桜を太陽が照らす、朝7時
ある一件の古びた武家屋敷で俺は目を覚ます。
「んあー」
俺の名前は木ノ瀬響也、高校入学を控え、この屋敷で一人家事をしながら生活してる。
ザァァァ!!
重い足取りで風呂場へ向かい、シャワーを浴びて着替えた俺は鏡の前で呟く。
響也「よし、やるぞ!!」
リビングへ向かい、エプロンを身に着けて冷蔵庫を開ける、出汁の入ったペットボトル、卵、玉ねぎ、味噌、ワカメ、梅干し。
慣れた手つきで玉ねぎをとワカメで味噌汁を作る。そして何より……
カンカンッカカカカッ!!
卵と出汁を素早く混ぜ合わせ、四角のフライパンで丁寧に焼いていく。
響也「今日も上出来だ」
おぼんの上には白米、味噌汁、厚焼き玉子、手作りの梅干し。
響也「いただきます」
アツアツの白米に梅干しを乗せて箸で潰し、掻き込む。
ガッガッ!!はう、はう。
厚焼き玉子も出来たてを口に頬張り、味噌汁を喉に流し込む。
はふ、ふう、ふう、ずぞぞ。
空になった茶碗を置き、天井を見上げた。
響也「いい味だ、力を付けるなら白米に限る」
食べ終わった茶碗を片付け、俺はジャケットを身に纏った。
ピンポーン
忍「おまたせ~、準備できたよ~」
響也「来ると思ったよ、忍」
俺の家のお隣さん、大宮忍。俺の初恋の人で大切な友達だ。
響也「10時に駅前公園だろ、そろそろ行こうと思ってたんだ」
忍「それじゃあ、早く会いに行こう!!」
響也「よし、行くか!!」
街を歩く、俺と忍、昂る感情を抑えられない忍には少し目のクマが出来ていた。
俺もそうだ、今日は3年間、待ち続けた友達、アリスがこの日本へとやって来る。
数日前に来たエアメール、最初は半信半疑だったが、忍にも同じ手紙が来ていた。
忍の家にホームステイに来る事知った俺は、忍と二人で迎え入れる準備をしていた。
駅前公園に到着すると俺たちは時計塔の横の自販機で飲み物を買おうとした時だった。
不良「ねえ、ちびちゃん、どうすんだこれ?」
「ご、ごめんなさい……」
不良「ごめんで済むなら警察要らねえだろ、俺の家に来るなら許すって言ってんだろうが!!」
金髪の少女をの手を掴み、強引に引っ張る姿を見た。
見過ごせない、こんな奴!!
響也「おい、何やってんだよ」
不良「あ?なんだてめえ?」
響也「その子を放せ、じゃないと通報する」
不良は少女の手を放すと俺に拳を叩きつける。
不良「運がいいと思え」
俺は金髪の少女の手を差し伸べる。
響也「怖かったな、大丈夫……」
この時俺はその金髪の少女に既視感を感じた、というかそのまんまだった。
「ヒビヤ、ヒビヤなの?」
響也「アリス……」
アリスは手を取り、立ち上がると嬉しそうに告げる。
アリス「3年ぶり、会いに来たよ!!ヒビヤ!!」
忍「アリスーーーーー!!」
アリス「シノブ!!」
お互い、手を重ね、再会を喜ぶ。
響也「じゃあ、改めて、日本にようこそ、これからよろしく。アリス」
アリス「よろしく!!」
その後、俺達は忍の家でお茶会をした。
アリスの楽しい話をする中、俺にとってのブラックホールが襲い来る。
響也「じゃあ、日本語はカレンの両親から」
アリス「頑張って練習したんだよ」
???「ひっびっやーー♪」
響也「ぐふッ!!」
忍・アリス「ヴェアアアアアアアア!!」
響也「姉さん、勝手に押し倒すな!!」
???「フフフ、可愛いわね♡」
大宮勇、忍の姉さんで同じく俺と長い付き合いの姉さん。夜這いの常習犯。
アリス「あ、あの……」
勇「私は姉の大宮勇、よろしくね☆」
