きんいろモザイク ステイ・ハニーズ!!   作:しゅみタロス

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Lesson16 夏休みはもう、死んでいる。

夏休みが終わった、9月に入ると学校の様子は一変、大掛かりなセットや道具で溢れかえっていた。

 

そう、来週土曜日は学園祭、俺はクラス内を回りながら仕事に精を出していた。

 

男子生徒A「響也、こっちの衣装を持ってきて欲しいんだけど」

響也「任せろ、俺が5つ持っていくから後の3つよろしく」

 

衣装を裁縫部に持っていき、衣装の採寸や改造などが行われる。

 

アリス「カレン、これ、つけてみない?」

陽子「おおー、可愛いじゃん!!」

カレン「いやーそれほどでも?」

 

衣装のカチューシャで遊ぶ3人、その横で一人衣装をミシンで繋いでいく忍の一生懸命な姿に俺は見とれていた。

 

響也(あんなに頑張ってるなら、俺も負けてられないな)

 

身を引き締めた俺はクラスの仕事を次々と回る、メイド喫茶、射的、焼きそば、クレープ、お化け屋敷、サッカー、テニス、ライブステージ。

 

目まぐるしくクラスの出し物のエリアを回り、その準備に尽力していった。

 

夏休み前から色んな仕事を受け持っていたが故に皆に頼られ、俺はその期待に応えるべく、動き続けた。

 

夕暮れの教室、最後の仕事を終えた教室、誰もいなくなった教室で一人、保温水筒の自家製出汁を飲み干す。

 

響也「やらなきゃいけない、あいつの為に……」

 

俺の心には、一つの覚悟が燃えていた。

 

 

 

 

 

すっかり暗くなった夜道を歩く、その背後には謎の人影が揺れ、俺はその人影が何かすぐに分かった。

 

響也「こんな時間まで俺を待ち伏せていたのか?姉さん」

 

そこには片手に飲み物を二つ抱えた勇がひょっこりと出てくる。

 

勇「健全な男の子が夜遅くまで学校に居たら不安になって当然でしょ?」

響也「健全な男の子に夜這いをかける姉がそれを言うか?」

 

額に手を当て、困惑する俺をクスクスと笑う勇は俺に甘酒の缶を渡す。

 

勇「ちょっと、付き合ってよ♪」

 

静まり返った夜の公園、その寒さに少し堪えながらも甘酒の缶を開ける。

 

響也「それで、急に俺を追って来てまで何しに来たんだ?」

 

すると勇は俺のノートを見せつける。

 

響也「姉さん、それは!!」

勇「響也の書いた告白ノート、部屋の押入れから出てきたよ♪」

響也「勝手に人の家の押入れ探らないでくれよ……」

 

エロ本より滅茶苦茶ハズイ物を発見され、少し身体が熱くなってしまった。

 

勇「響也はこのノートで、誰と結ばれたいか、それをずっと考えてたのよね?」

響也「当然だろ、忍だけじゃなく、カレンもアリスも大事だったから」

 

勇は俺の目を見て切り出す。

 

勇「まだ、迷ってるの?」

 

俺は今まで隠し続けてきた本音を勇に吐露した。

 

響也「確かに最初は迷ったよ、忍が俺の初恋なのは変わらないけど、もしかしたら別の未来もあるんじゃないかって。そう思って俺はそのノートにただがむしゃらに4人での日々を書き綴った。自分を好きになってくれた3人は俺にとっても誰が一番かは決められない。でも、これだけは変わらなかった。

 

俺の近くにいつも居たのは、忍以外にいなかった。だからこそ俺の未来に一番裏切れない存在は、忍だったんだ」

 

勇は目の前で顔を赤くしながら口をパクパクさせていた。

 

響也「な、何か言えよ……」

 

心のままに語ったが故にこっちも恥ずかしくなってしまった。顔が熱い。

 

勇「ま、まさか、響也がそこまで忍の事考えてたなんて思ってなかったから、でも、ちょっと嬉しい」

響也「だからこそ、俺はずっと考えてたんだよ。そしてその時がもう近いんだ」

勇「響也、まさか……」

 

俺は立ち上がると空を見上げ、自分の覚悟を告げた。

 

響也「俺は明日の学園祭で、忍に告白する。想い続けた忍と、寄り添いたい」

 

その純粋な瞳に勇は笑みを浮かべると、俺の肩を叩いた。

 

勇「やるなら、男らしくやりなさい。妹を、あなたに託すわ」

響也「ありがとう、姉さん」

 

 

そして翌日

 

裁縫部に布を届けた俺はミシンをかける忍に声を掛ける。

 

響也「忍、ちょっといいか?」

忍「どうしたの?」

 

俺は少し手を握り、伝えた。

 

響也「学園祭、俺と一緒に回らないか?」

教室の部員「!!!!」

 

忍は突然の言葉に少し動揺する。

 

近くに居たアリスたちも唐突な事に空気が張り詰めていた。

 

忍「それって、二人っきりって事だよね?」

響也「ダメか?」

 

忍「実は同じこと考えてた、良いよ、一緒に回ろう」

響也「ありがとう、ちょっとヒヤヒヤしたよ」

 

お互いに笑い合う中、アリスとカレンは互いに視線で何かを感じ取っていた。

 

昼休み

 

アリス「ヒビヤ、誰にでも平等に付き合ってくれたけど、急に忍だけを誘うなんて」

カレン「あのヒビヤの目はいつもより違った、もしかしたら、ヒビヤはもう心に決めているのかもしれないでデス」

アリス「じゃあ、その時が来たって事だよね?」

 

カレンは板チョコを2つに割り、齧りながらアリスに告げた。

 

カレン「ヒビヤはこの学園祭で忍に告白する、ヒビヤが決めた事である以上決定権は私達に無い、だからこそ私たちは、あの二人の為に出来る事を全てやる。それが私たち4人の約束だから」

アリス「そうだね、やろう」

 

想いの交錯する学園祭、約束の先に、俺達は何を見る?

 

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