学園祭当日、街の人たちが行き交ういつもと違う学校で、俺達はメイド喫茶の出店で接客していた。
響也 キラキラ「ご主人様、何なりとお申し付けください」
女生徒A「ヒビヤ君、決まってるね、その服」
女生徒B「それじゃあ、パンケーキコーヒーセット2つお願いします」
響也「お褒めのお言葉、ありがとうございます。パンケーキコーヒーセット、承りました」
メニューを取った俺の視界には、メイド姿のアリスと忍が接客していた。
俺にとっては中々見られない姿だけあってつい眺めてしまう。
すると後ろから荒沢先輩がやってきて俺達に声を掛けた。
切「皆、午前の部はこれで終わり、各自衣装を着替えて午後から自由行動とします」
すると俺の元に忍が駆け寄ってきた。
忍「この後、どこ回る?」
響也「それなら、午後からのライブステージに御堂と竹内が出るんだ、あいつらの為に見に行ってやろうぜ」
そして俺達は更衣室で着替えを済ませ、お互いにメイドカフェの前で待ち合わせした。
俺と忍が二人並んで出店を歩く中で、同じくアリスとカレンが背後を付けていた。
アリス「二人、うまくやれるかな?」
カレン「大丈夫よ、ヒビヤは一度決めたらカッコよく決めるから」
ステージ前のクレープ屋さんでクレープを買い、入り口で食べながら入場開始を待つ、お互いいちごのクレープを頼んだが正直俺はチョコバナナが食べたかった。
何で頼まなかったか、メニューに無かったんだよ。
『大変長らくお待たせしました、間もなくスクールライブステージ、入口を解放します』
アナウンスと共に客が入口へと向かって行く。
響也「忍、行こう」
忍「あ、いや……」
突然手を握り、忍と共に会場入りする、忍は真っ赤になりながら俺の席の隣に着いた。
俺はライブステージのプログラムを確認しながら待っているとステージの上に御堂と竹内の二人が上がり、オープニングコントを披露する。
修「さあ、始まりましたスクールライブステージ。ここから先素晴らしい芸とコントの数々で皆さんを愉快に楽しませますよ」
宗「圧倒的スケールと豪華キャストによる圧巻のステージ。刮目せよ」
修・宗「現実を凌駕する、最高のエンターテインメントをあなたに!!」
するとカーテンが開き、突如プロジェクターで映し出される江戸城。
その先には現れたのは、鮮やかな和服に身を包んだアリスだった。
忍「アリス!!」
そして同じく、藍色の和服に身を固めたカレンが姿を現し、共に、刀を抜刀する。
その瞬間キレのある三味線の音色と共に複数の侍の様な悪霊が出現し、プロジェクターが目まぐるしくアングルが回っていく。
悪霊相手に着物を靡かせながら鮮やかな剣戟が始まり、その見事なまでの殺陣はまるで外国人とは思えない程日本人らしい。
最後の悪霊を切り伏せると一面に桜吹雪が舞い、刀を納刀して第一部が終わった。
観客の喝采を浴び、見事に日本の美学を見せつけた。
御堂「ええ、今ご覧になられた舞台は
宗「少し名前が拗らせていますが素晴らしい殺陣とシチュエーションでしたね」
御堂「それでは、次のステージへと参りましょう、こちらです」
プロジェクターに映し出される宇宙空間
その中でひっそり現れたのは綾、陽子、穂乃花の3人だった。
映し出された宇宙には大量のロボットのデブリが散乱し、彼女たちが訴える。
綾「人はいつ、戦いを忘れる事ができるの?」
陽子「度重なり、混沌とする宇宙と世界」
穂乃花「それを覆す、一人の戦士の姿が、あなたたちを答えへと導くでしょう」
そして映像が切り替わり、会場一面が映像に飲み込まれる。
大きく映し出されたのは 宇宙世紀 0123年
第2部 機動戦士ガンダムF91 ザ・リアル。
