着替えと歯ブラシはこれでOK、後は川遊び用の水着とおやつ。リンスインシャンプーにタオル、これで全部か」
荷物を纏めた俺は腰のポーチにラジオ式ライト、アーミーナイフ、スマホを収納すると俺はポーチの左ホルスターに缶のドロップをしまった。
響也「冒険心が滾るな」
そして迎えた林間学校当日。
バスの中
修「いやー、遂にこの時が来たな!!」
宗「夢とロマンに満ち溢れた森の中に入るのが楽しみだ」
響也「このためにサバイバル用の装備一式持ってきたんだぜ」
アリス「何を持ってきたの?」
不思議そうにアリスが隣の席から着てくる。
俺はマウントされていた腰のエアーガンを取り出した。
アリス「ヴェアアアアアア!!」
修「大丈夫、本物じゃないよ」
朱里「ちょっと、響也君たちそんなものまで持ってきたの?」
響也「森の中を探検するならこういう物があった方がワクワクするだろ」
朱里「ホントに男の子は冒険が好きなのね」
銃をホルスターにしまい、左のホルスターのドロップの缶を開ける。
宗「ドロップか、懐かしいな」
響也「真夏の冒険の定番だ。何か欲しい味あるか?」
修「リンゴ味貰うよ」
宗「オレンジ頂こう」
ドロップを見つめ、その形や色にアリスの目は輝いていた。
アリス「ドロップって飴なのに宝石みたいで綺麗」
響也「海外じゃあ珍しいよな、戦前からずっと日本に存在していた携帯キャンディーの古典だから」
アリス「そんなに昔からあったんだ」
宗「でもドロップは僕にとっては苦い思い出なんだけどね」
アリス「ドロップにどんなトラウマが」
アリスにこの話の流れを話そうにも内容がアレ過ぎるから少し話題を変えよう。
響也「そう言えば林間学校の自然学習はアリスたち川遊びだったよな?」
アリス「カレンやシノと相談して決めたよ、暑いから水を浴びたくて」
修「俺達は当然アスレチックだ。色んな遊具や森の中を駆け巡るんだぜ」
宗「因みに穂乃花たちは動物園に行くそうだ。何でもウサギと遊ぶとか言ってたな」
アリス「じゃあ、それぞれで好きな事やるんだ!!」
響也「林間学校の3日間は冒険の連続、じゃんじゃん遊ぶぞ!!」
宗「そう言えばカレンと忍が無言のままだがどうしたんだ?」
席をよく見れば……
カレン・忍「zzzzzzz」スヤァ……
響也「林間学校初日からこいつら寝てるけど大丈夫なのか?」
そんなこんなでバスでの移動から1時間、目的地の宿泊コテージに着いた。
朱里「それじゃあ、各自グループごとに指定された部屋にベッドシーツを持って移動してください。ベッドメイキングの後は室内で自由に、7時の晩ご飯はアラームが鳴ったら食堂に移動してください」
俺達はベッドシーツを持って部屋に移動した。
ベッドメイキングを終えた俺達はエアーガンの弾込めをしながら自慢していた。
響也「御堂、今回の為にわざわざライフル新調したんだな」
修「良いだろ?千発は発射できるぜ」
響也「俺も部屋に眠っていたハンドガン4丁持ってきた、弾も十分持ってきたぜ」
宗「僕は6弾式リボルバーと刀だ、近接戦なら負けないぞ」
響也「明日は派手にやれそうだな、それまでス〇ッチでフォートナイトやりながら焦る気持ちを抑えようぜ」
修「そうだろうと思ってス〇ッチ持ってきたぜ」
宗「手合わせ願おうか」
ベッドの横に銃を置き、フォートナイトに興じる俺達は……
この時まだ知らなかった。
この林間学校で起きる、忍と俺の大事件を。
そろそろ尺が無いので続きはまた今度。