あの高校生活を
今でも鮮やかに思い出す
4人の再会と眩しい毎日
それは時を超えて
この地での生活に
俺達は辿り着いたのだった。
イギリス ロンドン
朝になれば、染み付いた日々の仕事をただこなしていく。
出汁の香り、ふわふわの厚焼き玉子、お米の炊ける音。
4人分の朝食が出来上がり、俺は3人を呼び出す。
響也「飯出来上がったぞ、早く起きてこい」
眠い目を擦る髪の長い女の子、大宮忍がアリスとカレンと共にリビングへとやって来た。
木ノ瀬響也、19歳 大学1年生 イギリスの大学で栄養士の勉強をしている。
大宮忍、19歳 大学1年生 イギリスの大学で英語教師の勉強中。俺の彼女で1年前にロングヘア―にした。カワイイ。
アリス・カータレット、19歳 大学1年生 イギリスの大学で社会科の教師の勉強中。大学に進学してようやく高校当時の俺と同じ身長になった。歩く犯罪。
九条カレン、19歳 大学1年生 イギリスの専門学校でメイクアップアーティストの勉強中。俺達の収入源でバイトを掛け持ちしてる。こいつが倒れたらDEAD。
そんな大学に進学した俺達はロンドンの一角のベーカリーの管理している5LDKの部屋で暮らしている。
イギリスの生活を堪能しながらいつもの様に俺は3人を支えている。
朝食を終えて、それぞれの大学の学部に向かう。
俺は講習を受けながら、ただひたすらに学んだことをノートに書き記していく。
講習が終われば食材の買い出し、皆の服の洗濯、部屋の掃除、時間が許しうる限り、皆の為に家を支え続ける毎日。
俺は正義の味方としての自分にまだ、こだわってるのかもしれない。
お節介の過ぎる俺は、大学生になっても変わらず、誰かの為に動き続けている。
響也「あいつらの為だ、俺がしっかり支えないとな」
忍「響也君、休まなくていいの?」
アリス「何か手伝うよ」
俺は笑顔で二人に告げた。
響也「俺が好きでやってるんだ、二人はゆっくりしなよ」
ガターーーン!!
3人「ヴェアアアアアア!!」
突如として開く扉、そこには大量のパンを抱えてバイトを終えたカレンが帰って来た。
カレン「大家さんのベーカリーから試作品の新作パン一杯貰ってきましたーーー!!」
アリス「凄い、数えるだけで8種類もある!!」
忍「カレン、グッジョブ!!」
響也「お前ら、夕飯前だぞ」
俺は出来る限り、こいつらに自由な事をさせてやりたい。
その為なら家事仕事なんて辛くもなんともない、こいつらの笑顔が俺にとって大事な……
忍「響也君、後で紅茶淹れよう」
響也「パンでも片手にティータイムか、悪くないな」
相変わらず大家さんには世話になりっぱなしだ、後日改めて挨拶にでも行こうかな?
夜になり、ゆっくり眠りにつくが俺は状況的にヤバイと思わざる追えない。
皆自分のベッドがあるのに何故か俺のベッドで添い寝をかましてくるのだ。
当然眠れるはずもなく、俺は空いている忍のベッドに移動した。
翌日、俺は大家さんの住んでいる家に菓子折りを持って挨拶に来た。無論、忍も一緒だ。
響也「こんにちは!!ナギさん!!」
ナギ「いらっしゃい、話には聞いてるよ。全くそこまで律儀にしなくてもいいのに」
俺達のアパートを管理している「ベーカリー・テデザ」の店長兼大家さんの天々座奈義こと、ナギ兄さん。滅茶苦茶カッコイイ元カフェ店員。
リゼ「いらっしゃい、忍ちゃん」
忍「リゼさん、ご無沙汰しています」
天々座理世ことリゼさん、ナギさんの妻で一緒にベーカリーを切り盛りしている。
ナギ「立ち話もなんだからな、上がって行ってよ」
ナギさんに勧められ、俺はナギさんとお茶を共にしながら話を始めた。
ナギ「それじゃあ、響也君に聞くけど、君にとっての高校生活について、色々教えてもらおうかな?」
俺はスマホを取り出し、かつての苦楽を共にした仲間たちの写真を見せた。
響也「この写真に写っている皆は、昔から俺の周りにいた大事な友達です。そして俺の近くに居る忍が、自分にとって最初に想い人です。誰よりも大切な人です」
紅茶を啜りながらナギさんは俺をじっと見つめる。
ナギ「俺もそんな純粋な眼で好きな子の想いを語っていた頃がある。ただ、それは高校時代じゃあり得なかった話だ。俺と違って純粋に一途に想ってきた、とても幸せだと思うよ」
リゼ「忍ちゃんも響也君といられて幸せでしょ」
忍「口にすると恥ずかしいけど、響也君といる今は、凄く嬉しいです」
響也・忍「……」プシュー
お互い感情のままに話して今になって蒸発してしまった。
そんな俺と忍をナギさんたちはとても嬉しそうにしていた。
帰り道、時計塔前にやって来た俺と忍は夕暮れを眺めていた、相変わらず暗くなるのが遅いこの地域では普段と時計の感覚が狂う。
暗くなった街で俺は人混みが消えるのを確認した俺は忍に告げる。
響也「もういいぞ」
忍「本当に、焦らすんだから」
響也「仕方ないだろ、ほら」
この時間、俺は誰もいない時計塔の下で忍と唇を重ねる。
ここに来て何度か隠れてやっていた。
響也「忍にはこういう時しか甘えられないからな」
忍「でも、誰かに見られる背徳感も好きでしょ?」
響也「否定できないな」
お互い肩を寄せ合って、服の袖を握る。
響也「しばらくこのままでいようか?」
忍「そうだね、ふふっ!」
その二人の重ねる手には……薬指に付けた指輪が輝いていた。