頭に響くような銃声、エンジンの音、軍人たちの叫び、まるでそこにいるかのような錯覚へと陥る戦場の迫力。
御堂に俺が冗談交じりで提案したステージだがまさかここまでやるとは。
正直言って期待してなかった分余りの迫力にドン引きである。ここまでやる必要なかっただろ、USJ負けず劣らずじゃねえか……
映像が終わり、余りの迫力に身体が震える中、俺は席を立つ。
忍「響也君、どこ行くの?」
響也「ちょっと、飲み物でも買って来るよ」
そう言って俺は会場から出る、その後ろには御堂が立っており、俺は御堂と共にステージの奥へと向かった。
宗「それではライブステージもこれで最後、ラストを飾るのはこの人だ!!」
そしてカーテンが開くと同時にステージには……
忍「響也君!!」
この俺、木ノ瀬響也が立っていた。
マイクを片手にステージに立つ、俺は息を吹き返して叫ぶ。
響也「俺の名前は木ノ瀬響也、この学園祭、このライブステージに来てくれた沢山の人たちの為に、このライブに最後の華を添えよう。皆、今日は来てくれてありがとう。最後まで付き合ってくれ。これから歌うのは……
YOASOBIより、夜に駆ける!!」
そしてライトが消え、マゼンタのサイリウムが会場を彩る。
ピアノの癒すような前奏が会場に響く、そしてその瞬間、マゼンタのライトが俺を照らし、息を吸い込むと同時にはゆっくり吐き出す。
空気感が静まると同時に、マイクを構えた。
響也・歌「沈むように、溶けてゆくように」
響也・歌「二人だけの空が広がる夜に」
ピアノのリズムと同時にプロジェクターから俺の背後に6枚の翼が重なる。
響也・歌「さよなら、だけだった。その一言で全てが分かった日が沈みだした空と君の姿フェンス越しに重なってた。初めて会った日から、僕の心の全てを奪った。どこか儚い空気を纏う君は、寂しい眼をしてたんだ」
会場のボルテージの上がっていく中、俺は壇上から降り、客席へと向かう。
響也・歌「いつだってチックタックと鳴るセカイで何度だってさ、触れる心無い言葉うるさい声に涙が零れそうでも」
観客席から忍を連れ出し、ステージに戻っていく。
響也・歌「ありきたりな喜びきっと二人なら見つけられる」
プロジェクターが切り替わり、黄金の光が会場を染め上げる。
響也・歌「騒がしい日々に笑えない君に、思いつく限り眩しい明日を、開けない夜に落ちてゆく前に僕の手を掴んでほら、忘れてしまいたくて閉じ込めた日々も抱きしめた温もりで溶かすから」
ステージに上りプロジェクターが花畑に変わる。
響也・歌「怖くないよ、いつか日が昇るまで二人でいよう」
最後のフレーズを歌い終わり、観客から歓声を受ける。
俺は観客の前で、遂に忍に自分の想いを伝える。
響也「忍、これから俺の想いを聞いてほしい」
忍はこくりと頭を下げ、俺は語り出した。
響也「忍、俺たちは幼い時から、ずっと身近にいる存在だった、だからこそ、俺はそんな忍のいる当たり前を失わない為に、正義の味方である事にこだわり続けた。心の底から、俺は忍に惹かれていたんだ。だから、俺からの願いを言わせてほしい
俺の、恋人になってくれないか?」
そう言って手を差し伸べる。
そして忍はその手を握り、笑顔で答えた。
忍「はい、喜んで!!」
観客が大きな拍手とおめでとうの声援を送り、ライブステージは俺と忍が結ばれて幕を閉じた。
その後、自宅で一人、夕食を作る俺のスマホにメッセージが入る。
メッセージに書かれていたのは
アリス『ヒビヤ、シノの事。大事にしてね』
カレン『二人が結ばれても、4人一緒。これからも、仲良くしてね』
メッセージを見た俺は、呟くのだった。
響也「当たり前だろ……」