照り付ける太陽と喧騒のビル街、バスで片道1時間20分の大移動を終えてやって来たのは新設された巨大アウトレットモールだった。
本当は忍と共にここへ来るはずだったが……
アリス「ヒビヤ、早く早く!!」
カレン「今日はたっぷり私に付き合ってもらうんだから!!」
響也「元気がいい事だな、何かごめんな。あいつらまで連れてきて」
忍「響也君は悪くないよ、それに皆と一緒ならもっと楽しいよ」
響也「それもそうだな、よし、行こうぜ」
こうなったのは昨日の事。
大宮家 忍の自室
忍「新設のアウトレットモール?」
お茶を啜りながら俺は忍に告げる。
響也「少し遠方だけどその分都会だから色々な物がある。服にお菓子にアクセサリーやゲーム、書店にレストランなど計200店舗はあるんだ。良かったら、その……二人で……どうかなって……」
忍は俺からの誘いに笑顔で答えた。
忍「響也君が誘ってくれるなら、すっごく嬉しい!!」
響也「それじゃあ、明日、あの二人には内緒で」
忍「勿論!!」
こうして翌朝、意を決して外出をしようとした矢先。
俺の家の前に立って居たのは……
アリス「おはよう、こんな朝からお出かけなんて余程イイコトしようとしてたんだね」
響也「なんでアリスが……」
カレン「私の事も忘れないでクダサイ、シノだけに甘い汁は啜らせませんよ」
忍「ごめん、二人にバレちゃった」
よりによって二人にバレた。この事情を知っている可能性があるのは……
響也「誰から俺たちの事聞いた?」
アリス・カレン「寝ている時に耳元でアダルトな声で誰かが教えてくれた」
響也(あの姉貴余計な事をッ!!)
と言う余計な密告者のせいで俺は今クワトロデートをする事になった。
響也「とりあえず、俺は新しいTシャツが欲しいから最初は俺の買い物に付き合ってくれ」
3人「了解!!」
そうして俺は男性向けファッションの店に向かった。
響也「青系のTシャツ3枚、これでいいか」
試着室に入り、実際に3人に見て貰った。
一着目はディープブルーにライムグリーンの縁取り。
二着目は肩が黒い白のTシャツ。
三着目は赤にマゼンタのストライプ柄。
3人「3着とも買いましょう!!」
響也「よし来た!!」
3着のTシャツを買い、黒い紙袋を片手に次の店へと向かう。
カレン「ヒビヤ、次アレ行きましょう!!」
カレンが指を刺したのはコスプレショップだった。
響也「こんなマニアックな店もあるのか、それなら行ってみようか?」
コスプレショップに足を踏み入れればそこは異世界、沢山の清楚な物から不健全な物まで取り揃えていた。
俺はそこで……
響也「日本人ならサムライだろ!!」
アリス「おお、甲冑と日本刀!!」
カレン「イッツパーティー!!」
忍「それは戦国バ〇ラ!!」
響也「それじゃあ、お前らも何か探してこい」
そして3人の選んだコスプレは……
忍「し、シノにゃんだにゃん。ご主人様に可愛がって欲しいにゃん」
ネコミミメイド、忍。
響也「カワイイ、100点!!」
アリス「私をデートに誘わない困ったワンちゃんにはお仕置きが必要ね」
女王様、アリス
響也「誰からそんなの教わった!!」ガーン!!