響也「良いからさっさと降りてくれ!!」
とまあ、こんな感じで時間が過ぎ、夜の中で俺は自分の家に戻ろうとする中。
アリス「あれ、ヒビヤの家?」
響也「そうだけど?」
アリス「見に行っても良い?」
迷いは無かった。
響也「良いぜ、観に来いよ」
俺はアリスに自宅を見せた。
アリス「大きい……」
響也「武家屋敷だよ、俺の爺さんが残した物。今はここの手入れをしながら一人暮らししてる、とりあえずあがろうか?」
そう言うと俺は扉を開けてアリスを家にあげた、大きい廊下や和室、大広間をキラキラした目で見て回る。
だが、好奇心とは恐ろしい物である。
アリス「ヒビヤの部屋は無いの?」
響也「え、俺の部屋……」
アリス「どうしたの?」
俺は堅い口を開いて告げる。
響也「見たらヤバい物あるけど、それでいいなら……」
この笑顔を壊さないだろうか、その言葉が頭をよぎる。
意を決してアリスと自室へと向かう。
扉を開けたそこには……
アリス「ピャアア!!」
アリスの小動物の様なリアクションと同時に広がるのはヒーロー玩具、怪獣ソフビ、漫画、美少女のタペストリー、響也は頭を抱えながら呟く。
響也「だから見せたくなかったんだよ……」
アリス「もしかして、オタク……なの?」
響也「正真正銘のオタクです」
とまあ、こんな風にカミングアウトしたがアリスは逆に気に入ってくれたみたいだ。
一通り屋敷を見終わり、アリスも満足して忍の元を戻っていった。
かと思ったが……
ピンポーン
屋敷に響くインターホン、俺は黒いTシャツと青いズボンの姿で玄関を開ける。
響也「アリス?」
パジャマ姿で訪れたアリスは響也に聞く。
アリス「今日、こっちに泊っていい?」
響也「急にどうしたんだよ?」
アリス「ヒビヤと居たい、それだけじゃダメ?」
俺は流石に断ろうとした、でも、待ち続けた友達がここにいて、一緒に居たいと望んでる。
3年間の想いを裏切れなかった。
響也「一晩だけなら」
畳に敷かれた、二つの布団、何年ぶりだろうか、誰かと一緒に寝るのは。
響也「それじゃあ、お休み」
アリス「お休み」
暗闇の中、月の光が照らされる。俺は眠れるはずもなく、隣のアリスばかり気にしてしまってる。
すると、物音がする。布団から移動する音だ。
アリス「ヒビヤ……起きてる?」
響也「!!」
響也の身体とアリスの身体が密着する。
響也「アリス、これが狙いか?」
アリス「ずっと、待ち続けてた。やっぱり変わって無い。ヒビヤの優しい匂い」
響也「アリス、いくら何でもこれは……」
アリス「他の事は考えないで、私を見て……」
顔を赤くし、甘い吐息とトロンとした瞳。その少しアダルティなアリスに理性を壊されそうになる。
響也「アリス、可愛い顔するんだな」
アリス「ヒビヤも、顔赤いよ……」
響也「アリスのせいだろ」
ドキドキしながら身体を包む、アリスは俺の胸の中でパジャマのボタンを外す。
アリス「少し、熱くなってきちゃった」
響也「お、おい、マズいだろこれ」
抱きしめる手で微かに分かるアリスの身体の感触。温もりが俺の心拍数を上げていく。
だが、俺はこれ以上は出来ない。
響也「アリス、もう、これ以上は……」
アリス「……」
気が付けばアリスは眠っていた、胸元がはだけてブラが見えている、ピンクか。でもどう見てもサイズが合ってないが。
俺は布団で眠るアリスを起こさず、俺は隣のアリスが使っていた布団に移動する。
響也「よろしく、アリス」
3年前の友達との共同生活、俺はアリスとの時間を大切にしよう、そう思った。