カレン「さあ、私がご奉仕させて頂きますわ♡」
バニーガール、カレン
響也「高校生にはまだ早い!!」
3人「ねえ、どっちが好きなの?」
響也「全部エロくてカワイイから全員優勝!!」
その後
響也「ああ言う店も悪くないがあんまり暴走するなよ、下手したら捕まるからな」
アリス「3階のエリアに恐竜VRコーナーがあるよ」
響也「良いな、それ行ってみようぜ!!」
そしてVRコーナーへ
響也「おお、こいつはすげえ!!」
アリス「ヴェアアアア、怖いイイイイイ!!」
響也「しゃーねえな、ほら、手掴んでやるから先に進むぞ、来い」
アリスをエスコートしつつ、VRゴーグルを被ってカートに乗る。
その横で忍とアリスが物凄い笑顔でドス黒いオーラを放っていた為、善意でアリスの隣に乗ったがどうやら俺は後で責任を取る事になるのは眼に見えていた。
恐竜の世界を右往左往しながら回ったり登ったりの連続そしてクライマックスには……
アリス「ヴエァァァァァァァァァ!!食べないでえええええ!!」
響也「落ち着けアリス!!」
カレン「足場が、足場がアアアア!!」
忍「滝の上から落ちるよおおおおお!!」
Tレックスに襲われ、飛び出た先は崖、当然ここからジェットコースターの如く、俺たちは真っ逆さまに落ちていった。
大型遊園地顔負けの絶叫マシンを肌で感じ、エントランスを出た俺達はフードコートで一休みしていた。
響也「あの恐竜VR、U〇Jと張り合えるレベルだったな……」
カレン「未だに鳥肌が治らない」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
そして俺の隣では完全に屍と化した忍とアリスを横目に俺は魔法の呪文を唱えた。
響也「あのジェラート屋かなり混んでるな、旨そうだから行ってみるか?」
忍・アリス ピキーン「ジェラート!!」
響也「チョロいな、お前ら」
そして俺達はジェラートを片手に再びデートを始めた。
響也「忍はストロベリーとチーズクリームのツイン、アリスは抹茶にあずきミルクのツイン、カレンはイチジクとダークチョコレートのツイン、そして俺はバニラソーダとピーナッツキャラメル。やっぱり偏るな」
アリス「そういうヒビヤだって休日は砂糖まぶしたピーナッツボリボリ食べてるじゃん」
響也「毎朝いちご・オレはダ〇ドーしか飲まない奴が言えた口かよ」
カレン「まあ、私はファ〇マのダークチョコレート・オレ毎日飲んでるけど」
忍「わかる、私はチーズクリームはやめられないから」
響也「味の濃いものほど簡単に一袋平らげちゃうんだよなー」
3人「同感です」
ジェラートを食べ終えた俺は、パンフレットを片手に再びどこへ向かうか3人と相談する。
響也「この後どうしようか?」
アリス「ここまで来てカレンも含めてそれぞれ行きたい所に行ってるから……」
カレン「それじゃあ、次はシノの番だね」
響也「どうする?」
忍「それじゃあ、一件行ってみたい所が」
そして俺達が来たのは若者向けのアクセサリーショップ。手頃な価格でカワイイ物からカッコイイ物まで何でも取り扱っていた。
響也「それで、忍のお目当ては見つかったのか?」
俺の手には「A」の形のバングルを手にしつつ、忍に聞く。
だが忍の欲しい物は意外な物だった。
忍「ねえ、私の買うアクセサリー、響也君が選んでよ」
響也「え?俺が?」
忍「響也が可愛いって思った物が私の欲しい物だよ♪」
響也「それなら」
俺は飾られたアクセサリーの中から赤いクリスタルの菱形の髪留めを選んだ。
響也「これが、いいかな?」
忍「悪くないよ、凄くカワイイ」
響也「これ、俺が買うよ」
忍「良いの?」
響也「俺が選んだからな、忍にプレゼントだ」
会計を終えて、忍に紙袋を渡す。
忍「ねえ、つけてみていい?」
響也「俺も見たかったよ」
その髪留めを忍は頭の横につけると笑顔で聞く。
忍「どう、カワイイ?」
響也「凄く似合ってるよ」
お互い顔を赤くしつつ顔を背けて手を握ろうとした矢先。
カレン「私たち忘れてない?」
響也・カレン「あ、ごめん」
アリス「とりあえず、もう5時過ぎてるんだからそろそろ帰らないと」
響也「そっか、もう5時か。よし、帰るぞ」
こうしてクワトロデートを終えた俺は、少し忍の事を贔屓していた事をカレンとアリスを通じて思い知る事となった。
4人でいる事に俺は意味があると心で想いつつ、いずれ選ぶ時が来る。
その時に俺の気持ちは……
今と同じなのだろうか?